NO.047
発行年月日:2005/09/15

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◇塩ビを、易しく、楽しく理解するには?
  塩ビの解説書「環境最前線 新たな発見 生活と塩ビ」発行

随想
−日本の伝統文化をものづくりに−
前塩化ビニリデン衛生協議会専務理事 中村忠
お知らせ
編集後記

トピックス

◇塩ビを、易しく、楽しく理解するには?

  塩ビの解説書「環境最前線 新たな発見 生活と塩ビ」発行

 20世紀末は、私たち塩ビの関係者にとって大変居心地の悪い日々でした。いわく、「塩ビはダイオキシン発生の元凶」、「塩ビに含まれる可塑剤は環境ホルモン」、「燃やせない、捨てられない塩ビは使用禁止、製造禁止にするべし」などとの、一部の社会からの糾弾に会って、私たちは、ダイオキシンや環境ホルモン、廃棄物問題などについての事実情報を説明し、ひたすら「科学的事実に基づいて判断してください」とお願いするばかり。身の縮む思いの数年間でした。

 その後、21世紀も数年過ぎた今日、燃焼時に発生するダイオキシンは、何を燃やすかに因るのではなく、どのように燃やすかに因るのだ、という事実が広く社会に知れ渡りました。環境ホルモン問題についても、環境省の調査・研究の結果、全くの無実であることが明確になりました。廃棄物問題についても、塩ビほどマテリアルリサイクルが進んでいるプラスチックはないことが、やっと社会の皆様に認知されてきたように思います。

 こういった事実を踏まえてでしょうか、最近になって、自動車や電機・電子といった産業界でも、塩ビの本当の良さを認め、塩ビの特長を生かした用途に、塩ビをより活用して頂ける場面が、世界的に増えてきました。日本でも、中央行政部門始め、東京都など地方行政部門、エコマークなど公的機関等で、期せずして塩ビの見直しが進められ、私たちにとって喜ばしい動きが続いているのは、このメルマガを読んで頂いている皆様がご存知のとおりです。

 しかし、まだまだ塩ビに対する「偏見」はなくなっていない、と私たちは考えています。とりわけ、一般市民、一般消費者の間では、正確な事実認識のないままに、むかし流された「風評」の記憶に基づいて、「塩ビって良くないらしい」、「塩ビはなるべく使いたくない」という、「思い込み」が根強く残っているようです。

 私たちは、まだまだ残っている「偏見」をなくし、塩ビをよりよく理解頂くために、いろいろな活動を続けています。そういった活動の一つとして、この度、市民や消費者の方々にも気楽に読んで頂ける、塩ビについての解説書を発行しました。「環境最前線 新たな発見 生活と塩ビ」と題されたこの解説書は、B5版で48ページ。私たち塩ビ工業・環境協会と、仲間である塩化ビニル環境対策協議会の共同発行です。
 第1章:塩ビのない生活は考えられない?
 第2章:「塩ビ」ってどんなもの?身の回りではどこに?
 第3章:塩ビ製品は安心して使えます
 第4章:塩ビの特長を生かして循環型社会を!
 という構成で、絵や写真やグラフやコラムがいっぱい、肩の凝らない読み物になっています。

 私たちはこの小冊子を、塩ビの関係者に広く配布して、理解願うとともに、それぞれの手を通じて市民や消費者の皆様にも配って説明して貰おうと思っています。私たちが関与する展示会や講演会などでもお配りする予定です。さらにいろいろな活用方法も考えています。
 このメルマガをお読みになって、この小冊子をご希望の向きは、お申し出下さい。ご相談に応じます。

■随想

−日本の伝統文化をものづくりに−

前塩化ビニリデン衛生協議会専務理事 中村忠
 昨年秋、友人と安達太良へ旅行に行った帰りの車の中で、最近息子が結婚したという女性が、「息子の家へ行ったら、奥さんがお茶を出す時に、茶碗を上から掴んで私の前へどんと置くのよ。茶托とは言わないけれど、茶碗の横を持って表をこちらへ向けて丁寧に出すものじゃない。親はどんなしつけをしたのかしら。私の娘にはその辺はきちんと仕込んでおいたわ。」と言い出した。それを聞いてある男性が、「そんなの海外では当たり前だよ。そんなこと言っていたら日本は世界に取り残されるよ。」と切り返した。
 そこで私は、「丁寧なお茶の出し方は相手に対する思いやりの表れで、単なる時代遅れの形式ではないと思うよ。グローバル化とやらで、何でも欧米流のやり方が好いような風潮があるけど、思いやりというのは世界のどこにでも通ずる価値観だと思う。もしそれが欠けているとしたら、日本からその重要性を指摘すべきではないか。欧米の真似ばかりするより、その方がよほど国際的な日本の評価を高められると思うよ。」という意見を述べた。くだんのおばさんも、「そうよそうよ。」と賛成してくれた。

 これに関連して最近の話題を4つほど述べてみたい。偶然かも知れないが、かなりよく似た議論がそれぞれ展開されていて、あらためて驚かされる。

 国連大学の安井副学長が、6月24日のホームページ、「CSRとは何か」という記事の中で、次のような意見を述べている。
http://www.yasuienv.net/CSR2005.htm
 この日の主題は岡本亨二著「CSR入門」の紹介であるが、最後の部分で、安井先生が個人的に考えているCSR(企業の社会的責任)の定義とは、「アングロサクソン文明からの離脱」あるいは「日本文明への回帰」であると述べている。日本のビジネス界では、「米国の動向が正しい」という文明論が支配的であるが、これは地球レベルでの持続可能性を考えたものではない。アングロサクソン型が競争力があるというのは現在だけの話で、こと製造業については「日本流の心配り型」で競争力が出せる。自信を持って非アングロサクソン型の「日本型ビジネス」をやってほしい、というのである。同感である。

 経済産業省のホームページ7月4日版に、「新日本様式(Japanesque*Modern)の確立に向けて」という資料が公表された。
http://www.meti.go.jp/press/20050704004/050704neoj.pdf
 これは、「ネオ・ジャパネスク(新日本様式)・ブランド推進懇談会」の報告書であるが、「日本の伝統文化をもとに、今日的なデザインや機能を取り入れて、現代の生活にふさわしいように再提言を行い、より新しい日本ブランドを形成する」のが狙いである。我が国の製品は、中国や韓国等アジア諸国の台頭により、品質面の優位性だけでは差別化が困難になってきており、付加価値の源泉が、「量から質」、さらに「質から品位」へと移行する中、日本自体のブランド価値の確立が求められている、という基本認識である。対象はものやサービスを提供する産業界のみならず、文化、メディアをも含む幅広いものである。
 さすがに政府の事務局がまとめただけあって、よく整理されており、示唆に富んだものになっている。

 三番目は元東レ経営研究所研究部長で、私の友人の飯田汎君の提唱する「日本人の心(+Jマインド)」である。これは「経営センサー」2005.1・2号に掲載された「新産業創造に向けた技術の課題」に述べられている。日本人の心(+Jマインド)の中でも、「自然従順・共生」、「無・小を大切にする美意識」、「求道精神」、「受容・利他の精神」を中核と捉えている。そして、政府が策定した新産業創造戦略に挙げられた7課題や国際競争力ランキングに出てくる課題に、「+Jマインド」が深く関わっていると指摘している。
 飯田君はかつて東大工学部で技術論の講義をし、現在もNHKの放送大学で講師を務めているが、それらの原稿を元に産業技術論の本をまとめ、近く丸善から出版される予定である。そのまとめの部分でも「+Jマインド」について触れているとのことである。出版されたらできるだけ多くの人に読んでほしいものである。

 最後に、呉善花(O Son Fa)著「日本オリジナルへの旅 伝統技芸の現場を訪ねて」(日本教文社 平成17年1月25日発行)を紹介したい。韓国人である著者が日本の伝統的な文化の良さを強調していることに興味を引かれて買い求めたものである。
 まず、「はじめに——縄文時代に文化的な統一を形成していた日本」の中で、「日本の文化は根本のところでルーツの不明性を抱えている。・・・なぜかというと、日本文化の起源をどんどん尋ねていくと縄文時代までつながる。・・・1万数千年前に始まる縄文時代において、日本列島の全域にわたって同質の文化が形成されていた。」と記述されている。今伝えられている日本の伝統技芸・技術は、「縄文時代の自然生活の下での・・・さまざまな技術をベースとして・・・より高度なものへと花開いていった」といえる。このような認識の上で、講演や取材の旅の折々に著者は伝統技芸・技術を伝える職人さんを訪ねて、この本をまとめ上げたものであるという。
 第1章「伝統と未来をつなぐ自然の技法」では、日本刀の備前長船、萩焼、和菓子、空手、いけばな、着物などを取り上げ、日本文化の特徴を浮かび上がらせている。そしてトヨタの人の話として、「日本の企業は伝統的に、仕事の力量はもちろん、人間性、社交性、部下を育てる力のあることなどを全部ふまえた上での総合的な力のことを能力と見なしてきました。それが、最近は成果だけを能力と勘違いしている傾向が強いのが残念でなりません。」という意見が紹介されており、興味深い。
 第2章「自然と文化が溶け合う風景」では、法隆寺の建築技術、唐津焼、古伊万里、有田、温泉宿などが紹介されている。
 やや各論の羅列といった印象がないでもないが、これだけ並べられると日本の伝統技術、伝統文化もなかなか捨てたものではないと改めて見直した次第である。

 最近、ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが、「もったいない」運動を推進しているが、日本人の私としては心境やや複雑である。本来なら我々こそが、このような価値観を世界に向けて発信すべきではないだろうか。何事につけても控えめというのも日本人の美点ではあるが、マータイさんに負けないよう、「もったいない」以外の日本の文化・価値観を、我々自身で広く世界に広めたいものである。従来の、安くて品質のよい製品の供給というだけでなく、このようなソフト面の提案をすることは、国際的な日本の評価に厚みを加えるとともに、信頼と尊敬にもつながるように思われる。また、そうすることが、国際社会の中で日本の果たす責任ではないかと考えるものである。

お知らせ
【NEW】 第3回住まいと環境・エネルギーセミナーのご案内

環境大臣と北野先生を迎えてセミナーを開催致します。
「ライフスタイルの転換で、快適なエコ生活を」

日時 2005年10月12日(水)

会場 18:00 開演 18:20 終演 20:45

会場 浜離宮朝日小ホール
入場無料

主催 (財)地球・人間環境フォーラム
塩ビ工業・環境協会

後援予定 環境省

プログラム
<第1部> 主賓挨拶/環境大臣
基調講演/北野 大(淑徳大学教授)
<第2部> パネルディスカッション
「快適に暮らしながらエコができる
     −健康で環境的な住まいとは−」
コーディネーター 北野大(淑徳大学教授)
パネリスト 小林光(環境省・地球環境局長)
坂本雄三(東京大学教授)
大滝典子(くらしのアドバイザー)
酒井ゆきえ(フリーアナウンサー)

上記セミナーは事前登録が必要です。
参加ご希望の方は、9月26日(月)までに、下記アドレスの登録フォームからお申込み下さい。(携帯からも可)
(応募者多数の場合は抽選とさせて戴きます。当選者には招待状を送付致します。)

http://www.adad.jp/i/p/29468


日経住まいのリフォーム博2005(第1回)出展案内
開催日時 2005年9月15日(木)〜18日(日)

10:00〜17:00(最終日のみ16:00まで)

開催場所 東京ビッグサイト(西1・2ホール)
入場無料

主  催  日本経済新聞社

樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展致します。
9月15日(木)14:00〜14:20 会場ステージにて樹脂サッシ普及促進委員会で、内窓樹脂サッシの取付実演を致します(無料)。是非、ご来場下さい。


これからの快適な住まい作りセミナーIn長野のご案内
 樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、樹脂サイディングの紹介を行うとともに、樹脂サイディングを使用した住宅の見学会も行う予定です。

これからの快適な住まい作りセミナー・長野セミナー
−無暖房住宅へ限りなく挑戦−

日時 2005年9月21日(水)

13:15〜17:00 (受付開始 12:30)

場所 メルパルク長野 3階会議室 「飛翔」

主催 信州大学工学部
エネルギー自立型環境調和住宅研究会

参加申込み締め切り 9月14日(水)
(定員70名になり次第、締切らせて頂きます。)
参加希望の方は下記までお問合わせ下さい
信州大学工学部 社会開発工学科
     建築コース 山下研究室
電話:026(269)5360

編集後記

 最近、たまたまテレビで歌謡番組を見ていると、家人がやけに真剣に歌手に合わせて歌う。驚いて「どうした?」と聞いたら、「だって読書会の後、いつもみんなでカラオケへ行くんですもの」との答え。その読書会なるもの、10数人の集まりらしいが平均年齢は70歳を上回るとかで、家人は最若手らしい。どうも最近のお年寄りは元気いっぱいの様です。
 歌といえばH2も、若かりし頃は嫌いでなく、大学生の頃は男声合唱団のメンバーだった程。もっとも、歌やってると忙しすぎて勉強ができない(ウソつけ!)と称して、半年で退団してしまいましたが・・・。
 当時は合唱が流行りで、頂点にはダークダックスとかデュークエイセスとか、プロまでいました。今はあんまり盛んでなくなったようですが、コーラスというのは全員の気が合わないとダメで、他人との協調、仲間で力を合わせて物事を達成するための修練、のためには貴重なものがあると思うのですが、どんなものでしょうか。
 若い人たちの元気で上手なコーラスを、もっとテレビなどでも聞きたいものです。

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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