◇塩ビリサイクル支援制度採択案件の紹介 —使用済み塩ビ製品が人工の木陰に生れ変ります— |
「リサイクルビジョンー私たちはこう考えますー」でお示しした考えに則して創設した塩ビリサイクル支援制度もスタートしてから1年が経ちました。最近ではこの制度に対するお問合せも多数寄せられるようになり、リサイクルに携わっておられる方々の間の知名度もあがってきました。
今回ご紹介する採択案件は昨年9月末までに申請のあった案件の中から選ばれたものです。今回も前回同様、興味深い内容の案件の応募がありました。11月に開かれた外部の有識者から成る評価委員会で計画の実現性、事業化した時の効果などの視点からそれぞれの申請案件が評価され、同委員会の意見を踏まえて下記の案件を採択しました。
・塩ビリサイクル材料を用いたフラクタル日除け(積水化学工業株式会社)
 |
 |
人工の木陰をつくるフラクタル日除け |
“フラクタル”? 耳慣れない言葉です。暑い夏、木陰の涼しさは誰もが経験することですが、これは木の葉の単位片が数センチと小さく、風を通しやすいために優れた熱放散効果と遮熱効果をあわせ持つからだそうです。日陰は日除けでも作ることはできますが、日除けそのものが日射を受けて気温よりもずっと熱くなってしまいます。日陰部分でも、日除けからの熱射が避けられません。木の葉の場合、水分の蒸散効果がすぐに思い浮かぶと思いますが、実際には、風によって葉の表面温度の上昇が抑えられ効果が大きいとのことです。このため、日除けによる日陰よりも木陰の方が爽やかで涼しく感じます。この木陰の涼しさを人工的に再現しようとする試みが“フラクタル”構造というわけです。
今回の申請は、これを塩ビのリサイクル材料で開発して、役立てようというものです。こうしたニーズは潜在的に大きく、一度使用された塩ビ製品が再びリサイクル製品として、まとまった数量の用途を築く可能性を秘めています。耐久性が高く、複雑な構造の成形加工が容易で、しかも周囲の環境にあわせた様々なデザインも可能なリサイクル塩ビは、こうした素材としてうってつけです。塩ビによる人工の木陰、まさにグリーンなリサイクル製品と言えます。
パイプや板、巾木、樹脂サッシなど、様々な使用済み硬質塩ビ製品から再資源化されたリサイクル材料が人工の木陰として生まれ変わる夢の実現に支援制度が役立つことと期待しています。(了)
|
|