NEW VEC MAGAZINE Vol.10
発行年月日:2003/10/30



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コラム
「塩ビを愛するものから塩ビユーザーとメーカーへ」
新居 宏美
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コラム
「塩ビを愛するものから塩ビユーザーとメーカーへ」
新居 宏美
{塩ビ忌避の発端}
日本では、1990年前後にダイオキシン問題に端を発し、ダイオキシンと塩ビが関連付けられ塩ビ忌避の動きが出てきた。経時的には、まず欧州で、世界的に有名な「環境保護団体」が塩素撲滅を唱えだし、塩素の最多用途である塩ビに矛先を向け、この動きが日本にも波及してきた。更に、そのルーツをたどれば、だれかがこの「環境保護団体」に塩ビ忌避を仕掛けさせた、といううわさもある。ダイオキシン問題と塩ビの関連付けはこのようにもともと不透明なものであったが、ダイオキシンも塩ビも塩素を含んでいることから、この関連付けには説得力があり、あたかも塩ビを無くすればダイオキシン問題は解決するかのように世の中に流布された。

 一方において、1990年代半ば頃、軟質塩ビを作る時に配合されるフタル酸エステル類に内分泌撹乱(環境ホルモン)作用がある、という問題提起がなされた。その後、「奪われし未来」の日本語版が発刊され、環境ホルモン問題が日本中で話題になった。このような状況下、環境省は1998年に「環境ホルモン戦略計画SPEED ’98」において内分泌撹乱作用を有すると疑われる物質の一つにフタル酸エステル類をリストアップした。環境省も「疑われる」と表現しているように、フタル酸エステル類に環境ホルモン性があるかどうか、科学的に証明されている状況ではなかったのであるが、このことが新聞で活字になると、「環境ホルモン性がある」という認識に変わってしまう。
 以上の経緯で、塩ビ忌避の2枚看板がそろうことになった。

{2枚看板の状況変化}
2枚看板を題材に、テレビや新聞等マスコミが一般の人の危機感をあおり、一部の学者さんが我が意を得たりとばかりに研究に殺到した。
このような状況下、行政も動かざるを得なくなり、ダイオキシンに関してはほとんどの省庁が参加しダイオキシン類対策関係省庁会議を編成し対応にあたった。その結果、ダイオキシン問題については「焼却物の問題ではなく、焼却条件の問題である。」ということが認知された。それを受け、ダイオキシン類対策特別措置法が制定され、焼却炉の技術基準を定めると共に焼却炉から排出される排ガス中のダイオキシン濃度規制値が設定された。2002年12月に本法が完全施行され今後の焼却に伴うダイオキシン発生の懸念は無くなったといえる。

環境ホルモン問題について環境省は、「疑わしい」という前提でリストアップした物質について、2000年より順次リスク評価を実施している。2003年6月にフタル酸エステル類の評価結果が発表され「これらには明らかな内分泌撹乱作用はない」ことが判明した。

このように塩ビ忌避の2枚看板は相次いで覆された。これらの事実(真実)が浸透することにより、塩ビ本来の良さ(加工性、耐久性、意匠性、難燃性など)が再認識され、塩ビ復権に繋がると確信している。

{塩ビ業界の対応}
2枚看板の出現により、その不当性を払拭するべく塩ビ業界は、正しい知識を普及させることと塩ビのリサイクル推進に相当の勢力を注いできた。塩ビ業界の広報活動が{2枚看板の状況変化}にもかなり貢献したものと思う。リサイクル推進活動は、世の趨勢からして当然取り組まなければならない命題ではあるが、2枚看板の出現により結果的に、他のプラスチック業界に先駆けて塩ビ業界が積極的取り組みを開始した。これらの活動がまさに「禍を転じて福となし」つつある。

{塩ビの復権}
これからの汎用樹脂製品に求められる必須の性能は安全性と環境適合性である。塩ビについては前述の通りダイオキシン問題と環境ホルモン問題は解決された、と考えてよい。一方、塩ビに限らず全ての合成樹脂にいえることであるが、合成樹脂を製品に加工する際に加工性を良くするため、あるいは製品の性能向上のために種々の添加剤を合成樹脂に配合する。この添加剤が時々安全性の観点で問題になることがある。これらの問題点を先取りし、より安全な添加剤に改良していくことが重要である。比較的多くの添加剤を使用している塩ビ業界としては「塩ビ復権」のためにもこのことは重要な課題である。

環境適合性について、製品製造段階とリサイクル段階に分けて考えると、前者についてはLCA評価(ある種の製品について、その製品の原料調達から始まり、素材生産、製品への加工、製品の使用、製品の廃棄・リサイクル、という全ての工程でのエネルギー消費量とか環境負荷物質の排出量を評価する手法)において塩ビの優位性が認められている。リサイクル段階では、マテリアルリサイクル(物から物へのリサイクル)性は塩ビの優位性が実証されている。ただ、マテリアルリサイクルには限界があり、リサイクル量を増やすためにはフィードストックリサイクル(化学的手法で原料に戻すリサイクル)あるいはサーマルリサイクル(製品の持っている熱エネルギーを回収するリサイクル)の導入が必要である。塩ビの場合は塩素を含んでいるためかかるリサイクル法を採用した場合、塩化水素が副生する。 塩ビのリサイクルを進めるためには、この副生塩化水素の有効利用法確立が課題となる。

塩ビは本質的に環境負荷の少ない、加工性、意匠性、耐久性、難燃性、更にはコストパーフォーマンスに優れた樹脂である。ダイオキシン問題、環境ホルモン問題が沈静化し、塩ビ本来の良さが再認識され近い将来塩ビが復権すると確信している。

VEC(塩ビ工業・環境協会:本ホームページの発行団体)、JPEC(塩化ビニル環境対策協議会:VEC及び塩ビ樹脂関連団体で構成) が協力し、前記の二つの課題を克服すれば、塩ビユーザーの理解が深まり、塩ビ復権は更に確かなものになるであろう。
JPECホームページ http://www.pvc.or.jp

生活バンク・FPの部屋

ファイナンシャルプランナ−(略FP)、長谷部和子
『金融商品の選び方』
今回は、金融商品についてです。
昨今様々な金融商品が売られていますが、皆さんはどのように商品を選んでいますか?
良く判らないけど人から勧められた、又判らないから買わない等それぞれですが、預貯金や年金だけで将来も安心とはいえない現在自分に合った金融商品を選んで、ライフスタイルを豊かにするという事が重要になって来ました。
つねに自分や家族、世の中も変化しているということを考慮する。
運用途中で、経済環境の変化や、税制改正又は商品それ自体が無くなることもあります。
そこで、自分に合った金融商品は何かを勘案し、なおかつ金融商品の性格内容を把握して目的に応じて使い分ける事が大切です。

金融商品の3つの基準
どのような基準か?
主なチェックポイントは?
安全性 預けたお金が目減りするか? 商品から生じる利益が変動
予想外の損の可能性はない? 商品自体の価格価値の変動
債権・株式等発行体の経営
扱う金融機関の健全性
流動性 どの位自由に現金化できる? 満期・据置期間
中途解約ができる
換金手続きがスム−ズ
収益性 どの位利回りや値上がり益? 利回りや値上り益の見込み

注意すべき事項として、元本保証と元本確保の違いを把握する。
元本保証・運用機関すべてにわたり元本割れしないことを保証。
元本確保・満期時に限って最低限元本を払い戻す。
(元本確保型商品は、中途解約した場合元本割れする場合もある)
読者便り
Q: おもちゃの素材が【塩化ビニル樹脂】で出来たボールなのですが、口に入れても大丈夫なのでしょうか?
又、【非フタル酸系可塑剤使用】とはどのようなものなのでしょうか?

A:

全く心配はありません。
塩化ビニル樹脂そのものに毒性はありませんし、舐めて溶けるようなものではありません。ただし、軟らかいおもちゃを作るために使われる可塑剤というものがほんの僅か、だ液に溶けることが知られています。その可塑剤の中でもフタル酸ジ2−エチルヘキシルとフタル酸ジイソノニルは、オスのラットなどのげっ歯類に対してある種の有害影響(精巣毒性や生殖毒性)があるとの理由で、一部のおもちゃへの使用が今年の8月から制限されています。(食品衛生法)
それは、日本の赤ちゃんの1日あたりの平均的なおしゃぶり時間は約75分間という調査結果がありますが、その時微量に溶け出す可塑剤の量が人が一生涯にわたり毎日取り続けても安全だといわれている量(TDI値)を超えることがあり得ることへの配慮によるものです。
今年8月以降は、前述のフタル酸ジ2−エチルヘキシルとフタル酸ジイソノニルを使った塩化ビニル樹脂製の歯固め、おしゃぶりや、フタル酸ジ2−エチルヘキシルを使った塩化ビニル樹脂製のボールなどのおもちゃ(6歳未満を対象とした一部のもの)は製造されなくなりましたので、市場にはありません。またそれ以前に買い求めたボールだとしても、口に入れたり、舐めた程度での心配は全くの杞憂です。
むしろ、赤ちゃんが飲み込んでしまったり、ボールに付着した物質からの危険性の方がはるかに怖いことをもう一度思い起こしていただきたいと存じます。

なお、非フタル酸系可塑剤として、アジピン酸エステル系やリン酸エステル系、トリメリット酸エステル系があります。これらが使用されているので、食品衛生法に準拠した安全な玩具であるという意味の表示と思われます。

☆読者便りは、VECホームページのお問い合わせから構成されています。
 ご意見・ご質問をお待ちしております。

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11月10日(月)より下記住所に移転いたします。
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TEL 03-3297-5601 FAX 03-3297-5783
書籍発行のお知らせ
「PVC Fact Book」
『塩ビ樹脂とは』『環境問題と現状』『環境への取り組み』
『添加剤の安全性』『有用性』『歴史とデータ』として書籍を発行致しました。(A4版 全108ページ)
セミナー
1.慶応大学 公開セミナー
日 時: 2003年11月29日(土)
13:30〜16:30
テーマ: 環境経済の立場から見たプラスチック
講師: 慶應義塾大学・経済学部・学部長 細田衛士教授
テーマ: ヨコハマはG30−横浜市が取り組む減量・リサイクル
講師: 横浜市環境事業局・ゴミゼロ推進室部長 植田孝一
詳細は、以下のアドレスになります。
http://www.temusu.com/keio/
2.住まいと環境・エネルギー セミナー
「北野 大と考える住まいと環境・エネルギーセミナー」
日 時 : 2003年11月10日(月)
14:00〜16:30
参加費 : 無料(先着順)
場 所 : 銀座ガスホール
東京都中央区銀座7−9−15
応募方法 : お名前、会社名、部署・お役職、住所、電話・FAX
参加者数を明記の上FAXにてお申込み下さい。
展示会
「びわ湖環境ビジネスメッセ2003」
日 時 : 2003年11月5日(水)〜7日(金)
10:00〜17:00
場 所 : 長浜ドーム(JR北陸線 田村駅から徒歩約5分)
VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●プラスチック・サイディング http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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