NO.038
発行年月日:2005/07/07

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トピックス
◇開かれつつある、塩ビリサイクルシステムの展望
  マテリアルリサイクルは「優等生」、ケミカル・サーマルも「将来有望」

随想
ペットボトルリサイクルに思う
倉敷市 牧野 哲哉
お知らせ
編集後記

トピックス

◇開かれつつある、塩ビリサイクルシステムの展望

マテリアルリサイクルは「優等生」、ケミカル・サーマルも「将来有望」

 塩ビについていろいろ言われるバッシングコメントの一つに、「塩ビはリサイクルが難しいので、資源循環型社会には不向きです」というのがあります。本当でしょうか。
答えは、ある意味ではウソ、ある意味では(残念ながら)本当です。

 「ウソ」と断言できる理由は、塩ビほどリサイクルがしやすく、現実にリサイクルがされ続けているプラスチックはない、からです。農業用ビニルや電線被覆塩ビ、塩ビ製パイプなどについては排出される量のほぼ半分はリサイクルされていますし、そのほか床材、壁紙、窓枠などの建材分野でも、それぞれの業界を挙げたリサイクルシステムの構築が進んでいるのです。

 一方、「本当」といわねばならない理由は、塩ビが他のプラスチックと混在して廃棄される場合に、ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルが難しくなる、とされているためです。塩ビには塩素という、他のプラスチックには殆ど入っていない元素があり、そのために、不適切な扱いをすれば処理装置の腐食等の不都合の原因になりかねないからです。

 但し、今日では、一般廃棄物・産業廃棄物の発電機付きの新鋭処理設備の整備が進んで、その多くは通常想定されるレベルの塩素負荷を前提に設計されており、腐食問題はないとされていますが・・・。

 こういった課題をより積極的にクリアするために、私たち塩ビ関連業界は、塩ビ含有混合廃プラスチックの有効利用法の技術確立に注力してきました。
 例えば、使用済み塩ビから塩素を塩酸として分離して有効利用し、残りを高炉原料として利用する技術はJFEの手で昨年5月から事業が開始されていますし、使用済み塩ビから塩ビコンパウンドを回収する、ビニループプロセスも、来年4月の稼動を目指して、神戸製鋼所のグループ企業により、千葉県で建設が進められているところです。

 さらに最近、廃家電や廃自動車のシュレッダーダストを処理すべく全国各地に建設されたASR処理施設で、廃塩ビもあわせて処理することを目標に、同和鉱業系の小坂精錬所や、住友金属系の共英リサイクルなどで50〜100トン規模の処理試験を行い、成功しています。
シュレッダーダストに塩ビを1割弱程度混入させても、燃焼効率や排ガス組成には何の影響もないことが実証されました。勿論、排ガス中のダイオキシン濃度は、使用済み塩ビを加えた状態でも、法による規制値をはるかに下回るレベルに維持されています。

 今後私たちは、このようなケミカルリサイクルやサーマルリサイクルの技術で塩ビも充分処理可能であることをより明確にすべく、関係企業や関係業界とタイアップして、更なる試験や確認を積み重ねていく考えです。一方、塩ビが得意とするマテリアルリサイクルの分野でも、建材分野を中心に、塩ビ製品全体での回収・再資源化システムを構築することを目指して、検討・分析を進めていきます。

 塩ビはもっともマテリアルリサイクルしやすいプラスチックですが、ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルの分野になると、塩素含有であるために、えてして邪魔者扱いされるきらいがありました。
 しかし、もうご安心下さい。建設廃材などの塩ビ含有廃棄物であっても、ASR処理施設はじめ最近の処理施設では、処理条件や排ガス組成などに気を使うことなく、安全に処理可能なのです。この事実をよくご認識いただき、安心して塩ビを使用していただきたいものです。

■随想

ペットボトルリサイクルに思う

倉敷市 牧野 哲哉

 ペットボトルは容器包装リサイクル法(容リ法)で最初にリサイクルを義務付けられたものである。その容リ法の見直しが進められている。NHKテレビが報じた所によれば、地方自治体が行う収集の費用を事業者に負担させる事や、スーパーのレジ袋の有料化などが議論されているとの事。

 6月17日の朝、NHKテレビで、日本最大のペットボトルリサイクル工場(年間能力ボトル20億本、日本全体の約20%)が操業を停止するとのニュースが流れた。理由は廃ボトルが確保できないからである。今は地方自治体が負担している収集費用を少しでも軽減しようと、中国へ有償で輸出されてしまうため、国内で処理する分が激減してしまったようである。中国ではポリエステル(PET)の需要が旺盛で、品不足になり、日本の廃ペットボトルを有償で輸入し始めた。

 NHKはこのリサイクル工場の社名を報じていないが、T社のボトルtoボトル最新鋭工場である事は直ぐに気が付く。廃ボトルを加水分解してモノマーに戻し、ボトル用原料レジンに再重合する本質リサイクルを実現した工場で、業界の熱い期待が寄せられていた。

 合成繊維のポリエステルとペットボトルの原料PETは化学的に同じものである。だから、リサイクルの当初は繊維へリサイクルする事が考えられた。しかし、これは本質的解決にはならない事が直ぐに判る。日本の合成繊維の総生産量は約150万トン(2001年)で、塩ビの国内消費量にほぼ同じ、この内ポリエステル繊維は63万トンで43%を占めるものの、ペットボトルの生産量は44万トン(2001年)で、最近5年間の延びは年率8%、早晩ポリエステル繊維を上回るだろうし、とても繊維へのリサイクルで消化できるはずがない。
しかも、日本のポリエステル繊維は高級繊維で廃ペットから再生できるようなものではない。一方、ペットボトルは包装材料としては優れたものである。今後も需要は伸びるとすれば、ボトルtoボトルリサイクルしかない。

 国内でのペットボトルリサイクルは逆有償リサイクルで、リサイクルの費用は飲料メーカーが負担する。リサイクル処理単価は、リサイクル業者の競争入札で決まり、最近の5年間で、処理単価は半分以下に減額してしまった。これに中国への有償輸出が追い討ちを掛けた形で、当初、容リ法で想定していたシナリオが根底から崩れてしまった。

 T社のボトルtoボトルリサイクルは技術的に不合理な点はない。PETの原料であるテレフタル酸とエチレングリコールは、加工度の高い石化製品で、その製造エネルギーも小さくはない。ボトルtoボトルリサイクルでは、これらの原料に必要な資源の大部分が節約できる。だから、再生されたボトルとバージンボトルとを比較すると、省資源・省エネルギーの効果は極めて大きい。しかし、廃ボトルの中国への有償輸出には経済的に太刀打ちできない。地方自治体の廃ボトル収集費用を事業者に負担させても、この問題は解決しない。

 我々の社会が本当に省資源・省エネルギーを優先し、循環型社会構築を目指すのならば、ペットボトルリサイクルに象徴的に現れた矛盾を解決しなければならない。そのためには、社会経済システムを根本から見直す必要を感ずる。この矛盾の根源は、ボトルtoボトルリサイクルで勝ち取られた省資源・省エネルギーが、経済的付加価値として評価されていない点にあると思うからである。

お知らせ
これからの快適な住まい作りセミナー・松本セミナー開催報告
 樹脂サイディング普及促進委員会では、7月1日(金)に長野県松本市で行われた信州大学社会開発工学部エネルギー自立型環境調和住宅研究会が主催する「これからの住まい作りセミナー」に参加し、「寒冷地に適する樹脂サイディング」の講演を行いました。
セミナーでは、研究会を主催される信州大学社会開発工学部山下恭弘教授より「信州が目指す快適な住宅づくりとは」を演題に基調講演、親和創建の大滝氏より「東北の高性能住宅作りの実践」に関する講演、引続いて樹脂サイディングを使用した住宅の見学会も行われました。
 当日は、生憎の悪天候にも関わらず、地元の関係者ばかりでなく、長野県全域から50名の参加を頂き、盛況のうちに終了しました。

 次回は、8月23日(火)に福岡大学工学部須貝先生の主催されるすまいづくり研究会セミナー(山口県周南市開催)に参加予定です。

PVC Newsが6/14に発行されました。

PVC News 53号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
詳細は下記からご覧頂けます。
購読を希望される方は、送付先などご連絡下さい。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

「塩ビ製品カタログ」が発行されました。
「塩ビ製品カタログ」(塩化ビニル環境対策協議会/塩ビ工業・環境協会編)が発行されました。
私達の日常生活のあらゆる場面に登場し、その豊かな生活の一端を担う塩ビ製品の主要なものをまとめた小冊子です。
ご希望の方は、下記URLよりご請求下さい。
https://www.vec.gr.jp/shiryo.htm

編集後記

 今年のプロ野球、例によっていろいろ話題を提供してくれていますね。H2のような駄洒落好きには誠に結構なターゲットでして、えへへへ(と笑う)。
 玉石混交取り混ぜて、駄洒落5連発、行ってみましょう!

阪神、躍進、半信半疑:ホントに優勝するのかしら?
巨人は虚人か、それとも拒人?:間違っても強靭ではなさそう。
投打そろって、粘りのロッテ:その粘りたるや、まさにロッテのチューインガム
楽天、やっぱり楽ではない:2〜3年後を期待しましょう。
決して番狂わせ(バンクるわせ)ではない、ソフトバンク:よく考えたら、去年まではダイエーでしたもんね。
 そろそろお後がよろしいようで

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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