NO.126
発行年月日:2007/04/26

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トピックス
◇思いもかけない塩ビの使いみち

随想
カベガミ今昔物語(2) −東・西壁紙の発展と金唐革−
トキワ工業株式会社 顧問 石坂昌之
お知らせ
【NEW】 VEC HPを更新致しました。

編集後記

トピックス
◇思いもかけない塩ビの使いみち

 最近、金属泥棒がマスコミをにぎわしています。半鐘をはじめ、溝蓋、マンホール蓋、工事用の鉄板などなど様々な金属製品がごっそり盗難被害を受けています。よく公園の入り口や歩行者専用の道に車やバイクが進入しないように金属パイプでできた車止めが設置されていますが、これとて金属泥棒は見過ごしていません。

塩ビパイプ製車止め
塩ビパイプ製車止め(部分)
 ここは工夫の街、元気の街の東大阪市。市役所から北へ100m余り行ったところに本庄南公園という市が管理している公園があります。その南側の道路沿いの入り口に設置された可動式のステンレス製車止めがこの冬の間に盗難にあいました。市の公園管理課で対策を練っていたところ、たまたま東京のどこかでも同様の盗難被害をうけて、対策を採ったという報道番組をビデオ録画している方がいて、そのビデオを見たところ塩ビパイプ製だと分かり、早速検討して塩ビ製の車止めを作ったとのことです。なるたけ強度の高い塩ビパイプを使いたいということで、肉厚の大きいVP区分のパイプを選んでいます。そして、いくら塩ビに耐久性があると言っても直射日光に四六時中さらされる車止めに、普通は直射日光の紫外線にさらされないことを前提に設計された塩ビパイプを使うことは目的外使用となることも公園管理課の方は先刻ご存知でした。そこで一工夫。組み立てた車止めの表面をしっかりとメタリック塗装しました。この外観はなかなかのものです。この塗料は塗料の中に金属の細かい薄片を入れたものですから、夜間にライトがあたると道路標識の反射塗料と似たきらきら光る反射をして分かりやすいとの利点もありそうです。塩ビ製ですから鍵を外して移動させるときにも軽くて便利です。おまけに、ステンレス製だと1個5万円前後のものが、5千円ほどの費用で済むそうです。まさに、一石三鳥の塩ビ製車止めです。

 車止めと言えば、パーキング・ストップとも呼ばれる駐車場で自動車が行き過ぎないようにタイヤをとめるブロックも頭に浮かびます。この車止めにはリサイクル塩ビが使われています。株式会社タイボーの岐阜工場で作られているのを見学したことがあります。廃プラスチックから塩ビを選別して大型の成型機で作られていました。色は明るいグレーで視認がしやすく、しかもタイヤに優しい柔らかさを持ち、しかも着脱が出来る構造となっているものでした。リサイクル塩ビ製品でタイヤにも優しい。まさにグリーン製品です。

随想
カベガミ今昔物語(2) −東・西壁紙の発展と金唐革−
トキワ工業株式会社 顧問 石坂昌之

 壁紙の原点は15世紀中頃にヨーロッパで宮廷や寺院の壁面の高級装飾に300年余り使われた「金唐革」が有ります。これは1460年頃イタリアで発祥、製造されたもので、牛皮に紋様を型押して金属箔や塗料で柄付けしたもので椅子の背もたれ等にも使われたようです。貴族社会の高級壁装飾として製造技術はペルシャ、オランダ、フランス更にはスペイン、イギリスにまで広がったと云われていますが、1790年頃には製造されなくなっております。日本へも江戸時代に、オランダ使節の献上品として持込まれましたが、刀剣の柄や印籠などの装飾に使われたと云うことです。

 さて壁紙は、中国で発明された紙がヨーロッパに渡り、13世紀から15世紀にかけてイタリア、ドイツ、イギリスと広がり水力による紙の製造が盛んになった事から素材も紙へ移ったと云えます。併せて、フランスを中心とした木版を使った多色印刷技術による壁装飾に発展し、イギリスでの18世紀頃のロールプリント技術も加わり、「ウォールペーパー」となって来たと云えます。19世紀には、抄紙技術、印刷技術、型押(エンボス)加工等が機械設備として発達した事で壁紙の量産化も進んだと云えます。この頃から一般大衆の室内装飾としての壁紙となったし、その他、種々の加工技術による壁紙も数多く生まれて来ております。現在でもヨーロッパの市場は紙ベースの壁紙が半分以上を占めており、塩ビ壁紙は20%程度、他は特殊加工品、織物等の高級壁紙となっております。ヨーロッパは石と土(レンガ)の文化圏だけあって、壁紙も含め室内装飾材のパイオニアだと思います。ドイツ(カッセル)のドイツタペタン博物館にはヨーロッパ各地で造られた金唐革等も展示されております。

金唐紙
 さて木の文化圏の日本の場合は、ヨーロッパと同時代に中国の製紙技術が朝鮮を経て伝来(600年頃)したと云われていますが、壁紙への発展は明治時代になり洋風建築が導入され生活文化が変革してからと云えます。日本の紙は こうぞ 雁皮 がんぴ といった、長繊維で粘りの有る繊維が原料で分散剤としてトロロアオイ(タモ)と云った植物の樹液を使って、流し漉き技法も発明され、世界的にも評価出来る強靭な紙「和紙」となっております。和紙の産地は北海道を除き全国に広がっておりますが、これは大化改新により戸籍調査の紙の必要性から、高級品で有る紙を現地調達させる為に各地に製紙業を起させた事から紙漉き技法が日本全国に広がったとの説もあります。その結果、現在の和紙に地名が付けられたものも多いし、紙質もその土地の原材料による特徴を持ったものが多くあります。

 日本の住居は土間の一室からスタートしたと云え、その空間が大きくなり、それを区画する為に障子のような障屏具となりの几帳、簾、衝立、屏風へ、また貴族社会、寺院ではこれらに絵(仏画)を描いたりし進化したと云えます。西洋の住居区画はハードな壁でしたが、日本の場合は襖や板戸、障子と可動性仕切りとして発展したと云えます。この材料として和紙や、高級品としては絹織物も使われたと考えられます。京都の織物、また全国に広がった和紙の産地には襖紙の産地もリンクしている場合も多くあります。ただ茶室建築では腰貼紙が古くから有りますが、これは人の身体で壁が傷むのを防止する為に壁の下の方に紙を貼ったと云えます。美濃紙、烏の子紙、湊紙が有り、低級品とし、漉なおし紙(和紙のリサイクル)も使われています。現在でも居酒屋等の腰紙には見受けられます。(続く)

前回の「カベガミ今昔物語」は、下記からご覧頂けます。
カベガミ今昔物語(1)− 装飾品から建築材料への脱皮 −
https://www.vec.gr.jp/mag/121/index.html#zuisou

お知らせ
【NEW】VEC HPを更新致しました。

・4月13日付で、「塩ビの生産出荷データ」を3月度に更新しました。
・トピックスを更新致しました
(1) 4月13日付:地球温暖化に対する新たな「政府の実行計画」が閣議決定される
(2) 4月19日付:世界ビニルフォーラムが9月米国ボストンで開催に!
TOPページのWhat’s New からご覧頂けます。
 日本語版:https://www.vec.gr.jp/
 英 語版:https://www.vec.gr.jp/english/

編集後記
 塩ビパイプを車止めとして使うというのは面白いアイデアですが、車止めばかりかお墓の線香立てまで持ち去る金属どろぼうがいるそうであきれてしまいますね。
 ところで、いよいよゴールデンウィークが始まります。今年は、9連休という会社もあるでしょうが、皆さんはどんな予定を組まれているのでしょうか?私は、潮干狩りを楽しみにしています。そこで経験からひと言。潮干狩りに手袋は欠かせませんが、軍手だといつの間にか中に砂が入り込んで使いにくくなってしまいます。そこで、通称、ゴム手袋と呼ばれている掃除の時に使う塩ビの手袋がお薦めです。連休後半は、全国的に潮干狩りのチャンスです。是非、出かけてみてはいかがでしょうか?
 ゴールデンウィーク中のメルマガは休みです。(HI)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
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●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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