NO.077
発行年月日:2006/04/27

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トピックス
◇塩ビの可塑剤DEHPは安全です。安心してお使いください。
もしもDEHPを危険というなら、このDHMOはどうでしょうか?

随想 
ヒヨドリ騒動顛末記(後編)
宝生流横浜連合会 副会長 吉田澄夫
お知らせ
編集後記

トピックス
◇塩ビの可塑剤DEHPは安全です。安心してお使いください。

もしもDEHPを危険というなら、このDHMOはどうでしょうか?

 塩ビに対する「いわれなき風評」の一つに、軟質塩ビの配合剤として使用される可塑剤の主要グレード、DEHP(フタール酸ジ−2−エチルヘキシル)に対するものがあります。
 DEHPに関しては、次のように言われていたことがあります。曰く、「ヒトに対する発ガン性がある」。曰く、「環境ホルモンの一種である」。曰く、「シックハウスの原因物質である」。曰く、「ヒトに対する生殖毒性・精巣毒性がある」。等、等。

 しかし、発ガン性に関しては、国際的な研究を通じて、ヒトに対する発ガン性はないことが明らかになり、2000年に国際的なガン研究機関であるIARCがDEHPについて「発ガン性には分類できない」ランクに変更しました。
 環境ホルモン性に関しても、環境省の内分泌攪乱物質研究プロジェクト「SPEED’98」に取り上げられましたが、その結果「低容量での明らかな内分泌攪乱作用は認められなかった」ことがわかりました。
 シックハウス問題についても、厚生労働省の室内濃度指針値の対象となり、指針値120μg/mが決められていますが、この指針値設定の理由はシックハウスの原因物質であるからという理由ではなく、「広い用途に使用されていることおよびパブリックコメントから特に要望があったから」とされており、現実に指針値を超えるケースは皆無であることが分かっています。
 さらに生殖毒性・精巣毒性についても、マウスやラットなどへの影響は知られているものの、ヒトに対しては体内での作用メカニズムがげっ歯類とは異なっていることが判明し、ヒトに対する生殖毒性・精巣毒性はないことが分かってきているのです。

 このDEHPの例は、「いわれなき風評」に影響されて、安全性の高い物質が不当にバッシングされている例ですが、最近、ちょっと面白い例を見つけました。
 アメリカで次のような警告文が出回り、それを読んだ読者の大半が、この対象となったDHMOの使用禁止措置に賛成したというのです。その警告文の内容のエッセンスは以下のようなものだったとか。

 「・・・このDHMOは無色、無味、無臭であるが、年に数千人もの人名を奪う。死因の殆んどはDHMOの吸入であり、長期に渡って接すると皮膚をぶよぶよにする。過剰に摂取すると発汗や多尿や嘔吐を起こす。酸性雨の主成分であり、地球温暖化への影響もある。時には大火傷の原因になる。土壌の侵食や金属の腐食を早め、停電の原因にもなり、末期がん患者の腫瘍に検出される。DHMOによる汚染は全世界の河川や貯水池に及び、南極の氷にも入っている。企業はこのDHMOを川や海に排出しているが、まだ禁止されていない。・・・」

 なんだか空恐ろしい「化学物質」が規制もされずに野放しになっていたんだなあ、困ったものだなあ、とお思いになりませんか。
 種明かしをするとこの「化学物質」、実は化学名を一酸化二水素(dihydrogen monoxide)といい、分子式はHO・・・、そうなんです、実は水なんです。なーんだ。

 と、ほっとするのですが、いや待てよ。塩ビの可塑剤DEHPの言われ様と、このDHMOの言われ様、なんとなく、似てはいませんか?
 科学的かつ正確な情報の発信と受信の重要性に、思い至った出来事でした。

随想

ヒヨドリ騒動顛末記(後編)

宝生流横浜連合会 副会長 吉田澄夫

 空になった巣はそのうち取り除くつもりでほったらかしておいたのですが、弁天様のお参りも済んで二週間もたったころ、何とまた(多分別の)ヒヨドリが空いた巣にちゃっかり座っていたではありませんか!
 そして、卵を産んで、三羽の雛がかえり、騒がしく親鳥が餌を運ぶところまでは以前とおなじ道筋で進行しました。蛇は雨が降ってジメジメしていると現れ易く、幸い晴天が続き安心していたところ、今度金切り声を上げたのは娘でした。親鳥の狂ったような鳴き声を聞きつけた娘が、野良猫が腰を低くして正に巣に飛び掛らんとしているのを発見したのです!

 とりあえず追っ払い、庭に出て調べてみると、親鳥が給餌にきたものと勘違いして首を伸ばしたところを猫が引っ掛けて転落したのでしょうか、一羽の雛のむくろがありました。植木の根元に穴をほって埋めてやりました。
 四六時中監視している訳にもゆかず、結局は残った二羽の雛は巣から取り出し、小型のダンボールに敷き藁して室内に移すことにしました。

 翌日、二階の窓を開けて雛鳥の入った箱をベランダに出し、障子の隅から隠れて見ていますと、親鳥は巣の付近を雛を求めて必死に鳴き回っていましたが、しばらくして雛の「ピーピー」鳴くか細い声に気付いたのでしょう、箱の縁に来てとまり餌を与えだしました。
 しかも親鳥は馴れて安心したのでしょう、猫やカラスの襲撃を警戒してベランダではなく窓を開けて室内に巣箱を移したのですが、私達を恐れることもなく部屋に入ってきて目の前で餌をやり、雛の糞を処理するようになりました。
 小鳥たちと心を通わせあうこんな楽しい日々が続きました。

 ところが、数日経ちますと、親鳥が餌を運んできて見せびらかすように雛に見せても三回に一回はあげずに、代わりに何ともいえない甘やかな鳴き声で雛を誘って、「私と一緒に飛びたちなさい」と言わんばかりに、箱の縁から外に飛んでゆく仕草を繰り返すようになりました。巣立ちが近付いたのです。

 その日はまた台風が接近していましたが、幸い遠く離れて通過したので強風のみで、雨は降っていませんでした。親鳥の巣立ちを促す仕草は一層激しくなり、それまでは親鳥のそんな行動に全く無関心だった雛が二羽とも突如バタバタと羽ばたき、飛び上がった拍子に障子にぶつかり畳に落下する事態になりました。
 外は台風の余波で強風が吹き荒れています。よしんば飛び出せても、強風にあおられ地面に叩きつけられるのは眼に見えています。そこで心を鬼にして障子を締切り、巣箱に蓋をして親鳥から隔離した上で、家内と二人、二時間ほど外出しました。

 夕方戻って来て巣箱を覗くとなんと雛が見当りません。室内を隈なく探してようやく二羽とも見つけ巣に戻したのですが、ここでまた自然の摂理を目の当りにしました。雛たちの内部から衝き上げる生への躍動の力強さに感動しました。昨日までは親鳥の誘いにも一切乗らなかった、ひ弱だと思っていた雛が僅か一日で逞しくなり、広い世界を求めて巣箱の蓋を飛び上がった拍子に払い除け、部屋中を飛び回っていたらしいのです。
 その夜は暗がりに巣箱を置き、重石を載せた蓋をして「明日巣立たせてあげるからね」と言い聞かせながら一夜を過ごしました。

 翌朝は台風一過、風のない晴天で絶好の巣立ち日和となりました。ところが、いつもは日の出とともに家の外で「ピーヨ、ピーヨ」と、窓が開くまで催促の鳴き声をたてていた親鳥の声が聞こえません。
 「さては昨日の必死の巣立ちの促しが最後で、諦めて棄てて行ってしまったのか?」と、暫くは妻娘ともども大いに不安になっていました。一時間ほど経ったころ、例の「ピーヨ、ピーヨ」の鳴き声を耳にしたときの嬉しさは忘れられません。
 早速二階のベランダに、上蓋を外した巣箱を置いたところ、親鳥の巣立ちの誘いの鳴き声に応えて先ず体格の大きい雛が飛び立ち、かろうじて庭木の枝にしがみついて一休みした後、隣家の屋根に飛んで行きました。
 残った一羽も懸命に羽ばたくものの上手く飛び上がれません。ベランダの床に一旦落下した後、再び飛んで今度は隣家の塀の金網に、やっとのことでしがみつきました。その場所は地上から1mと離れていず、放っておくと例の猫に襲われる危険があったので、急いで駆けつけ拾い上げ、再びベランダの床に置いてあげました。

 雌雄の親鳥は手分けして、一羽は既に飛び立った雛に付き添い、もう一羽がベランダに飛んできて再度残りの雛の巣立ちを促しています。二十分ほどじっと蹲って疲れを癒していましたが、再び飛び上がりました。でも、親鳥が呼んでいる方向には飛んで行けず、別の屋根に辛うじてとまりました。そこは地上からはるかに離れ、猫に襲われる心配はないのですが上空から襲うカラスが心配です。しかもその日は生ゴミの収集日で付近に集積場があるため、カラスが頻繁に飛んでくるのです。早く安全な場所に移動して欲しいと気が気ではありませんでした。
 結局巣立ちの日は朝七時頃から十時過ぎまで、雛たちが屋根から飛び去り、遠くの木の茂みに隠れるまでカラスを警戒して付きっ切りで見守っていました。

 インターネットには、ヒヨドリは育ててくれた恩を忘れずに巣立った後、親鳥雛鳥ともども飛来して家の上を鳴きながら旋回してくれるなどとも書いてありましたので、巣立った日から数日は「ピーヨ」という鳴き声が聞こえると直ぐ家の外に出て見回すのですが、いつも期待を裏切られるだけでした。
 でも今はヒヨドリの鳴き声をしっかり識別できるようになり、「ヒーヨ、ヒーヨ」という鳴き声を聞くたびに必ずその鳥の姿を眼で追いかけるようになりました。
 例の空いた巣はどうしたかですって? 来年またヒヨドリたちに再会するのを楽しみに、勿論そのままそっとしてあります。
終わり
(この記事は宝生流横浜連合会の会報に掲載されたものですが、著者ご本人および連合会会報のご了解をいただいて転載したものです)

ヒヨドリ騒動顛末記(前編)はこちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/076/index.html#zuisou

お知らせ
【NEW】 「リサイクル塩ビ製ベンチ」のその後のご案内

新大手町ビル中庭に設置した
“リサイクル塩ビ製ベンチ”
 前号(No.76)お知らせ致しましたように、環境フェア「アースデイ」に"リサイクル塩ビ製ベンチ"を展示致しました。
 イベント終了後、新大手町ビル中庭に移設し、周辺の会社員の方等にお使い頂いています。
 中庭は、午前8時から午後5時まで開放されます。(雨天の場合は開放されない事があります。)
 お近くにお越しの際は、お立ち寄り下さい。

 ・日 時 : 2006年4月24日(月)〜1ヶ月間
 ・場 所 : 新大手町ビル
        東京都千代田区大手町2−2−1

「快適窓学(データ編)」第4編が、3/20に発刊されました。

 樹脂サッシ普及促進委員会より、「快適窓学(データ編)」第4編(窓の高性能化と快適な暮らしの条件)が発刊されました。

 窓の側に近づくと背筋がヒヤッ・・・そんな経験ありませんか?高い断熱性能により、原因となる冷輻射を抑えることが出来る、樹脂サッシ+高性能複層ガラスを、実例と豊富なデータで分かりやすくご紹介しています。

ご希望の方は、樹脂サッシ普及促進委員会のホームページの資料請求ページよりお申し込み下さい。(お1人様1部とさせて頂きます。)
ご意見・ご感想欄に『「快適窓学(データ編)」第4編希望』と明記下さい。

ホームページはこちらからご覧頂けます。
http://www.jmado.jp/
編集後記
 最近、この編集後記について気になっていること。どうも話題が年寄じみていて、若々しさがないということ。H2が書くんだからしょうがねえじゃないか、と言ってしまえば終わりなのですが、何とかして、たまには若い編集後記も書きたいね、と常々思っています。

 そんなある日、地下鉄に座っていた時、目の前に立った20代半ばの二人の若者が交わしている会話に思わず聞き耳を立てました。彼らは少年マガジンとか、何とかかんとかの漫画週刊誌の話をしていたのです。「おまえ、○○読んでる?」、「読んでる、読んでる、おもしろいよ」、「じゃあ、××は?」、「××は前には読んでたけど、もう飽きた」、「いま一番ハマってるのは△△だよ」てな調子でした。

 これは面白い、漫画週刊誌の話題を編集後記に書こう、と思いついて嬉しくなったのですが、いざ書こうとすると、彼らの会話に出て来た週刊誌の名前や連載ものの題名がゼーンゼン浮かんでこない。「最近の漫画週刊誌は昔のとは大違いで、それがまた日本の若者達に、昔と違った意味でのいろんな影響を与えている・・・」、と書きたかったのですが、固有名詞が出てこないのでは話になりません。

 やっぱり、年寄りの記事しか書けないH2でした。

 そうは言っても、お知らせは忘れません。来週はゴールデンウィークのため、このメルマガもお休みです。次回は5月11日(木)にお届け致します。気持ちの良い季節です。楽しい休暇をお過ごし下さい。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

脳梗塞の予兆で「やたらに昔のことを思い出す」と言うのは、ある意味羨ましいです。私に現れているのは、梗塞が神経に触って「手に力が入らない」という症状で、お店のレジで小銭を落としたり、電子レンジから取り出そうとした牛乳のカップを落としたりと、何かと被害が発生します。ただ、高価なものは決して落とさないのが救いです。…(梗塞か注意力散漫か?様)

先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/076/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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