NO.030
発行年月日:2005/05/12

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トピックス
◇帰ってきたレザーバッグ
  「塩ビ製品カタログ」の一角を飾る

随想
「英国ブライトンでの第9回国際塩ビ会議に参加して」
塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄
お知らせ
編集後記

トピックス

◇帰ってきたレザーバッグ

「塩ビ製品カタログ」の一角を飾る

 今年のゴールデンウイークは、天候にもまずまず恵まれ、それなりに楽しまれたことでしょう。幹線道路は先週末に混雑のピークを迎え、例によって数十キロの渋滞になったと報道されていました。

 ピークといえば、塩ビに対する社会からのバッシングは、1998年頃がピークでした。この年には、有力新聞4紙に、年間で延べ200件を越える、「塩ビとダイオキシン」に関連した記事が掲載されました。つまり、殆ど毎日、ダイオキシンにかこつけて塩ビを批判する記事が社会に向けて流されるという事態だったのです。
 この影響を受けて、日用品や包装材料をはじめ、広い分野で塩ビ離れが起こりました。塩ビを他の素材に代替することが、それだけで「環境に優しい」行動ともてはやされたためです。塩ビを代替しないまでも、塩ビ製であることを公表しなくなる向きも増えてきました。私たちにとっては大変悲しい状況でした。

 それから7年経過した今、いわゆるダイオキシン問題の本質は、燃焼設備と燃焼条件にあったことが明らかになり、塩ビに対する不当な風当たりは急減しました。一度は塩ビ離れした分野でも、塩ビに対する風評に惑わされず、塩ビの本質をよく吟味され、再度塩ビを使用し始める分野が徐々に増えてきています。また、塩ビ製であることを堂々と公表する風潮も出てきました。

 そういった分野の一つに、バッグやケースの分野があります。加工性と印刷性に優れ、軟らかさや風合いを自由に調節できて多彩な色彩表現が可能な、塩ビ製のいわゆるビニルレザーは、世界の有名ブランド品のバッグやケースの表装材などとして使われ続けています。
 こういったバッグメーカーでも、一時の風潮を受けて、塩ビ製であることを明言しなくなったり、一部で非塩ビ製品のメニューを増やしたりしました。売る側の論理として理解はできるものの、私たちにとっては残念な流れでした。

塩ビ製品カタログより転載
 ところが最近、私たちの情報提供活動の一つとして、「塩ビ製品カタログ」なるパンフレットを発行することとなり、ビニルレザーの主要用途品として、バッグを掲載しよう、それも写真入りで、ということになりました。
 そこで、私たちの担当者が、東京の銀座の某デパートへ出向き、出品してある世界の有名ブランド品のバッグについて、塩ビ製であるかどうか、もしそうなら、その写真を掲載することを了解してもらえないか、聞き合わせと交渉を試みました。往時のこの世界の塩ビに対するニュアンスを知っているだけに、担当者としてはおっかなびっくり、ダメモトの精神だったようです。

 結果は? 問い合わせた6社のうち、塩ビ製であることを明言したのは4社、そのうち3社は写真の公表についてもOKをいただきました。おかげで「塩ビ製品カタログ」には、様々な塩ビ製バックの写真を掲載することができた、という訳です。

 バッグに限らず、製品の素材としては、その製品の目的に照らして最適なものを選択するべきです。素材選択に当たっては環境面も含めた考慮が必要なことは当然ですが、世間の風評やそれに基づく市民の誤解に惑わされず、塩ビレザーを選択し、それを堂々と公表する、このバッグメーカー各社の良識に拍手を送りたいものです。

随想

「英国ブライトンでの第9回国際塩ビ会議に参加して」

塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄


会場の_Hilton_Metropole
初日の全体会議
各社の展示場兼飲み物サービス場
Pier_からの眺め
 昨年11月にソウルで開かれた世界塩ビ会議(GVC)の際に、英国での首記会議の紹介と、日本と東南アジア市場についての講演の依頼があり、初めて参加しました。この会議は、3年に1度のペースで毎回ブライトンで開かれ、世界中から500人規模で集まるため、会議としてはすっかり定着しているようです。
 ブライトンはロンドンから真っ直ぐ南に下った海沿いの街で、18世紀末に、当時はまだ皇太子だったジョージ4世が離宮Royal Pavilionをこの地に建設し、その後の代々の国王(ビクトリア女王は姪に当たるそうです)がこの地を訪れ、にぎやかな時代があったようですが、現在は保養地と日本からの語学留学の場所にもなっているようでした。海沿いですから美味しい魚系のしゃれたレストランもあります。

 さて、今回の会議ですが、今まで参加した、あるいは聞いたことがあるという日本の方が少ないようですので少し詳しく説明してみます。
 主催者はThe Institute of Materials,Minerals and MiningとBritish Plastic Federationが共催し、欧州塩ビ協会などが協賛支援する体制です。会議自体は2日半で初日は全体会合(私が講演したのもこの日です)、残り1日半は3つのセッションに分かれて開かれます。
 今回の全体テーマはADDING VALUE TO SOCIETYというもので、この大テーマを高分子重合・パイプ・軟質塩ビ・添加剤・加工技術・窓枠・サステイナビリティーなどのテーマに分けて時間を区切り、延べ73の講演が行われました。従来は技術的な発表が多かったと聞きましたが、最近はサステイナビリティーや化学物質に関する規制が進んでいることから、そうした内容の割合が増えているように見えます。
 講演会場の横には展示ブースもだされていて、コーヒーなどの飲み物を提供する場を兼ねています。

 また、従来から参加者の中心は欧州企業であることに間違いありませんが、今回の参加者リストを見るとアジア勢も着実に増えている様子で、中国、韓国、シンガポールなどに加え、タイからはVinythaiが17名、サウジはSABICを中心に7名が参加していました。ところが日本からの参加は私を除くと2名(いずれもヴイテック)だけ、現地子会社からの参加は数名でしたが、いずれも日本人ではありませんでした。読者の皆さんはこのような現状をどう感じられるでしょうか。
 コーヒーブレイクの合間に参加者と話しをしてみると日本やアジア市場への関心は高く、また現在日本で力を入れている窓枠の発表も多く出されていますから、参考になる点も少なくないと思います。また、安全性の問題、欧州のREACH規制などについての動きもこれから益々盛んになるでしょうから、こうした場に参加して、新しい動きについて知ると同時に、貴重な人脈作りの機会でもあるのではないでしょうか(疑問が出てきたら直接本人にメールで聞けるのは大きな強みです)。

 次回は2008年にまたブライトンで開かれるでしょうが、その時には是非日本からも大いに参加し、発表も行い、講演やディスカッションへの積極的な参加を通じて、広いネットワーキングを進めていくことが重要であると感じました。

お知らせ
展示会 出展紹介

・第3回「三重の21世紀リーディング産業展」


開催日時 2005年5月20日(金)〜21日(土)
10:00開場

開催場所 四日市ドーム
(四日市駅より無料シャトルバス運行)

主   催 三重の21世紀リーディング産業展実行委員会

入場無料

塩ビ工業・環境協会は、「エネルギー・環境ゾーン」に樹脂サッシ、樹脂サイディング関連、及び各種リサイクル塩ビ製品の事例を展示いたします。

詳細は、下記の三重県ホームページをアクセス下さい。
http://www.pref.mie.jp/sangyos/moyooshi/


「塩ビ製品カタログ」が発行されました。
「塩ビ製品カタログ」(塩化ビニル環境対策協議会/塩ビ工業・環境協会編)が発行されました。
私達の日常生活のあらゆる場面に登場し、その豊かな生活の一端  を担う塩ビ製品の主要なものをまとめた小冊子です。
ご希望の方は、下記URLよりご請求下さい。
https://www.vec.gr.jp/shiryo.htm

編集後記

 GW、いかがお過ごしでしたか?H2は神戸に出かけて数日間滞在しました。この季節に東海道新幹線の車窓から眺める山野の景色は、まさに「新緑の候」そのもので、大変素晴らしいものです。いつものことながら、日本の景色も捨てたものじゃないな、とつぶやきたくなります。
 こんな素晴らしい自然を持った国に住み、そこそこリッチな生活をして、日本人って幸せなんだよなあ、と思ったりするのですが、それにしては、通りすがりの人殺し、友人殺しに妻(夫)殺し、子殺し親殺し孫殺し、と殺伐な事件も後を絶ちません。いったい、われわれ日本人は、どうなってしまったのでしょうか。私たちに、いや、H2に、何かできることはないのでしょうか。

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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