NO.016
発行年月日:2005/01/27

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SPEED’98は大成功!?
だって、65物質群にかかる疑いは完全に晴れたでしょ?

塩素・塩ビ業界は、スマトラ島沖津波被災地の復興に協力します。
ボトル入り飲料水、塩ビ製建材の供給や、各種浄化装置、処理装置設置の物流支援など

随想
理科離れと国語崩れ
東京都目黒区民 金井 晃
お知らせ
編集後記

トピックス

SPEED’98は大成功!?

だって、65物質群にかかる疑いは完全に晴れたでしょ?

 昨年末、環境省はいわゆる環境ホルモンに関する今後の対応についての見解をまとめ、この1月に、それについての意見を広く国民から聞くべく、パブリックコメントを募集しています。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=5592

 環境省の環境ホルモン問題への対応といえば、7年前の平成10年に策定した「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」が中心です。これは「環境ホルモンの『疑いのある』65の化学物質群」を指定し、それらの環境実態調査、野生生物の影響実態調査、ラットを使ったヒト健康への影響試験、メダカを使った生態系への影響試験などを、6年の歳月と多額の研究費をかけて調査・研究したものです。 この計画に対して、私たちはいろいろな不満を持ち続けてきました。いわく、65物質群の選定理由に科学性・客観性・透明性が乏しい、リストアップされただけで社会から環境ホルモン物質だと誤解されて不当に市場から締め出される、さらには想定されるリスクに対してあまりにも巨額な研究費を投下し、資金の無駄遣いではないのか、などなどです。
 とりわけ、私たち塩ビ業界の関連では、65物質群にリストアップされた、いわゆるフタル酸エステル類が、軟質塩ビ製品の可塑剤として大量に使われる物質であるため、市場からは環境ホルモン物質として敬遠され、軟質塩ビ製品の需要の大幅減少の大きな要因となりました。
 
 今回のパブコメ募集に先立って環境省は昨年の秋に、それまでのSPEED’98の取り組みの成果を公開しました。
http://www.env.go.jp/chemi/end/index.html
それによると、これら化学物質群は大気中や水質中に広く存在はしているものの、トビやカエルなどの調査では、これら野生生物の異常との間に特定の因果関係はなかったこと、ヒトの健康影響試験では、調査した22物質のすべてについて内分泌攪乱作用は確認されなかったこと、生態系への影響試験では調査した24物質のうち3物質について弱い作用が認められたが、その他の物質では所見がなかったことなどが報告されています。フタル酸エステル類についても、ヒトおよび生態系のいずれの試験でも、所見なしという報告でした。

 そういった結果を踏まえての環境省の今後の対応は、野生生物の観察や環境中濃度の把握を継続する、内分泌攪乱作用のメカニズム解明研究を続行する、生態系への影響評価を、対象物質を限定せずかつ評価手法の検討にまで遡って進める、これらから得られたデータを総合的な化学物質のリスク評価とリスク管理の一環として利用する、社会に対する情報提供、リスクコミュニケーション、環境教育などを進める、というものです。

 これらに対するコメントとしては、今後とも調査・研究を進めるのであれば、想定されるリスクの程度に見合った規模で、科学性・客観性・透明性を重視した方式で進めるべきである、ということです。間違っても、一時のフタル酸エステル類や塩ビ製品のように、不当なバッシングを受ける例が出ないよう、注意して進めて欲しいものです。

 しかし、考えてみれば、これまでのSPEED’98は、ある意味で大成功だったとも言えるのではないでしょうか。なぜって、フタル酸エステル類をはじめ、「疑われた」すべての物質が、結果として「シロ」だったことが明々白々になったのですから。一部にバッシングの被害は出たものの、今やこれらの物質について、環境ホルモンだなどと、口が裂けても言わせない、環境省のしっかりした「お墨付き」が出たのですから。そうじゃないのかしら?



塩素・塩ビ業界は、スマトラ島沖津波被災地の復興に協力します。

ボトル入り飲料水、塩ビ製建材の供給や、各種浄化装置、処理装置設置の物流支援など

 VECは先のスマトラ島沖津波の被災地の復興に際し、日本ソーダ工業会などと協力して、日本政府や国連などが進める復興計画のうち、塩素や塩ビに関連する復興必要製品の調達・供給の支援や、関連する技術指導・サービスなどの面で、可能な限りの協力に努めることを決め、1月21日、その旨を経済産業省に申し入れました。
 VECはアジア地区にアジア塩化ビニルネットワーク(Asia Pacific Vinyl Network:略称APVN)という組織体を持ち、定期的に会合して緊密な連携のもとで活動していますが、こういった組織を活用し、アジア地区の塩ビ関係者とも共同で、復興支援に協力します。
 具体的には今後詰めますが、塩ビ製品業界などの協力も得て、塩素系の殺菌剤やボトル入り飲料水、塩ビ製の建材や塩素系医薬品、医療機器などの必要資材の調達や供給の支援、飲料水浄化装置や下水道処理装置などの建設支援、関連技術指導などが考えられており、当面の対応だけでなく、中長期的対応についても、政府や国連等と協議しながら進めることと致します。


随想

理科離れと国語崩れ

東京都目黒区民 金井 晃


 「高校生の化学五輪 アテネに先駆け 日本人初の金」 これは昨年7月28日付けの朝日新聞朝刊第2社会面の記事見出しである。ご覧になった方もおられると思う。世界61ヶ国から234名の高校生が参加した第36回「国際化学オリンピック」では、各々5時間に及ぶ筆記試験と実験試験が行なわれ、その結果金メダル30名、銀48名、銅72名が受賞され、日本から参加の4名は金1名、銅3名の成績であったこと、日本は2回目の参加で昨年は銅2名であったことを報じている。小記事ながら化学関係者にとって嬉しい記事であった。

 中高生の理科離れ傾向が心配されはじめてから久しい。これは先進国全般に見られる現象のようで、欧米各国とも大学、国立研究所などが中心となって、科学への興味を取戻し拡大してもらう試みが活発に行なわれている。日本の化学界でも1993年から日本化学工業協会、日本化学会、化学工学会、新化学発展協会の4団体が「夢・化学−21」キャンペーン事業を開始した。多様な事業を進める中で、1998年からは「全国高校化学グランプリ」事業を始め、この一環として昨年度から「国際化学オリンピック」日本代表を選考するようになり、その代表選手の成果が上述の記事となった。10年以上の地道なキャンペーン事業の成果であり、関係してこられた方々のご努力に心から敬意を表したい。このようなことの積み重ねによって理科離れが是正されていくことを期待したい。

 ところで先日ラジオ放送を聞いていたら、大学生を対象に中高6年間で学んだ国語力を調査された人の談話が流れていた。成績を上中下に分けて結果についていろいろの解説をしていたが、一例として、下のクラスで『憂える』の同義語を選択する問題で60%が『うれしい』を選び『心配だ』はゼロだった、アナウンサーがなぜ『うれしい』だったのでしょうと質問したら、発音が近いからでしょうね、との言。夜中の放送だったので筆者が寝ぼけていたのかな、と今でも信じられない。調査された人は若者の中には本はおろかマンガも読まない人もいる、携帯電話で話す程度の会話力しかない、と厳しい評価をされていた。

 この10年間で日本社会の不平等化(所得格差、教育格差などの拡大)が著しく進んだと言われているが、最近「希望格差社会」という本が出版された。新聞書評によれば、格差は格差として受け入れつつ自分なりに頑張り追いついていこうと思い直せる道(希望)にも格差が生じてしまっている、という意味の書名のようである。著者は、社会に選択してもらうためには自分を売り込むための説得力、コミュニケーション力の習得が必須であると勧めているとのことである。
 ラジオ放送の国語崩れの事例が極めて特殊なものであることを祈りたい。一方、化学オリンピックでメダルを受賞した高校生が、例外的な存在でないことを併せて信じたい。
  
 なお、本作文に当たって「夢・化学−21」ホームページのお世話になった。多彩な内容のページであり皆様にも訪問をお勧めしたい。
http://www.kagaku21.net/


お知らせ
展示会 出展紹介

「ENEX2005」

−地球環境とエネルギーの調和展−
主催:(財)省エネルギーセンター

[東京]

開催日時 2005年2月9日(水)〜11日(金)
10時〜17時(最終日は16時00分まで)
開催場所 東京ビッグサイト 西1ホール

[大阪]

開催日時 2005年2月17日(木)〜19日(土)
10時〜17時(最終日は16時00分まで)
開催場所 インテックス大阪1・2号館


樹脂サッシ普及促進委員会にて出展しています。


PVC NEWS発行致しました
PVC NEWS 51号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。詳細は下記からご覧頂けます。
購読を希望される方は、送付先などご連絡下さい。

http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

編集後記

 ちょっと前のメルマガに、「重度の活字病患者」と書いたせいか、ひょんなことから、新書版の熟語活用辞典なるものが手に入りました。早速ベッドで愛読していて、いろいろ試みています。今日はそのうちの一つ、二つ。
 「一石二鳥」、「二束三文」、「再三再四」、「四分五裂」、「五臓六腑」、・・・後が続かない。四苦八苦、七転八倒して考えてみても、ダメ。そんな熟語は十中八九、ないのだ。まさか六勝七敗でごまかすわけにも行かず。
 「窮鼠噛猫」、「九牛一毛」、「虎視眈々」、「烏兎怱怱」、「画竜点睛」、「延々長蛇」、「竹馬之友」、「羊頭狗肉」、「意馬心猿」、「鶏軍一鶴」、「犬馬之労」、「猪突猛進」、・・・出来た! やっと眠れる。(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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