|
講演の様子
|
 |
ロイヤル・パビリオン
|
第10回塩ビ国際会議がイギリスのブライトン(Brighton)で4月22日から24日の3日間開催され当協会からも参加し、招待講演として「日本とアジアの市場」について、一般講演として「日本での塩ビリサイクル」について発表しました。
この国際会議は3年毎に開かれており、ブライトン会議とも言われ、塩ビの国際会議では最大の規模のもので、今回の参加者は約450名でした。ただし、その大半はヨーロッパの塩ビ関連の企業からで、米国からの参加も少なく日本からの参加も数名でした。
ブライトンはロンドンから南に電車で30分程度の距離にあるイギリスでも有数のシーサイド・リゾートとして知られています。ブライトンはもともと漁村でしたが、18世紀頃から海岸沿いのリゾートとして発展をはじめ、1841年にロンドン−ブライトン間の鉄路が開通し、壮麗な建物も建設され、現在の景観ができたとのことです。ロイヤル・パビリオンは1800年代初頭に王室の住居としてリージェント王子(ジョージ4世)によって建築され、インド風の外観とオリエンタルな内装が美しい、ブライトンの目玉となっている建築物です。PVC会議の開かれたブライトン・ドームはロイヤル・パビリオンと庭園を隔てた所にあり、その中心がドームシアターと呼ばれる二階席のあるコンサートホールで、会議1日目のプレナリーセッションはここで行われました。
プレナリーセッションは13件の基調講演および招待講演からなり、2日目および3日目は3会場で分野毎に計47件の発表がありました。プレナリーセッションでは、急速に拡大を続ける中国の需給およびコスト構造が注目されるなか、CMAI(調査会社)は世界の塩ビ需要は現在の3,500万tから、2012年には4,500万tにまで拡大し、そのうち中国は1,500万tを占めると予測しました。さらに、中国は2009年頃に輸出ポジションとなるが、主流であるカーバイド法塩ビも石炭価格の上昇およびエチレン価格の今後の低下を予測すれば、欧州に輸出するだけのコスト競争力はないとの見方を示しました。
ECVM(欧州塩ビ製造協議会)からは、「Vinyl2010の2010年に向けてカウントダウン」と題して発表があり、1)Vinyl2010コミットメントは、ボランタリーコミットメントの模範として世界の塩ビ関連業界に大きな影響を与えた、2)使用済み製品の20万tのリサイクルは達成の見通しである、3)塩ビリサイクルに対して財政的援助を継続する、4)特に塩ビ廃棄物の収集・選別を促進するRecovinylシステムを拡大する考えであることなどが表明されました。ただし2010年以降については、明確なビジョンは示されませんでした。また、欧州で進められてきた2件のフィードストックリサイクル・プロジェクトが失敗したことも明らかにされました。
当協会からの招待講演では、日本の塩ビをめぐる官庁、トップ企業の動向を話すとともに、環境省に塩ビ内窓が設置されたことや、エコプロダクツ2007で塩ビの説明を聞く子供達の様子なども写真で示し、他の発表ではみられない生き生きした印象を聴衆に与えたようでした。
一般講演の発表内容は、塩ビ全般にわたっていました。そのなかで、塩ビのサステナビリティが一つのジャンルとして独立し、LCAに関する発表がありました。技術では、重合、加工、コンポジット、可塑剤、安定剤、樹脂改良材、充填材などの幅広い分野において、市場動向および将来展望のなかでの製品開発などビジネスと関連付けた発表が多く見られました。リサイクル関連の発表は4件で、当協会から日本での塩ビリサイクル状況を説明したところ、フィードストックリサイクルの将来、壁紙リサイクル技術について質問を受け、このような分野に対する欧州の関心の高さを感じました。(了) |
|