NO.006
発行年月日:2004/11/04

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塩ビの差別を正当化できる理由はまったくない。
——PE Europe社、LCA的観点からの塩ビに関する調査結果でコメント
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トピックス

塩ビの差別を正当化できる理由はまったくない。

——PE Europe社、LCA的観点からの塩ビに関する調査結果でコメント


 今年の6月、LCA手法のコンサルタントとして知られるPE Europe社は、塩ビに関するLCA評価研究の結果を公表しました。
この研究は2000年7月に欧州委員会が策定した、塩ビと環境問題に関する緑書(Green Paper)の取り決めに基づいて進められてきたもので、PE Europe社は、欧州委員会の要請に応じてこれまでのLCA報告書を幅広く解析して報告書にまとめたものです。

 今回、この内容が、10月下旬につくばで開催された第6回エコバランス国際会議でPE Europe社から報告され、参加者の注目を集めました。私たちはこの内容に興味を持ち、発表者である同社取締役、マーティン バイツ博士に詳しい内容を聞く機会を得ました。
その内容をかいつまんで言うと、以下のようなものでした。

(1)塩ビは他のすべての素材同様、長所も欠点も持っているので、塩ビが環境に良いとか悪いとかの総論的な議論をするのは意味がない。その使用先や使用目的に応じ、代替素材との比較の上で議論しなければならない。
(2)LCA的手法は、客観的比較をするための最も有効な方法であり、この観点からの判断抜きで素材の代替や使用制限を行うべきではない。
(3)これまでのLCA結果では、塩ビの差別を正当化できる理由はまったく示されていない。

 さらにこの報告では、可塑剤や安定剤によるリスクの問題、リサイクルの技術や市場の問題、個別の塩ビ製品の問題などについても触れていますが、リスク問題については、LCA的観点とは異なる問題であり、両方の特長を生かして判断材料にすべきだとしながらも、塩ビが持つリスクは管理可能であると結論付けています。

 塩ビは、優れた特性をもった素材であり、社会に大きな貢献をしていますが、今回のライフサイクルアセスメントの立場からの評価でも、塩ビ差別の合理的理由がまったくないことが明らかになり、同時に、リスク評価に関しても、塩ビが持つリスクは管理可能であるというコメントが得られた訳です。

 この報告は、従来からの私たちの主張をほぼ裏付けるものであり、こういった報告が公表されたことに対し、歓迎し、嬉しく思うものです。私たちも、日本独自の立場から、塩ビに関するLCA研究を続けてきていますが、今後はこのような海外の研究機関とも連携を強め、塩ビに関する正確な情報を明らかにして社会に発信する活動を強化していく所存です。

 なお、PE Europe社が中心となって作成した、PVCのLCAについての報告書は下記に掲載されています。関心のある向きはどうぞ。
http://www.europa.eu.int/comm/enterprise/chemicals/sustdev/pvc.htm


まちかど妙報室

まちかど妙報室 −その0:まえがき


 今月から登場した新シリーズです。まちかどで見かける様々なことがらにも、塩ビに関係しているものが少なからずあります。そのなかから、にやりと笑っていただけそうな話題を探してお届けします。
 とりあえずこのメルマガでは文章のみでお送りしますが、並行してVECのホームページではその光景を写真付きで掲載いたします。
 読者の皆さんもまちかどで面白いものに出会ったら、このコーナーの作者「浮遊子」さんへ、VEC編集部経由でご連絡下さい。情報ならぬ「妙報」をお待ちしています。


まちかど妙報室 −その1:変えるなら奥さんよりも壁の色!−


 都内某所を散策していて、とあるインテリア屋さんの看板が目に入りました。巾50センチ、高さおよそ4メートル程の看板に大きな字で、なんと、「変えるなら奥さんよりも壁の色」ですと。
 随分と不遜な看板だなと思って店の中をのぞいてもう一度びっくり。
色とりどり、デザインとりどりの内装材が、所狭しと置いてありました。当然、塩ビ製の壁紙も多種多様でした。塩ビ壁紙ならではの種類の豊かさ。おまけに施工性も耐久性も抜群。かく言う浮遊子の家も築18年になりますが、剥がれもなく柔らかな感触を持った壁紙は今なお健在です。
 ユーモア溢れる看板もお客様の様々な要望に自由に応えられるからこそのゆとりと思った次第。塩ビ壁紙への信頼感が生み出したユーモアですよね。やれ環境ホルモンだ、やれホルムアルデヒドの発生源だと言われた塩ビ壁紙。科学的に研究がされ、実態が分かったら、濡れ衣を被らされただけだった訳です。塩ビ壁紙を使えば、丈夫で長持ち、おまけに綺麗、快適なモダンライフをエンジョイしましょう、ネ。
 なに?そんなに塩ビの壁紙がいいのなら、大したことない奥さんをこの際、変えたほうが良いって?
ま、人さまざまでしょうから・・・、「やって見ぃ、やって見ぃ」。
                                      (浮遊子)


読者便り

Q:塩ビ製の包装材は使用禁止なのですか?

 米国より生活雑貨を輸入致しておりますが、とある客先にて「来年度からPVC使用のパッケージを使った商品は環境面の問題により国内流通が不可能となる」とのお話を拝聴しました。 平素日常で広くPVCが使われている状況から、PVCパッケージが禁止となることは理解しがたい問題だと感じます。PVCを使用した商品のパッケージに関する現状、並びに今後の方向性(禁止?または表示方法等々)をご教示お願い致します。
(雑貨輸入商 Aさん  神奈川県)


A:禁止されているのはごく一部です。

<一部の例外を除き、禁止されてはいません>
 PVCパッケージに関し法律で禁止されているのは、可塑剤としてDEHP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)を使った塩ビ樹脂を、油脂性食品の包装材に使用してはならないと食品衛生法において定められているのみです。この処置は油に溶けやすいDEHPが塩ビ樹脂から食品に移行し、その食品を食べることでDEHPの耐容一日摂取量を越えてしまう恐れがあるからとするものです。もちろん、DEHP以外の可塑剤を使った塩ビ樹脂は禁止されておりません。
 その他の例として、法律とは別ですが、家電や自動車など最終消費財を生産する一部企業で、PVC包装材などに関して自主規制を行っているところがあります。その理由は様々ですが、燃焼時のダイオキシンや可塑剤の環境ホルモンなどの、風評に基づいた誤解によるところも一部あるようです。
 貴社がお取り扱いの雑貨用包装材については、上記範囲に入らない限り、問題ではないと考えます。

<表示について>
 日本に輸入される商品のプラスチック製容器包装については、容器包装リサイクル法に基づく表示義務があります。PVCの場合「その他プラスチック」として定められたマークと「PVC」という材質表示が義務付けられています。企業規模によっては例外規定もありますので、詳しくは日本プラスチック工業連盟(03−3586−9761)にお尋ね下さい。また食品容器の場合でしたら塩ビ食品衛生協議会(03−3501−8728)にお問合せ下さい。

<PVC包装材問題の経緯と今後>
 90年代中期に、風評に基づいた塩ビ批判が高まり、包装材についてもPVC使用を控える動きがありました。その後、適切な焼却でダイオキシン発生は十分に管理できることが判り、また可塑剤の環境ホルモンの疑いも晴れ、PVC製品の使いやすさ、堅牢さ、安価さなどを買って、納入部品用のPVC包装に関しては関知しないという企業が殆んどとなっています。
 しかし、自社製品の包装へのPVC自主規制を唱える企業は見受けられます。
 私たち製造業は、消費者重視なればこそ科学的態度で臨むべきであり、それによって市場から信頼をいただけると考えます。VECとしても環境と経済の両立による持続可能な成長を願う立場から、調査研究を進めて事実とデータを広く公表し、PVC包装材、ひいてはPVC製品全体の健全な発展に力を尽くして行きたいと考えています。
(回答者:VEC 梶ヶ野彰)


お知らせ
セミナー

・慶應義塾大学 開放環境科学専攻

  16年度・後期 一般・環境公開セミナ−
  テ−マ:『21世紀は人類最後の世紀になるか?』
期間 平成16年10月23日(土)〜平成16年12月18日(土)全6回
時間

13:30〜15:00(90分)(休憩10分)15:10〜16:40(90分)
場所 慶應義塾大学・日吉キャンパス・来往舎2階 中会議室
募集人数 学生30名・一般30名
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469
詳細は下記URLをご覧下さい。
http://www.env-center.com/report/index.html

・同志社大学 環境公開セミナ−

  テ−マ『プラスチックと環境問題』

容器包装リサイクル法が、公布されてから9年が経過しました。

各種問題も発生し、企業や自治体の試行錯誤が続いています。
そこで、化学業界の方々と共に今後の環境問題を考察します。
期間 平成16年11月9日(火)〜12月14日(火)全4回
場所

同志社大学経済学部・今出川キャンパス 至誠館4番教室
時間 13:15〜14:45
募集人数 150名(先着順・満員の場合は通知します)
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469

展示会 出展紹介

・「ジャパンホームショー&ビルディングショー2004」

開催日時 2004年11月16日(火)〜19日(金)
10時〜17時(最終日は16時30分まで)
開催場所

東京ビッグサイト

東1・2・3ホール

主  催 (社)日本住宅設備システム協会
(社)日本能率協会

樹脂サイディング普及促進委員会及び
樹脂サッシ普及促進委員会にて出展しています。


編集後記

 11月です。Novemberです。霜月です。そういえば朝晩めっきり涼しく(寒く?)なりましたね。
 今週から、二つの新機軸をはじめました。一つはVECの名コメンテーター「浮遊子」氏による、まちかど妙報室。某TVに似たような番組がありますが、多分こちらのほうが面白い。もう一つはVECのHPに寄せられた問い合わせに対するQ&A。月刊時代にもありましたが、こちらは真面目なコーナーです。両方とも、乞うご期待。
 いやいや、まちかど妙報室だって、至って真面目なコーナーですよ。
                                              (H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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