NO.010
発行年月日:2004/12/02

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トピックス
知る人ぞ知る、塩ビパイプ製のスピーカー
加工しやすく、安価でしかも音がとびきり良い!
論壇
未来技術の素晴らしさ
倉敷市 牧野 哲哉
お知らせ
編集後記

トピックス

知る人ぞ知る、塩ビパイプ製のスピーカー

加工しやすく、安価でしかも音がとびきり良い!


 10月31日付の東京新聞をご覧になった方も多いのではないでしょうか。日曜日の特集、「サンデークラフト」というコーナーに、塩ビパイプで作ったオーディオ用のスピーカーの話題が載りました。
 千葉県館山市在住の市民の方が、ホームセンターで買ってきた塩ビパイプと継ぎ手を組み合わせてスピーカーとして使ってみたところ、小さなスピーカー本体の割には素晴らしい、迫力ある音が飛び出してびっくりしたのだそうです。製作は簡単「スピーカーさえあれば、1時間もかからない」ですし、値段も安い「スピーカー込みでも1万円以内」、それでいて音質は抜群「なんといっても音がきれいで、ソフトごとの録音状態がはっきり分かるほど」というのですから、マニヤにはこたえられないのでしょう。

 これは面白い、というわけで、その記事に載っていた、館山市の谷古宇(やこう)さんのホームページをサーフしてみました。するとなんとそのホームページには、全国各地の20人以上のオーディオマニヤたちが、自作のスピーカーを紹介して自慢話に花を咲かせているのです。

 サーフしてみてまず分かったことは、スピーカーの材料は、(残念ながら)塩ビパイプでなくてもよい、いろいろある、ということ。紙筒やコンクリートのパイプを使っている例もあれば、道路工事に使う、赤いトンガリ屋根の注意標識(カラーコーンというらしい)を用いているケースもあり。なんと、ペットボトルを使った例まであります。要するに、共鳴作用がポイントなのだから、何でもいいんだ、とこれは、オーディオマニヤを自認する、我が同僚の弁。
 また、それぞれ独創的な工夫を凝らしていて、たとえば、車の中にパイプを持ち込み、カーオーディオを一変させた人もいれば、パイプにペンキを塗ってサイケにしたり、凝ったものとしては漆を塗った、やや神がかり的なものもある。
 次には、マニヤたちの幅の広さ。高校2年の男性から、60歳過ぎのオジサンまで、また、住んでいるところも、東北や九州から、伊豆大島、果てはアメリカはミネソタ州在住の人まで、実にさまざま。長年やっている人もいて、「もう10年前に作ったものです」という写真が載っていたりする。

 要するにこの塩ビ製スピーカーは、簡単に加工できてしかも音調を変えようとすると簡単に改良・改善できる、なおかついろいろ工夫が可能で、何より音質が素晴らしいというのが「売り」のようです。
 そういえば一時、塩ビ製の尺八という話題があって、これまた材料が安価で加工が簡単(素人でも作れる)なので、小・中学校の音楽の時間に手作りして使っているという話を聞いたことがあります。

 加工しやすく安価でしかも性能が出る塩ビ製品を、もっといろいろな分野で使用していただきたいものです。

塩ビパイプ製スピーカーのより詳しい話は下記へどうぞ。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tyuuou/enbisp.htm


論壇

未来技術の素晴らしさ

倉敷市 牧野 哲哉

 あるいはロシアが批准せずに流れるかもしれない、と秘かに期待した人もいただろうと思うが、京都議定書の発効が確定した。日本はCO2の排出を、1990年の−6%に削減しなければならない。国際的な義務である。なまやさしいことではない。日本の国全体の雰囲気が一変する程のインパクトのある事だと私は思っている。

 地球温暖化ガスの排出削減のためには、徹底した省資源、省エネルギーをやるしかない。資源・エネルギー効率を抜本的に飛躍させた最先端技術を、幾つも幾つも開発しなければならない。地球温暖化なんて起きないし、石油だって経済原則で可採埋蔵量が変化し当面枯渇の心配はない、と言う議論は横へ置いて、省資源、省エネルギーの未来技術の話を少ししたい。

 経済産業省は、今年の3月に、燃料電池実用化戦略研究会(資源エネルギー庁長官の私的研究会)の作成した、水素エネルギー社会構築に向けたシナリオを発表した。それによれば、2030年における燃料電池自動車の導入規模を1500万台と試算している。また、技術開発目標として次のような数値を上げている。このシナリオを途方もないと思いつつも、最新の研究成果を聞く機会があった。

水素の小売価格:450円/Kg以下、水素の車載量:7Kg以上、
燃料電池のエネルギー効率:自動車用60%以上 定置用40%以上、
燃料電池の耐久性: 自動車用5千時間以上・起動停止6万回以上
定置用9万時間以上、
燃料電池の経済性: 自動車用4千円/KW以下(スタックコスト)
定置用40万円以下(システム価格)

 燃料電池は、水の電気分解の逆である事は誰でも知っていると思う。この事を実験で証明したのは、今から何と165年も昔、法律家(!!)のGrove卿だそうである。燃料電池の最大の課題は寿命とコストである。現状、電極に使えるのは白金しかない。白金の使用量を徹底的に少なくしたい。活性炭に担持して表面積を増やす程度では話にならない。もっと減らしたい。今、最も進んだ研究室では、白金の原子を一個一個並べて活性化する研究がなされている。まさにハイテク最先端の技術である。 

 電解質膜も高価で、寿命も性能も不十分である。今のものより高性能で、寿命が長く、安価な物を創らねばならない。ここでも機能性高分子膜の開発研究が熱い。燃料電池を実用化し、普及させるためには、コストを百分の一にしなければならない。つい最近まで、私は殆ど不可能だろうと思っていた。だが、人の知恵とは素晴らしい。最先端の人達の成果報告を聞いてみて驚いた。卓越した着想を精緻な実験を積み重ねて確認し、途方もない目標を一つ一つ実現しつつある。関係者に対し頭が下がる思いがした。

 一方、燃料の水素をどうするかと言う問題がある。忘れ勝ちだが、水素エネルギーは二次エネルギーである。電力と同じで水素を作るためにはエネルギーが必要で、そこでCO2を出しては話にならないのである。この点、燃料電池車は少し混乱している。化石燃料に頼りたくないとすれば自然エネルギーしかない。やはり太陽エネルギーだろう。手っ取り早くバイオマス(成長の早い植物)を原料にする考え方もあろうが、実は、日本列島の全耕地面積を持ってバイオマスを栽培しても足りないのである。バイオマスは耕地面積に余裕のある、オーストラリアの様な地域でしかやれない話である。そこで、太陽エネルギーを使って「植物より効率良く水から水素を作ろう」と考えた人達がいる。

 水に太陽光線を当て、いきなり水素と酸素に分解してしまう高性能触媒を開発するのである。この触媒が開発されれば、バケツに水を張って太陽に当てれば、それだけで水素と酸素がブクブク出てくることになる。正に夢の様な話である。紫外線で分解するものは以前からあった。でも地表では紫外線が少ない。植物と同じように可視光線でこれをやりたい。それがついに出来そうなのである。正に触媒化学の勝利である。まだ先は長いのだが期待に胸が膨らむ。

 危機と恐怖ばかりをふれ回る環境学者より、乏しい研究費でコツコツと最先端の研究に没頭する人達に、万感の思いを籠めて拍手を送りたい。

(興味ある方は下記HPへどうぞ)

山梨大学クリーンエネルギー研究センター
http://www.clean.yamanashi.ac.jp/

東京大学大学院工学系研究科化学システム専攻 堂免研究室
http://www.chemsys.t.u-tokyo.ac.jp/chemsys/labs/domen/index.html

お知らせ
セミナー

・慶應義塾大学 開放環境科学専攻

  16年度・後期 一般・環境公開セミナ−
  テ−マ:『21世紀は人類最後の世紀になるか?』
期間 平成16年10月23日(土)〜平成16年12月18日(土)全6回
時間

13:30〜15:00(90分)
(休憩10分)15:10〜16:40(90分)
場所 慶應義塾大学・日吉キャンパス・来往舎2階 中会議室
募集人数 学生30名・一般30名
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469
詳細は下記URLをご覧下さい。
http://www.env-center.com/report/index.html


・同志社大学 環境公開セミナ−

  テ−マ『プラスチックと環境問題』

容器包装リサイクル法が、公布されてから9年が経過しました。

各種問題も発生し、企業や自治体の試行錯誤が続いています。
そこで、化学業界の方々と共に今後の環境問題を考察します。
期間 平成16年11月9日(火)〜12月14日(火)全4回
場所

同志社大学経済学部・今出川キャンパス 至誠館4番教室
時間 13:15〜14:45
募集人数 150名(先着順・満員の場合は通知します)
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469


展示会 出展紹介

・「エコプロダクツ2004」

開催日時 2004年12月9日(木)〜11日(土)
10時〜17時
開催場所

東京ビッグサイト

東4・5・6ホール

主  催 (社)産業環境管理協会
日本経済新聞社

編集後記

 秋深し、隣は何を食う人ぞ。
 サラリーマンの興味と関心事の一つは、毎日の昼食。VECが今の茅場町のオフィスに移転してから約1年、周辺の様子にも慣れ、ランチスタイルもだんだん定まってきました。
 H2の週間昼食日程は、(1)うどん、(2)そば、(3)さかな定食、(4)パン類、(5)ハンバーグ類、で決まり。たまには出張もあるし、来客と一緒の時もあり、そのときは別。大体一食600〜800円検討。
 この食生活を、健全と見るか、肥満のもとと見るか、一度専門家の意見を聞いて参考にしたいものです。(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  原田 浩

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