===「塩ビと環境のメールマガジン」 第8号 === 2001/10/25
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目 次
☆巻頭コラム
塩ビのマテリアル・リサイクルは省エネにつながる
☆「シックハウス問題を考える」
☆わが社の環境活動(3) 徳山積水工業(株)
明確な環境コンセプトで魅力ある企業へ」
☆お知らせ
□塩ビ樹脂・生産出荷実績(9月)
□展示会の出展予定
・ジャパンホームショー (10月30日〜11月2日)
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☆巻頭コラム
塩ビのマテリアル・リサイクルは省エネにつながる
「環境経済・政策学会2001年大会のレポートから」
9月29日から30日にかけて京都で開かれた、環境経済・政策学会
の2001年大会で興味ある研究成果が発表されました。
塩ビは他のプラスチックに比べ、樹脂を製造する段階までで比べると
もっともエネルギー消費の少ない樹脂であることはご存知の方も多いと
思います。私たちもこのことについてはいろいろな場面で塩ビの今日的
な長所の一つとして説明してきました。
しかし、塩ビ製品となった時点まで勘定に入れるとどうなのか、リサ
イクル品を使った製品ではどうなるのか、また、エネルギーだけでなく、
他の環境負荷、例えば地球温暖化の原因となる炭酸ガスの発生や、大気
汚染につながる硫黄酸化物(SOX)、窒素酸化物(NOX)などは?
といった疑問には正確に答えることができませんでした。きちんとした
データがなかったからです。
こういった疑問に答えるべく、私たちVECでは特別チームを作って
研究を始め、今回その結果の一部を発表することができました。
その結果によると、まず、石油掘削から樹脂製造までの段階では、塩
ビは調査した7種のプラスチックの中でエネルギー消費は最小であり
(高圧法ポリエチレンの2/3以下)、他の環境項目でも特にSOXや
NOXについては同じく7種のプラ中で発生量は最小であることなどが、
改めて明らかになりました。
また代表的な塩ビ製品としてパイプ、板、フィルムなどで調査したと
ころ、製品の加工工程まで範囲を広げてもやはり塩ビは他のプラスチッ
クよりもエネルギー消費が少ないことが判りました。
さらに、代表的な塩ビのリサイクル品として、リサイクル塩ビパイプ
とリサイクル塩ビ床材について検討したところ、新しい材料で製造した
場合に比べエネルギーは2割から3割しか消費せず、その他の環境項目
でも圧倒的にクリーンであることが判りました。
これらのことから、私たちは従来から考えていたとおり、「塩ビは環
境にやさしい樹脂である」ことをより一層確信することができました。
また、「塩ビのマテリアル・リサイクルは省エネルギーにつながる」と
いうことも判りました。
今後私たちはさらにこの種LCI(ライフサイクルインベントリー)
の研究を進め、最終処分段階も含めた、ライフサイクル全体の姿を解明
していく計画です。
本稿の出所:塩ビ工業・環境協会 酒井清次(信越化学工業)
「塩ビ製品のLCI調査事例」
(環境経済政策学会2001年大会 予稿集)
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☆「シックハウス問題を考える」
●シックハウスの歴史と国の対応
近頃、「シックハウス」、「シックハウス症候群」という言葉を見聞
きすることが多くなりました。
1980年代の半ばごろから、高度気密構造の住宅が増え自然換気量
が低減したことから、建材・内装材から放散される化学物質により室
内空気汚染等が進み、その結果、新築・改築後の住宅やビルにおいて
居住者への健康影響が指摘されて「シックハウス症候群」と呼ばれる
ようになりました。
症状が多様であり、発症の仕組みを含めて未解明な部分が多く、また、
化学物質の放散量だけでなく、建築物の構造・施工法、換気や暖房な
どの住まい方、カビ・ダニなどの影響、化学物質に対する感受性の個
人差など、様々な複合要因が考えられることから、行政レベルでは厚
生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が「シックハウス対
策関係省庁連絡会議」を設置し、夫々の担当分野ごとに多面的な研究
を進めています。
●11物質の指針値の公表と2物質の追加論議
このように、多様で複合的な要因が考えられるなかで、厚生労働省は
1996年から立ち上げた「快適で健康な住宅に関する検討会議」の
専門部会で、強い刺激性を持つことから健康被害の原因として最も関
連性があると考えられたホルムアルデヒドについて、既に室内濃度指
針値を策定していました。
その後厚生労働省は2000年6月に「シックハウス(室内空気汚染)
問題に関する検討会」を設置し、特に、微量化学物質による室内空気
汚染の問題について議論を始めました。議論のポイントは、室内空気
汚染に係わる室内濃度指針値を検討し、その測定方法を含めて指針値
の公表をしていくことです。
この中で、トルエン、キシレン、パラジクロルベンゼンの3物質につ
いては2000年6月、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、
フタル酸ジ-n-ブチルについては同年12月に,夫々室内濃度指針値
が決められました。
更に、本年7月には、テトラデカン、ダイアジン、及びフタル酸ジ-
2-エチルヘキシル(DEHP)、についても決められ、これで11の
物質の室内濃度指針値が定まりました。
そして現在、アセトアルデヒドや殺虫剤原料のフェノブカルブについ
ても議論されていると聞いています。
●DEHPも対象なのは疑問
このように1年間という短期間で集中的に議論されたことは驚くべき
ことと思います。しかしこの中で、「シックハウス」の原因であると
の事実もないDEHPが、なにゆえに指針値決定の対象になったかに
ついては、筆者を始めこの物質の特性を知る者には大きな疑問があり
ます。
厚生労働省の見解では「パブリックコメントで特に要望があったもの
」等の理由から取り上げた、ということですが、取り上げた理由はこ
れでよいとしても、指針値を決めたことについては次の二つの理由か
ら疑問があります。
一つ目の理由は、室内濃度指針値を決める根拠となった毒性指標に関
することです。
今回の指針値決定の根拠は「ラットにおける精巣の病理学的変化に関
する評価」についてですが、げっ歯類のラットと霊長類のヒトとでは
明らかに精巣毒性が異なること、即ち、ある種(霊長類)のサルでは
ラットの200倍近い濃度でも毒性はない、との結果が得られている
にも拘わらず、指針値が設定されたことです。
二つ目の理由は、DEHPの室内濃度の実測値に関することです。
東京都立衛生研究所が2000年8月に発表したデータでは、DEH
Pの室内空気中濃度の平均値は、厚生労働省の定めた指針値の約60
0分の1です。このような低い濃度レベルしか存在しないDEHPに
ついて、濃度指針値を設定する意味は無いと考えるのですがいかがで
しょうか。
いずれにしても、塩ビあるいは可塑剤と「シックハウス」の関係を云
々されることがありますが、その関係の数値的な根拠はこのレベルの
ものと理解頂きたいと思います。
●塩ビ壁紙への誤解について
また壁紙を貼る接着剤に含まれているホルムアルデヒドに起因して、
塩ビ壁紙とシックハウスの関わりが言われたことがありましたが、こ
れは完全な誤解です。
壁紙の多くが塩ビを用いているため、シックハウス→ホルムアルデヒ
ド→壁紙用接着剤→壁紙→塩ビ、という誤った5段論法?により、誤
解が生じてしまったものです。
もちろん非塩ビ系壁紙であっても接着剤は基本的に同じですし、今は
塩ビ系非塩ビ系を問わず、大部分がホルムアルデヒドを使用しないタ
イプとなっています。
●専門家の連携で一刻も早い解明を
「シックハウス」の問題は、要因が明らかになったわけではなく、従っ
て、対応策もまだはっきりとしている訳ではありません。
一方、「シックハウス」症状を訴える患者さんは大勢おられるわけで、
この問題の解決に向けては、医学的症状に関する、化学物質に関する、
公衆衛生に関する、建材に関する、法律に関するなどなど、夫々の専
門知識を持つ人々の連携が必要です。
この意味では、日本で初めて「シックハウス症候群」という命名をさ
れた上原裕之理事長を中心とする、特定非営利活動法人(NPO)
「シックハウスを考える会」の活動に期待しています。
この会にご関心あります方は、次のホームページを訪問してみてくだ
さい。
http://www.infonet.co.jp/Aso/house
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☆わが社の環境活動(3)
徳山積水工業における環境への取り組み
「明確な環境コンセプトで魅力ある企業へ」
徳山積水工業(株) 環境安全・品質保証部
●魅力ある企業を目指して
当社の経営ビジョンは「顧客・積水グループ、従業員、地域社会・
地域にとって魅力ある企業」とうたっています。魅力のある企業を
実現し、維持するには、環境への取り組みは欠かすことの出来ない
事と考えています。
その方針は、自然の保護、汚染物質を出さない、資源の有効活用と
CO2
排出量の削減(エネルギー使用量の削減)を図ることです。
●自然保護の「積水の森」づくり
自然保護活動としては、森の水源を育て、木の実や松茸、昆虫や野
鳥を楽しめる観察の森とする構想で、市有林を借りて「積水の森」
づくりを行っています。
推進に関しては、市役所や県農林局里山マイスターの支援を得て、
年2回の従業員によるボランティアで実施しています。現在まで、
間伐、下草刈り、散策路造りを行いました。
この春は、ワサビの苗を植えておいたので、参加する従業員は次回
の実施を皆楽しみにしています。
●化学物質の排出を大きく削減
当社は、塩化ビニルモノマーを始め種々の化学物質を取り扱ってい
るため、従業員の健康や、地域環境への汚染がないよう、化学物質
を系外に出さない生産活動を行うべく検討を進めています。
既存プロセスにおいては、設備、操作の改善を現場運転員の改善活
動から、新規プロセスについては設計段階からチェックするシステ
ムで進めています。
因みに塩化ビニルモノマーの排出量は、塩ビ業界の自主規制のもと
年々削減しており、今年度は1995年に比べ1/5に減少しまし
た。
●資源の有効活用とエネルギーの削減
資源の有効活用については、積水グループ全体で廃棄物ゼロエミッ
ションに取り組んでいます。当社も積極的に推進しており、現在排
出する廃棄物の99%まで有用化できています。
その基本となるところは、まずは廃棄物の発生量を減らすこと、次
いで徹底的な分別回収によってマテリアル・リサイクルしています。
例えば、開発試験や配管工事の後に出てくる塩ビ管などの残さは、
タイル、雑貨に再生されています。
分離できないプラスチックや汚泥等は近隣のセメント工場の助燃材
としてサーマル・リサイクルで有用化しています。
エネルギー使用量削減についても設備や操作を見直し、大幅な削減
を実現し、コストへの反映も図られました。
以上のように、魅力ある企業を目指して色々な環境への取り組みを
行っており、ISO14001を2000年3月に取得しました。
今後も環境と共生できるよう引き続き取り組んでまいります。
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☆お知らせ
□塩ビ樹脂・生産出荷実績(9月)
「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および、「塩ビモノマー生産・出
荷実績表」をホームページにて掲載ています。
詳細なデータはExcel(95)版とAcrobat版の両方で配付しておりま
す。
下記ホームページにてご覧ください。
https://www.vec.gr.jp/data/data.htm
□展示会出展
・ジャパンホームショー(東京)
10月30日(火)〜11月2日(金)
10:00〜17:00(最終日は16:30まで)
東京ビッグサイト 東3ホール ブースNo.5704
(ゆりかもめ 国際展示場正門駅 下車)
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☆編集後記
おかげさまで8号まで来ました。
バックナンバーを読み返してみると、世の中のいろんな事柄に対して
イチャモンをつけている記事が多いのに気がつきます。
名づけて「イチャモン症候群」、あるいは「如何なものか症候群」。
ある意味では塩ビが如何に世の中から虐げられているか、の証でしょ
うか。
たまには、いや毎号、塩ビに関する楽しい、前向きな話題を載せたい
ものです。
さて、先週のクイズの答えは
1.ポリエチレン 2.ポリプロピレン 3.ポリスチレン
4.塩ビ 5.P
E
T(ペット樹脂)
如何でしたか?(H2記)
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[塩ビと環境のメールマガジン]
発 行 塩ビ工業・環境協会
編集責任者 佐々木 修一
塩ビ工業・環境協会 https://www.vec.gr.jp
塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp