NO.005
発行年月日:2004/10/28

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トピックス
マテリアルとケミカル、ダブル受賞
塩ビのリサイクル事業に表彰の花盛り
論壇
リサイクル論事始
信越化学工業(株) 木下清隆
お知らせ
編集後記

トピックス

マテリアルとケミカル、ダブル受賞

塩ビのリサイクル事業に表彰の花盛り


 塩ビはご承知のとおり、リサイクルが進んだ樹脂です。数十年前から、農業用ビニルや電線被覆用ビニルなどを中心にマテリアルリサイクルが行われ、最近では循環型社会形成のかけ声に乗って、塩ビ管や壁紙、床材などにも広がる一方、使用済み塩ビ製品を化学処理して原・燃料に再利用する、ケミカルリサイクルも進んできています。

 塩ビのこういった特長に、やっと社会の目も注がれるようになったのでしょうか、最近発表された、経済産業省関連の「資源循環技術・システム表彰」に、塩ビ関連のリサイクル事業が2件も表彰されました。

 一つは、塩ビ管・継手協会が申請した「使用済み塩ビ管・継手のリサイクルシステム」で、経済産業省産業技術環境局長賞を受賞しました。これは、同協会が全国的な使用済み塩ビ管・継手のリサイクルシステムを立上げ、円滑に運営してリサイクル率の向上に努めたことが評価されたものです。現在、このシステムでは全国に50ヶ所を越える受入拠点が整備され、リサイクル量も年間2万トン近くに上り、リサイクル率も50%を超えています。私たちVECにとっても、関連する技術やシステムの確立に協力を続けてきているだけに、誠に喜ばしい限りであります。

 もう一つは、JFEスチール(株)の「高炉におけるプラスチック再資源化技術」で、こちらはこの制度のいわば金メダルともいうべき、経済産業大臣賞です。これは、産業系廃プラ、容リ法の廃プラなどを高炉還元剤としてケミカルリサイクルする技術を確立し、事業化したことに対する受賞ですが、特筆すべきはこの受賞対象のなかに、私たち塩ビ業界が同社やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などと協力して開発し、同社で事業化が実現している、塩ビの高炉原料化事業も含まれていることです。この塩ビの高炉原料化事業は、今年度から正式に事業化され、多種多様な使用済み塩ビを対象にして、現在年間約3,000トン規模で順調に運転が継続されています。私たち塩ビ業界は、この事業に今後とも協力を続けますが、今回の受賞を私たちとしても、大変嬉しく思うところです。

 マテリアルリサイクルで、パイプtoパイプの塩ビ管・継手のリサイクルが、ケミカルリサイクルでは塩ビの高炉原料化リサイクルが、それぞれ受賞。塩ビ業界としてはまさに両手に花のめでたさです。受賞された塩ビ管・継手協会とJFEスチール(株)に、改めて心からお祝い申し上げるとともに、これを契機に私たちも、関連業界と手を携えて、更なるリサイクルの推進を心がけ、資源循環型社会の形成に微力ながら貢献したいと考えるものです。


論壇

リサイクル論事始

信越化学工業(株) 木下清隆

 十数年前、東京中野の小さな市民団体から、「塩ビとダイオキシン」の話をして欲しいとの依頼があった。1990年代初頭の事である。
彼らは塩ビとは何かも分からないと云うことなので、「プラスチックとは」「塩ビとは」「塩ビとダイオキシン」「プラスチックのリサイクル」等、ある程度順序立てた話をした。この中で、「プラスチックとリサイクル」については日ごろ考えていたことを整理して次のような話をした。

 資源には化石燃料のような『消滅型資源』、森林や海産物のような『再生型資源』、太陽エネルギーのような『永久型資源』の3種がある。この内『再生型資源』はその絶対量が減少しないように利用するしかないが、『消滅型資源』の保護のためにはリサイクルは有効な手段であると考えられる。
 従って、リサイクルを資源保護、特に枯渇が心配されている化石燃料の保護のために行うとすれば、そのリサイクルは次の条件を満たすものでなければならない。即ち、

Eo>Er ここに、Eoは資源から最終商品になるまでに投入された単位総エネルギー
Erは廃棄物から製品として再利用されるまでに投入された単位総エネルギー
 このような条件が満足されたとき、そのリサイクルは資源保護に役立つと言えるが、製品に投入されたエネルギーを算定するのは大変難しい。特に人間系のエネルギーが大量に投入されるリサイクル活動においてはそうである。そこで、投入エネルギー量と価格は連動するとの仮説を導入する。もしこの仮説が正しいとすると、上の不等式から、リサイクルについては次のような結論が導かれることになる。
 ― バージン製品より高くなるようなリサイクルは、資源保護につながらない。―

 このような話は当然初めてである。終わった後、やおら中年の男性が口を開いた。
「今まで、企業に対してリサイクルの話を持ちかけると、皆、今検討していますとか何とか言って逃げる。しかし、今日の話を聞いて、初めて企業との話合いのポイントがはっきりしてきた。貴方の話はぜひ外部に発表して下さい。」
 意外な発言に大いに驚いたが、それ以来、市民団体にお墨付きをもらったと言うことで、すっかり意を強くし“コストアップにつながるリサイクルは資源の無駄使いだ。”といささか過激なキャッチコピーであちこちに触れ回った。有料の講習会で2~3度しゃべったこともある。

 この頃は未だ嵐の前の静けさだった。その後、ヨーロッパで誕生した猛烈な台風が日本に上陸した。リサイクル台風である。日本中がこの台風になぎ倒され、「リサイクルは地球を救う」といった、どこかの24時間テレビのタイトルのようになった。手段であるはずのリサイクルが目的にされ始めたのである。その後の流れは、多くの人が知る通りである。
 ところが最近になって、環境先進企業と自他ともに認める大企業等から、コストの合わないリサイクルは意味がないとの発言が出始めた。再度の驚きであるが、そんな時代になったのか、というのが実感である。
 リサイクルの必要性については、埋立地という資源を守るためには、コストを考える必要はない、と言った論理も最近出てきている。なるほどと感心したが、良く考えてみるとどうもおかしそうだ。この論によれば、自分とこの美しい庭先はそのまま保存しておきたいが、他所様の庭先は掘り返して、資源なるものを取り出しても良いと言った主張につながるからだ。更に化石燃料のような消滅型資源と、埋立地のような人々の意識でその増減をコントロール出来るような資源を同一に論じられるのかと言った問題もあるからだ。
 いずれにしてもリサイクル論とその実態が何処かに落ち着くまでには、まだまだ時間がかかりそうである。

お知らせ
セミナー

・慶應義塾大学 開放環境科学専攻

  16年度・後期 一般・環境公開セミナ-
  テ-マ:『21世紀は人類最後の世紀になるか?』
期間 平成16年10月23日(土)~平成16年12月18日(土)全6回
時間

13:30~15:00(90分)(休憩10分)15:10~16:40(90分)
場所 慶應義塾大学・日吉キャンパス・来往舎2階 中会議室
募集人数 学生30名・一般30名
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ-ションセンタ-事務局
FAX 03-3547-3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469
詳細は下記URLをご覧下さい。
http://www.env-center.com/report/index.html

・同志社大学 環境公開セミナ-

  テ-マ『プラスチックと環境問題』

容器包装リサイクル法が、公布されてから9年が経過しました。

各種問題も発生し、企業や自治体の試行錯誤が続いています。
そこで、化学業界の方々と共に今後の環境問題を考察します。
期間 平成16年11月9日(火)~12月14日(火)全4回
場所

同志社大学経済学部・今出川キャンパス 至誠館4番教室
時間 13:15~14:45
募集人数 150名(先着順・満員の場合は通知します)
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ-ションセンタ-事務局
FAX 03-3547-3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469

展示会 出展紹介

・「ジャパンホームショー&ビルディングショー2004」

開催日時 2004年11月16日(火)~19日(金)
10時~17時(最終日は16時30分まで)
開催場所

東京ビッグサイト

東1・2・3ホール

主  催 (社)日本住宅設備システム協会
(社)日本能率協会

樹脂サイディング普及促進委員会及び
樹脂サッシ普及促進委員会にて出展しています。


編集後記

 23日、H2は2ヶ月遅れの墓参りで四国に行きました。墓参後、土産物を買いに入った店先で、新潟県中越地震のニュースを知りました。マグニチュード6.8、震度6強。
 9年前の神戸大震災の経験を思い出して、改めて慄然としました。当時、神戸市東灘区の自宅は幸い難を免れたものの、数ヶ月間、水道なし、ガスなし、電話なしの生活を余儀なくされ、いわゆるライフラインのありがたさが身に染みたものでした。
 亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、一日も早く復旧しますよう祈念致します。
 最後に、やや不謹慎ながらひとこと。「水道管や電線被覆、建材など、ライフラインにも役立つ塩ビです」(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  原田 浩

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