数年来、低迷を続けてきた塩ビの需要。今後も環境問題などから、更なる需要の下振れも懸念されていました。しかし、ここへ来て国内景気は上昇傾向を見せ、そしてなりより喜ばしいことにダイオキシンなどを巡る塩ビの環境問題の冤罪も見事に晴れて、需要見通しも明るさを増してきた模様です。
それと無関係ではないのでしょうか、最近の新聞記事では、塩ビを利用した製品の話題があちこちに見られるようになりました。ここ数ヶ月の新聞記事から、塩ビ製品に関するニュースを取り上げました。
先ずは大盛会に終わったアテネオリンピックに関するニュース(やや旧聞ですが…)。
アテネ五輪のサッカー会場「カライスカキ・スタジアム」の屋根は塩ビでコーティングしたもので、日本のテントメーカー太陽工業の技術(7月9日付産経新聞)。女子サッカーの日本対ナイジェリア戦もここで戦われたが、結果は残念ながら日本の惜敗に終わった。
同じく柔道会場のたたみも塩ビコーティングのもの(8月17日付東京新聞)。注文を受けた日本メーカーは、アイボリーカラーの色調に苦労したそうである。柔ちゃんこと谷亮子選手のV2や、前人未到の野村忠広選手のV3もこのたたみの上で成し遂げられた。
広島のバレーボール製造メーカーのミカサは、本社ビルの屋上に塩ビ製で直径6メートルのバレーボール型風船を飾り、五輪ムードを盛り上げた(8月19日付中国新聞)が、結果は残念ながらご承知のとおり。次回中国に望みをつないだ。
さらにその他の記事について。
JR東日本では、テロ対策の一環として、管内300駅で合計2,300台のゴミ箱を、ステンレス製から透明型へ切り替え始めている(7月17日付下野新聞)。捨てられたものが分かるようにとの配慮であるが、この透明型ゴミ箱の透明部分が塩ビ製。…テロや犯罪防止にも役立つ塩ビ。
JRといえば、新幹線東京駅22、23番ホームの待合室が8月いっぱい、花柄のフィルムでラッピングされた(7月19日付フジサンケイ)。大王製紙の提供で、「暑さを忘れる清涼感ある青い花柄で心地よさを提供する」とか。当然、材料は、印刷しやすく汚れにくい塩ビ。
塩ビのフィルムといえば、携帯電話に動物や町並みなどオリジナリティあふれる図柄を貼り付けて個性を出す風潮があって、その展示会が大阪で開かれた(6月30日付朝日新聞)。「ハデハデケータイ」がそのうち街角で巾を利かすかもしれない。一方アキレスは家庭のトイレ用に自己粘着性の装飾シートを開発(7月30日付化学工業日報)、「何度でも張ったり剥がしたりできるうえ、水などで拭くだけで粘着性が回復する」とのこと。両者とも材料は塩ビ。
さらに建材分野では、川島織物がオフィス用タイルカーペットにリサイクル塩ビを50%以上使用し、環境負荷低減を進める企業にアピール(9月1日日刊工業新聞)、ロンシール工業は塩ビに特殊材料を混ぜることで日射の反射率を高め、優れた遮熱性能を持つ屋上用防水シートを上梓した(9月9日付日刊工業新聞)。
と見てくると、やはり塩ビは、応用範囲が広くて加工性はじめ諸特性に優れ、社会生活に必要不可欠な材料なんだなあ、という実感と、それに加えて市民や企業やマスコミも、やっと塩ビの実態を正当に判断してくれ始めたのかなあ、とちょっぴり安堵するのでありました。
|