NO.115
発行年月日:2007/02/08

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トピックス1
◇「フタル酸エステル混入おもちゃ」報道のねじれ

トピックス2
◇低CO排出ターポリンシート開発
クラレプラスチックス株式会社 技術開発課 高橋豊

随想
サンクトペテルブルク見聞記(1/2)− 窓枠
塩ビ工業・環境協会 高橋裕明
お知らせ
ENEX2007 第31回地球環境とエネルギーの調和展 出展案内
VEC HPを更新致しました。
樹脂サッシ普及促進委員会から新しいパンフレットが発行されました。

編集後記

トピックス1
◇「フタル酸エステル混入おもちゃ」報道のねじれ

 2月2日の各紙によれば、ある量販店が輸入したおもちゃに食品衛生法で禁止されているフタル酸エステルが混入していたため、川崎市を皮切りに回収されることになったと伝えています。当該フタル酸エステルの正確な名称と規制の背景を冷静に伝えているメディアもありましたが、「環境ホルモン物質のフタル酸ビス」と報道した新聞やインターネット媒体がありました。環境省が、フタル酸エステル類にはヒトに悪影響を及ぼすような内分泌かく乱作用が確認されていないとしているにも関わらずです。
 VECは今回の報道の前後関係を急ぎ調査中です。

トピックス2
◇低CO排出ターポリンシート開発
クラレプラスチックス株式会社 技術開発課 高橋豊

 塩ビ樹脂を使って、環境に優しいものを開発できないか。

 私は、主に塩ビ樹脂製のターポリンシート類の生産技術・商品開発を担当しています。
 ここ10年間ほどはダイオキシン問題、環境ホルモン問題等で、塩ビ樹脂=環境に悪いというイメージが今までにないほど広まり、塩ビ樹脂を多く扱う当社内でも環境配慮製品といえば「非塩ビ」という流れでした。
 しかし、非塩ビ樹脂でのターポリンシート類では、まず難燃性が問題となり、その他にも耐久性、加工性に難があり、かつコストが高いというところで、折角もの作りしても顧客に使ってもらえないという繰り返しでした。

 ところが、ダイオキシン類の発生に関しては「燃焼温度」が主要要因であるとわかり適切に焼却炉で焼却すれば、塩ビ樹脂を焼却してもダイオキシン類の発生原因とはならないということになりました。
 環境ホルモンの問題についても、疑いをかけられた可塑剤にそのような作用はないことがわかりました。
 その上、地球的規模では環境問題=地球温暖化という流れになり、京都議定書が発効し、CO発生量を削減することが急務となりました。

 また、今まで塩ビ類は産業廃棄物として埋め立てられることが多かったのですが、政府は平成17年環境省告示第43号(*1)で、再利用できない廃プラは埋め立てせずに少なくとも燃やして熱回収するよう方針を出しています。

 本来塩ビ樹脂自体は重さのうち約半分が塩からできており、燃焼時のCO発生量はオレフィン系樹脂より低減でき、また、化石原料である石油の依存率もその分少なくなっています。
 耐久性があり、加工性がよく、かつ、石油依存率が低く、焼却時のCO発生量が少ないという、理想的な性能により、塩ビ樹脂を使った環境にやさしい商品を開発できる、そういう時代に流れは変わりました。

 そこで、塩ビ樹脂を用い、焼却時にCO発生量を低減できるターポリンシートを開発しようと考え、具体的な手法としては、至極当たり前の手法である塩ビ樹脂に無機成分を多量に配合することで検討を行いました。

 ただ、従来、軟質塩ビ樹脂に無機成分を配合する場合、炭酸カルシウムを使用することが一般的でしたが、この炭酸カルシウムは、石灰石などCaCO3を主成分とするもので、これは太古のサンゴ礁などが堆積してできたもので、これを使用すると焼却時に太古の化石化したCOが大気に放散される可能性が考えられます。ちなみに文献によると、CaCO3→CaO+CO(898℃,1atm)と、高温で分解しCOを放出するとの記述もあります。

 今回の開発品の特徴は、一般的な無機成分である炭酸カルシウムを使用せずに、無機成分を高充填したことです。
 従来の非塩ビ環境対応ターポリンシートといわれていたEVA樹脂ターポリンシートと比べて、当社比で焼却時のCO発生量を半減することに成功しました(*2)。

 今までイメージだけで環境に悪だと思われていた塩ビ樹脂でも、見方・切り口を変えれば、実は環境に優しいんだと思われる製品が増えるよう、商品開発を続けて行きたいと考えています。

(*1) 平成17年5月 環境省告示第43号 基本的な方針
http://www.env.go.jp/recycle/waste/hoshin.pdf
(*2) 燃焼時のCO発生量 (当社製品比)850℃で燃焼したときのCO発生量は、EVAターポリン(EVK380)2600mg/gに対し開発品(EC−200)1300mg/g

クラレプラスチックス株式会社のホームページは、こちらからご覧頂けます。
http://kurarayplastics.co.jp/

随想
サンクトペテルブルク見聞記(1/2)− 窓枠
塩ビ工業・環境協会 高橋裕明

 昨年10月ロシアの第2の都市サンクトペテルブルクにおいて、塩ビ協会の国際会議が開催されました。7月にはG8サミットが開催されたり、12月にはフィギアスケートのグランプリファイナルが開催されたことでご存知の方も多いと思います。
 サンクトペテルブルクは、北緯60度とかなり北極圏(66度33分)に近いことから、10月でも寒いものと覚悟はしていましたが、事実その通りで手袋とマフラー、それにコートは必需品でした。

 寒いといえば、塩ビ工業・環境協会では、断熱効果が高く、省エネにつながり、炭酸ガスの排出削減に貢献する塩ビサッシ(樹脂サッシ)の普及に努めています。そこで、寒いサンクトペテルブルクの窓枠は、どんなものが使われているか仕事柄気になり、会議の合間に街の中を見て歩きました。

 会議の開かれたホテルは、サンクトペテルブルクの中心地に位置し、世界三大美術館の一つエルミタージュ美術館、カザン寺院、血の上の教会など歴史的建造物が近くにあり、古い石造りのビルディングが多く見られました。当然窓枠も古めかしく、よく見ると二重窓になっていました。2つの窓は接触しているのではなく、外側の窓と内側の窓の間には30cmもの空間があり、これも寒さ対策のためでしょうか?というわけで、窓を観察するといっても内側の窓までを見ることはできず、道路に面した外側の窓をみることとなりました。ましてや、世界的な観光地で窓越しに家の中をのぞきこんでいる怪しい東洋人と見られては大変です。できるだけさりげなく窓に触ったり、写真をとったりと私なりにも大変気を使ったわけです。

シールが貼られたままの塩ビサッシ
木枠の窓(右)の隣には塩ビサッシの窓
 鉄製の窓は朽ちてボロボロのものもあるし、木枠の窓もこれまた古めかしいものでペンキもはげかけていたものも見られました。しばらくすると、小さなテナントビルかアパートかと思われるこぎれいなビルに出会いました。近づいてよく見ると道路側に面した窓枠は白色で、触った感じは間違いなく塩ビサッシらしいものでした。よく観察すると、会議で講演していたロシアのあるメーカーのシールが貼られていたことから塩ビサッシであることを確信しました。

 ところが、その建物全体が塩ビサッシかというとそうではなく、隣の窓は、同じ白色でも木でできていました。もともとは木枠であったものが改装により塩ビサッシに取りかえられたものと思われます。それを契機にいろいろ見て歩くと、古い建物は木製であったり鉄製ですが、木肌模様の塩ビサッシにも出くわしました。確かに、都会の真ん中のビルディングの状況ではありますが、いたるところに塩ビサッシが使われていることがわかり、寒い地域の常識なのかと改めて認識させられました。「最近の出荷の7割は塩ビサッシです」とさるロシアの窓枠メーカーが会議で話していたことを自分の目で確認できたことは本当に貴重な経験でした。

 日本ばかりでなく、今年の冬は世界的に暖冬といわれているところです。省エネ効果のある塩ビサッシを備えたサンクトペテルブルクの家では、例年に比べさぞかし少ない暖房費となっていることでしょう。

お知らせ
ENEX2007 第31回地球環境とエネルギーの調和展 出展案内

[大阪会場]
 ・日 時:2007年2月22日(木)〜2月24日(土)
      10:00〜17:00
 ・場 所:インテックス大阪2号館
       大阪市住之江区南港北1−5−102

 ・目 的:1.省エネルギー・新エネルギーの最新技術の紹介と、
        導入促進・機器普及のための最新情報や導入事例情報の提供
      2.生活者に対する省エネルギー意識の醸成と実践行動の動機付け
 ・主 催:財団法人 省エネルギーセンター
 ・入場料:無料
 ・プラスチックサッシ工業会に協力し、樹脂サッシ普及促進委員会
  にて出展致します。
 ・ENEX2007 ホームページをご覧下さい。
http://www.enex.info/

VEC HPを更新致しました。

「塩ビニュースレター」Vol.4(1月10日発行)を掲載しました。

Vol.4は、「塩ビサッシ」に注目しました。
全文は、こちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/news_letter/index.html

樹脂サッシ普及促進委員会から新しいパンフレットが発行されました。

『快適窓学−最新情報編(1)』と題するパンフレットが発行されました。
塩ビサッシの高断熱性・高気密性が浸透し、様々な所で評価・採用されている実例を、豊富な写真で分かりやすくお伝え致します。

case 1.環境省庁舎ビルに採用。
case 2.マンション環境性能表示制度でオール三ツ星を獲得。
case 3.総戸数1,095戸の芝浦に建つタワーマンションに採用される。

ご希望の方は、樹脂サッシ普及促進委員会のHPの資料請求よりお申込み下さい。(こちらのアドレスです。)
http://www.jmado.jp/katalog.html

編集後記
 みなさんは、朝の通勤時間をどのようにお過ごしですか?私は、電車が混んでいるので、本を読むのもままならず、うとうとしています。(座れなくても眠れます。)ですので、駅に着いた時には、寝起き状態という事もあります。
 駅から会社まで、毎日同じ時間に歩いていると、すれ違う人にも見覚えのある人が出てきますね。いつも会う人に思いがけず早めに会ってしまうと、自分のペースが遅いのではないかと時計を確認してしまったり、たまに会わないと、「風邪かしら」などと大きなお世話の心配をしたり。考え事をしながら歩いていて、ふとそんな人と目が合ってしまうと、思わず挨拶をしてしまいそうになり慌てる事もあります。そういう私も、「いつも、眠そうにぼっとして歩いている人」なんて思われているかも知れませんね。(漠)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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