NO.184
発行年月日:2008/07/10

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トピックス
◇REACHの新たな動き
−高懸念物質リスト候補16物質公表−

随想
極めて個人的な中国観/中国リサイクル産業現地調査から(第5回)
−中国の携帯電話事情−
    株式会社産業情報研究センター 調査・情報室長 林 廣和

お知らせ

編集後記

トピックス
◇REACHの新たな動き
−高懸念物質リスト候補16物質公表−


 化学物質の話題として必ず出てくるのがEUの化学物質管理の仕組 みとなるREACH(化学物質の登録、評価、認可と制限)です。6 月30日、高懸念物質のリストの候補に入れる案として16の化 学物質(つまり候補の候補)が公表されました。

 REACHにおいては、有害性(発ガン性、変異原性、又は生殖毒 性、以上、CMR)のある化合物や難分解性・高蓄積性のある化合物 など、最終的に1500物質程度が高懸念物質として指定される のではないかと考えられていますが、2009年6月までに順次公表 されることになっています。EUのCMR物質リストの中には、ガソ リンや灯油の留分など身近な化学物質も少なくありません。しかし、 今回、REACHの高懸念物質候補リストの候補として挙げられ たのはわずか16物質です。今回発表された16物質に比べて毒性が はっきりとしており生産・使用量が多い化合物も多々あるにもかかわ らず、なぜこの16物質が最初に選ばれたのかはよく分かりません。 どのような観点でこれらの物質が最初に選ばれたのかを明確にしない と世の中が混乱しかねません。この点については、EUには改善を求 めたいところです。

 さて、この16物質の中に、塩ビ製品に使われる可能性のある可塑 剤(DEHP、DBP、及びBBP)が含まれています。日本ではD EHP以外のものの使用例がほとんど無い状況です。DEHPをマウ ス・ラットに投与したときに精巣が小さくなる症状(精巣毒性)、い わゆるCMR物質の根拠となっている生殖毒性があると認められてい ますが、霊長類のマーモセット(キヌザル)及びカニクイザルで試験 をしたところ陰性でした。このため、人を含む霊長類への精巣毒性の リスクは小さいと考えられています。その他にも、DEHPについて は、有害性についての情報が豊富であり、その安全性が高いことが分 かっています。輸液用のバッグでもDEHPが使われていることはそ の証左と言えるでしょう。

 REACHにおいては、DEHPが高懸念物質のリストに加わ る可能性があることは残念ではありますが、もともとEUのCMRリ ストに入っていたために当初から予想されていたことではあります。 また、EUが行ったリスク評価においても現状の規制以上の規制は不 要との結論が出たことで、EUの可塑剤・中間体協議会(ECPI) が声明を出しているように現行の規制に従った用途であれば今後も安 心して使用を継続することができると考えられています。詳しいこと はVECホームページに掲載してありますのでこちらをご覧下さい。 (了)

ECPI声明:https://www.vec.gr.jp/topics/new106.htm

VECの解説:https://www.vec.gr.jp/topics/new106.htm#reach

随想
極めて個人的な中国観/中国リサイクル産業現地調査から(第5回)
−中国の携帯電話事情−
株式会社産業情報研究センター 調査・情報室長 林 廣和

 中国の携帯電話サービスは、中国移動通信(China Mobile)と中国 聯合通信(China Unicom)の2社が独占している。両社の合計ユーザ 数は2001年7月にアメリカを抜いて世界第1位になって以降も拡 大を続けており、現在のユーザ数は2億超と世界最大の座を堅持して いる。中国では国民の10%が富裕層と言われ、彼らは高額な商品を 購入する。携帯電話の価格は、白黒のスタンダード品で700元から、 カラータイプであれば1,500元から、カメラ機能の付いているも のなら2,500元から、PDA付きの高級機種は5,000元から ある。高額所得者はたいていカメラ機能やPDA付き携帯を所持して いると言われる。

 ところで、中国の携帯は掛ける方も、掛けられる方も料金を徴収さ れる。どうみても、殿様商売かつボッタクリ商売である。以前、私は 中国や韓国、タイなどで使用可能なauのグローバルパスポートを使 っていた。中国で中国国内の相手にかけても国際電話と同じ扱いにな り、料金が1分230円と高い。2004年の訪中では、帰国後に8 万円の請求が来た。かといって、レンタルの携帯も結構高くつく。
 こうした経験もあって、2005年の訪中で、私は中国の携帯電話 を購入した。しかし、購入したのが遼寧省鞍山市であったため、この 携帯を使うといつも鞍山から掛けていることになる。2005年は東 北地方から北京に出て、以降、鉄道で河北省を貫け、山東省青島、安 徽省合肥へと南下したため、通話料は日を追って高くなった。200 6年も、上海を皮切りに江蘇省、江西省、湖南省、湖北省、河南省と 移動して北京から帰国したため、やはり通話料はかなりかかってしま った。

上:通話料金/下:上海のチップ
 そこで携帯のチップを上海か北京のものに替えることを考えていた が、この訪中で上海のチップを購入することにした。通訳のZさんに そのことを話すと、彼は中国移動通信のショップに私を案内し、カウ ンターの担当女性に上海のチップに替えたいことを告げてくれた。携 帯の番号を聞かれたので2台の携帯の電話番号を伝えると、その携帯 に使える上海のチップは品切れになっていると言う。別の店を探すこ とにし、ショップを出たところで、移動通信のショップでなければ駄 目かとZさんが言った。どういう意味かと尋ねると、コンビニや新聞 ・雑誌・飲料の販売スタンドや煙草店などでも売っていると言う。使 えるものであればどこでもいいが、何故そんなことを私に聞くのか理 由を尋ねると、移動通信の店のものでないと嫌かと思ったからと言う。 さっぱり話が見えない。どうどう巡りになりそうな雰囲気だったので、 とにかく買いに行きましょうと彼を促し、まずコンビニに入ったが、 売っていないとの返事であった。その後、新聞・雑誌の販売スタンド やコンビニを何軒か回ったが、チップはどこにも売っていなかった。

紙袋状の通話カード
 かなり歩き回った後、小さな煙草店を見つけてチップを売っている か尋ねると、ようやく“ある”との返事が返ってきた。50元でチッ プだけのものと、50元の通話料金付きの100元のものがあるらし い。100元のものを買うことにしたが、これまでのものがリジッド なプラスチックないしは厚紙のようなものであったのに対し、その日 上海で購入した通話料金チャージ用カードは袋状の紙製のもので、開 くとチャージに必要な情報が記載されていた。早速、Zさんが2台の 携帯から鞍山のチップを取り出し、まずチップを上海のものに差し替 えた。次に、1枚で100元分の通話料がチャージできる袋状の電話 カードを10枚開封し、各携帯にそれぞれ500元をチャージした。 結果的に、この合計1,000元は、今回の訪問調査の最終訪問地で ある北京まで持たず、道半ばの重慶で使い切ってしまった。

 携帯については、後日、移動通信のショップで料金をチャージした 際に、次のようなことが判った。1つは、私の購入した2台の携帯が 中古品であったこと、このためそれぞれの携帯に李と呉の名義がつい ていたことである。今1つは、カードを購入して料金をチャージする 場合には関係ないが、移動通信のショップで料金を直接チャージする 際には、携帯の名義を尋ねられることである。別に悪事を働いた訳で はないが、即座に答えられず、ばつが悪い思いをした。(続く)

前回の「極めて個人的な中国観」(第4回)−案内料急騰−は、下記 からご覧いただけます。
https://www.vec.gr.jp/mag/181/index.html#zuisou

上記以前のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

第183号メールマガジンのメール版にてお知らせいたしました、第19回国際 文具・紙製品展への出展は誤りでした。
塩ビ工業・環境協会での出展はございません。
お詫び申し上げます。


編集後記
 今週は、北海道洞爺湖サミットが開催され、各国の首脳や要人が北 海道の地を訪れました。都内でも先週あたりから厳重な警備が行われ 関係者の方のご苦労がひしひしと伝わって来る思いが致しました。
 ところで、今週のトピックスは、「可塑剤の安全性」に関する記事 を掲載させていただきました。欧州のリスク評価やREACHの動き に対して、その内容を正しく理解して頂き、これからも安心して塩ビ をご使用頂くために弊協会の考え方とともにお伝え致しました。
 最近、ある家電メーカーから「塩ビ削減」に関する報道が行われ、 その中で可塑剤の有害性懸念が謳われておりました。我々の生活を支 える電気製品の安全性に関わる問題だけに、注目を浴びるところです が、リスクに対する誤った理解や一方的な解釈にもとづく報道は世の 中を混乱させるばかりでなく、経済的な損失をも引き起こす可能性が あります。
 読者の皆様は、如何お考えでしょうか。事実に基づいた正しい理解 と判断をして頂けるものと信じております。(樹)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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