===「塩ビと環境のメールマガジン」 第11号 === 2001/11/15

=================================================================

目 次

☆巻頭コラム
 「世界初 プラスチック災害廃棄物のリサイクル」

☆屋上緑化を陰でささえる塩ビ
 「塩ビ壁紙がレンガに変身」


☆わが社の環境活動(6)         
 「“安全・環境第1”の精神」       信越化学工業  (株)
                      鹿島塩ビモノマー(株)

=================================================================

☆巻頭コラム
 世界初の災害廃棄プラリサイクル
 「甦れわがまち・心、生まれ変われ廃材」

 先の週末、何気なく見ていたテレビの画面に、倒れた民家の映像が映
りました。
今時なんだろう、と注目していると、去年10月の鳥取地震の時の記録
フィルムでした。
 「甦れわがまち」と題するこのドキュメンタリーは、不意に襲ってき
た天災から、けなげに立ち直っていく鳥取県民の姿を描いたもので、つ
い惹きこまれて見てしまいましたが、なかなか感動的でした。

 この中で、地震で倒れた家屋の廃材のうち、塩ビ管や塩ビの板、塩ビ
雨樋などを分別して集め、もう一度塩ビ管などに再生するシーンがあり
ました。
 解体現場に無造作に転がっている塩ビ管の廃材、それを集めて小さく
カットし手際よくトラックに積み込む状況、リサイクル工場で細かく砕
かれた後、成形されて立派に再生管ができる様子、などが映し出されて
いました。

 これは私たち塩ビ関連業界が、鳥取県や米子市、境港市などのご協力
を得て取り組んだもので、塩ビとしてだけでなくプラスチックとしても
日本で初めて、いや世界でも初めての災害廃棄物のマテリアル・リサイ
クルの試みです。

 テレビの中で片山鳥取県知事からは、「廃材をリサイクルされた関連
業界の方々には敬意を表し、感謝申し上げる」とお褒めの言葉をいただ
きましたが、私たちとしては、常日頃実行しているリサイクルの技術と
仕組みを活かしてご協力しただけのことであり、かえって恐縮しました。

 塩ビはリサイクルしやすいプラスチックであり、現にこのような場面
でもリサイクルされている、決して使い難いプラスチックではない、と
いうことを、少しでも多くの皆様に理解していただければありがたいと
思っています。

 地震などの災害は起こらないに越したことはありませんが、万一起こ
ってしまった場合にも、関係者が心を一つにして、復興へ向けて努力す
ることは素晴らしいことであり、ある意味で(災害に遭われた方々には
失礼な言い方ですが)、人生の素晴らしさを感じさせられた番組でした。


=================================================================

☆屋上緑化を陰で支える塩ビ
 「塩ビ壁紙がレンガに変身」

 東京都や新宿区、渋谷区など6区部は温暖化防止や空気浄化の
狙いから、屋上緑化に関する条例を制定し、都会の中に緑を増や
そうとしています。今年の6月中旬には緑化フェアが開催され、
いろいろな場所でいろいろな催しが行われました。

 その一環として、渋谷区役所神南分庁舎の屋上に花壇がつくら
れて、訪れる人達の目を慰めていますが、この花壇に使われてい
るレンガの一部は実は塩ビ壁紙のリサイクル品なのです。

 先日屋上を訪れたときも、色とりどりの草花が花壇に咲き乱れ、
一角には池が作られて金魚が泳いでいたり、大根などの野菜がみ
ずみずしく植わっていたり、なかなかの風情でした。

 ご承知の如く、塩ビ製の壁紙はいまや全壁紙の9割近くを占め
ていますが、製造工程で出る端材はもとより、リフォームの時や
住宅を解体する時に出てくる使用済み塩ビ壁紙のリサイクルにも、
関連業界は熱心に取り組んでいます。

 屋上緑化用のレンガはこの有効利用の一環として出てきたアイ
デアで、使用済みの塩ビ壁紙を粉砕し、セメント系土壌固化剤と
混合して成形することにより、軽量のレンガブロックとするもの
です。
 普通のレンガよりもずっと軽くすることができるため、屋上用
にも最適なのです。

 施工しやすく、燃えにくく、メンテナンスも簡単で、汚れやに
おいにも強く、デザイン性もよい塩ビ壁紙ですが、いまや循環型
社会にも適合した、「リサイクルできる素材」としても脚光を浴
びつつある訳です。

 塩ビ壁紙を製造する企業の集まりである、日本ビニル工業会ビ
ニル建装部会では、最近グリーン調達物品としての認定申請を国
土交通省に提出しており、こういった特長を活かして塩ビ壁紙を、
民間はもとより国や自治体の用途にも、従来以上に使ってもらえ
るよう努力しています。

 あの壁紙ですらリサイクルが可能。塩ビはやはり現代社会にな
くてはならない、生活密着素材といえるのではないでしょうか。


=================================================================

☆わが社の環境活動(6)

 信越化学グループにおける環境への取り組み
 「“安全・環境第1”の精神」       信越化学工業  (株)
                      鹿島塩ビモノマー(株)

●「人間尊重」のもと「安全・環境」に第1プライオリティー
 信越化学には古くから「安全・環境第1、品質第2、生産はあえて第3
 とする」という精神があります。製造会社において甲乙付けがたい重要
 な3項目に敢えて順番を付し、安全・環境に第1プライオリティーを与
 えたことに意義があります。

 この精神は「人間尊重」の基本理念に基づくものですが、製造現場では
 勿論のこと、製品の研究開発から販売・消費まで当社のあらゆる事業活
 動に亘る一つのフィロソフィーとなっています。

●安全への取り組み
 安全では、当社独自のマネジメントシステムを作りあげてきました。グ
 ループの 全工場及び本社において安全活動や教育、社内監査・審査の
 ためのさまざまな組織・制度を設置し、独自の管理活動を行っています。

 労使一体の安全衛生委員会、労使安全巡視、及びHAZOP(HAZA
 RD & OPERABILITY STUDY)を中心に展開する安
 全審査委員会、信越グループ全体に亘る環境保安会議、環境保安監査な
 どが有効に機能しています。

●環境基本憲章を制定
 環境面については、人々がより良い生活をしていく上で、地球環境を保
 全することが最重要課題の1つであることを認識し、世界各地の事業所
 において環境保全に努めてきました。
 1998年に「環境基本憲章」を制定し、それに定められた基本理念・
 行動指針に基づいて、工場・研究所では目標達成のための「環境方針」
 を定め活動しています。

 環境マネジメントシステム「ISO14001」の導入では、1997
 年7月、群馬事業所で国内大手化学企業では初めての認証を取得し、
 2000年には国内すべての工場で取得を完了しました。現在、これを
 ツールにして、各サイトで環境負荷を削減させるための活動を展開して
 います。

●環境への具体的取り組み
 具体的には、温室効果ガスの削減、省エネルギー、廃棄物の削減、化学
 物質の適正管理などのテーマ・課題を掲げ、企業活動における負荷の削
 減に向けて、継続的な改善努力に努めています。

 ポリ塩化ビニルを製造している鹿島工場では、子会社の鹿島塩ビモノマ
 ーと協力し、VECの自主基準達成のため重合設備の密閉化、廃ガス焼
 却設備の設置などVCM、EDCの排出削減をいち早く実施してきたこ
 とも成果の1つです。

 又、塩ビに関わる環境問題の正しい理解のためにVECの諸施策を推進
 するなど社会的な活動にも力を入れています。

 信越グループはこれからも安全と環境の保全が最重要課題であることを
 強く認識し、世界中の事業所において、その地域の模範市民として、工
 場の安全と地域社会や地球環境の保全に努力していきます。


=================================================================

☆お知らせ

 ■展示会  エコビジネス展2001(新潟市)
  11月16日(金)〜17日(土)
  10:00〜17:00
  新潟市産業振興センター(新潟駅よりセンター行きバスで25分)

 ■出展予定 エコ・プロダクツ2001(東京)
  12月13日(木)〜12月15日(土)
  10:00〜17:00
  東京ビッグサイト 東4ホール ブースNO.248
  (ゆりかもめ 国際展示場正門駅 下車)


 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および、「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

=================================================================

☆編集後記

 今頃、飛行機で例えば九州は熊本空港へ行くと、
 あたり一面白く輝く農ビハウスの列です。
 ハウスの中にはきゅうりやトマト、メロンにスイカ。
 食卓を賑わす食材が育っているのです。

 塩ビのおかげで真冬でも、「うまかもんば食えるたい」。
 今週はちょっと褒めすぎ!

=================================================================

[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp