NO.051
発行年月日:2005/10/13

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トピックス
◇飛行機なら新幹線の6倍、自動車なら10倍の「ウォーム(Wm)」
  「駅すぱあと」にCO排出量探索が登場

随想
書評 マイクル・クライトン『恐怖の存在』(ハヤカワ書房刊)
信越化学工業(株) 宮島正紀
お知らせ
編集後記

トピックス

◇飛行機なら新幹線の6倍、自動車なら10倍の「ウォーム(Wm)」

  「駅すぱあと」にCO排出量探索が登場

 世はIT全盛時代で、何をするにもパソコンを上手に利用しないと遅れをとること甚だしい毎日です。ことわざや漢字や人の名前をど忘れしたり、訪問先への行き方が分からなかったり、物の値段の常識を調べようと思ったり、殆どすべてのことについて、パソコンが役に立つのです。

 さて、10月に入って間もないある日のこと、オフィスからかなり離れた隣県の某所へ出向くことになり、地下鉄で行くのか電車が良いか、どこで乗り換えるべきか、迷うことがありました。
 そこで例によってパソコン利用です。Yahooの路線情報を使う手もありますが、たまたま私のパソコンには「駅すぱあと」という名前の、それ専用のソフトが組み込まれていて、常時最新版にリフレッシュされていますので、これを開いて路線探索したところ、出てきた画面を見て驚きました。

 A地発B地着の乗り換え経路が、例によって6ケースほど出てくるのですが、「所要時間46分」、「片道金額740円」という表示に加えて、なんと「二酸化炭素総排出量0.46kg」という表示があるではありませんか。さらにその下段にかっこ書きで(自家用乗用車利用時4.4kg)とも書かれていました。

 なるほど、地球温暖化防止の意識向上のための対応か、と感心することしきり。興味を引かれて、この「駅すぱあと」の作成者である、(株)ヴァル研究所のHPを覗いてみました。すると、予想通り、「昨今の温室効果ガス削減を目指した諸活動が、官民ともにさまざまな形で行われている」とし、「その活動の中では、自動車の利用を控え鉄道などの公共交通機関の利用促進も行われており、ヴァル研究所ではその活動の手助けとなるため、今までの『時間』、『運賃』に続く経路探索条件として『CO排出量順』の機能を追加し、交通機関の利用者に対して経路選択の幅を広げることとしました。」と記されていました。

 このヴァル研究所の試みは、時宜を得たいいアイデアだと思いますが、それにつけても第二の驚きは、電車だとCO排出は0.46kgなのに自動車だと4.4kgも出す、ということ。
 この例のように、温室効果ガス排出を身近に感じるため、国連大学の安井至副学長が、「1kgのCOを排出する行為を1ウォーム(Wm)と名づけ、これを手がかりに考えてはどうか」という提案をしています。これもまた、なかなか素敵なアイデアだと思います。

品川−大阪間 CO2排出量比較
約9.3kg
約6倍 約10倍
約59.4kg 約95.0kg
 ところでこのヴァル研究所のHPには、参考として、品川から大阪まで旅行した場合のCO排出量比較が載っていました。それによりますと、「新幹線利用で約9.3kg」、「航空機利用で約59.4kg」、「乗用車利用で約95.0kg」だそうです。飛行機は新幹線の約6倍、乗用車だとなんと約10倍の「ウォーム」になるという訳です。

 飛行機の便利さが大きいことは言うまでもありませんし、自動車も私たちの生活に多大な利便をもたらしてくれています。しかし、こと温室効果ガス排出という点に絞れば、飛行機は問題がありますし、自動車に至ってはもっと問題だと言う訳です。
 だからといって自動車や飛行機を非難するのは筋違いも甚だしいというものです。特定の観点からだけ考えて是非を問うのは誠に愚かなことであることを、この例は示しているのではないでしょうか。

 環境問題から塩ビを毛嫌いされる向きにも、この例を噛みしめていただきたいものです。

■随想

書評 マイクル・クライトン『恐怖の存在』(ハヤカワ書房刊)

信越化学工業(株) 宮島正紀
 「環境、平和、反大企業」の3点セットは社会活動家やマスコミにとって正義のシンボルのようです。このシンボルに反する物語はマスコミでは取り上げられません。
 この小説は、地球温暖化防止を標榜する環境保護団体NERF(架空の団体)が、温暖化防止運動を盛り上げるため、意図的に異常気象を作り出そうとするが、これに気付いた主人公が環境テロを阻止しようとするアクション小説です。環境団体=善、地球温暖化防止=善、という常識を覆す、とんでもない小説になります。

 世界で最大の炭酸ガス排出国である米国が京都議定書に同意しなかったことはあまりに身勝手であるとの批判を浴びました。しかし米国は、現在の豊かな生活(確かに、石油がぶ飲みの経済ではあります)を守ろうとして議定書に反対したわけではなく、地球温暖化と炭酸ガス排出は科学的に証明されないものであるという考え方からでした。ですから、人気作家クライトンによるこの小説も、米国だから上梓され、高い評価を受けたのでしょう。小説の形式を取っていますが、著者はこの本の中で、地球温暖化は一つの仮説であり、専門家総てが温暖化の事実を認めるものではないことを分かりやすく説明しています。例えばニューヨーク・マンハッタンで気温は上がっているが、ニューヨークの田舎では気温上昇が見られないこと、地球の氷の90%は南極大陸にあるが、氷が解けている事実は無いこと、など。 自然現象をなんでも温暖化に関係付けて説明しようとする最近の風潮に批判的です。この前の2度の大きなハリケーンにより、米国でもハリケーンと温暖化とを関連付けるようになってきたことで、この分野の研究も一層進むものと期待しております。温暖化があると言わないと学者への研究費が出ない、という指摘は日本でも同じでしょうね。

 このようなストーリーですが、多くの示唆を含んでいます。一見もっともらしく見えるものでも、何と何を比較して言っているのかという相対的な枠組みの中で考えないと結果が間違ってしまうことがあります。例えば、DDTの禁止により、マラリアによる死亡者が世界で年間200万人います。この場合は(目的):地球の環境保全と種の保存(否定される有益性):年間200万人の命です。本当にどちらが大事でしょうか?

 更に著者は、環境団体の収支の不明確性を指摘しています。環境団体は広く基金を募っていますが、その資金がどのように使われたか収支報告もなされていません。環境団体は寄付を増やそうとして、根拠あること無いことを派手に打ち上げます。

 過去 水銀、カドミウム、工場煤煙など、私たちの生命・健康を脅かす「本当の環境問題」が生じましたが、原因を究明し正しい対策をとることで一つ一つ解決してきました。これら真の環境問題と、科学的根拠の薄弱な「気分的環境問題」とは異なるのであろうと思っています。この本を読むと、「気分的環境問題」は、豊かな生活を過ごしていることへの豊かな人の罪の意識のように思えてなりません。大豪邸の冷房をガンガン効かせ、超大型車を何台も乗り回しながら、温暖化防止を声高に主張する大金持ちである自称環境保護派を、著者は冷ややかな目で見ています。

お知らせ
【NEW】 島根県環境フェスティバルInはまだ 出展報告

 樹脂サッシ普及促進委員会では、さる10月2日(日)、島根県浜田市で開催された「島根県環境フェスティバルInはまだ」に出展しました。
 浜田市と言えば明治維新の頃、第二次長州征伐時の熾烈な戦い、浜田城の陥落(1866年)で有名ですが、本州南端、日本海に面した静かな城下町です。
 このフェスティバルは、子供たちを中心としたイベントを主体として構成され、分かりやすく、楽しみながらの体験コーナーや、環境に関するクイズコーナーなどがあり、子供たちに広く環境問題に触れてもらうというのが狙いのようでした。
 記念講演では、生活評論家の松田美夜子さんの、ごみをごみにしない生活観のお話がありました。
 樹脂サッシ普及促進委員会では、高・断熱窓を体感できる試験BOXをはじめ、塩ビサッシ窓のカットサンプル、小池環境大臣に出席願ったセミナーのパネルなどを展示しました。
 展示コーナーには多数の親子連れが立ち寄られました。その子供たちの声で多かったのは、「こんな良い窓ははじめて見た!」、「塩ビサッシは燃えないの?」、「ほんとに永く持つの?」、「何故日本で使われないの?」、などなど。いろいろ勉強させられました。
 主催者の公式発表では、来場者3,000人ということで、地方のイベントとしては大盛況でした。
(樹脂サッシ普及促進委員会 広報担当 齋藤彰彦)


【NEW】 ジャパンホーム&ビルディングショー2005 出展案内

日 時 2005年11月8日(火)〜11日(金)
10:00〜17:00
場 所 東京ビッグサイト(東2・3・6ホール)
主 催 社団法人日本能率協会
樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会にて出展致します。


勝ち組み工務店育成セミナー In鹿児島のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、樹脂サイディングの紹介を行うとともに、樹脂サイディングを使用した住宅の見学会も行う予定です。

日 時 2005年10月21日(金)
13:00〜17:30 (受付開始 12:30)
場 所 アイムホール
主 催 住まいづくり研究会

【鹿児島県建築士会CPD制度認定講習(3単位)】

参加費 無料
参加申込み締切り 10月18日(火)

(定員70名になり次第、締切らせて頂きます。)


参加希望の方は下記までお問合わせ下さい
住まいづくり研究会
電 話:092(871)2409


第16回 信濃の国 楽市楽座のご案内

日 時 2005年10月22日(土)〜23日(日)
10:00〜16:00
場 所 松本平広域公園・信州スカイパーク「やまびこドーム」
主 催 2005信濃の国楽市楽座実行委員会
樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展致します。
10月22日(土)14:00〜15:55に信越放送で放送予定の生中継番組内で当展示ブースへのインタビュー取材があり、出展内容のPRを行う予定です。

編集後記

 先日、テニスの国際試合をしました。なんて大げさですが、実は会議で来日したフランス人がラケット持参で来ているのでお付き合いしようよ、というので出かけたのです。

 楽しい一時を過ごした後、例によって場所を変えて懇談となりましたが、そのときの話。
 テニスのスコアで15−0(フィフティーン−ラブ)というのはフランス語でなんというの? と聞いたら、「カーン−ゼホ(quinze−zero)」だって。ふーん。じゃあ、40−30(フォーティ−サーティ)は? 「キャホン−トロン(quarante−trente)」。それじゃあ、デュースは? 「エガリテ(egalite)」。なるほど、なるほど。

 なんて会話をしていて、ふと気がついたこと。フランス人はフランス語でテニスをしているらしい。われわれ日本人は、英語でやってるのに。その話をしたら、今度はフランス人が驚いた。「何だ、お前たち、日本人のくせに英語でやってんのかよ。なんでだよ」、というわけです。

 なんでか、の答えはいろいろ考えられ、いささか奥深いものもありますが、しかしまあ、40−30の時に「よんじゅう−さんじゅう!」と叫ぶのは、ちょっと恥ずかしいですもんね。

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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