NO.217
発行年月日:2009/03/19

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トピックス
◇広告素材としての塩ビターポリンの底力
 —パンチ力のある屋外広告に塩ビ製品が貢献しています—

随想
ナミビア旅行記(5)−HIV−
(社)日本化学工業協会 若林康夫

編集後記

トピックス
◇広告素材としての塩ビターポリンの底力
 —パンチ力のある屋外広告に塩ビ製品が貢献しています—

首都高速の3枚連続ボード
渋谷の街頭でも目を引きます
  広告の媒体にはテレビ、新聞、雑誌など様々ですが、そのひとつに「OOHアウトオブホームメディア」即ち屋外広告という媒体があるのをご存知でしょうか?その中でも、首都高速を走る車窓から或いは、渋谷の街角などで見かけるビルの屋上や壁面にセットされた大きな広告ボードのことをビルボードと呼びます。活気ある都市空間を作り出しており、色鮮やかなボードをみると“ああ東京に来たな”という気持ちにさせてくれます。こうした屋外広告業界の大手企業のひとつ、株式会社ヒットを先日お訪ねする機会があり、塩ビ製品がこうした分野でも大活躍していることを聞いてきましたので、ご紹介します。

 同社は平成3年設立の若い会社です。創立者で、現社長の松丸敦之氏が80年代から90年代にかけて米国を訪問された時に、既に普及していたビルの屋外広告の色鮮やかでインパクトのあるボード広告を目にして、“これからの広告媒体の大きな柱になる”と考えられ、日本への導入を決意されて、会社を興し、事業をスタートされたのが今の会社です。

 屋外広告の印刷媒体のスクリーンには塩ビターポリンの他にもポリエステル繊維系や紙製のものなどいくつかの種類があります。その中でも同社が力をいれておられるのが塩ビターポリン(帆布)を用いた広告です。塩ビターポリンは、配合剤を予め調合した塩ビ樹脂(コンパウンド)をポリエステル繊維などに塗布したもので、非常に丈夫でかつ長持ちするためテントや簡易倉庫の屋根や壁の素材やフレコン袋地などの分野で広く使われている塩ビ製品です。耐久性があるだけでなく、塩ビ樹脂の特徴である印刷性(インクの乗り、発色性など)、重量感のある質感、低価格などコストパフォーマンスの優れた点がまさに屋外広告のスクリーン素材としてうってつけというわけで、メタリックな質感が要求される自動車広告や鮮やかな色彩が求められる番組宣伝などで、その持てる性能を発揮しています。

 同社は、現在10m×8mの80m2のボードやその2倍の160m2のボードを首都高速や渋谷の街角に数多く保有しており、ボードに張られた塩ビターポリンは、番組の宣伝などイベントものや自動車など最新情報が要求されるものでは2週間から1ヶ月の頻度で広告内容の変更に応じて交換されます。会社のブランディング(社名告知)などでは数年といった長期間のものもあり、こうした用途でも塩ビの耐久性を活かして軟質塩ビシートが使われています。いずれにしても使用済みの塩ビターポリンのスクリーンが発生してきます。
 同社では社内で発生する使用済みの塩ビターポリンのリサイクルにも力を入れており、現在では排出される塩ビターポリンの全量がJFE環境株式会社(川崎市)の高炉原料化プラントでリサイクル、再資源化されています。塩ビターポリンはこのプラントで炭化物と塩酸に転換され、炭化物は高炉用のコークスの一部として、また塩酸は鉄鋼プラント内の工業用薬剤として利用されます。
 企業と人々を結び、豊かな暮らしにインパクトのある広告媒体の素材として活躍した後、今度は鉄という素材の製造に貢献していることになります。同社を訪問し、塩ビ製品の資源循環型社会に合致した使われ方を知り、大いに勇気づけられて戻ってまいりました。 (了)

株式会社ヒットのホームページは、下記からご覧頂けます。
http://www.hit-ad.co.jp/

随想
ナミビア旅行記(5)−HIV−
(社)日本化学工業協会 若林康夫

  HIV、いわゆるAIDSはナミビア(ナミビア共和国)では大きな問題です。というより、普段の生活の隣に位置しているといってもよいでしょう。
 現在、ナミビアではWHOを中心に、アメリカやヨーロッパ各国とナミビア政府によるHIV撲滅プロジェクトやプログラムが様々な形で行われています。一般の人向けにもHIVに関する啓蒙活動が行われています。テレビ、ラジオ、新聞などマスコミを利用したものはもちろんのこと、高校になると授業の一環としてHIVに関する様々な教育が行われ、その教育開始年齢も早い方がいいということで年々早まり、来年(2009年)からは中学に引き下げられる予定です。このような活動のためか、わずかずつですがHIVのキャリアや感染者の方の数は減りつつあります。

 健康保険は、所謂勤め人(サラリーマン)とその家族は加入が義務付けられており、保険料の負担は雇い主と折半と日本とほぼ同じ条件ですが、自営業の人や農民などは任意加入となっており国民皆保険にはなっていません。その代りに、各地域に日本でいう互助会のようなものがあり、病気や怪我をした場合の治療費、休業補償(最長6か月。延長はなし)などはこの互助会で負担をするシステムがあります。しかし、最近では若い人を中心に、自分たちは使わないのに互助会費を負担するのはおかしいという意見が強まってきており、地域によっては互助会システム自体の存続が難しくなっているところがあるとのことです。

 医療費は私立の病院は健康保険加入者であっても原則、全額自己負担。公営の病院は、健康保険加入者は病気や怪我の種類にもよりますが1〜3割負担です。ただ、居住地に公営病院があるとは限らず、治療や入院にはかなりの距離の移動を求められることが多く、地方ではいまだにシャーマン(無資格だが民間療法や経験で治療を行ったり、祈祷により病気やけがを治したりする呪術師の総称)が健在です。救急車もありますが、電話などで呼んでもかなり離れた場所から来るため、到着まで数時間待ちなどは当たり前。到着時にはすでに手遅れということも多いようです。人口密度が低いことが医療面でも大きな影響を与えています。

 ちなみに、ナミビアには医科大学はありません。このため、医師(獣医さんも含む)は全員が留学経験者かお雇い外国人医師になります。
 獣医さんで思い出しましたが、ナミビアでは野生動物保護の意味もあり、犬や猫には予防接種はもちろんのこと、生まれたら3週間以内に体内に識別用のマイクロチップを埋め込むことが義務付けられています。このマイクロチップにより、飼い主だけでなく、予防接種・生育など様々の記録が分かるようになっており、もし、ペットが逃げだし野生動物に影響を与えた場合には飼い主の特定のみならず、その影響(感染症の有無等)がすぐに確認をすることができるようになっています。ペットの犬や猫は大自然の中で伸び伸びと育っているように見えますが、話を聞くと、日本よりかなり制約がある中で生活をしているようです。

 野生動物に関しては当然のことながら保護法があり、ハンティングの数だけでなく、迷い野生動物や怪我をした野生動物の保護に関してもかなり細かい法律があります。
 親から離れてしまった迷い野生動物や交通事故などの理由で怪我をした野生動物は全て保護の対象となります。とは言っても一般の家庭で保護をしたり飼育をしたりすることは特別の場合を除き認められておらず、政府が認めた施設や飼育施設のある農場のみに保護や飼育が認められています。
 人間が野生動物を飼育する場合は、犬や猫と同様、小鳥など小動物を除き全てマイクロチップを体内に埋め込むことが求められます。また、病気や怪我をしている野生動物に対しては全身状態の確認と統計処理のため全身のレントゲン写真の撮影が求められます。この費用は発見者、若しくは保護した政府指定の施設や農場の負担となるため、農場などでは保護を断る事態も発生しています。
 人間と野生の動物が接して生きていくのは、現代ではお金がかかることなのかもしれません。(続く)

編集後記
  「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、四季のある日本では、夏から秋へ、そして冬から春へと季節が大きく変わる節目を的確に表現しているといつものことながら感心いたします。「彼岸会」は、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた7日間およびそこで行われる仏事を言い、日本オリジナルのものだそうです。私も父が他界してから母と連れ立っての「お彼岸の墓参り」がいつしか年中行事となりました。普段はひっそりとした墓地もお彼岸の間は、花に彩られ、立ち上る線香のけむりと人々で賑わいをみせます。
 ところで、今年のアカデミー賞外国語映画賞に日本映画として初めて「おくりびと」が選ばれましたが、昨年秋に公開され静かなブームになりましたので、ご覧になった方も多いのではないかと思います。主人公が奏でる美しいチェロの響きが心に沁みわたり、旅立ちの所作と見送る人々の思いがそれに重なりあいます。お彼岸とは直接関係ありませんが、まだご覧でない方は、明日からの連休を利用して是非ご覧になってはいかがでしょうか。(樹)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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