NO.011
発行年月日:2004/12/09

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トピックス
樹脂サッシ利用の高断熱・高気密住宅で、環境革命の第一歩を
小池百合子環境大臣、セミナーで力説

塩ビ高炉原料化システムの記者見学会開催される

論壇
産業の競争力を削ぎ、不公平で、温暖化防止効果も限られる、
今の環境税には、断固反対します。
VEC専務理事 西出徹雄
お知らせ
編集後記

トピックス

樹脂サッシ利用の高断熱・高気密住宅で、環境革命の第一歩を

小池百合子環境大臣、セミナーで力説


 VECと(財)地球・人間環境フォーラムが主催した、第2回「住まいと環境・エネルギーセミナー」が11月26日(金)の夜、千代田区の東京FMホールで開かれました。この催しは昨年11月に、銀座のガスホールで開いた第1回セミナーに続くもので、定員300名に対し、400名近い応募があり、当日は超満員の盛況でした。

 今回は環境省のご尽力で、小池百合子環境大臣に、超多忙の中、ご出席いただきました。大臣は冒頭のご挨拶の中で、「世界は産業革命に続いてIT革命の時代に入り、これからはいわば環境革命の時代だ。この環境革命の中で、日本は中心的な役割を果たすべきであり、そのために日本人として何をなすべきかを考えねばならない」と指摘され、当面の課題としての地球温暖化問題に対する環境省の政策について説明された後、「京都議定書の目標を達成するためには、炭酸ガス排出量が大幅に増加している、生活部門での対策が急務である。そのためにも、樹脂サッシを利用した高断熱・高気密住宅の普及が重要である」と所信を表明されました。

 続いて淑徳大学北野大教授が基調講演されました。氏は、人類のエネルギー使用の過去・現在・未来について紹介され、「産業革命以来今日まで、人類は石油や石炭などのいわゆる『地下の太陽エネルギー』を消費してきた。このエネルギーは蓄積が効かず、地球温暖化もそのために起こってきた。これからは太陽光、風力、バイオマスなど、『地上の太陽エネルギー』を中心に使用する社会にしなければならない。われわれはいわば『新太陽族』を目指すべきだ」と力説されました。

 後半はパネルディスカッション。フリージャーナリストの村田佳壽子さんをモデレーターに迎え、北野大淑徳大学教授、坂本雄三東大大学院教授、小林光環境省環境管理局長、それに中原茂明(株)トクヤマ社長(VEC会長)の4名が加わって、「クリーンで快適な住まい」をテーマに意見交換をしました。まず話題提供として三菱総研の小島浩司主任研究員が、家庭での省エネ・温暖化対策に関する意識調査の結果について話され、「一般市民は地球環境問題を深刻に受け止めており、京都議定書の目標達成の諸施策を強力に進めるべきだと考えている」こと、しかし、「家庭での省エネ努力もそこそこしているが、便利さや快適さをキープし、かつ従来の生活習慣を変えないで出来ないものかと考えている」ことなどが報告されました。
 引き続きの意見交換では、実際に率先してエコハウスを建設し、居住している小林局長の体験談に関心が集まり、「経済的にペイするとは言い難いが、経済性のみならず、快適さ、健康性なども考慮した。住み心地は最高に良い。窓に結露もしないので、外の雪景色を室内で見ながら一杯飲れる」という氏の発言にみな納得。関連して樹脂サッシや樹脂サイディングの有用性について議論が弾み、大きな効果が期待できるこれら製品の普及について、業界筋はもとより、広く国民的見地からも製品PRやインセンティブ制度の整備を進めるべきであるとの意見が大勢を占めました。

 充実した2時間余が終わって帰途、ホールから外へ出た参加者を、折からの満月が照らし出し、有益で成果の多かったセミナーを、あたかも祝福しているかのように思えたものでした。



塩ビ高炉原料化システムの記者見学会開催される


 JFEスチール(株)は、今年から東日本製鉄所京浜地区で使用済み塩ビ製品を高炉原料及び塩酸としてリサイクルするシステムを本格稼動させています。この度12月6日にこのシステムをマスコミ関係者に実地に見てもらう見学会が開催されました。

 当日は一般紙、業界紙あわせて25社29人の記者さんたちが参加され、収集された各種使用済み塩ビ製品が破砕され、ロータリーキルンで分解処理され、高炉の還元剤と塩酸が生産されるプラントを見学しました。さらに時間に余裕のある方々は、生産された塩酸が使われる、熱延コイルの酸洗浄処理工程も見学しました。

 見学を通じて、熱心な質問も多く、その結果は翌日の朝日新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞、化学工業日報、鉄鋼新聞などに記事として掲載され、また時事通信では当日夜のヤフーニュースに配信されました。


論壇

産業の競争力を削ぎ、不公平で、温暖化防止効果も限られる、

今の環境税には、断固反対します。
VEC専務理事 西出徹雄

 この所、マスメディアを賑わせている話題の一つに、地球温暖化防止のためとして政府や与党の一部が進めようとしている、環境税の問題があります。まもなく発効する京都議定書で日本が公約している温暖化ガス排出量削減のため、石炭、石油、天然ガスなどCO2発生のもととなる化石燃料と電気を消費することについて税金を課し、それをCO2発生抑制対策に充てて公約を実現しようというものです。

 温暖化防止が日本、いや世界にとって重要であることは論を待ちませんが、そのためには、この問題を国民全体の問題として捉え、民間での創意工夫の結集や、国民各界各層の総力を上げた取り組み、さらには途上国への協力を通じた排出権確保などの手段により対応するべきです。これまでの取り組みを充分評価し、見直し、最適化した上での議論ならばとにかく、まず税ありき、まず国民負担、企業負担を求めるのは、如何なものでしょうか。

 さらに現在取り沙汰されている環境税案は、ガソリン約2円/L、電気などで家計に約300円/月増程度のものだそうです。現在CO2排出が増大しているのは民生部門、運輸部門ですが、この程度の負担増で国民の多数が資源節約に走るとは、ガソリン約15円/L以上の急激な値上がりを最近経験した私たちにとっては、どうしても納得いきません。
 一方、この税により、VEC加盟各社全体ではなんと年間数十億円の負担増が見込まれ、やっと上昇の兆しを見せてきた経営の大きな足枷となります。大げさに言えば、生産拠点として日本ではなく、税負担の軽い諸外国をより重視する経営姿勢にもつながり、日本の産業の空洞化を招くとともに、その国でCO2を排出し、結果的には、世界での温暖化防止対策に逆行することにもなりかねません。

 とはいえ、CO2削減のためには費用がかかりますが、わが国は既に政府全体で1兆円を超える予算を温暖化対策に充てており、今後さらに拡充される予定だそうです。これらの有効活用をまず考え、「増税なき温暖化対策」を追及するべきではないでしょうか。

 こういった観点から、VECとしてはこの環境税については業界挙げて反対することとし、先に日本化学工業協会や石油化学工業協会などとともに、「化学産業団体・地球温暖化対策協議会」を設立し、活動を開始しました。新聞等のマスメディアを通じて意見の公開を始めており、今日12月9日の早朝には、日本経済団体連合会以下の産業界約60団体とともに「環境に名を借りた新税反対総決起大会」を開催し、広く国民の皆様に理解を求めたところです。

 ぜひ、この活動に引き続きご理解とご支援を賜りたく、お願い申し上げます。


お知らせ
セミナー

・慶應義塾大学 開放環境科学専攻

  16年度・後期 一般・環境公開セミナ−
  テ−マ:『21世紀は人類最後の世紀になるか?』
期間 平成16年10月23日(土)〜平成16年12月18日(土)全6回
時間

13:30〜15:00(90分)
(休憩10分)15:10〜16:40(90分)
場所 慶應義塾大学・日吉キャンパス・来往舎2階 中会議室
募集人数 学生30名・一般30名
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469
詳細は下記URLをご覧下さい。
http://www.env-center.com/report/index.html


・同志社大学 環境公開セミナ−

  テ−マ『プラスチックと環境問題』

容器包装リサイクル法が、公布されてから9年が経過しました。

各種問題も発生し、企業や自治体の試行錯誤が続いています。
そこで、化学業界の方々と共に今後の環境問題を考察します。
期間 平成16年11月9日(火)〜12月14日(火)全4回
場所

同志社大学経済学部・今出川キャンパス 至誠館4番教室
時間 13:15〜14:45
募集人数 150名(先着順・満員の場合は通知します)
参加申込

下記必要事項を記入の上、FAX又はメールにて申込下さい
(1)住所 (2)氏名 (3)メールアドレス (4)FAX番号 (5)参加希望日

株式会社テムス・環境コミュニケ−ションセンタ−事務局
FAX 03−3547−3656
mail: http://www.adad.jp/i/p/29469


展示会 出展紹介

・「エコプロダクツ2004」

開催日時 2004年12月9日(木)〜11日(土)
10時〜17時
開催場所

東京ビッグサイト

東4・5・6ホール

主  催 (社)産業環境管理協会
日本経済新聞社

編集後記

 裏庭のユリノキが、先日の強風で完全に裸になりました。春から秋にかけてはうっそうと葉を茂らせ、コガラやムクドリ、オナガやヒヨドリ、カラスやハトなどなど、数々の鳥たちの遊び場であり隠れ家だったのですが・・・。
 裸はいいのですが、落ち葉が大変。廃棄物として処理しようにも、この大量ぶりではどうにもなりません。やむを得ず、庭の一隅に集めて「落ち葉焚き」です。たまにはサツマイモをもぐり込ませて焼き芋としゃれ込んだり・・・。
 しかし、度を過ぎると、近所のマンションから苦情が舞い込む。
 あーあ、環境の時代も、暮らしにくいものだなあ。

 と嘆いているのは実は我が家ではなく、我がマンションの裏にある神社の話。しょっちゅう焚き火して、煙いし、臭いし、「ダイオキシンが出てるぞ」と苦情を言ってもなかなか埒があきません。
 まあ、子供のころの焚き火を思い出して、郷愁にふけることで辛抱いたしましょう。(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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