===「塩ビと環境のメールマガジン」 第4号 ========== 2001/09/27
   
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     目 次

      ☆巻頭コラム
              「1+3を10にする?」
        …都市ゴミ焼却炉で産業廃棄物を燃やせないか

      ☆セメント工場と塩ビ・リサイクル
         「セメントの需要が増えると、循環型社会が進む??」        
 
      ☆仙台市に37ヶ所目
       「塩ビ管リサイクル拠点の設置、急ピッチで進む」

      ☆お知らせ

       □展示会の出展予定        
        ・ぐんま環境フェスティバル(前橋)

       □塩ビ樹脂・生産出荷実績(8月)

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  ☆巻頭コラム
      「1+3を10にする?」
       …都市ゴミ焼却炉で産業廃棄物を燃やせないか

    先日、とある県庁にお邪魔し、いろいろ意見交換をさせて頂く機会
   がありました。その時、話題が廃棄物焼却システムに及ぶと、県庁の
   方は、「当県では一廃、いわゆる一般廃棄物と、産廃、いわゆる産業
   廃棄物をいっしょにして焼却処理しています。焼却炉のダイオキシン
   対策は完璧であり、能力的にも余裕があり、産廃は処理費用を頂ける
   のでコスト的にもプラスである上、特にプラスチック類は燃焼カロリ
   ーも高いので助燃剤のA重油の節減にもつながり、一挙両得です」と
   こともなげに言われました。

    従来わが国では、一廃処理は市町村の責任、産廃処理は産業界の責
   任となっていて、この両者をいっしょに焼却処理することは事実上困
   難でしたが、最近環境省は、条件が相整えば都市ゴミ焼却処理施設で
   産廃処理を行ってもよろしい、いやむしろできるだけそうして欲しい
   と希望するようになりました。

    この理由として一方では、産廃処理施設の新設が激減し、このまま
   では日本全国が未処理の産廃の山で埋もれかねないという危機感もあ
   りますが、他方上記のようなメリットもあることから、市町村に協力
   を呼びかけるということになったようです。

    しかし市町村側では、理屈としては判るものの、処理施設の容量や
   能力、ダイオキシン対策などの問題に加え、他人のゴミをなぜ処理し
   なければならないのかという住民感情などあって、なかなか実現に踏
   み切れないというのが実態のようです。そんな中でこの県では、種々
   の困難をクリアして実現にこぎつけたとのことであり、大変感心致し
   ました。

    特に「他人のゴミをなぜうちの裏庭で処理せねばならないのか」と
   いう意見は、個人的にはもっともと感じはしますが、公共的観点に立
   つとそれだけでは世の中なり立たないというのも事実、この両者をど
   う折り合いつけるかがこの例では行政の腕の見せ所でしょう。

    こういった試みが全国多くの市町村で進められることを期待したい
   ものです。

     1(一廃)足す3(産廃)、つまり都市ゴミと産業廃棄物をいっし
   ょに処理して、10、つまり充分満足できるではないか、というお話
   でした。

     
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  ☆ セメント工場と塩ビ・リサイクル
      「セメントの需要が増えると、循環型社会が進む??」

   ●日本全国にセメント工場は36工場あります。そこでは、石灰石、
     粘土などからセメントを作っているだけでなく、今では、大量の廃
    棄物を受け入れ、資源として有効活用し、循環型社会形成における
    重要な役割を果たしています。

     そもそも、セメント工場では、古くから廃棄物や他のプラントか
    ら発生する副産物を有効活用してきました。
    例えばセメント製造も行っている化学会社の東ソーは、ソーダ事業
    とセメント事業を兼営し、ソーダ工業で発生する石灰石のくずなど
    の副生物をセメントの原料として再利用、一方、セメント工場で発
    生する熱や蒸気はソーダ工場で有効利用するといった具合に、資源
    やエネルギーの無駄をなくすという、今でいう循環資源としての活
    用、そしてゼロ・エミッションを設立時の昭和初期より目指してき
    ました。
     今では、社内の副生物・廃棄物は勿論、社外からも、廃タイヤ、
    鉱滓、石炭灰、廃液、汚泥、家庭ゴミから造られたRDF(ごみ固
    形燃料)などを受け入れ、セメントキルンに原燃料として投入、資
    源として活用しています。

     また、太平洋セメントなどが行っている、都市ゴミの焼却灰や汚
    泥、産業廃棄物などを原料とするエコセメントも注目を浴びていま
    す。
     因みに、エコセメントは塩素分を多く含むため、鉄筋が錆びやす
    くなってしまいますが、一方、固まる時間が短いため、湾岸や河川
    など水際の工事には適しています。
    この需要は、セメント全体の一割程度あると言われています。

   ●セメント業界は、このように廃棄物の有効利用に関し、多くの経験
    を有していますが、これらのノウ・ハウを生かし、塩ビ業界は、セ
    メント製造を行っている化学会社のトクヤマと共同で、塩ビを含む
    プラスチックのセメント原燃料化に着手、1999年より、実証設
    備の運転を行っています。

     このセメント原燃料化は使用済み塩ビを熱分解して得られる炭化
    物をセメントの原燃料とし、さらに回収された塩化水素を再び塩ビ
    原料として利用する、まさに循環型のリサイクルシステムです。
    昨年10月に発生した鳥取県西部地震における倒壊家屋の塩ビ管、
    雨どい、波板といった「塩ビ災害廃棄物」の一部も本年5月、この
    設備でリサイクルされました。

            https://www.vec.gr.jp/vecnews/20010425.htm 

   ●現在、ゼロ・エミッションという言葉がもてはやされています。
    これは、廃棄物をなくそう、ゼロにしようということです。
    しかし、いくら長寿命なモノであっても、いくらモノを大切にして
    も、最終的にゴミは出てしまいます。
      しかし、そのゴミが再び大切な資源になれば……
    廃棄物問題は、例えば廃棄物処理施設を建設するとしても、地域
    とのコンセンサスなど多くの課題があり、今や国家的テーマとなっ
    ています。

     2000年のセメントの生産量は約8237万トン、受け入れた
    廃棄物は、何と、その1/3に当たる2736万トン。
    北は北海道から南は沖縄まであるセメント工場。
     この優れもののインフラを広く活用していくことは、今後の循環型
    社会形成に向けての大きなポイントなのかもしれません。

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  ☆仙台市に37ヶ所目
      「塩ビ管リサイクル拠点の設置、急ピッチで進む」

   ●年内に全国50ヶ所を目標に塩ビ管のリサイクル拠点作りを進めて
    いる塩ビ管・継手協会は、8月に福井県で全国第36ヶ所目の拠点
    を始動させた(本誌第2号参照)のに続き、9月3日に今度は仙台
    市で全国第37ヶ所目となる拠点を完成させました。
    これは従来宮城県白石市で塩ビ管の再生に携わっていた太陽商事(株)
    が中心になって仙台市内に作った中間受入場で、集まった使用済み
    塩ビ管は白石市の同社工場に運ばれて再生されます。

   ●当日は関係者による式典が賑やかに行われ、テレビや新聞などマス
    コミの取材もあって雰囲気は盛り上がりました。100万都市仙台
    にもやっとリサイクルのベースが出来た、と関係者の喜びは大きく、
    今後この地区での塩ビ管リサイクルは一段と熱が入ることでしょう。

   ●目標の50拠点に向けて、残り13拠点ですが、東北、四国、九州
    各地を中心にそれぞれ拠点設置の詰めが急がれており、今後10月
    から12月にかけて、続々と活動が開始される予定です。年内に拠
    点整備を一段落させ、2005年度には80%のマテリアル・リサ
    イクル率を達成する計画です。


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  ☆お知らせ
 
    □展示会出展     
 
     ・ぐんま環境フェスティバル 
       9月30日(日)10:00〜17:00
       県民広場・県民ホール・ビジターセンター(前橋)

    □塩ビ樹脂・生産出荷実績(8月)
      
     「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および、「塩ビモノマー生産・出
      荷実績表」をホームページにて掲載ています。
      詳細なデータはExcel(95)版とAcrobat版の両方で配付しており
      ます。

       下記ホームページにてご覧ください。    
         https://www.vec.gr.jp/data/data.htm 
 
          
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  ☆編集後記

    関東直撃を心配された台風17号も無事通り過ぎ、ここのところ東京
    は久しぶりにさわやかな晴天が続いています。しかし、わがメルマ
    ガ君は相変わらずシステム不良で、今度は配信開始と配信中止が一
    時的に受け付けられなくなりました。しかし、おかげさまで昨25日、
    回復しました。ご心配をおかけしました。
    創刊以来たくさんの暖かいご意見を頂戴し、力づけられています。
    引き続きのご意見、ご批判をお待ちします。(H2記)

 
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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp