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2003年2月3日
塩ビポリマーには発がん性はありません
(新聞が環境省発表をとり違えて報道した件について)
 1月21日、環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課環境リスク評価室は、「化学物質の環境リスク初期評価等(第2次取りまとめ)の結果について」の報道発表を行い、その内容が翌22日の新聞各紙に報道されました。本件に関し、VECとしての見解を述べます。

1 .塩ビモノマーに発ガン性があるということについては、既に知られているところであり、当業界としても従来から、その認識に基づいて適切な管理を心がけ、実施してきております。今回の環境省の発表に関しても、今後、行政のご指導を得ながら、必要な対応を行っていく所存であります。

2 .今回、一部の報道では、例えば「食品包装材や下敷きなどに使われる塩化ビニルモノマーに、・・・高い発ガンリスクが認められた。・・・」などという表現が使われておりますが、この記述は明らかに誤りであります。
 食品包装材料や下敷きなど文具に使用されているのは、塩化ビニルモノマーを重合反応させて作った、「塩化ビニルポリマー」(塩化ビニル樹脂ともいう)であり、これには発ガン性はありません。新聞各紙の表現では、発ガン性のない「塩化ビニルポリマー」の製品に、あたかも発ガン性があり、リスキーであるとの印象を与えかねず、大変遺憾であります。
 この点に関し、新聞はじめメデイア各位におかれましては、くれぐれも誤解なきよう、お願いいたします。

3 .今回指摘がなされた、地下水中に塩化ビニルモノマーが微量検出されたとの件は、その原因が塩ビ起因であるかどうか、現時点ではつまびらかでありません。一般に、トリクロロエチレンやパークロロエチレンなどの塩素系有機溶剤が地中で微生物によって分解され、ジクロロエチレンなどを経て塩化ビニルモノマーが生成されることが分かっています。
 今回指摘の塩化ビニルモノマーについても、どのような状況でどの程度検出されたのか、その生成要因が何なのか、当業界としては、行政部門のご指導の下、明らかにしていく努力を続けたいと考えています。

4 .ちなみに、当業界では従来から日本化学工業協会と協力し、経済産業省や環境省のご指導を得ながら、塩化ビニルモノマーおよび塩化ビニルポリマーの製造工場における、環境中への塩化ビニルモノマーその他の排出削減の努力を続けてきております。
 塩化ビニールモノマーに関しては、米国EPA基準を上回る自主基準を年度ごとに設定して実現してきており、その他化学物質も含め、年々その成果が現れております。今後とも当業界はこうした努力を続けていく所存であります。
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