明けましておめでとうございます。
新年に当りまして、本年の展望・抱負などについて所感を述べさせていただきたいと存じます。
今年は、塩化ビニル工業協会と塩ビ環境協会が合併して、塩ビ工業・環境協会が発足して10周年の節目の年となります。
約10年前にダイオキシン問題に端を発する、いわれなき塩ビバッシングに対し、初代金川会長はじめ歴代会長のご努力や、ここに御列席の皆様方の御協力によって、今日、塩ビに対する表立った忌避論は殆ど影を潜めるところとなり、正に今昔の感がございます。
しかし、塩ビを使用しないことが、恰も進歩的であるかのような認識が、いまだに色濃く残っており、これを打破し、塩化ビニールが優れた樹脂であることを、再認識していただくことが、当協会の最大の課題でございます。
この課題を解決するために、昨年四つの重点施策を設定しましたが、今年も着実に前進させて参りたいと存じます。
その第一点目は、リサイクルへの取り組みでございます。
昨年6月にJPEC(塩化ビニル環境対策協議会)と共に、「リサイクルビジョン」を取りまとめました。
その中で、既に塩ビのリサイクルが広範囲に行われていることをご紹介するとともに、更なるリサイクルの進展に向けて、リサイクル技術の開発やリサイクルシステムの拡充等に、今後5年間で20億円の資金を投入することを宣言しました。
その一環として立ち上げた「塩ビリサイクル支援制度」には、既に数件の応募がございますが、その採否について助言していただくために、化学技術戦略推進機構の中島邦雄理事長を委員長とする「評価委員会」を発足させました。学識経験者のお知恵を拝借して、塩化ビニール樹脂のリサイクルを強力に推進していきたいと考えています。
第二点目は、塩ビのサスティナビリティーを発信し、塩化ビニール樹脂の有用性を理解してもらうことでございます。
昨年は、日経エコロジーに始まり、東洋経済、AERA(アエラ)、日経ビジネスなどに、塩化ビニール樹脂が資源の節約や地球温暖化への貢献などで、如何に社会に役立っている素材であるかを発信して参りました。
また、「住まいのリフォーム展」や「エコプロダクツ展」においても、多数のブース来訪者を迎え、塩ビ業界の存在を大いにアピールすることができました。
かつて、「塩ビは無実である」との論調で守り一辺倒であった広報が、塩ビの有用性を訴える攻めの広報に変えてきておりますが、今年はこの流れを更に進め、「塩化ビニール樹脂を使うことこそが環境にやさしい」という認識が得られるように、活動して参りたいと考えております。
第三点目は、サッシ、サイディングなどの建材を始め、各分野での市場拡大に取り組むことでございます。
昨年の春、環境省本庁舎に塩ビの内窓が設置され、また一般住宅における省エネ改修に対するNEDOの補助金が増額されるなど行政のバック・アップを得て、地球温暖化の防止に貢献する塩化ビニール樹脂として、市場の拡大に努めて参りました。
更に、昨年12月には与党の税制協議会で断熱サッシに対する減税が認められるなど、塩化ビニール製品の有用性が理解されて参りました。
その結果、昨年の後半は建築基準法改正による住宅着工の大幅な落ち込みという特殊な環境にありましたが、その中にあって塩ビサッシは30%前後の大幅な市場拡大を続けるなど、目に見える成果が出ました。
このことは、温暖化防止などの時代のニーズにあった新製品を市場に提供することにより、塩ビの需要が増加することを示しており、今後も新製品を開発し、塩化ビニール樹脂の普及に一段と弾みをつけたいと存じます。
第四点目は、関連諸団体との連帯を強化することでございます。
国内の、プラスチック処理促進協会や、JPEC(塩化ビニル環境対策協議会)及びJHPA(塩ビ食品衛生協議会)との連携を強化するのは勿論ですが、アジア太平洋地区の塩ビネットワークであるAPVN(Asia Pacific Vinyl Network)の活動が年々活発になってまいりました。塩化ビニール樹脂の先進国として、世界最大の市場であるアジアでの業界活動を、より積極的に推進して参りたいと考えています。
最後に、当業界は、ここ数年設備削減や価格後決め方式の是正などの構造改革により、事業体質の強化に取り組んで参りました。
しかし、昨年の内需は、1昨年の136万トンから、8万トン余り減少して、128万トン前後に止まった模様であります。
一方、輸出市場はこれまでの中国一辺倒から中近東などに広がりを見せ、初めて年間で80万トンを超え、出荷量の合計では僅かながらも5年ぶりに前年を上回ったと思われますが、内容的には大変厳しい状況にございます。
更に、今年は原油価格の暴騰に加え、塩・石炭までも高騰しており、経営環境は一段と厳しさを増しておりますが、塩ビ原料の6割は塩素すなわち原料塩由来であり、原油を主原料とする他のプラスチックとのコスト差は一段と拡大してきております。
この相対的な優位性を生かし、先に述べました諸施策をよりポジティブに、よりチャレンジングに推進することによって、落ち込んだ内需の反転を図り、事業性の向上に取り組んでまいりたいと存じます。
縷々申しあげてまいりましたが、当協会の活動はひとえに皆様の暖かいご理解ご支援の賜物でございます。お礼を申し上げますとともに、本年も引続きよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、各社のますますの発展と、皆様の今年のご健康ご多幸を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
(1月10日開催のVEC賀詞交歓会での、会長年頭挨拶より抜粋して掲載いたしました。)
VEC賀詞交歓会風景
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VEC 土屋会長
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経済産業省製造産業局 照井次長
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