NO.058
発行年月日:2005/12/01

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トピックス
◇ダイオキシン排出量、この1年間でさらに約10%減少
 塩ビの悪夢は雲散霧消して、いまや晴天白日に

随想
環境税は温暖化防止に有効か?
塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄
お知らせ
編集後記

トピックス
◇ダイオキシン排出量、この1年間でさらに約10%減少

塩ビの悪夢は雲散霧消して、いまや晴天白日に

 ダイオキシンという言葉を聞くと、未だにドキッとするのは、私たち塩ビ関係者の哀しい性(さが)でしょうか。一時、「塩ビはダイオキシンの元凶」、「ダイオキシン発生の元となる塩ビの製造や使用は禁止すべし」などという、塩ビに対する謂れなき中傷が日本の社会を駆け巡っていましたものね。

 しかし、ダイオキシン発生のメカニズムやその実態についての調査研究が進んだ結果、焼却に伴うダイオキシンの発生には、燃やすものによる要因よりも、燃やす条件(温度や滞留時間、その他)による要因のほうがはるかに大きいことが明確になり、政府もダイオキシン類対策特別措置法を制定して全国の焼却施設の条件整備を進めた結果、日本におけるダイオキシンの発生量は年々急激な減少を続けています。 1997年には8,135g(TEQ、以下同じ)もあった排出量が、2003年にはなんと400gまで、95%も減少し、政府の当初目標であった「90%削減」を軽くクリアしました。しかし政府は削減追及の手を緩めず、今年の6月に新たな削減計画を公表し、2010年には2003年排出利用のさらに約15%削減する、つまり排出総量を343gまで減らすと宣言しました。

 そして先週の11月25日、環境省が公表したところによれば、2004年の排出総量は363gと前年度より約10%減少したとのことです。2010年までの計画の過半を初年度で達成したことになります。
 2004年度に前年より減少した37gの内訳は、焼却関連で12g、産業分野で製鋼用電気炉16g、鉄鋼業焼結施設5g、アルミ合金製造施設4gとなっています。

 ダイオキシン自体の毒性についても、一時騒がれたほどの「猛毒」なのかどうか、いろいろ疑問の声も挙がっている様ですが、何れにせよ排出量自体が激減を続けていることは、市民でもある私たちにとっても大変嬉しいことです。

 一方、私たちが懸念するのは、科学的にも現実のデータとしてもこれほど明確に、塩ビとダイオキシンの関係が否定されているにも関わらず、一部の事業者や一般市民の中で未だに、「塩ビと聞くとダイオキシン」、「だから塩ビは環境に良くない」、「塩ビはなるべく使わない」といった意識が残っていることです。少しでも多くの方々に、塩ビとダイオキシンに関する正しい情報と知識を得ていただき、塩ビに対して正確な認識をもっていただきたい。これが、ここ数年来変わらない、私たち塩ビ関連業界の悲願であります。

 「塩ビは省資源、長寿命でリサイクルも容易な、これからの資源循環型社会に不可欠の素材」、「パイプや雨樋、床材に壁紙、窓枠や外壁など、塩ビを使った住宅は快適・健康住宅」・・・。このようなキャッチフレーズが、昔の忌まわしいダイオキシン付きのセリフに変わって、塩ビの形容詞として使われるように、一日も早くなって欲しいものです。

(文中のダイオキシン量については、環境省公表データでは幅のある表現を取っているケースがありますが、ここではその幅の最大値を持って表示しました。)

■随想

環境税は温暖化防止に有効か?

塩ビ工業・環境協会 専務理事 西出徹雄

 2006年度の予算編成に向けて、税制改正などいろいろな議論が始まっている中で、昨年に引き続いて地球温暖化防止のための環境税を創設すべしという意見が政府内部で出てきています。

 ご存知の様に今年の2月に京都議定書が発効し、日本は2008年〜2012年の間に、温暖化ガスの排出量を1990年に比べて6%削減することを世界に公約しました。これを受けて政府は4月に「京都議定書目標達成計画」を閣議決定し、各分野における省エネ活動の実施や京都メカニズムの活用などを進めていくこととしました。
 そして環境省は、この計画を確実に実施するために必要であるとして、昨年ペンディングとなっていた環境税を再び立案し、この10月末に公表しました。また、政府税制調査会は、11月25日に2006年度の税制改正の答申をまとめ小泉首相に提出しましたが、環境税については、「多岐にわたる検討課題があり、総合的に検討していく必要がある。」として、すぐに創設するという結論にはなっていません。今週からは自民党税制調査会でも本格的な審議が始まっています。

 環境税は、石油や石炭など化石燃料に含まれる炭素に対して税金をかけ、その税金を温暖化対策に使って効果を挙げようというものですが、その効果として環境省は次の3つのことを挙げています。すなわち、
1)エネルギーの価格を高く設定することでエネルギー需要を抑制し、温暖化ガスの排出削減を図る(価格効果)。
2)集められた税収は森林の整備・保全や家庭・企業の省エネ促進など緊急性の高い対策に使用する(財源効果)。
3)新たな税負担により、国民に対し温暖化対策の重要性についての認識を促す(アナウンスメント効果)。
 今回の提案では原油高騰に鑑み当面はガソリンや軽油などへの課税を見送ること、税収は一般会計に繰り入れることとするなどが昨年と異なっていますが、課税額は炭素トン当たり2,400円で年間3,700億円の税収を見込み、これを省エネ技術の開発や森林整備などの温暖化対策に限定使用するとしており、基本的には昨年度とほぼ同じ内容です。

 この環境税に対し、私たちは賛成できません。
 上記の3項目の効果に対しても、私たちは次のように考えます。
 先ず価格効果ですが、最近の原油高騰でガソリン価格は約30%上昇しましたが、ガソリン消費量は殆んど減っていません。そこへ新税で価格をさらに上げたとしても、需要抑制効果は極めて限定的であると考えざるを得ず、一方価格上昇による企業競争力の低下や家庭での家計圧迫が加速されることは確実であります。
 次に財源効果については、現在温暖化対策に既に年間1兆円ほどの経費が使われていること、エネルギーに対しても既に年間総額5兆円を超える課税がされていることを考えると、そこに新たに数千億円の積み増しをする以前に、現在の経費の使途とその効果を検証し、効果的再配分を行うことが先決ではないかと考えます。
 3つ目のアナウンス効果に至っては、コメントの必要もない程で、「国民に省エネ意識を浸透させ、ライフスタイルを環境に優しいものに変えるため」には、課税よりも前に随分いろいろな手立てがありそうですし、そちらを優先させるべきことは当然であります。

 化学業界では自主行動計画の実行により、2004年度には、温室効果ガス排出量を基準年(1990年度)に比べ13%、CO2換算で1210万tの削減を達成しました。更に民生、運輸部門の温暖化対策にも一層貢献していきます。
 日本全体で考えると、真の温暖化対策とは、国民一人一人がこの問題を自分自身の問題として捉え、考え、行動することでしょう。例えば今年の夏実施された「クールビズ」運動にはかなりの効果があったと思います。いたずらに課税することで企業の競争力を削ぎ、国民の活力を奪い、産業の空洞化を促すよりも、国民の自主的な行動の輪を広げることが先決であると考えます。

お知らせ
【NEW】 これからの快適な住まい作りセミナーIn軽井沢 参加報告

 樹脂サイディング普及促進委員会では、去る11月14日(月)に軽井沢において行われた信州大学工学部/山下教授主催の「これからの快適な住い作りセミナー」に参加し「寒冷地に適する樹脂サイディング」の紹介を行いました。
 セミナーでは主催者である山下教授より「信州の快適な住いとは」を演題に、現在取り組まれている無暖房住宅の試みに関し紹介、信州大学/岩井先生より「近年の異常気象」を演題に軽井沢の気候の特徴と世界的な気象異常について紹介、引き続いて中村建材コンサルタントより「寒冷地に適した樹脂サイディング」を演題に樹脂サイディングの特徴や施工方法の紹介が行われました。
 長野県下、群馬県下より約30名の参加を頂き活発な質疑が行われました。
(樹脂サイディング普及促進委員会 事務局 長縄 肇志)


エコプロダクツ2005 出展案内

日 時 2005年12月15日(木)〜17日(土)
10:00〜17:00
場 所 東京ビッグサイト(東4・5・6ホール)
小間番号:424
主 催 新エネルギー・産業技術総合開発機構
(社)産業環境管理協会、日本経済新聞社
入場料 無料
塩ビ工業・環境協会、樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展致します。
エコプロダクツ2005 ホームページをアクセス下さい。
http://eco-pro.com/

編集後記
 大相撲の九州場所は朝青龍の史上初の7連覇と、琴欧州の大関昇進決定で沸きました。朝青龍は強いし、琴欧州も頑張ったけど、二人とも外人相撲なのがなんとなく気になります。日本の国技なんだから、日本人も頑張らなくっちゃ。稀勢里は負け越しちゃったし、高見盛もぱっとしないし・・・。親方連中、頼んまっせ。

 さて、56号(11月17日発信)のローマ字回文クイズの答え。こうやって並べてみると、「左から読み」と「右から読み」とで語感が全然変わってしまうのが面白いですね。
1) おるくべき(orukubeki)=池袋(ikebukuro)
2) おねう(oneu)=上野(ueno)
3) あらばひか(arabahika)=秋葉原(akihabara)
4) おぶきご(obukigo)=荻窪(ogikubo)
5) あかじごん(akazigon)=乃木坂(nogizaka)
6) うじもなあこ(uzimonahco)=お茶の水(ochanomizu)
7) おいこっと(oykot)=東京(tokyo)
8) おおかばやっく(ohcabayak)=茅場町(kayabacho)
9) いけさぎむさく(ikesagimusak)=霞ヶ関(kasumigaseki)
10) あいびい(ayibih)=日比谷(hibiya)

 お疲れ様でした。

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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