NO.222
発行年月日:2009/04/23

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トピックス
◇甲子園球場のアルプスフェンスに塩ビターポリン

随想
古代ヤマトの遠景(35)—【日本武尊】(2)—
信越化学工業(株) 木下清隆

編集後記

トピックス
◇甲子園球場のアルプスフェンスに塩ビターポリン

 阪神タイガースは昨年序盤独走していましたが、最後に巨人に逆転され優勝を逃しました。以降、今年もあまり調子は芳しくなく、現在も1位の巨人とはゲーム差が大きく開いています。金本選手は絶好調ですが、先日の東京ドームでの巨人戦には勝てず、対巨人戦は9連敗とか。5月の連休には甲子園で再度の巨人戦があり、是非とも3連勝し、これを足がかりに優勝争いに加わってペナントレースをおもしろくしてほしいものです。
 阪神ファン以外の方は阪神戦をご覧にならないかもしれませんが、春の高校野球が有りましたので、新しくなった甲子園球場をご覧になった方も多いかと思います。

 ここで本題の甲子園で塩ビが活躍していることをご紹介します。ホームラン性の当たりやファウルを外野手が捕球するとき、フェンスに衝突しているのをご覧になった方も多いかと思います。大きくなった銀傘が注目されていますが、フェンスにもご注目下さい。選手のけがを防ぐためフェンスには弾力性のある緩衝材が取り付けられています。この緩衝材の表皮に塩ビターポリンが使われているのです。
 これを製作、施工されたのがNI帝人商事株式会社様(本社:大阪市中央区、社長:北野弘様、以下「NI帝人商事」)です。お話しでは、「従来、ラバーフェンスの衝撃クッション材にはウレタンが使用されていましたが、屋外での使用に対しては、紫外線劣化や雨水の抜けの悪さに加え、特に冬場に硬化するという大きな欠点があり、代替素材に対するニーズが高まっていました。このたび採用されたラバーフェンス外装材の表皮には高耐候塩化ビニル製のターポリン、内部には帝人ファイバー株式会社様(本社:大阪市中央区、社長:亀井範雄様)の「ファイバークッション」が使用されています。「ファイバークッション」は、シート状のポリエステル不織布を重ねて厚みを作り出した多層構造を有しており、既に介護マットレス用途を中心に約20年におよぶ納入実績を誇っていますが、このたびは次のような特徴が高く評価され、ラバーフェンスに新規採用となりました。」とのことです。

 表皮に塩ビターポリンが採用されたのは、下記の様な事柄が可能であることが評価されたようです。
  ◎高耐候性   ◎防炎   ◎着色(ダークグリーン)  
  ◎塗装可能(スポンサー名を記入)   
また、特に要望されたのは選手がスパイクで乗っても簡単に破れないことだそうです。イチロー選手がホームラン性の打球をフェンスにスパイクを掛け、登るように捕球している光景が浮かびますね。

 なお、塩ビターポリンは他球場でも表皮として採用されているようです。
また、今回使用されたターポリンは基布にポリエステル素材「テイジンテトロン」を高耐候性軟質塩ビで覆ったもので、アルプス席、外野席部分の600m程度とのことでした。
塩ビターポリンについては本メルマガNo.217に、同じように塩ビの持つ印刷性や強度が評価されている広告用を紹介しています。

帝人ファイバー(株)様、NI帝人商事(株)様のニュースリリースは下記からご覧下さい。
フェンスの写真も掲載されています。
http://www.teijin.co.jp/news/2009/jbd090316.html
http://www2.ni-teijinshoji.co.jp/news/090316.html

随想
古代ヤマトの遠景(35)—【日本武尊】(2)—
信越化学工業(株) 木下清隆

  前回のような記紀の記述から、宮簀媛(みやずひめ)は日本武尊の妃となっているはずだと誰でも考えたくなる。ところが、古事記にも日本書紀にも日本武尊の妃として宮簀媛の名はどこにも出てこないのである。では尊の妃はと言うと、記紀の中には次のような名前が出てくる。
   ・両道入姫皇女(ふたぢのいりびめのひめみこ)、垂仁天皇の皇女
   ・吉備穴戸武媛(きびのあなとのたけひめ)、吉備武彦の女(むすめ)
   ・弟橘媛(おとたちばなひめ)、穂積氏忍山宿禰の女

熱田神宮拝殿
Photo by (c)Tomo.Yun http://www.yunphoto.net
  このように宮簀媛の名前は記載されていない。なお、古代において「弟」は、男兄弟であれ女姉妹であれ、年下の者に共通して用いられていたので、現代での「乙姫」は、古代の表記では「弟姫」となる。

 記紀の中に、日本武尊の妃として宮簀媛の名が無いことは分かったが、では彼女はどこに行ってしまったのだろうか。彼女を探すための日本武尊とほぼ同時代の歴代天皇の后妃の系譜を調べてみることにする。ここでは初代倭王は崇神天皇に対応していると考えているので、この天皇と後継の垂仁天皇、景行天皇の后妃がその対象となる。日本書紀からその名を抜き出すと次のようになる。
崇神天皇  : 御間城姫(みまきひめ)孝元天皇皇子、大彦命の女、皇后
: 遠津年魚眼眼妙媛(おほつあゆめまくはしひめ)
紀伊国、荒河戸畔の女、妃
: 尾張大海媛(おわりおほしあまひめ)尾張氏の女、妃
垂仁天皇  : 狭穂姫(さほひめ)、皇后
: 日葉酢媛(ひばすひめ)、皇后
景行天皇  : 播磨稲日大郎姫(はりまいなびのおほいらつめ)、皇后
: 八坂入媛(やさかいりひめ)八坂入彦皇子の女、妃
: 水歯郎媛(みずはのいらつめ)三尾氏磐城別の妹、妃 以下略

この時代、時の権力者の妻となった女性は数多くいたらしく、記紀には数多くの女性の名前が列記されている。当時から皇后、妃といった名称があったわけではないので、当時、正妻として遇されていた女性が、記紀が編纂された時代に皇后(きさき)の位を与えられ、その他の女性達は妃(みめ)と区別されたようである。

 この中で注目されるのが、崇神天皇の妃となった尾張大海媛(おわりおほしあまひめ)と景行天皇の妃となった八坂入媛(やさかいりひめ)である。この八坂入媛は八坂入彦の女(むすめ)であるが、その八坂入彦は崇神天皇と尾張大海媛との間に出来た皇子なのである。更に景行天皇が八坂入媛を見初めたのが、美濃に行幸した時だったと書紀には記録されていることから、景行天皇が美濃を訪れるまで、尾張大海媛、八坂入彦、八坂入媛は美濃に居住していたことになる。従って、尾張大海媛は崇神天皇にとっての、美濃における現地妻だったことになる。ところが、この関係は前回に紹介したように日本武尊と宮簀媛の関係と完全に符合する。また、日本武尊は創作上の人物であることを前回説明した。従って、書紀の記述から、
  日本武尊=崇神天皇、 更に、初代倭王=崇神天皇の関係から、
  日本武尊=初代倭王
の関係が導かれることになる。

 このように日本武尊は、初代倭王をモデルとして創作された人物である可能性が高いことになるが、このことを前提とすれば、この王が美濃(かつての狗奴国)との和平協定の証として大海媛を献ぜられ、現地で幾人かの子供をもうけ、更に形見として「草薙剣」を媛のもとに残して大和へ帰った、と言ったストーリーが無理のないものになってくる。
 更にこの物語には後日談がある。美濃で八坂入媛を見初めて後、景行天皇はこの媛を京に連れ帰ったとみられ、実に七男六女もの御子を二人の間にもうけているのである。この中から後継の成務天皇が誕生する。
 このような系譜を分かり易く図にすると次のようになる。



 以上のような検討結果から、日本武尊の美濃における現地妻、宮簀媛は、初代倭王が現地妻とした大海媛をモデルとして創作された媛であると言えることになる。このような事情から、宮簀媛が日本武尊の妃として記紀に残されることが無かったのは、当然のこととなる。(続く)

前回の「古代ヤマトの遠景」は、下記からご覧頂けます。
古代ヤマトの遠景(34)・・・【日本武尊】(1)

上記以前の「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

編集後記
  今週のトピックスは野球場のフェンスの話しでしたが、WBCのサムライジャパンに興奮した方も大勢いるのではないでしょうか?その勢いで始まったプロ野球ですが、フェンスに激突しながらナイスキャッチするようなエキサイティングなプレーが楽しみですね。
 ところで、休日には車を使う私ですが、高速道路を利用する機会は年に3〜4回程度なので、これまでETCを付けようとは思ってもいませんでした。ところが、いろいろ批判の出ている高速道路料金値下げの話題は魅力的で、1年で元が取れる計算になります。そこで、急遽、ETC取り付けを思い立ちましたが、時すでに遅く、連休に間に合わないばかりか、ETC購入費の助成も受けられないといった状況です。この連休は、高速道路の渋滞が予想されていることから、まあいいかと一人慰めていますが、これまた同じような思いの方も大勢いるのではないでしょうか。

VEC関連URL
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●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
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