NO.133
発行年月日:2007/06/21

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トピックス
◇中環審・産構審
 「プラスチック製容器包装に係る再商品化手法・取りまとめ」について

随想

カベガミ今昔物語(4) −壁装市場の誕生−

トキワ工業株式会社 顧問 石坂昌之

お知らせ
【NEW】上越市環境フェア2007 出展案内
PVC Newsが6/18に発行されました。

編集後記

トピックス
◇中環審・産構審
 「プラスチック製容器包装に係る再商品化手法・取りまとめ」について

 商品の包装や飲料水のボトルなど、容器包装に使用されたプラスチックのごみを分別してリサイクルすることが法律(容器包装リサイクル法)で定められ10年余り経過しました。容器包装リサイクル法は住民、自治体、企業の三者の連携で推進され、住民も主体的な役割を担う社会的にも意義の高いものです。現在分別収集されるプラスチックごみは約60万tにまで拡大したものの、住民・自治体の分別収集負担や特定事業者のリサイクル費用負担は決して軽いものではありません。それだけに苦労がきちんと成果に結びつくリサイクルシステムでなければなりません。

 有効に利用されているのだろうか、環境負荷の低減や資源の節約に真に寄与しているのだろうかなど、リサイクルの成果が明確に見えてこないところにある種の苛立ちがあります。使用済みとなったプラ製容器包装は材料リサイクルとケミカルリサイクルの2本柱で運営されてきました。材料リサイクルは、他の方法より優先されることによって近年急激に拡大しましたが、品位の高い再生プラスチック製品が得られず、用途拡大も進まないという状況は殆ど変わっていません。このような事情を背景に、中環審と産構審の合同会合で材料リサイクルの在り方等について審議され、今般その「取りまとめ」がパブリックコメントにかけられました。リサイクルの現状とともに「取りまとめ」について考えました。

 平成19年度のプラ製容器包装の落札結果では、落札数量は63万tで内訳は材料リサイクルが32万t(51%)、ケミカルリサイクルが31万t(49%)と、材料リサイクルが過半を占めています。材料リサイクルの問題は品位の低さに加えて、再商品化率が51%と低く、残り半分は廃棄物として処理しなければならないことです。ケミカルリサイクルではコークス炉化学原料化の再商品化率89%をはじめ、すべての手法で材料リサイクルを上回っています。再商品化にかかる費用(委託単価)についても材料リサイクルでは89円/kgかかっているのに対し、ケミカルリサイクルでは63円/kgで済みます。このような実態をみれば、誰しもが材料リサイクルに疑問をもちます。元来材料リサイクルはペットボトルや白色トレイのような単品収集が対象であり、ポリエチレンやポリプロピレンは混合物でもパレット、擬木、棒、杭に利用されてきました。容器包装プラスチックのなかで利用されているのは、実質上ポリエチレンとポリプロピレンだけという状況です。今回の取りまとめでは、このような実態また具体的事実関係が明確であるにも拘わらず、本質問題に踏み込んだものとはなっていない感があります。材料リサイクルには入口(原料となる分別収集品)と出口(再生製品と廃棄物処理)があり、その認識に立って材料リサイクルの在り方が十分に審議されるべきであったと考えます。そのために、LCAによるリサイクル手法の比較検証が試みられましたが、材料リサイクル優先について結論を出すまでには至らなかったようです。最終的に取りまとめでは、材料リサイクル優先の品質基準として塩素・水分等に基準を設け、例えば塩素分0.3%以下などとするものですが、分別収集されたプラスチック廃棄物に含まれる塩素分の多くは食品残渣に由来する無機塩素であることは、審議の過程において委員から具体的に説明のあったところであり、塩素・水分についての基準は洗浄、乾燥等の工程を適正管理するためのものであって、材料リサイクル優先のための基準とはなりません。

 また、見直しの基本的な方向性として、中長期的に「特定事業者による容器包装の機能維持や使用の合理化(リデュース)と両立する形での単一素材化・非塩素系素材化に向けた更なる取組」とありますが、単一素材化については、混合・複合素材化によって容器包装の機能を向上し、もっとも優先されるべき排出抑制につながった実態を十分に認識しない意見です。塩素系素材(塩素系プラスチック)は耐久性、安定性、ガス・バリヤー性、難燃性、良加工性などの特性に優れていることから容器包装の目的に合わせて使用されるものであり、素材としては分別により材料リサイクル性においては他のプラスチックより優れており、材料リサイクル以外にも、フィードストックリサイクルやサーマルリサイクルができます。当協会の調査によれば、産業廃棄物焼却施設においては平均で3%程度まで塩素系プラスチックを含んでいても受入可能であり、焼却物の7割がエネルギー回収されているのが現状です。それゆえに、こと改めて現時点で非塩素系素材への転換を促進する合理的理由が存在しないと考えます。

 近年、社会のあるべき目標が循環型社会から持続可能な社会へと、より大きな視点に立った考え方へ移行しつつあります。リサイクルは重要なコンセプトに違いありませんが、それだけではなく資源枯渇性の評価も重要となります。塩ビは石油への依存が小さく、資源枯渇性の観点から今後再評価が進むものと期待しています。

随想
カベガミ今昔物語(4) −壁装市場の誕生−
トキワ工業株式会社 顧問 石坂昌之

 昭和20年、終戦という破綻で迎えた日本は、住は雨露がしのげれば良かった。それよりも衣、食の調達が深刻な日々だったと思います。そんな時代、進駐軍の施設とし、多くの焼け残った建物が接収され、特に休養・慰安施設の改装には壁張り工事が指定されたことから、壁紙は米国を主力とする進駐軍が駐留する事で仕事が始まりました。
 東京の老舗表具店(現:壁装研究会メンバー)は、日本郵船クラブビル、満鉄ビル、山王ホテル等の壁張り工事を昭和20年秋からしたと聞いて居ります。住宅も将校住宅とし、接収され寝室や居間がやはり壁張りだったようです。
 更に進駐軍は全国に展開し、戦災を免れた民間ビル、ホテル、デパート等も接収し、クラブやダンスホール等に改装してゆきます。これ等に使われた特需材料は、戦前、輸出用に生産され、焼け残った壁紙や一部の中小加工業者の生産で賄われました。
 その後、駐留軍用家族住宅が二万戸目標に基地周辺で建設され、ペンキ塗装が主体でしたが寝室、居間には壁張り指示だったようで、これ等の壁紙も 葛布 くずふ やヘンプ(麻布)の戦前からの加工品かと考えられます。

 昭和25年の朝鮮戦争の勃発から約3年は、日本経済の復興期となり、各企業のビル建築も盛んとなり、第一次ビル建設ラッシュと併行してレストラン、喫茶店、キャバレー、ダンスホール、旅館、ホテルの建築改装も盛んとなり、これ等の商業施設の仕上に工期短縮と意匠性から壁紙が主流となって来ます。昭和25年といえば、建築士法も制定され、「もう戦後ではない」と云う言葉が出て来た時代です。因みに一級建築士第一号は田中角栄だったはずです。
 建築業界も復興建築から新築のコンクリート建物へと第二次建築ブームを呈した事から、工期短縮を目標に乾式工法の開発が急速に進められ、この工法に適した建材の開発が求められてきました。この時代に出て来た新建材と云われる材料は多数有りますが、プリント合板や繊維壁等、今ではほとんど無くなった材料も有ります。
 湿式工法はセメント打ち放しにモルタル、漆喰、プラスターといずれも水で混練した材料を塗り重ねて下地を作る為、乾くのに時間がかかります。それに対して、乾式工法は躯体に同縁、間柱で下地組をしたり、合板を直貼りして表面にパーライトや石膏ボードを取付け、仕上げるので1ヵ月以上の工期短縮が計れます。この乾式工法の表面化粧仕上として壁紙が注目され、又湿式モルタル仕上でもペンキ塗りに比べ、壁張りだと材料の伸びが有り、表面のクラックが目立たないと云う利点が有ります。

 昭和30年代は東京オリンピックへ向けたホテル建設、商業施設、と壁紙の需要が増えて来た時代でした。商業施設の場合には物件単位の意匠性が求められる事から、メーカーとしては襖問屋(流通)や施工業者の求める材料を供給する立場に有った繊維、織物メーカーが意匠性の多様性から、参入が早かったと考えられます。

 昭和35年頃から塩ビレザーメーカーの参入が増えて、壁紙は新製品の開発ラッシュの時代に入って来ます。意匠性の開発(印刷、デザイン)エンボス(テクスチャー)と加工技術も飛躍的に増え、更には壁紙として最大の欠点とされた施工性も、数社の製紙メーカーで塩ビ専用裏打紙が開発されたことで昭和40年には解消されました。この施工性改良の中で、現在の紙と塩ビと云う複合材料構成が確立したと云えます。織物より安いと云う事で商業施設の壁は塩ビ壁紙となり、デザイン優位の市場だけに少量多品種生産の大変な時代でも有りました。
 当時比較的まとまった数量には、ボーリング場の内装仕上が有り、業界の話題にもなりました。高級ホテルは織物でしたが、40年代の初めに新橋第一ホテルに全面的に塩ビ壁紙が採用され、これを機に施工性、装飾性両面の品質も認められ、経済性も含め、その後ホテル業界へ普及し、これが現在の住宅分野への参入に繋がったと云えます。(続く)

前回の「カベガミ今昔物語」は、下記からご覧頂けます。
カベガミ今昔物語(3)−近代日本の夜明けと金唐革−
https://www.vec.gr.jp/mag/127/index.html#zuisou

お知らせ
【NEW】上越市環境フェア2007 出展案内

 樹脂サッシ普及促進委員会では、「上越市環境フェア2006」に出展し、塩ビサッシ、塩ビサイディングのご紹介を致します。

・日 時: 2007年6月24日(日) 
9:00〜16:00、入場無料
・場 所:

上越市市民プラザ 上越市土橋1914−3

・主 催: 上越市環境企画課

PVC Newsが6/18に発行されました。

 PVC News 61号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
目次をご紹介致します。

◇トップニュース1
大臣室の窓も、「樹脂サッシ」で断熱リフォーム
◇トップニュース2
“温暖化防止対策の切り札”塩ビサッシのリサイクル始動へ
◇視点・有識者に聞く
環境にやさしい建築・解体をめざして
◇リサイクルの現場から
新日鐵のコークス炉化学原料化法
◇インフォメーション1
塩ビの壁紙施工性に高い評価
◇インフォメーション2
迫る、温暖化暴走の危機。グリーン市場は「待ったなし」

以上、建築分野での塩ビに関する情報を中心にご紹介しています。

記事内容は、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

バックナンバーは、塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

購読を希望される方は、送付先などをご連絡下さい。


編集後記
 トピックスによると、「容リ法」に関連して材料リサイクルの在り方等についての取りまとめが、パブコメにかけられたとのことですが、私は、『マンションのダストルームに回収スペースがある』ので、食品トレイ・ペットボトル・牛乳パック・アルミ缶・スチール缶・ビンは資源ごみとして分別しています。全て、きれいに洗って乾かして出しています。そんな話をしていたら思わぬ逆襲にあいました。「ずいぶん、水を汚しているんじゃない?」と。そう言えば、お米のとぎ汁も水質汚濁の元とされていたような記憶があります。それ以来、少し複雑な気分で「ごみ」を洗っています。容器包装のリサイクルも、いろいろな視点に立って考えなければならないようですが、とりあえずAct Locally。できることはやってみようかな。(自称ハチドリ主婦)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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