10月27日のフジサンケイビジネスアイに、「新風吹くか読書入浴」と題して、お風呂に入りながら読める文庫本を出版した東京の出版社の記事が載りました。普通の本だとお風呂では濡れてしまって駄目だけど、この文庫本は濡れても大丈夫。なぜなら、紙の代わりに塩ビのフィルムを使用した、塩ビ製文庫本だというのです。
興味を惹かれて出版社に電話してみたら、なんと住所は私たちVECのオフィスの目と鼻の先、歩いて5分ほどのところでした。早速出かけていって、くだんの出版社、(有)フロンティアニセンの真下社長にお目にかかり、塩ビ本開発のお話を聞かせてもらいました。
もともと同社は国際電話のプリペイドカードの製作会社ですが、新製品開発のネタを探していたところ、「お風呂で半身浴をしながら本を読みたい」という某女優さんの新聞記事にヒントを得て、塩ビの加工メーカーと半年に渡る苦労の末、開発に成功するに至ったということです。
フロンティア文庫と名づけたこの本、現在は「風呂で読む文庫100選」を20巻刊行したばかりだそうですが、引き続き、「風呂で読む漫画100選」、「風呂で読む時代小説100選」と矢継ぎ早に世に問うとか。
「開発のポイントはページのとじこみ部まですべて塩ビ製にしたこと。これまた総塩ビ製の専用本箱も用意してあります。国内外に特許も申請しています。コスト的になかなか難しい面もあるが、塩ビの特長を生かして国内のみならず、海外にも販促したいと思っています。」と、社長は意気軒昂でした。
そこで実物を見せていただき、手に取ってみました。紙製と違って、清潔感にあふれ、なかなかの貫禄、ただし、ややずしりと重い。と思った瞬間、社長が、「重い、というご意見がありますので、フィルム厚みを薄くすべく、改良中です。」とコメント。ついでに、お風呂の中で手にとらなくてもいいように、間伐材利用の書見台を開発中だそうで、さらについでに、その書見台は本の横に徳利と盃をセットする場所も確保するとか。まさに「我が意を得たり」ではありませんか。
本の奥付けには、「この本はプラスチック製なので、不要になった時、送り返して下されば安全に処理します。」ということと、「塩ビなど塩素含有量の多い廃棄物でも、適切な条件での燃焼処理により、ダイオキシンの生成は規制値の範囲内に充分管理できます(塩ビ工業・環境協会)。」という趣旨の文章が載っていました。いや、まさにその通り、充分のご配慮です。
嬉しくなって、VECのオフィスの塩ビ製品展示ケースに展示しようと、3冊ほど入手しました。ちなみに販売価格は一冊735円(税込み)です。店頭での販売は今のところ、大手書店の丸善の丸の内本店のみだそうです。
しかし、手にとって眺めていると、この類の本を手にして(書見台に乗せて?)読書にふけっている、半身浴中の「某女優」の姿が目に浮かんできて、不謹慎ながら思わず鼻の下が長くなるのでありました。
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