2月6日付のサンデー毎日に、「『家庭内事故死』はこんな住宅で起きる」という見出しの記事が載り、厚生労働省がまとめた人口動態統計によると平成15年度には交通事故死者数よりも、家庭内事故死者数のほうが多くなったと報じました。
全国の交通事故死者数は年々減少して平成15年には10,913人になったのに比べ、家庭内事故死者数は同年で11,290人で、初めて交通事故死者数を追い越した、これは一つの“事件”だ、と。
ちょっと気になって、厚労省のホームページから、関連するデータを抜き出して並べてみて、・・・びっくりしました。家庭内で事故死するお年寄りの何と多いことか。
家庭内事故死者数の合計11,290人のうち、65歳以上の高齢者は8,654人と全体の77%を占めています。一日平均24人です。高齢者の死因の内訳は、「不慮の窒息」2,972人、「不慮の溺死」2,820人、「転倒・転落」1,653人でこれが「ご三家」。
「不慮の窒息」というのは、例えばお餅を喉に詰まらせたケース、「転倒・転落」は階段や廊下で転んだもの、と考えればうなづけますが、「不慮の溺死」とはなんだろう?
そう思って、記事にも出ていた、「危害情報からみた高齢者の家庭内事故」(2003年5月9日、国民生活センター)というレポートを読んだところ、専門医の見解として、「高齢になると、脳や心臓の老化から、急な温度変化などにより脳溢血、心筋梗塞などの発作が起きて浴槽での溺死に至ることも多い」というコメントがありました。
さらに、大宮健司著「健康で長持ちの家が一番」(2002年、日経BP社)によると、暖房しているリビングと暖房のない浴室の温度差は通常10℃以上あり、気温10℃以下の浴室で裸になると、自律神経の働きで血管が急激に収縮し、血圧は一気に30〜40も上昇する、場合によっては老化して脆くなった毛細血管が切れ、脳卒中や心筋梗塞の事態になる可能性があるというのです。
この、温度差によるいわゆるヒートショックの対策という意味では、風呂場を暖房すればいいのですが、同書によれば、日本の住宅では暖房設備のある浴室は殆どないが、浴室暖房設備普及率はドイツではなんと98%、イタリアは96%、お隣韓国でさえ49%というではありませんか。
こういった被害から高齢者を守るためには、浴室暖房設備もさることながら、住宅全体の気密度、断熱度を上げ、いわゆる「高断熱・高気密」住宅にする方法が一番です。それには、天井や床・壁の断熱化に加え、全放熱の約半分を占める窓の高断熱化が大切。「複層ガラス・樹脂サッシ」の採用で、冬暖かく、夏涼しく、結露もなくてカビも出ない、さらに高齢者にも優しい住宅に住み替えましょう!「高断熱・高気密住宅は長寿のもと」!
と、ここまで書くと我ながらちょっと気が引けますが、しかし、年間2,800人もの高齢者がヒートショック(と思われる)で命を落としているのは事実です。一日当たり実に8人です。こういった事実に注目し、日本の住宅をもっともっと改良していく必要があることは確かである、と考えますが、どうでしょうか。
|