環境省は9月27日、平成15年のダイオキシン類の排出量のインベントリーを発表しました。それによりますと、平成9年に日本全国で7,680〜8,135g-TEQ発生していたものが、平成15年には376〜404g-TEQにまで削減され、削減率は95%に達したというのです。
ダイオキシン類は従来、その90%以上が廃棄物等の焼却時に発生しており、この抑制に向けて平成11年に「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定され、廃棄物焼却施設に対する設備の改善や運転条件の規制などを中心に対策が進められてきたことはご承知のとおりです。これらの諸規制は、平成14年12月にすべて実施に移されましたので、平成15年のインベントリー結果は、法対策が完全実施された後の初めてのデータとして私たちも注目していました。
その結果は、全体では95%削減ですが、廃棄物焼却施設に限ってみると、平成9年6,500g-TEQだったものが平成15年には145g-TEQとなり、なんと削減率98%、昔の発生量の実に50分の1近くにまで削減されたことになります(環境省8月6日付けの資料に基づく。廃棄物焼却施設としては一般廃棄物焼却施設と産業廃棄物焼却施設の合計)。
このことは、ダイオキシンの発生は、「何を燃やすかではなく、どうやって燃やすか」によるとして、焼却施設の運転条件整備と設備の改善を進めた行政の施策が結実したものであり、大変喜ばしく思います。
さらに、塩ビ業界にとってみれば、「塩ビはダイオキシンの主犯人」、「塩ビさえなくなればダイオキシンはなくなる」といった、「謂われなき風評」に悩まされ、市場縮小を余儀なくされた時代から、やっと陽の当たる場所へ出てこられる、その一里塚がこのインベントリーデータだ、と思えてならないのです。
念のため申し添えますが、塩ビ(のみならず殆んどのもの)を不適切な管理状態で燃焼すればダイオキシン発生の要因になりますが、現在法に適合した状態での燃焼であれば、このデータで見るように、ダイオキシンの発生量はごく少なく、社会に影響を与えるものではないのです。塩ビを、燃やせばダイオキシンが出るからといって忌避することは事実に反します。
塩ビはご承知のとおり、諸特性に優れた使いやすい素材であるだけでなく、省エネルギー面や地球温暖化防止面でも他素材に比べて勝るとも劣らぬ、有用な素材です。ダイオキシンに絡めて塩ビを議論する「風潮」は、もういい加減で止めにして欲しいものです。
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