【06年9月15日のWHOアナウンス】
DDTの広範な使用が禁止されてからほぼ30年経過して、WHOはマラリアをなくすために、DDTの室内残留性噴霧(IRS)を奨励するという方針を公表した。IRSとは、屋内の壁面に殺虫剤をスプレーするという方法で、即効性がある。(中略)IRSは費用も低く、適切に使用すれば、健康リスクはない。1980年代初期までWHOは熱心にこの普及に努めてきたが、人の健康や環境影響が大きいと言う声が上がり、この使用を止め、他の方法を検討した。しかし、その後の精力的な研究、調査でIRSは人に対しても、環境に対しても害はないとの結論に達した。・・・以下略
【問:マラリヤ制御のためのDDTの使用は、なぜこれほど議論になるのか?】
DDTが残留性、残存性の高い物質だから。殺虫剤として散布してから、環境中で12年も残留する。この間、DDTと代謝物は食物鎖に入り、脂肪組織に蓄積する。野生生物でのいくつかの有害影響がDDTによるものだった。鳥類の卵殻が薄くなるのもその影響である。また、DDTが人健康に慢性的な影響を与えるという畏れもあった。しかし、現在までのところDDTと人健康影響との間の直接的な関係はないが、これが生殖機能や内分泌系の機能に影響を与えるかもしれないという証拠は増えつつある。DDTの使用に反対する人々は、この理由で使用を抑制すべきと主張している。
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