NO.152
発行年月日:2007/11/08

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トピックス
◇第5回 住まいと環境・エネルギーセミナー開催

随想

エリトリア旅行記(1)−なだれ−

(社)日本化学工業協会 若林康夫

編集後記

トピックス
◇第5回 住まいと環境・エネルギーセミナー開催

 毎年恒例となった、「住まいと環境・エネルギーセミナー」が10月27日(土)に(財)地球・人間環境フォーラムと塩ビ工業・環境協会の主催、環境省の後援により開催されました。第5回目を迎えた今年は、昨年度と同様に、リフォームに関心のある方々の便宜も考えて10月25日(木)から開催されていた「日経住まいのリフォーム博2007」内のセミナー会場で行いました。
 セミナーは、酒井ゆきえさん(フリーアナウンサー)ナビゲーターのもと、小林光環境省大臣官房長、坂本雄三東京大学教授、宮崎学さん(自然界の報道写真家)をお迎えしてのトークディスカッション(第1部)と、アグネス・チャンさんをお迎えしてのトークセッション(第2部)の二部構成で行われました。
 セミナーに先立ち、土屋隆塩ビ工業・環境協会会長(東ソー(株)社長)が、塩ビサッシの利用による省エネ及び快適生活の実現等について挨拶しました。

セミナー会場
第1部 パネリストの方々
第2部 トークセッション
展示ブース
 第1部では、「地球温暖化防止」と「窓とリフォームとの関係」をテーマとしたトークディスカッションで、まず小林光環境省大臣官房長から、省エネ・CO削減の対策強化の一環として、環境省内の樹脂サッシによる内窓化を率先して実施し、冬季の無暖房化を実現してきたこと及び、皆さんの個々のレベルでのエコ改修(樹脂サッシ化等)の投資について、環境省としても補助金等により援助している向きの内容が紹介されました。
 次に坂本雄三東京大学教授からは、樹脂サッシ化することによる効果として、結露防止によるカビ・ダニの発生抑制、及び防音(遮音)性の向上、更には、体感温度が上がる等の快適性の向上に関するお話がありました。さらに、全国の戸建て・集合住宅のすべてを複層ガラスと組み合わせて樹脂サッシ化すれば、京都議定書のCO削減量公約である1.7億トンの2割に相当する3500万tの削減が可能であり、快適生活と省エネ・CO削減の両方を確保できることが強調されました。
 更に、宮崎学さんからは、今年の夏の異常な暑さや季節がずれてきていること等、温暖化による影響の具体例を示しながら、野性動物の生活ぶりが紹介されました。おもしろいことには、野生動物は自分の体表面からできるだけ熱を逃がさない工夫のため、例えば棲家の大きさも自分の体長に合ったものとし、その中で生活するために自分の熱が守られ、自ずから省エネが実現されているそうです。それらのことから、我々人間もこの地球上の自然と共生していく考え方が必要であろうとの内容が紹介されました。
 最後に、窓をリフォームすることで、少ない投資により快適な生活を確保できること、更には、大きな省エネを確保できることの意義を認識し、快適な環境を達成すべきであるという結論でトークディスカッションは締めくくられました。

 第2部では、日本ユニセフ協会大使など芸能界以外でも幅広く活躍中のアグネス・チャンさんが、子供の未来、特にアフリカ北部での砂漠化による食料不足から死に直面している子供達の実態等について、地球規模での環境問題を提示しつつ、一方では身近なエコ活動の必要性についても、外国での体験をまじえながら分かりやすくお話しされました。また、樹脂サッシについては、アメリカやカナダに留学した経験から、周りでよく使われていることが紹介されました。ご自身は、電気代・水道代・ガス代を25%減らすことを目標としていて、冷暖房をあまり使わないようにしているけれども、なかなか達成できないので、我慢するだけでなくもっと良い方法に変えて行かなければならないと考えているそうです。まさに、樹脂サッシと複層ガラスによって窓を断熱化するリフォームを、お勧めしたいところです。

 セミナーの当日は、季節はずれの台風の影響で足元が悪いにもかかわらず、第1部・2部合わせて約300名が出席され、終始熱心に講演に耳を傾けておられました。又、「日経住まいのリフォーム博2007」に出展した樹脂サッシ普及促進委員会・樹脂サイディング普及促進委員会の展示ブースには、4日間で総計約4000名の方々が立ち寄られ、塩ビサッシ・塩ビサイディングについて多くの方に知って頂くことができました。

随想
エリトリア旅行記(1)−なだれ−
(社)日本化学工業協会 若林康夫

 国連などの情報によると、1993年、30年に及ぶエチオピアとの戦いを経て独立をしたエリトリア。
エチオピアと国境を巡り再び緊張が高まっており、国境紛争に陥る可能性が大きくなったようです。

 このエリトリアを2007年9月に訪問しました。その間に書き送ったメールを旅行記としてまとめ、道中の様子や遭遇した出来事を数回に分けてご紹介します。

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 「エリトリア」と聞いただけで、場所が分かったあなたはかなりのアフリカ通です。というか、普通の人は「エストニア」と勘違いをして、東ヨーロッパと間違われる人が多いようです。
 とはいっても、このメールを打っている段階ではまだエリトリアに着いていません。エリトリアに向かうLufthansaの機内です。このLufthansaのフライト、フランクフルトから直接エリトリアの首都、アスマラまで飛んでくれればいいのですが、それではとても採算が取れないということでサウジアラビアのジェッダを経由してエリトリアに向かいます。

 エリトリアはほとんどがキリスト教徒の国ですが、サウジアラビアはイスラム教徒の聖地、メッカがある、イスラム教国。おまけに、今年はこの9月がイスラム教徒の断食月、ラマダンの時期です。ラマダンではイスラム教徒が断食を行い、日の出から日の入りまで、一切の食事をせず、水などの飲み物だけでなく唾でさえ飲みこまないという厳しい生活を約1カ月続けるのですが、それだけではなく、聖地メッカへの巡礼月でもあります。ということで、メッカのそば、ジェッダに向かうこのLufthansaの便も満席、おまけに9割以上が巡礼に向かうイスラム教徒の人たちです。

 メッカへの巡礼といっても今の日本人にはピンときませんが、時代劇や落語に出てくる江戸時代の“お伊勢参り”に近いものがあります。違いは、“お伊勢参り”は伊勢神宮にお参りをするだけでなく、往復の旅を「楽しみながら」参ったのですが、イスラム教徒の巡礼者(ハッジ)はお参りをすることが目的であり、旅の途中はイスラム教徒の経典であるコーランの教えをきちんと守ります。当然、今は断食月ですので、機内食も食べず、もちろん水なども一切飲みません。コーランでは旅行中の人や妊婦、病気の人は断食を行わなくてもいいことになっていますが巡礼の旅ともなればそうも行きません。皆さんまじめに守っています。
 また、これは江戸時代の日本と同じですが、イスラム教徒にとりメッカ巡礼は一生に一度あるかないかの一大イベント。石油で潤う一部の湾岸諸国を除き、決して生活水準の高くない、一般のイスラム教徒にとっては一生で一度の海外旅行でもあります。今回、このLufthansaに搭乗しているイスラム教徒の人たちは主にアルジェリアの田舎のおじいちゃん、おばあちゃんたち。これまで一生懸命に働いて貯めたお金や子供や親戚からプレゼントされたお金をかき集めての巡礼です。当然、飛行機に乗るのも初めての人も多く、飛行機に乗る時のお約束など知るはずもありません。

 フランクフルト空港では、搭乗前に次のようなアナウンスが流れます。
 「Lufthansa 592便、ジェッダ、及びアスマラ行に搭乗のファーストクラスのお客様、搭乗ゲートをお通りになり、ゲート脇にある“保護”エリアにお入りください。」
 「ビジネスクラスのお客様は搭乗待合室の“一番後ろ、壁側”にお下がりください。」
 ファーストクラスの“保護”エリアには屈強なセキュリティの人たちが待機しています。ファーストクラス、ビジネスクラスのお客様が“退避”をすると、「エコノミークラスのお客様の搭乗を開始します。」とドイツ語、英語、アラビア語のアナウンスが流れます。すると、巡礼用の白い巡礼服を着た一団が・・・一斉に、なだれのように搭乗口に殺到します。ほとんどが年寄ですが、少しでも早く搭乗しないと乗せてもらえないかのように他人を蹴散らして殺到します。杖をついたおじいさんがよろけようが、おばあさんが倒れようが、関係なしに、殺到します。Lufthansaや空港のセキュリティ、警察もとても手出しができない、ほとんどパニック状態。

 白いなだれのような集団の搭乗が終わるとファーストクラス、ビジネスクラス、そして、あっけにとられて取り残されたドイツ人など他の外国人のエコノミークラスの乗客の搭乗です。
 しかし機内では、ボーディングパスに書かれた座席番号に関係なくファーストクラスであろうがビジネスクラスであろうが、お構いなしに腰を掛け、「ここは私が取った席だ」「あなたの席はそこではない。ちゃんと指定された席に移れ」と大喧嘩をしているお客様と乗務員のバトルが・・・。
 エコノミークラスでも、「俺の席に既に別の客が座っていてどかない」など怒鳴りあい状態。挙句の果てに、乗務員用の休息エリア(ちゃんと表示され、ロープまで張ってある)にも占領者が。とてもLufthansaの機内とは思えない、ものすごい状態。

 時間に正確なドイツ人、ナント!機内では席が決まらず3割程度の人が立ったままで喧嘩をし、頭上の荷物入れのふたも空いたままの状態で滑走路に向け出発。こうなると、乗務員も「黙れ!何でもいいからさっさと空いている席に座れ!」と乗客を怒鳴り倒します。それでも、席を勝手に移ろうと、飛行機が滑走しているか飛び立ったばかりの状態なのに、機内をうろつき始める人がいて乗務員は大慌て。いやはや、こんなに凄いフライト、初めて体験しました。
 水平飛行に移る頃には機内も落ち着きましたがなんともご苦労なフライトです。
 逆にドリンクサービスや機内食の時間になるとほとんどの人が何も飲み食いをしないので乗務員は楽ちん。ただ、同じ料金をもらって何も出さないというわけにはいかないので、断食中のイスラム教徒の人たちには日没後に食べるようにとお弁当が配られていました。
 と、ここで第1回目のメールは終わるはずだったのですが・・・。

 今日の日没はジェッダ到着の約15分前。到着の15分前と言えば機内サービスも終了し、シートベルト着用のサインが出て、あとは着陸を待つばかりの状態、のはずなのですが・・・。
 窓から機外を見ていた巡礼者のおじいさんが「日没だ」と叫ぶと、ウォーという声と共に、皆一斉に先ほど機内で配られたお弁当を食べ始めました。それだけでなく、みんなに水を配るためや、頭上の荷物入れから持参しているお菓子などを取り出そうと席を立つ人が続出。乗務員は髪を振り乱し、暗い機内で(夜間着陸時は機内の照明は消すことになっています)懐中電灯を片手に必死で席に戻るよう説得に走り回ります。ところが、そんな乗務員の制止を聞くようなおじいちゃん、おばあちゃんではありません。結局、皆さんが食事を食べ終り、席に着くまで、ジェッダ上空を旋回することになりました。

 おまけに、ジェッダ国際空港に到着したら、地上で「しゃもじ」のようなものや赤い棒のようなものを持って飛行機を誘導するマーシャラー(地上誘導員)がLufthansaの到着を待ち切れず帰ってしまい、誘導路で立ち往生するというおまけも付きました。機長が「ジェッダに着いたけどマーシャラーが家に帰ってしまいこれ以上機体を動かすことはできません。いつ動くかは、誰かマーシャラーの携帯電話に電話をかけて聞いてくれ!」と怒り狂った状態で機内アナウンスをしていたのが印象的でした。時間に正確なドイツ人にとって、到着前のお弁当事件で遅れ、地上に着いたら誘導する人が待ち切れずに帰宅したなどとは許せない事態なのでしょう。

 エリトリアでは2つしかない、客室からインターネットに接続できるホテルの一つに予約を入れたのですが、ちゃんと接続ができ、このメールが送れるのでしょうか?
 このメールが着いたら、無事にエリトリアに着いたということです。(続く)

編集後記
 エリトリアだけでなく、ソマリアやエチオピアなど、アフリカ北東部の国々の名前には何か、ヨーロッパや中東の言語の響きに近いものを感じます。紅海や地中海をはさんだ一衣帯水であれば、それも文明の自然な伝播かと思っていました。しかし、事実は全く逆で、アフリカこそ人類発祥の地。モンゴル系もアーリア系も、アフリカこそ最古のルーツなのでしょう。もっと多くの日本人が訪れて、交流を重ねて行くべき時代になったようです。(加地)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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