===「塩ビと環境のメールマガジン」第6号 == 2001/10/11

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     目 次

      ☆巻頭コラム
       「塩ビはグリーンでないのか?」
         キャノン・ソニーなど18社の「グリーン調達」基準に疑問
             
      ☆東ソーグループにおける環境への取組み
        「家庭ゴミや廃タイヤ、そして塩素もリサイクルしています」

      ☆緑の差別
       「グリーン」という名の「差別」はソロソロ止めませんか?

      ☆お知らせ

       □展示会の出展予定        
        ・ジャパンホームショー(東京)

       □パンフレットのご案内
      
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  ☆巻頭コラム
   「塩ビはグリーンでないのか?」
    キャノン・ソニーなど18社の「グリーン調達」基準に疑問

    10月2日付の新聞記事を見て驚きました。キャノン・ソニー・
      リコーなど国内有力情報通信機器企業18社が、環境配慮型の部品
   を優先購入する「グリーン調達」の基準を統一するというもので、
   購入する部品・資材に含まれる24種類の化学物質について開示要
   請する、つまりこれらの化学物質が含まれているかどうかを明示さ
   せることとするというものです。この案を軸に欧米関連業界とも交
   渉し、世界標準化を目指すともされています。

   「グリーン調達」の趣旨自体まことに結構ですし、その一環として
   「グリーン」でないものは極力使用しないようにする、その手段の
   一つとしてこのような進め方をすることも妥当な考え方であると思
   います。ただ、問題は「グリーンでない」化学物質の選定のやり方
   その妥当性にあります。24項目の中にはアスベスト類、オゾン層
   破壊物質、ポリ塩化ビフェニール類など、先ず誰が見ても反対しな
   い項目もあることはあります。

    しかし一方で塩化ビニルポリマ、フタル酸エステルなどもあげら
   れており、これらはご承知の如く「グリーンでない」と判断するの
   は明らかに間違っており(少なくとも時機尚早)私どもとしては大
   変遺憾であります。少なくとも、世界をリードする企業である18
   社におかれては、事前に私どもの主張も充分お聞き頂き、これら化
   学物質の評価自体を幅広くかつ科学的根拠に立ってご判断願いたか
   ったし、今からでも遅くはない、ぜひ忌憚のない意見交換をさせて
   頂きたいと思っています。

     だから、という訳ではありませんが、私ども塩ビのモノマー及び
   樹脂メーカーが常日頃企業活動の重要な一環として進めている、環
   境関連の活動を各社毎にこのメルマガで発表することとしました。
   それぞれの企業では環境報告書などの形で既に公式に公表している
   ものではありますが、こういった場で説明することにより、メルマ
   ガ読者の皆様によりよくご理解を頂こうという試みです。ご期待下
   さい。
       
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  ☆東ソーグループにおける環境への取組み
    「家庭ゴミや廃タイヤ、そして塩素もリサイクルしています」
                      東ソー(株)広報室

   ●東ソーは、東ソーのみならず、東ソーグループとしての環境への
        取組み、連結経営の重要なテーマのひとつと位置付け事業運営を
        行なっています。
    このため、グループ子会社と「安全・環境ネットワークシステム」
        を構築、法規制対象物質をはじめPRTR法対象物質などの排出量
        管理・削減や事業活動の過程で発生する廃棄物のリサイクルについ
        てもグループ全体での取組みを進めています。
    
     また、環境ISOであるISO14001においても、東ソーは
        すでに全事業所で取得を完了していますが、グループ会社の取得支
        援も積極的に進めています。  
 
   ●ところで東ソーは、2000年度、環境・安全への取組みとして
        PRTR対策や省エネ対策として約33億円の設備投資を行ないま
        した。また、同年度期間中に環境・安全関連へ約22億円を支出し
        ました。      

     このような取組みにより、PRTR法対象物質の2000年度総
        排出量は、1995年度比で23%削減しており、2002年度に
        は、同年度比90%削減を目標にしています。さらに、有害大気汚
        染物質については自主管理すべき12物質のうち東ソーグループで
        は5物質を排出していますが、2000年度排出量は1995年度
        比で36%の削減となっており、2002年度には、同年度比91
        %削減を目指しており、環境への負荷を最小限にする取組みを積極
        的に進めています。              

   ●一方、循環型社会形成に向けての取組みについては、地域社会を含
        めて資源の有効活用を行なっています。東ソーは塩素系リサイクル
        設備や国内唯一の臭素系リサイクル設備、またセメントプラントな
        どのリサイクル施設を活用し、社内で発生する廃棄物を「循環資源」
        として有効活用、リサイクル率は96%に達しています。  

     また、社外からも石炭灰、鉱さい、汚泥、ハロゲン系廃棄物など
        を始め、200万本にのぼる廃タイヤも受け入れ各リサイクル施設
        で活用しています。さらに、当社南陽事業所のある新南陽市からは、
        家庭ゴミを固形燃料化したRDFを受け入れセメントプラントで使
        用、市の環境行政にも協力しています。  
      このような取組みにより、2000年度、社外から受け入れた廃
        棄物は39万トンに達し、全量有効利用しています。     

   ●東ソーグループでは、地域住民の方々をはじめ小中学生の事業所見
        学など、社会とのコミュニケーションも積極的に進めています。
     化学製品に関わるリスク・コミュニケーションや環境への取り組
        みなどを通して相互理解を深め、社会との共生を図っています。     

    『東ソー ホームページ』   http://www.tosoh.co.jp
    『東ソー 地球環境への取組み』  http://www.tosoh.co.jp/re_inx.htm


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  ☆緑の差別
   「グリーン」という名の「差別」はソロソロ止めませんか?

   ●コラムにも書かれていますが、情報通信機器産業18社が、環境
    配慮型の部品を優先購入する基準づくりを行うこととして、部品
    ・機材に含まれる化学物質のうち24を開示要請項目とするとい
    う記事が一部新聞に掲載されました。            
      この記事を読んだ限りでは、ほとんどの方が「環境に配慮した
    製品造りの一環として良い話じゃないか」と思われたことでしょ
    う。マスコミもそう思ったからこれを記事にしたのだろうと思い
    ます。                          
    しかし、この話には大きな危険が潜んでいるのです。     
 
   ●まずこの記事からは、この開示要請項目とされた24の化学物質
   (群)がどのような根拠で選定されたのかがよくわかりません。
   「国内外で異なる法規制に対応して…」と記事にはありますから、
    これを読まれた方は、「この物質はすでに多くの国々の法律で使
    用規制(禁止)されているんだ」と思ってしまいます。さらに、
    この物質が部品や機材に入っている
    という情報をどのように取り扱うのかが明確でありません。
      そのために、これらが少しでも入っている部品や機材は環境に
    悪い、という印象を社会に与えてしまいます。そして、それはこ
    の24の化学物質そのものが環境に悪いのだ、ということにつな
    がってしまうのです。
 
   ●材料表示を行い、環境や安全に関する情報をできるだけ社会に開
    示して、人々が商品を選ぶための判断材料を提供することは、製
    品をつくり、販売するものの心がけるべきことです。     
    そして、人々の判断が、より安全側へ、より環境配慮側へ向けら
    れていくためにも、こうした情報については常に科学的根拠を明
    確にする、などの慎重な取り扱いが必要となります。     
      物質にはそれが天然物であるか人工物であるかによらず、すべ
    て何らかのリスクがあり、また同時に人々の役に立つ機能(ベネ
    フィット)も兼ね備えているものです。ですから、あいまいな理
    由で「環境に配慮するための開示要求項目」としてマイナスのレ
    ッテルを貼られると、リスクのみが強調され、その物質の機能を
    生かした活用ができなくなってしまいます。これは、まさに「グ
    リーン」という名の下に行われようとしている、物質の「区別」
    ではなく「差別」を助長するものです。          
 
   ●特にこの24物質の中に、「塩化ビニルポリマ」「フタル酸エス
    テル」が入っていますが、なぜこれがとりあげられなければなら
    ないのでしょうか?                    
      塩ビもフタル酸エステル類も、これまでに一方的に排除されな
    ければならないような科学的根拠はありません。これらを排除す
    ることが、いかにも「環境に配慮をしています」という姿勢を示
    すことに利用されることは残念でなりません。        
     現在、塩ビにおいては廃棄時点での負荷の低減、フタル酸エス
    テルについては使用時点での許容安全量の検討が行われるなど、
    更なるリスク評価と低減にも努めています。一方、塩ビ製品はそ
    の有用性から世界的にも使用量が増加しています。      
    「いじめ」をなくし、偏見と「差別」のない社会を創っていくこ
    とは、今や物質レベルにおいても実践すべき課題と思います。
   
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  ☆お知らせ
 
    □展示会出展     
     ・ジャパンホームショー(東京)
      10月30日(火)〜11月2日(金)
      10:00〜17:00(最終日は16:30まで)
       東京ビックサイト 東3ホール ブースNo.5704
        (ゆりかもめ 国際展示場正門駅下車)
    
    □パンフレットのご案内
      各種パンフレットを用意しております。
      ご希望の方は下記にてご請求下さい。
         https://www.vec.gr.jp/NEW/Shiryo.htm 
          
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  ☆編集後記

    パソコンで「えんび」と打って変換すると「燕尾」に
    なったり、「艶美」になったりして面白いのはご存知
    のとおりです。先だって「No!塩ビ」を掲げる市民
    団体が、「No1塩ビ」の間違いじゃないの、と皮肉
    られた場面がありましたが、うっかり「のうえんびだ
    んたい」と入力すると「濃艶美男隊」と出てきて失笑
    しました。

    そこでクイズ。お判りの方はメールでお答え下さい。
    先着10名様、賞品・・・なし。

   (1)王様敏良伝:居所不明
   (2)利再来:これはすぐ判る。
   (3)目留曲人:私ではありません。(H2記)  
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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp