NO.120
発行年月日:2007/03/15

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トピックス1
◇韓国の塩ビ工業会との交流

トピックス2
◇新しい塩ビリサイクル −“ビニループ”の新たな進展に期待−

随想
カーボンニュートラル
株式会社テルム 環境リサイクル本部 早田輝信
お知らせ
【NEW】NEDOの補助金事業が公募開始されました。
時代にあった高性能・高耐久住宅は?
     =ハイクオリティな家づくりセミナーのご案内
PVC Newsが3/19に発行されます。

編集後記

トピックス1
◇韓国の塩ビ工業会との交流

パイプのリサイクル施設で
説明を受けている見学者
電線リサイクル施設にて
JFE環境のフィードストックリサイクル設備全景
 お隣韓国の塩ビ樹脂の生産量は、約130万トン、うち内需が約90万トン、輸出が約40万トンです。韓国に、塩ビと環境を考える産業界団体(Korea Vinyl Environmental Council, KOVEC)が誕生したのは、昨年の3月です。我々VECは、塩ビ樹脂と塩ビモノマーの製造会社の集まりですが、韓国のKOVECは、塩ビ樹脂メーカー2社を含め塩ビの加工メーカーなど30社が集まって組織されています。活動方針は、ユーザー業界・一般市民・行政・学識経験者とのコミュニケーションと塩ビに関する正しい情報の発信などを通して、塩ビ業界の健全なる発展を目指すものです。塩ビ工業・環境協会(VEC)は、韓国の塩ビメーカーと積極的にコミュニケーションを図ってきました。KOVEC設立に際しても、運営方法や活動方法について支援致しました。現在KOVECはVECと共にアジア・太平洋地域の塩ビ・環境の産業界団体であるAPVNの主要メンバーとして活動しています。

 先週KOVECは、日本の塩ビリサイクル事情の視察に訪れました。韓国でも、「資源節約及び再利用促進関連法」(1994年施行)の下で、廃棄物を減らし資源の有効利用を促進するため、廃棄物のリサイクルに取り組んでいます。最近の話題は、産業活動から出る廃棄物(韓国では事業場廃棄物と呼ぶ)、特に建材のリサイクルです。韓国も日本と同じように建材用途に使われる塩ビが多いことから、日本の塩ビのリサイクル技術に興味をもっています。

 今回案内したリサイクル施設は、塩ビパイプのリサイクルを行っている大水産業(株)様と電線ナゲットのウスイ金属(株)様、そしてパイプ、壁紙から高炉還元剤原料として回収するJFE環境(株)様のフィードストックリサイクル施設です。見学に当たっては、JPECの会員団体やリサイクル業者に多大なる協力を賜りました。また、各施設では、お忙しい中、リサイクル業を始めた経緯から処理の流れや技術に至るまで詳細に説明をいただき、見学したKOVECは、今後韓国においてリサイクルを考え実施していく上で大変参考になったと満足しておりました。

トピックス2
◇新しい塩ビリサイクル −“ビニループ”の新たな進展に期待−

コベルコ・ビニループ・イースト千葉工場
 神戸製鋼所グループのコベルコ・ビニループ・イースト社による新たな塩ビ製品のリサイクル“ビニループ”事業が昨年6月スタートして9ヶ月余りが経ちます。特定の溶媒の選択溶解性を活用した新しいタイプのマテリアルリサイクルで、他の樹脂や素材から塩ビ樹脂と配合剤をコンパウンドの形で分離回収して、再度塩ビ製品の原料として使われます。物理的な手法で分離するこれまでのマテリアルリサイクルに比べ、高品質のコンパウンドが得られるのが大きな特長です。さらに従来のリサイクルが個別製品のマテリアルリサイクルであるのに対し、この手法は多くの塩ビ製品に適用可能な汎用性の高いマテリアルリサイクルです。

 昨年4月から5月にかけてプラントの試運転を済ませた後、6月に農業用ビニルフィルム(以下農ビ)を対象にリサイクル事業が開始されました。その後、段階的にプラントの稼働率をあげてゆき、12月までの半年間で安定運転が確立されました。今年に入ってからは、農ビから壁紙、硬質塩ビ管・継手の試験処理を経て電線被覆材へと新たな塩ビ製品を対象とした運転に入りつつあるとのこと。一方、欧州では同じビニループプラント(イタリア・フェラーラ市)で来年始めには、これまでの電線被覆材の処理に加えて新たにターポリン(塩ビを被覆した繊維製品でテントなどの屋根材)の処理計画がスタートする予定ときいています。

 農ビ、壁紙、電線被覆材、ターポリンと多くの塩ビ製品に展開されつつあるこの動きが塩ビ製品のリサイクルにきっと新しい地平を拓いてくれるものと、私たち塩ビ業界は熱い期待をもって見守っています。

コベルコ・ビニループ・イースト社の関連記事はこちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/076/index.html#topics

随想
カーボンニュートラル
株式会社テルム 環境リサイクル本部 早田輝信

 京都議定書遵守の圧力が少しづつ高まっています。なんで日本だけ守らないといけないのという感覚から、これを克服して事業化し、自動車触媒の夢をもう一度という声も聞こえてきます。ただ、とりあえず日本の目標を達成するにも、小手先で何かできるレベルを越えています。どうせ抜本的なら、社会システムをもう一度見直してみるのも面白そうです。そのモデルとして江戸時代があります。太陽の恵みだけで、超循環型社会が300年近く続いたのですから、カーボンニュートラルそのものです。過去の大文明が森消失とともに滅んだことを考えれば、3000万人が太陽の恵みで循環型社会を持続させていたのは、歴史的一大事といえます。

 江戸時代で循環していた大物は稲藁と屎尿です。稲藁は屋根や壁の建材、タタミ、蓑、草履などの日用品などに何度もマテリアルリサイクルされながら最後に灰となり肥料として使われました。屎尿も肥料として全量循環しました。どちらも有価有償です。このため、江戸にはほとんどゴミがなく世界一大きくて美しい町だったようです。しかし、現在ではどちらも酸化無害化して捨てています。稲藁は焼却されていますが、一廃か産廃かの論争もあり処理は押し付け合いのようです。屎尿は処理場で生物処理されていますが、これは単なる生分解であり、江戸の目でみればとても「もったいない」話です。肥料として使えるものを無駄に酸化しています。

 まず循環型社会はこの2つの循環にかかっています。稲藁は植物由来プラになる可能性がでてきました。その他の農産廃棄物や食品廃棄物からもポリ乳酸が出来ています。ここ数年の技術開発の進歩を外挿すれば、近いうちに廃棄物が有価になりそうです。また、屎尿は固形化無臭化できれば取扱や輸送上の問題が大幅に減り肥料としておおいに利用できます。どうせなら、豚も密閉化したワンルームマンション住いにすれば、豚肉も都会生産、産地直送となります。また、その他の衣服、日用品、鍋釜などもほとんどのものがリサイクルされていました。江戸時代は一品生産ですからどうしても物の値段が高く、修理したり再生したりする専門家が成立していました。ただ、江戸時代の人が倫理的に特に優れていたわけではないようです。

 そして、循環型社会が形成され持続したのは、平和であったことに尽きます。循環型は継続が前提ですから、平和が絶対条件になります。鎖国をしていた江戸時代は一国平和でもよかったのでしょうが、太陽の恵み以上の人口を養うには他国の太陽を借りることになります。世界が平和でないと、今の人口は養えません。それにしても、江戸時代はカーボンニュートラル極限の状態でよく300年近くも続いたものです。

編集部注: 株式会社テルム様は、環境/化学分析や、パソコン・OA機器などのリサイクル業務を通じ、「総合環境ソリューション企業」として「循環型社会」の構築に貢献しています。

お知らせ
【NEW】NEDOの補助金事業が公募開始されました。

 住宅・建築物高効率エネルギーシステムの公募により、NEDO技術開発機構が指定する当該システムを住宅に導入する場合に、その費用の1/3が補助されます。

 様々な補助要件がありますが、樹脂サッシ普及促進委員会がお勧めする要件は『断熱リフォーム』です。
 既設住宅のリフォームで『塩ビサッシ+複層ガラス』の内窓を採用する事により、上記の費用補助の対象となるものです。

  公募期間:2007年3月13日〜4月26日
        (二次公募 : 7月上旬〜下旬を予定)

 詳細は、NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構のホームページをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/190313_1/190313_1.html


時代にあった高性能・高耐久住宅は? 
                =ハイクオリティな家づくりセミナーのご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、塩ビサイディング、塩ビサッシの紹介を行います。
 セミナー後には、実際に塩ビサイディング、塩ビサッシを使用したオール電化住宅の見学会も行う予定です。
(こちらのセミナーは、建築士会継続能力開発(CPD)制度認定プログラムです。)

・日 時: 2007年3月23日(金)
13:00〜17:30 (受付12:30)
・場 所: 盛岡市 西部公民館
岩手県盛岡市南青山町6番1号
・主 催: 株式会社日本住宅新聞社
・参加費: 無料    
・参加申込み締切り:3月16日(金)
     (定員100名になり次第、締切らせて頂きます。)

※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい。
      株式会社日本住宅新聞社
           電話:03(3823)2511


PVC Newsが3/19に発行されます。

 PVC News 60号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されます。
創刊15年、発刊60号の記念号となります。ご期待下さい。
目次をご紹介致します。

■ごあいさつ

創刊15年、60号発刊を迎えて
     JPEC事務局長/VEC専務理事 西出徹雄

■特別寄稿

PVCニュース発刊60号を記念して
     内閣府原子力委員会委員(前富士常葉大学教授)
     NPO法人「持続可能な元気ネット」顧問  松田美夜子

■トップニュース1
塩ビ被覆電線を官庁施設向けの建設資材として再評価
■トップニュース2
塩ビを含む建設系混合廃プラの有効利用へ新たな道
■視点・有識者に聞く

ソフトパワー強化で産廃業界の新時代を拓く
     (株)ハチオウ代表取締役社長/環境カウンセラー  森裕子氏

■リサイクルの現場から

加速する、セメント産業の廃プラリサイクル

■インフォメーション1
環境ホルモン問題とは何だったのか?
■インフォメーション2
米科学誌が可塑剤工業会の研究結果を掲載
■海外事例紹介
連携進む、VECと海外塩ビ業界
■広報だより

・塩ビ業界のありのままを伝える『データで見る塩ビ』発刊
・第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催
・「ENEX2007」に共同出展(JMADO&プラスチックサッシ工業会)

以上、新たな視点に立った塩ビに関する情報を、ご紹介致します。

・PVC Newsバックナンバーは、塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

編集後記
 2月19日のNHK教育テレビ「あしたをつかめ平成若者仕事図鑑」で、入社1年目の若きプラントエンジニアが登場し、中国向けの化学原料をタンクからパイプ経由で船積みするシーンが描かれていました。
 たくさんの計器を監視し、圧力・温度・速度などの振幅の意味合いを理解する。さらにパイプに手を触れて異常な熱はないか?耳を当てて音の異常はないか?と感覚を働かせます。途中、小さな異常に緊張しますが、プラント全体の動きを鳥瞰して対処することをチームの先輩から学びます。
 無事に船を送り出した後の充足感、労働への誇り、そして職場のチームワークが画面いっぱいに溢れていました。この青年は、小学生のときの社会見学で化学プラントに働くお父さんの颯爽とした姿に接し、以来、同じ道を志すようになったそうです。
 これからも続けマイスター2世!そのためにもパパと企業は存在感を高めよう!と励まされました。
 (番組の制作にあたり、当協会の会員会社である東ソー(株)南陽事業所の塩ビモノマープラント、および当協会が取材を受けました。加治)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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■URL https://www.vec.gr.jp/  ■E-MAIL info@vec.gr.jp