NO.002
発行年月日:2004/10/07

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トピックス
廃棄物処理施設からのダイオキシン排出98%削減に成功
———ちゃんと燃やせば、塩ビとは関係ありません!
論壇
国家的研究の「怪」
東ソー(株) 金井 晃
お知らせ
編集後記

トピックス

廃棄物処理施設からのダイオキシン排出98%削減に成功

————ちゃんと燃やせば、塩ビとは関係ありません!


 環境省は9月27日、平成15年のダイオキシン類の排出量のインベントリーを発表しました。それによりますと、平成9年に日本全国で7,680〜8,135g-TEQ発生していたものが、平成15年には376〜404g-TEQにまで削減され、削減率は95%に達したというのです。

 ダイオキシン類は従来、その90%以上が廃棄物等の焼却時に発生しており、この抑制に向けて平成11年に「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定され、廃棄物焼却施設に対する設備の改善や運転条件の規制などを中心に対策が進められてきたことはご承知のとおりです。これらの諸規制は、平成14年12月にすべて実施に移されましたので、平成15年のインベントリー結果は、法対策が完全実施された後の初めてのデータとして私たちも注目していました。

 その結果は、全体では95%削減ですが、廃棄物焼却施設に限ってみると、平成9年6,500g-TEQだったものが平成15年には145g-TEQとなり、なんと削減率98%、昔の発生量の実に50分の1近くにまで削減されたことになります(環境省8月6日付けの資料に基づく。廃棄物焼却施設としては一般廃棄物焼却施設と産業廃棄物焼却施設の合計)。

 このことは、ダイオキシンの発生は、「何を燃やすかではなく、どうやって燃やすか」によるとして、焼却施設の運転条件整備と設備の改善を進めた行政の施策が結実したものであり、大変喜ばしく思います。

 さらに、塩ビ業界にとってみれば、「塩ビはダイオキシンの主犯人」、「塩ビさえなくなればダイオキシンはなくなる」といった、「謂われなき風評」に悩まされ、市場縮小を余儀なくされた時代から、やっと陽の当たる場所へ出てこられる、その一里塚がこのインベントリーデータだ、と思えてならないのです。

 念のため申し添えますが、塩ビ(のみならず殆んどのもの)を不適切な管理状態で燃焼すればダイオキシン発生の要因になりますが、現在法に適合した状態での燃焼であれば、このデータで見るように、ダイオキシンの発生量はごく少なく、社会に影響を与えるものではないのです。塩ビを、燃やせばダイオキシンが出るからといって忌避することは事実に反します。

 塩ビはご承知のとおり、諸特性に優れた使いやすい素材であるだけでなく、省エネルギー面や地球温暖化防止面でも他素材に比べて勝るとも劣らぬ、有用な素材です。ダイオキシンに絡めて塩ビを議論する「風潮」は、もういい加減で止めにして欲しいものです。


論壇

国家的研究の「怪」

東ソー(株) 金井 晃

 1997年秋「奪われし未来」日本語訳本が出版された。その直後に東京渋谷の山手教会で開かれた市民集会の受付でホヤホヤのこの本が売られ、参加した大勢の家庭の奥様方があの重い本を抱えて歩き回っていたことを昨日のことのように思い出す。これがいわゆる「環境ホルモン」騒ぎの発端であった。今から思うと、失礼ながら、また、余計なお世話ながら、あの家庭の奥様方はあの本を理解できたのだろうか?

 あれから7年、1998年からの巨額な研究費を投入した国家的な研究が行われたおかげで、「環境ホルモン」は影も形もない実態であったことが判明したように思う。原著に『科学的な推理物語』(A Scientific Detective Story)と副題が書かれていた(日本語訳本にはなかったが)「奪われし未来」は、文字通り『物語』に過ぎなかったことが明らかになったわけではある。しかし、この間の「環境ホルモン」を巡る化学産業界の苦悩・ビジネス機会損失は計り知れないものがある。このことは既に多くの論がなされており、あえてここで繰り返すことはしない。

 現在、過去6年間に及ぶ研究の評価が行われている。環境省のホームページにこの研究の「取組の成果」が収載されているが、「成果」が何であったのか極めて解りにくい。これからの取組の項で「環境ホルモン」についての「正確な理解が深まるよう、広く国民に最新の科学的知見を説明するとともに、リスクコミュニケーションを図って行くいくことが求めらている。」と書かれている。その通りであり、是非リスクコミュニケーションの模範を示して頂きたい。来年度からの研究方針についても議論されているようであるが、何よりも国際的な議論の流れとの整合性をとった適正な評価が、仲間内でない第三者によってまずなされるべきことであろう。研究対象物質を今迄の19物質から1000物質に拡大し研究を進めるような計画で良いのだろうか。『推理』したが犯人はいなかったことは明らかになったのではないだろうか。

 半世紀前の一哲学者の言葉がある。「賢明なる技術とは、何を見過ごすかを見極める技術である。」(アメリカの哲学者W.ジェームス1950、M.ブキャナン著水谷淳訳「歴史の方程式」 原著2000、和訳ハヤカワ書房2003から引用)


お知らせ
展示会 出展紹介

・「第6回ぐんま環境フェスティバル」

開催日時 2004年10月10日(日)
開催場所

群馬県庁県民広場・昭和庁舎
主  催 ぐんま環境フェスティバル実行委員会

・「びわ湖環境ビジネスメッセ 2004」

開催日時 2004年10月20日(水)〜22日(金)
10時〜17時(最終日は16時まで)
開催場所

滋賀県立長浜ドーム(JR田村駅から徒歩5分)

JR米原駅〜長浜ドーム〜JR長浜駅を結ぶ
無料循環シャトルバスを運行。

主  催 滋賀環境ビジネスメッセ実行委員会

PVC NEWS発行致しました

PVC NEWS 50号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。詳細は下記からご覧頂けます。
購読を希望される方は、送付先などご連絡下さい。

http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

編集後記

長かった夏もやっと終わりを告げ、衣替えのシーズン、10月になりました。
今年の夏の特長は、先ず、なんと言っても異例の暑さ…、東京や大阪は真夏日の新記録。加えて台風…、日本上陸の新記録。それと、忘れられないのはオリンピック…、日本の金メダルの新記録。引き続きのパラリンピックでも金メダルラッシュ。いやあ、なかなかのものでした。
そこで得意の語呂合わせ。「今年の夏の特長は、暑さと嵐とアテネ」。
終わってやっと、「秋」が来た。(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
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●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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