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NO.173
発行年月日
:2008/04/17
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トピックス
◇塩ビリサイクル支援制度 第1回応募の採択案件が決定!
−複合製品のリサイクル技術の確立を目指して−
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随想
心のシフトダウン
東京農工大学大学院MOT、
日本化学工業協会広報委員会顧問 瀬田重敏
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編集後記
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トピックス
◇塩ビリサイクル支援制度 第1回応募の採択案件が決定!
−複合製品のリサイクル技術の確立を目指して−
塩ビ製品リサイクルの進展を目的とした支援制度を塩ビ工業・環境協会が創設したことは、メールマガジンのこの欄でも既に紹介しました。
昨年12月締切りの第1回目の公募には、私たちの事前の予想を超え、相当数の応募をいただきました。応募案件の中には、普通では中々気付き難い視点にスポットをあてたものが幾つかあり、今後のリサイクルを考えるうえで、おおいに参考にすべきものがありました。応募案件に対し、計画の実現性、技術やシステムの先導性、事業化した時の量的効果など様々な視点から評価委員会で議論され、各案件に対しご意見をいただき、それを踏まえて第1回目の応募案件から下記の3つを採択しました。
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複合塩ビ廃材のマテリアルリサイクルシステムの開発
(アールインバーサテック株式会社)
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PVCタイルカーペット廃材のリサイクルに関する研究
(住江織物株式会社)
・
塩ビ壁紙廃材を原料とする吸着性炭化物の製造研究
(株式会社クレハ環境)
採択された各案件は、いずれも複合製品のリサイクルに関する内容で、マテリアルリサイクル(MR)に分類されるものが2件、フィードストックリサイクル(FR)に分類されるものが1件でした。
昨年公表した「リサイクルビジョン−私たちはこう考えます−」の中で、排出形態(分別排出か混合排出か)や製品組成(単体製品か複合製品か)に応じてそれに適したリサイクル手法で再資源化すべきとの考えを示しています。複合製品の多くは、MRが困難で通常はFRなどの対象とすべきですが、今回の採択案件では、その困難な塩ビの複合製品のマテリアルリサイクルが3案件のうち2案件を占め、これまでの枠組に捉われず、塩ビ製品のリサイクルに新しい地平を拓いてくれる可能性を秘めた内容です。
採択した各社と私ども塩ビ工業・環境協会は、個別に契約を締結し、技術開発や実証試験を進めます。今回の採択案件の中には様々な塩ビ複合製品や汚れがあっても適用できるもの、排出現場でのコンパクトな施設による再資源化処理で、輸送コストや廃棄物処理法上の制約回避に繋がるもの、再生材の用途毎の調整を組み合わせるものなどがあります。新しい社会システム構築の起爆剤としての役割をこうした技術が担っていくことが期待されます。
これから2011年度まで4年間続くこの支援制度の応募案件の中から、将来の塩ビ製品のリサイクルの姿を変え、循環型社会の構築に大きく貢献してくれるものが必ずや生まれてくることと確信をもってこれから取組んでまいります。(了)
メールマガジンのバックナンバーは、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html
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随想
心のシフトダウン
東京農工大学大学院MOT、
日本化学工業協会広報委員会顧問 瀬田重敏
車の運転を始めて40年以上になる。65歳になったとき、自分の自動車運転のあり様、危険な癖等があればチェックしてもらいたい、その上でこれから高齢者としてどういうことに配慮して運転しなければならないかについて研修でも受けたいと思い、知人の紹介を貰って杉並のある教習所に電話をした。すると「高齢者用というのはありませんが、ペーパードライバーが車を買って運転をするようになったとき、あらためて運転能力や運転の知識を思い出すための講習コースならあります」とのこと、それで結構です、というわけで40年ぶりに実技教習を受けに出かけたのである。
教習は教習所の練習コースで行われた。実際に運転実技を見てもらった結果、自分の年齢からくる衰えがどの程度なのかはわからなかったが、いろいろな点で注意を受けた。運転席に座って発進に至る迄の手順(多分リズムを意識しているのだろう)、後続車にこちらの意思を確実に伝える方法、右折左折のときの目配りのしかた、道路走行のスピードのとりかたなど。カーブに入るとき、「速い!」と言われた。かくしてわかったことは、自分が普段如何にいい加減な運転をしているか、ということであった。中でもいい加減なのは一時停止だろう。私だけでなく、一般道の一時停止で法定通り停止する車はまずいない。ブレーキはかけるが止まらずにのろのろと出ていって、一応安全と見たら出ていく。中には後続車にブレーキをかけさせるほど強引に出る運転者も少なくない。
私がいつも通りに一時停止線を、停止に近いが停止ではないのろのろ運転で出ようとしたとき、指導員は「待った!」をかけた。「それは徐行であって一時停止ではない」というのである。言われてみればそうだよね、と思い直してそのときは納得したが、その後いざ一般道で一時停止をきちんと実施しようとすると問題が生じる。例えば踏み切りでは、後続車は私がきっちり止まるとは思っていないので、危うく追突しそうになり最初はヒヤリ、次には何をもたもたしているのだと言わんばかりの眼光を鏡越しに送ってくる、更には苛立ったようにぐいと抜いてゆくという車に何度も遭遇した。
ところで私の家の近くに狭い道から大通りに出る見通しの悪いT字路がある。ちょうど玉川警察署のまん前だ。私がいつも大通りに出るときに通るその狭い道には一時停止線が交差点より3m以上も手前に引かれており、そこで一時停止しても、両側に迫る家の陰にかくれて、左右の歩道の様子も車道の車も見えない。従ってその一時停止線は意味がない、と思っていた。しかし教習後そこを通り、意味がないと思いつつも教えられた通りにきちんと一時停止しているうちに、あることに気がついた。それは左右が見えない線であってもそこで一時停止することで、心が定まることである。つまり一時停止することで何故か心が鎮まって、急いで出ようという気持がなくなり、仮に急に人や自転車が陰から出てきてもこちらはちゃんと止まれる。姿を表した歩行者と目が合えば手を差し伸べ、「どうぞ」と先に通ってもらう、通る人はお辞儀をして通る、こちらには目もくれずに通り過ぎる人や、車の鼻面を、スピードを落とさず通り過ぎる自転車があっても前ほど腹が立たないのである。そうなのだ、左右がまだ見えないところで一時停止することで、自分の心が決まるということなのだ、左右が確認できるよりずっと手前のところに引かれた一時停止線にはそれなりに心理学的理由があったのだ、「動」から「静」に心をシフトダウンしてリスクに応じやすくするために、あのような一見合理的でないところに線が引かれているのだ、と納得したのである。
心を定める、「動」から「静」に心をシフトダウンする、大事なことだ。もうおわかりのように、実は工場管理でも営業でも、およそ企業人ならこうしたことは誰でもやっていることである。若干問題なのは仕事では自然にやっているのに、ハンドルを握ったときにはこうした心理的余裕をなくしがちなことだろう。
これまでに不測の事態が起きていないとしてもそれは幸運にすぎない。そんな不測の事態が起きないように備えること、そのためにも大事なのは心を定めてルールを守る訓練を意図的にすることだ、訓練で形を作っておけば心のシフトダウンに長い時間はかからない。
今、団塊の世代が去り、技術の継承の問題が起きている。技術継承の第一は環境安全衛生である。大学では、安全は成果(生産、研究)に先立つという意識が企業に比べれば希薄である。大学の現状は半世紀も前の企業のレベルだろう。そんな大学を出てきた新入社員のOJT教育で、心を決める、その形や思いをさりげなく伝えてゆくのは重要なことと思う。(了)
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編集後記
4月は新学期が始まり、若い新入社員も増え、通勤電車が痛勤電車になっています。このためか、小生の乗車している某電鉄は最近遅れが目立ちます。特に雨の日はひどいように感じます。何年か前を思い起こしてみると、乗降ドアの開閉の仕方が大きく変わったことも影響しているのでは。以前は、一度ドアを閉めて荷物などが挟まると、「一寸だけよ」とばかりにパッパッと開閉していました。しかし、今は「全開」し放送した上、様子を見ながらゆっくり閉じるように変わっていました。これでは開いたときに飛び乗るヒトがあり、遅れて当たり前ですよね。・・・・この様なことを考えるようでは「心のシフトダウン」をしなさいと言われそうですね。(可)
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VEC関連URL
●家族で学べるページ
https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会
http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会
http://www.psiding.jp/
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