塩ビはご承知のとおり、リサイクルが進んだ樹脂です。数十年前から、農業用ビニルや電線被覆用ビニルなどを中心にマテリアルリサイクルが行われ、最近では循環型社会形成のかけ声に乗って、塩ビ管や壁紙、床材などにも広がる一方、使用済み塩ビ製品を化学処理して原・燃料に再利用する、ケミカルリサイクルも進んできています。
塩ビのこういった特長に、やっと社会の目も注がれるようになったのでしょうか、最近発表された、経済産業省関連の「資源循環技術・システム表彰」に、塩ビ関連のリサイクル事業が2件も表彰されました。
一つは、塩ビ管・継手協会が申請した「使用済み塩ビ管・継手のリサイクルシステム」で、経済産業省産業技術環境局長賞を受賞しました。これは、同協会が全国的な使用済み塩ビ管・継手のリサイクルシステムを立上げ、円滑に運営してリサイクル率の向上に努めたことが評価されたものです。現在、このシステムでは全国に50ヶ所を越える受入拠点が整備され、リサイクル量も年間2万トン近くに上り、リサイクル率も50%を超えています。私たちVECにとっても、関連する技術やシステムの確立に協力を続けてきているだけに、誠に喜ばしい限りであります。
もう一つは、JFEスチール(株)の「高炉におけるプラスチック再資源化技術」で、こちらはこの制度のいわば金メダルともいうべき、経済産業大臣賞です。これは、産業系廃プラ、容リ法の廃プラなどを高炉還元剤としてケミカルリサイクルする技術を確立し、事業化したことに対する受賞ですが、特筆すべきはこの受賞対象のなかに、私たち塩ビ業界が同社やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などと協力して開発し、同社で事業化が実現している、塩ビの高炉原料化事業も含まれていることです。この塩ビの高炉原料化事業は、今年度から正式に事業化され、多種多様な使用済み塩ビを対象にして、現在年間約3,000トン規模で順調に運転が継続されています。私たち塩ビ業界は、この事業に今後とも協力を続けますが、今回の受賞を私たちとしても、大変嬉しく思うところです。
マテリアルリサイクルで、パイプtoパイプの塩ビ管・継手のリサイクルが、ケミカルリサイクルでは塩ビの高炉原料化リサイクルが、それぞれ受賞。塩ビ業界としてはまさに両手に花のめでたさです。受賞された塩ビ管・継手協会とJFEスチール(株)に、改めて心からお祝い申し上げるとともに、これを契機に私たちも、関連業界と手を携えて、更なるリサイクルの推進を心がけ、資源循環型社会の形成に微力ながら貢献したいと考えるものです。
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