NO.207
発行年月日:2009/01/08

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年頭挨拶
塩ビ工業・環境協会 会長 菅原 公一

年頭所感
塩ビ工業・環境協会 専務理事 関 成孝

編集後記

年頭挨拶
塩ビ工業・環境協会 会長 菅原 公一

 明けましておめでとうございます。
 平素より塩ビについて様々お世話になっております各界の皆様には、常々VECの活動にご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。本年もどうぞ、倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げます。新年を迎えまして思うところの一端をお話し申し上げたいと存じます。

 昨年の当協会の総会後の懇親会で、わが国の塩ビ産業は、建設需要の低迷もあって厳しいものの、一昨年より塩ビに対する再評価も緒につき、本格的な塩ビへの需要回帰と新規用途開拓による塩ビ産業の復活に向けた活動に取り組む時期が来たと申し上げました。

 しかしながら、米国発の金融バブルが弾けてアジアや世界が壊滅的打撃を受け、その影響が日本の企業や家計にもはっきり表われてきました。昨年後半には世界的な金融恐慌の様相を帯び実体経済に波及しました。住宅・自動車・エレクトロニクス・電機などの主要産業をはじめあらゆる分野で世界的な景気崩壊の激震が起きています。
 年末年始は全メディアが“景気の急降下”をこぞって報道していますので、繰り返しませんが、こうした未曾有の景気後退に対し、主要国で大規模な世界的景気対策がとられ始めています。塩ビ業界も必死の努力をしていますが、一業界の努力では如何ともしがたい状況にあります。こうしたファンダメンタルズに係わる問題には、是非とも政府の大規模な政策出動による強力な対策をお願いしたいとの思いであります。特に公共投資などへの財政出動は当塩ビ産業にとっても有力な回復材料となります。

 需要分野の裾野が広い塩ビは、景気の影響を受けやすく、それが如実に数字に表れています。塩ビの国内出荷は大きく落込み、2008年は四半世紀ぶりに120万トンを割り込むのが必至の状況にあります。一方で輸出も前年比60%近くまで減少しています。しかし、私は塩ビの見通しを悲観しているわけではございません。今は、景気後退による実需減に加え、原油価格の急騰急落に起因する在庫調整が更に需要減を増幅していると見ております。塩ビ産業のキーである新設住宅着工戸数は、2008年は110万戸程度へ回復したものと見られます。住宅分野での需要回復傾向を底流に、政府の景気対策の効果が現れる今年の後半には、ゆるやかながらも反転するであろうと期待しております。

 さて、昨年の総会で、塩ビ需要の増加を大目標として、VECの活動の3つの重点課題を設定して取り組んで参りました。
 その第一が「塩ビが地球環境に優しい、社会を支える素晴らしい素材であることを根付かせる」ことです。この活動は着実に進んでいると手応えを感じております。ひとえに行政やメディアの皆様が私共の考えをご理解、ご支援いただいた賜物と勇気付けられています。ありがとうございます。今年は、焦点をより明らかにして取り組んで参ります。
 第二が「リサイクル支援制度を活用し、リサイクルの拡充を図る」ことです。既に支援制度のもとに幾つかのリサイクルの開発に協賛をしました。今年にはその成果が実を結ぶよう、一層の展開を図って参ります。
 第三が「地球温暖化対策に貢献する樹脂サッシ等の普及促進」でした。これは塩ビレジンの市場拡大を目指したものであります。住宅の省エネ窓リフォームにつきまして、政府の補正予算での補助金追加、与党税制大綱への所得税控除の組み入れがあり、また東京大学のTSCP(東大サステイナブルキャンパスプロジェクト)にも取り上げられるなど、心強いかぎりであります。更に、展示会でも大きな反響を呼び、認知度が格段に向上しました。

 今年も、各界の皆様のご支援を頂きながら、塩ビ需要の回復に向けて高い効果が期待できる活動を協会一丸となって進めて参る所存でございます。

 最後ではございますが、皆様にとって本年が良い年となりますよう、またご健康、ご多幸でありますよう、祈念いたしまして新年の挨拶とさせていただきます。
本日は誠に有難うございました。

(1月7日開催のVEC賀詞交歓会での、会長年頭挨拶を掲載いたしました。)

VEC賀詞交歓会
VEC 菅原会長 経済産業省製造産業局
後藤次長
懇談風景

年頭所感
塩ビ工業・環境協会 専務理事 関 成孝

 新年、あけましておめでとうございます。

 昨年は、京都議定書第一約束期間がスタートし、また、洞爺湖サミットが開催され、地球温暖化問題への関心が一挙に高まりました。塩ビ製品は、その製造時のCO2発生量が他の素材に比べて少ないだけでなく、長年の使用に耐えられること自体が資源とエネルギー、そしてCO2排出削減に貢献できること、そして、窓枠のように使われることでエネルギー使用とCO2排出量を大きく削減できるものがあることなど、その優れた環境性能は大きな強みです。本年は、UNFCCC(国連気候変動条約)COP15(第15回締約国会合)において、京都議定書以降の次期枠組みを決定することとなっています。米国が新政権になり、温暖化対策が加速することが期待されています。経済情勢は、暫くは厳しい状況が継続するでしょうが、地球環境対策への関心は以前に増して強まると予想されます。塩ビ製品には追い風となるでしょう。

 昨年11月には、日経住まいのリフォーム博において、地球環境問題への対応をテーマとして、日経新聞社、環境省らと協賛してブース展示を行いました。そこでは、樹脂サッシだけでなく、パイプ、縁材、壁紙、タイルカーペット等多様な建材、被覆電線、農ビ、日用品、リサイクル品など様々な塩ビ製品の紹介をさせていただきました。その多くはエコマークやグリーン調達の対象となっているものです。同展示会では、五指に入る人気のブースとなりました。また、12月のエコプロダクツ展においては、弊協会及びJPECのブースに、昨年を6割以上も上回る方々が来場されました。塩ビがダイオキシン発生の原因と誤解されている方は少なくありませんでしたが、客観的な科学的知見を基に説明をさせていただくと、その優れた環境性能をご理解いただくのに以前ほど時間はかからなかったように感じました。

 弊協会リサイクル支援制度の実質的なスタートとなった昨年、4つの案件が採択されました。いずれも、技術的に難易度の高い複合材料のリサイクルに果敢に挑戦しようとするもの、或いは、リサイクル材を使用することで環境価値を高めた新製品を開発しようとするものでした。その成果に期待がかかります。また、イオン株式会社に協力して進めてきた使用済みギフトカードを再度カードとして再生する試みは、試作品の製作にまでこぎ着けました。リサイクル品使用カードが出回るまであまり時間はかからないと思います。基板は純白ではなくオフホワイトですが、リサイクル品ならではの味わいがあります。

 地球温暖化防止、省エネ対策では、樹脂サッシが大きな役割を担える分野です。環境省全館に続き、国土交通省が大臣室に樹脂製の内窓を設置しました。また、東京大学が世に率先して環境負荷の削減を進めようとする、東大サステイナブル・キャンパス・プロジェクト(TSCP)において、総長室のフロアーに樹脂製の内窓が導入されることとなりました。

 さらに、与党の税制改正大綱では、省エネ改修費の一割(限度20万円)を所得税から減免する政策が盛り込まれました。窓の改修が必須の要件となっています。補正予算によるNEDOの省エネ改修補助も二次募集が行われています。これらにより、樹脂サッシの普及が弾むことを期待したいと思います。

 ところで、家や建物の断熱性能を向上させる上で樹脂サッシは極めて大きな効果がありますが、その導入によって結露を防ぎ、カビ・ダニ発生を抑制し、また、居住空間の温熱環境を安定化することで、喘息・アトピー、急激な血圧変動、冷えのぼせの防止などの健康増進効果も大きなものがありそうなことが、約100世帯のご家庭を対象とした調査により分かりました。今後、調査母数を拡大し、定量的な分析を進めることとなっています。温暖化防止の副次的効果というより、むしろ、健康増進のためにも住まいの断熱性能を高めることが重要であることが科学的にも明らかになると期待されます。

 樹脂サイディングは、もともと、耐久性、メンテナンス性、施工性に優れた素材ですが、塩害に強いことや軽量であること(耐震性があがります)も大きな強みです。伊豆大島、沖縄で大学と共同の検証実験が行われています。戸建住宅だけではなくコンクリート建物にも使用でき、実際にマンションの改修でも使用実績が出てきています。

 塩ビ製品全体としては、一昨年以来の住宅着工件数の減少や昨秋以降の世界的な景気後退の影響を受けて、残念ながら需要は減少しています。しかし、そのような中でも樹脂サッシやリサイクル品を使ったタイルカーペットなどは伸びているようです。環境性能を強みとして、この厳しい経済情勢を乗り切り、さらに長期的な発展を期待し、年初の挨拶に代えさえていただきます。

編集後記
 昨年9月のリーマン破綻後3ヶ月の間に全世界のすべての産業に急ブレーキがかかり、100年に一度といわれる金融危機のなか、先の見えない不安と共に平成21年がスタートしました。平成になってまる20年、今年は昭和の世なら戦後1年目の昭和21年。我々の先人達は100年に一度どころか、敗戦という国家そのものの破綻を乗り越え、今日を築いてこられました。
 厳しい内容のニュースが多かった新年でしたが、変えるべきもの、変えてはならないものをしっかりと見定め、日本をあるべき方向に向けて世界のピンチを日本のチャンスにしていかねばなりません。永田町にはそのための政策論議をとことん尽くしてもらわないと困ります。選挙を意識した政治ショーをやってる余裕は到底ないはずです。平成21年が“日本が世界同時不況からいちはやく抜け出し持続可能な国家創りに着手した1年”と後年いわれる年に是非ともしてほしいものです。(丸茶)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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