NO.221
発行年月日:2009/04/16

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トピックス
◇2つの展示会を終えて
樹脂サイディング普及促進委員会 高村正彦

随想
塩化ビニル管・継手の歴史(1)
塩化ビニル管・継手協会 総務部長 石崎 光一

編集後記

トピックス
◇省2つの展示会を終えて
樹脂サイディング普及促進委員会 高村正彦

  早いもので委員会に来てから1年が経過しました。慣れない仕事でいろいろ周りの人達に迷惑をかけながらサイディングの普及活動を行ってきましたが、その広報の一環として3回の展示会開催を経験しました。
 特に、昨年10月の「リフォーム博」と今年3月の「建築・建材展」は、企画・立案・施工・出展立ち会いに参加したので思い出深いものとなりました。

リフォーム博
(入口周辺)
  環境省とコラボしたリフォーム博は16コマという大きなスペースの中で、いかに目立つように人の動線を上手く作るか、来場者に環境についていかに興味をいだかせ、塩ビがどんなにすばらしいものと見せるかが、展示会初心者の私にとってかなり頭を悩ます課題でした。しかし、展示の出来が悪く見物人が入らない映像が、夢の中にも出てくるほど悩んだことを思い出します。
 悩んだ末、動く地球儀を入口に配し、そこから人を引き込むため、2回にわたり東京海洋大学の河野先生に教えを乞い作成した、東京湾の魚の過去・現在・未来の姿によって、温暖化の現状を訴えたパネルと実際の魚を展示することとしました。
 また入口周辺には私の趣味でもある昆虫の標本からシロアリを配し、シロアリ発生原因の湿気から結露、樹脂サッシとつなげ、そこから塩ビ建材のコーナーへと持って行き、塩ビ建材で作ったミニハウスを展示してみました。最後には活弁士のステージも作り、出てきた人を再度塩ビ製品に触れさせるよう努力もしました。
 おかげさまで、4日間で、5千人を集客でき来場者の選んだブースの中で第4位の評価を得たことはずいぶん自信となりました。

建築・建材展
(塩ビミニハウス)
  次に手がけたのが、建築・建材展でした。
 リフォーム博での反省を元に小さなスペースでいかに集客出来るかが今回の課題でした。そこで考えたのが、建築業者による企画・立案・実行です。エコ面も考え、他の展示会で使用したものやパネルを利用し、特に塩ビミニハウスを中心にして設計事務所に平面図と展開図の作図をお願いし、それに基き施工業者に施工していただくこととしました。しかし今回は4コマとスペースが小さすぎて見映えのするものがなかなか考え付かず、こんなプランで集客ができるのか、サイディングだけで人が来るのかという不安で頭を悩ますこととなりました。

 施工は図面通りに完成しましたが、なにかあっさりしすぎて見学者が来るのか不安でした。しかしそれも「案ずるより産むがやすし」。開場から2時間後に解消されました。悪天候の中、来るわ来るわ!なんと4日間で3千人、しかも再利用した塩ビミニハウスの人気のあること!自分やお手伝いいただいたメーカーの方々に聞いただけでも、50件近くの『このハウスが欲しいコール』があったのです。中には「焼き鳥屋台に使いたいので100棟でいくらするのか」という問い合わせもあったり、団塊の世代の方の中には、「音楽や楽器が好きなのだけど大きな音で聴いたり、演奏すると妻や子供から怒られてしまう。だから是非このハウスを購入し庭において自分だけの世界に浸るのだ。」という家庭で虐げられている私も同調したくなるようなお父さんが沢山いらっしゃいました。

 一つの商品を広報するばかりではなく、こうした一つの家とか部屋といった、塩ビ建材全体で広報するのも一つの普及に繋がるのだと認識しました。またサイディングに対する関心も高く、手伝いに来ていただいたメーカーの方々も質問の嵐でてんてこ舞いでした。
 その中でこのサイディングを使用するのに良いと思った使い方は、賃貸アパートへの使用です。耐久性ということを考えたときに、30年以上持つことは大家さんにとって最も大事なことなのです。

 建築・建材展に出展し今回思ったことは、他の展示会と違い新しい建材を求める人が多く、使用目的さえ明確にすれば、広報を展開していく上で最も良い展示会であり、低コストでできるのであれば効果的な展示会であると思います。またサッシとかサイディングなどを家の部品に宣伝するよりこれだけ綺麗な建物ができるのですから全体で推奨していく方が消費者に対して訴えるものが大きいと感じています。(了)

随想
塩化ビニル管・継手の歴史(1)
塩化ビニル管・継手協会 総務部長 石崎 光一

  平成19年(2007年)は、塩化ビニル樹脂の国内出荷量1,278千トンに対して、硬質塩化ビニル管・継手の出荷量441千トンとなっています。ですから今や塩ビ樹脂から出来ている製品と言えば、代表例として浮かぶのが塩化ビニル管・継手ですが、その誕生からの歴史を紐解いてみたいと思います。さて、皆さんをタイムマシーンのカプセルへとご案内します。

1.塩化ビニル管・継手の誕生
 1)塩化ビニル管の誕生

 塩化ビニル製品を製造するための原料となる塩化ビニル樹脂が昭和6年(1931年)に発明されて以来、初めて管材に応用されたのは、昭和11年(1936年)当時のドイツでした。
 特に第二次世界大戦中は軍需用に金属が多く利用されていたため金属管が不足し、その代用品として水道用に相当量の塩ビ管が使用されました。ドイツでは昭和16年(1941年)に既に塩ビ管のドイツ規格(DIN)が制定されました。
 一方、欧州で塩ビ管の製造技術に力を入れていたのはドイツばかりではなく、イタリア、オランダ、イギリスなどでもそれぞれ研究開発に取組み、これらの国では押出機や成形機の研究が特に進みました。
 こうしたなか、日本では終戦後、進駐軍が使っていた塩ビ製品が街に出回るとともに、当時の人びとは初めて目に触れるものだけに、さまざまなプラスチック製品に関心を持つようになりました。このため新しい工業を興す有力な事業としてプラスチックに着目する企業も多く現れるようになりました。押出成形機や射出成形機が、昭和25,26年(1950,51年)頃に大量輸入され、押出成形機による最初の製造では電線被覆が造られましたが、その一方で一般消費向けのベルトやチューブなども数多く製造され、メイドイン・ジャパンの製品が流行りました。

国産硬質塩ビ管第1号
「ダイヤモンドパイプ」を手にして
  しかし、量の拡大をめざして収益を図ろうとする企業にとってこの流行もそう長くは続きませんでした。このためさらに工業的な製品開発をめざすことになりました。この流れの中でパイプに注視して研究開発に取り組む企業が現れましたが、軟質のパイプは製造できても、可塑剤を入れない硬質管の製造は非常に困難を極めていました。
 そんな中、日本のプラスチック業界に納入し、成形機の技術サービスのために来日した英国の技師が、昭和26年(1951年)9月東亞合成化学工業(株)名古屋工業所に立寄る機会がありました。同社では技師からいろいろ指導を受け、はじめて国産硬質塩ビ管第一号が産声を上げました。このパイプは当時、「ダイヤモンドパイプ」の名称で一躍脚光を浴びることとなりました。この後、東亞合成化学工業(株)のほかに積水化学工業(株)、長浜ゴム工業(株)がいずれも同じような指導を受ける条件下にあり、引き続き両社でも塩ビ管の製造に漕ぎ着け、この年の暮れには僅かながらも、製品として市場に出回るようになりました。

 翌年昭和27年(1952年)8月には、東亞合成化学工業(株)・積水化学工業(株)・長浜ゴム工業(株)の三社が製品規格の統一や用途開拓のため、お互いに連絡を取り合いました。三社はいずれも化学工業の企業であったため、主として化学工場内でのパイプライン用として多く利用する一方、電線管や温泉管としても早くから日の目を見ています。
 水道用管として着目していた三社が、特に昭和27年(1952年)11月の日本水道協会で、水道管用管として規格化へ向けた研究をはじめることを決定したことは、塩ビ管製造メーカーにとって前進に極めて明るい希望をもたせることになりました。
 昭和28年(1953年)になると塩ビ管に対する関心は一層高まり、メーカー数も少しずつ増え始めています。昭和29年(1954年)は、各種にわたり規格が決定されたことにより、塩ビ管産業が確固たる地盤を築いた年として記録されています。とくにこの年の7月は一般管「硬質塩化ビニル管」(JIS K 6741)と電線管「硬質ビニル電線管」(JIS C 8430)のJIS規格がはじめて制定されました。

 一方、塩ビ管の需要を大きく拡大する鍵を握っていた日本水道協会は、塩ビ管の規格化にあたってまず、「水道用として使用可能」との結論を出し、昭和29年(1954年)8月の総会でこのことが報告されています。この報告が引き金となり、東京都をはじめとする市町村が塩ビ管を正式に採用することとなりました。
 こうした一連の動きのなかで、久保田鉄工(株)と横浜護謨製造(株)も生産を始め、生産数量が月産200トン近くになりました。

 このように塩ビ管はまずは、水道管用として世の中に認められたわけですが、採用に至るまでには製造メーカーもですが、使用する関係機関の方の働きかけがあったことを申し添えておきます。(続く)

編集後記
  塩ビの国内需要は109万トン(前年比86%)と30年近く前の水準に落ち込みました。需要の回復には建材分野での復活が最重要課題と思います。塩ビ需要の回復には、ここしばらく漸減傾向が続いている塩ビパイプ需要の反転に期待したいところです。たまたま、今週のメルマガから、国内で塩ビの最大用途の塩ビパイプに関する、「塩化ビニル管・継手の歴史」の連載が始まりました。温故知新でもって、下水の雨水、汚水の分流化や電線の地中化の拡大から、またアメリカで使われているスプリンクラー用などの新用途から需要を伸ばせないでしょうかね。(可)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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