NO.123
発行年月日:2007/04/05

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トピックス
◇暖冬からのエコロジー連想 
−塩ビだから取得できたエコマーク−
長谷虎紡績株式会社 フロアテクスチャー営業部 深尾久雄

随想
化学物質規制が世界を変える(連載4)
国際連合大学 上野 潔
お知らせ
三菱地所、塩ビリサイクル景観材を採用。
NEDOの補助金事業が公募開始されました。
PVC Newsが3/19に発行されました。

編集後記

トピックス
◇暖冬からのエコロジー連想 
−塩ビだから取得できたエコマーク−
長谷虎紡績株式会社 フロアテクスチャー営業部 深尾久雄

 今年の冬はエルニーニョ現象がもたらしたと思われる異常な暖冬が世界各地で起こっており、日本を始めニューヨーク・北京など冬の季節では考えられない自然現象や、生物の行動が毎日のごとくテレビ報道されています。ニューヨークでは半袖でジョギング、東京ではひまわりの早咲きやら、ある地方では冬眠中であるはずの熊が出没してきたりと毎日驚かされています。今年の異常気象について思うことは、今迄はある一定の年度に赤道付近の海水温度が異常に高くなってその影響でその年だけは冬でも暖かい日が多いが、次の年からは例年通り冬らしい季節に戻っていて気にしてはいませんでしたが、何故か今年に限って云うとこの冬の暖かい現象は何かもっと他の要因が元で起こっているのではないか?例えば我等には見えない膜のような層が地球全体を覆いつくしておりあたかも温室の中にいるような状態にある為、冬に起こるべく凍てつく厳しい寒さにならないのではないか?と思われ、更にこの暖かい現象が次の年も又次の年もと、この先ずっと続くのではないかとの不安になってしまう感があります。

 そんな時、ふっと思うのは私等人類は文明の発達、社会生活の発展と云う目的の為にここ2〜3世紀前からエネルギーの源となる原油・石炭・天然ガス等地下資源を発掘して、このエネルギーによってすべての人達が物質面での豊かさ、便利さを享受し、今日に至っていますが、生活向上と云う美名の元に地球上の限りある資源を競いあって消費しているのが現状です。しかし、こんなことをいつまでも続けているならば、いつかきっと資源が枯渇してしまう事は誰でも解っています。でも、現実には誰しも便利で快適な生活環境を求めるのみで地球にやさしい、エコロジー商品への取り組みについて関心はまだまだ低いと思われます。

エコマークを取得した
タイルカーペットのサンプル帳
 そんな中での私等、床材業界に於いても2000年以降オフィスでのIT関連機器の目覚しい普及と共にオフィスビルの建設ラッシュが続き、その恩恵にあずかってOAフロアー用タイルカーペットもすさまじい勢いで生産販売されてきましたが、このタイルカーペットには裏材として形態安定の物性に富み、加工が容易でしかも価格が安い塩化ビニール樹脂が大量に使用されてきました。これらの商品が使用後(10〜13年後)のリニューアル時にはオフィスビルから産業廃棄物として排出されてくることになりますが、この使用済みタイルカーペットは燃やしたり、埋め立てたりした場合には不法投棄など色々と社会問題を引き起こしかねない厄介な廃棄物となってしまいます。

 そこで、私共は数年前から環境に優しく負荷の少ない商品として、この厄介な廃棄物となるタイルカーペットをリサイクルして再度裏材用に利用したエコロジー商品の提供を企業の最優先テーマとして掲げて技術開発に取り組み、2003年9月にようやく(財)日本環境協会から「再生材料を使用したプラスチック製品」でのエコマーク商品認定を取得させていただきました。現在、回収したタイルカーペットをリサイクルして商品化するシステムとして「エコセービングサイクル」のブランドで生産発売していますが、今から思うとこの環境に優しいエコマーク認定商品が開発出来たのも形態安定に欠かせない優れたバッキング材料として又、再生加工が容易に出来る特徴を持つ塩化ビニール樹脂を使用した事によって可能となったのだとつくづくこの素材の良さを実感している所です。

随想
化学物質規制が世界を変える(連載4)
国際連合大学 上野 潔

 欧州のRoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances)規制が昨年7月から始まっています。鉛、カドミウム、水銀、6価クロム、PBB(ポリブロモビフェニール)、PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル)の製品への使用が禁止されています。同時期に日本も、J−Moss(The marking for presence of the specific chemical substances for electrical and electronic equipment)を作成し、資源有効利用促進法(3R法)で適用を開始しました。「電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」(JIS C 0950)がそれです。中国版のRoHS、韓国版のRoHS、米州のRoHSなど世界中に同種の化学物質規制が広がっています。

 グローバル化した経済システムの中では、ある巨大な経済圏が規制を実施すればたちまち世界中に同じ規制が広まってしまうのです。しかし、その規制もよくよく眺めると、自国の産業が達成できないものは都合よく「適用除外」になっています。中国版RoHS規制については、中国が欧州でビジネス機会を失わないようにするため中国企業のために策定していると中国指導層は明言しています。欧州RoHS規制も然りです。
 しかし皮肉なことに一番あわてているのが欧州という話もあります。EU勢の思惑にもかかわらず、こんなに短期間に対応できたのは恐らく日本の電気電子産業界だけではないでしょうか?

 環境という、誰もが反対しにくい「大義名分」を掲げながら、欧州も中国もそしてアメリカも実はしたたかな国家戦略があるのです。日本ではあれだけ大騒ぎをして「塩ビNo」といったにもかかわらず、環境先進国の欧州で「塩ビ」が全面的に使用禁止になったという話は聞いたことがありません。

 しかし、RoHS規制のおかげで日本の組立て産業は大きな進歩を遂げました。それは化学物質管理に企業全体が本気で関わるようになったことです。素材部品調達のサプライチェーン管理、工場の検査部門、出荷先の倉庫管理、廃棄段階の情報開示まで含まれます。まさに本格的なLCA(Life Cycle Assessment)の考えで製品設計を考えざるを得なくなったからです。

 鉛フリーはんだでは、既に枯れた技術として見向きもしなかったはんだ技術の根本的な見直しが生産技術部門でされました。受け入れ検査部門には化学物質分析の機器導入だけでなく分析の教育や専門家も配置されるようになりました。万一不可抗力で規制物質が検出されたときに備えた「トレーサビリティー管理」や「回収方法」も準備されるようになりました。そして、「知りませんでした」「相手が教えてくれないのです」「中小企業なのでやっていません」「・・・」これらの言い訳は通用しなくなったことです。すべて最終組立て製品を上市(市場に出荷)したブランドの責任が問われるのです。

 今では、素材産業にも部品産業にも納入品の化学物質管理が求められるようになりました。化学物質の検査は目に見えない世界です。「不使用証明書」を信じて100万台の製品を廃棄するリスクは取れなくなりました。「立会い検査」「抜き取り検査」「全数受け入れ検査」が素材、素形材、部品、いろいろなレベルで実施されるようになりましたが個別企業での対応には限界もあります。川上、川中、川下とそれぞれの範囲で情報の共有化が図られようとしています。化学物質の検査のおかげで、当然ながら通常の品質管理レベルも向上しています。素材メーカー、部品メーカーとのよい意味での緊張関係は、相互交流や提携にも発展しています。結果的に粗悪品メーカーは存続できなくなります。一時的に懸念された海外製の部品も再び信頼を取り戻すでしょう。
 化学物質規制が環境にどのくらい貢献したのかは不明ですが、製品の品質向上には間違いなく貢献していると思います。

前回の「ネガティブ情報を評価しよう(連載3)」は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/122/index.html#zuisou

お知らせ
三菱地所、塩ビリサイクル景観材を採用。

 去る、3月20日(火)東京大手町の新日本製鐵と朝日ビルの間の公開広場(東京都千代田区大手町2丁目6番)に、リサイクル塩ビ製ベンチ(企画・販売(有)三宝)が、4台設置されました。

このベンチは、パイプなどの廃棄物を原料にした環境配慮型製品です。内1台は太陽電池を利用した夜間用フットライトも備えています。

東京大手町のオフィス地区広場に設置した“リサイクル塩ビ製ベンチ”

塩ビリサイクルベンチ関連の記事は以下からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/press_release/20070316.htm


NEDOの補助金事業が公募開始されました。

 住宅・建築物高効率エネルギーシステムの公募により、NEDO技術開発機構が指定する当該システムを住宅に導入する場合に、その費用の1/3が補助されます。

 様々な補助要件がありますが、樹脂サッシ普及促進委員会がお勧めする要件は『断熱リフォーム』です。
 既設住宅のリフォームで『塩ビサッシ+複層ガラス』の内窓を採用する事により、上記の費用補助の対象となるものです。

  公募期間:2007年3月13日〜4月26日
        (二次公募 : 7月上旬〜下旬を予定)

 詳細は、NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構のホームページをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/190313_1/190313_1.html

PVC Newsが3/19に発行されました。

 PVC News 60号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
創刊15年、発刊60号の記念号です。目次をご紹介致します。

■ごあいさつ

創刊15年、60号発刊を迎えて
     JPEC事務局長/VEC専務理事 西出徹雄

■特別寄稿

PVCニュース発刊60号を記念して
     内閣府原子力委員会委員(前富士常葉大学教授)
     NPO法人「持続可能な元気ネット」顧問  松田美夜子

■トップニュース1
塩ビ被覆電線を官庁施設向けの建設資材として再評価
■トップニュース2
塩ビを含む建設系混合廃プラの有効利用へ新たな道
■視点・有識者に聞く

ソフトパワー強化で産廃業界の新時代を拓く
     (株)ハチオウ代表取締役社長/環境カウンセラー  森裕子氏

■リサイクルの現場から

加速する、セメント産業の廃プラリサイクル

■インフォメーション1
環境ホルモン問題とは何だったのか?
■インフォメーション2
米科学誌が可塑剤工業会の研究結果を掲載
■海外事例紹介
連携進む、VECと海外塩ビ業界
■広報だより

・塩ビ業界のありのままを伝える『データで見る塩ビ』発刊
・第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催
・「ENEX2007」に共同出展(JMADO&プラスチックサッシ工業会)

以上、新たな視点に立った塩ビに関する情報を、ご紹介致します。

記事内容は、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

PVC Newsバックナンバーは、塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

購読を希望される方は、送付先などをご連絡下さい。

編集後記
隅田川沿道の桜
 いよいよ4月です。国や自治体、多くの会社では新しい事業年度が始まります。また、若い人にとっては、入学、就職といったように新しい人生の旅立ちを迎える季節でもあります。この大切な門出に“花を添える”のがまさに“桜”です。“桜”は日本人の心のふるさとと言っても過言ではないでしょう。
 ところで、今年は暖冬の影響で桜の開花が史上3番目の早さだったわけですが、(財)日本さくらの会のホームページには、1992年に編集した「さくらの名所100選」やこれらも含め全国から推薦のあった235箇所のさくらの名所が紹介されています。“桜めぐり”の参考にされてはいかがでしょうか。
 そう言えば、VECから歩いて数分のところに隅田川がありますが、沿道の桜は今が満開です。身近なところにも“さくらの名所”は沢山あります。思い出とともに心に焼きついているのは故郷の校庭の桜かも知れません。あなたの桜の名所はどこですか。(空っ風)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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