VECと(財)地球・人間環境フォーラムが主催した、第2回「住まいと環境・エネルギーセミナー」が11月26日(金)の夜、千代田区の東京FMホールで開かれました。この催しは昨年11月に、銀座のガスホールで開いた第1回セミナーに続くもので、定員300名に対し、400名近い応募があり、当日は超満員の盛況でした。
今回は環境省のご尽力で、小池百合子環境大臣に、超多忙の中、ご出席いただきました。大臣は冒頭のご挨拶の中で、「世界は産業革命に続いてIT革命の時代に入り、これからはいわば環境革命の時代だ。この環境革命の中で、日本は中心的な役割を果たすべきであり、そのために日本人として何をなすべきかを考えねばならない」と指摘され、当面の課題としての地球温暖化問題に対する環境省の政策について説明された後、「京都議定書の目標を達成するためには、炭酸ガス排出量が大幅に増加している、生活部門での対策が急務である。そのためにも、樹脂サッシを利用した高断熱・高気密住宅の普及が重要である」と所信を表明されました。
続いて淑徳大学北野大教授が基調講演されました。氏は、人類のエネルギー使用の過去・現在・未来について紹介され、「産業革命以来今日まで、人類は石油や石炭などのいわゆる『地下の太陽エネルギー』を消費してきた。このエネルギーは蓄積が効かず、地球温暖化もそのために起こってきた。これからは太陽光、風力、バイオマスなど、『地上の太陽エネルギー』を中心に使用する社会にしなければならない。われわれはいわば『新太陽族』を目指すべきだ」と力説されました。
後半はパネルディスカッション。フリージャーナリストの村田佳壽子さんをモデレーターに迎え、北野大淑徳大学教授、坂本雄三東大大学院教授、小林光環境省環境管理局長、それに中原茂明(株)トクヤマ社長(VEC会長)の4名が加わって、「クリーンで快適な住まい」をテーマに意見交換をしました。まず話題提供として三菱総研の小島浩司主任研究員が、家庭での省エネ・温暖化対策に関する意識調査の結果について話され、「一般市民は地球環境問題を深刻に受け止めており、京都議定書の目標達成の諸施策を強力に進めるべきだと考えている」こと、しかし、「家庭での省エネ努力もそこそこしているが、便利さや快適さをキープし、かつ従来の生活習慣を変えないで出来ないものかと考えている」ことなどが報告されました。
引き続きの意見交換では、実際に率先してエコハウスを建設し、居住している小林局長の体験談に関心が集まり、「経済的にペイするとは言い難いが、経済性のみならず、快適さ、健康性なども考慮した。住み心地は最高に良い。窓に結露もしないので、外の雪景色を室内で見ながら一杯飲れる」という氏の発言にみな納得。関連して樹脂サッシや樹脂サイディングの有用性について議論が弾み、大きな効果が期待できるこれら製品の普及について、業界筋はもとより、広く国民的見地からも製品PRやインセンティブ制度の整備を進めるべきであるとの意見が大勢を占めました。
充実した2時間余が終わって帰途、ホールから外へ出た参加者を、折からの満月が照らし出し、有益で成果の多かったセミナーを、あたかも祝福しているかのように思えたものでした。
|