===「塩ビと環境のメールマガジン」 第12号 === 2001/11/22

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目 次

☆巻頭コラム
 ISO14001の落とし穴
 「塩ビを追放すれば、環境側面は良くなるのか?」

☆あれも塩ビ、これも塩ビのリサイクル品
 「最近の塩ビ・リサイクルの話題から」

☆わが社の環境活動(7)            新第一塩ビ(株)
 「環境保全、リサイクル、省資源塩ビ製品の開発に注力」

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☆巻頭コラム
 ISO14001の落とし穴
 「塩ビを追放すれば、環境側面は良くなるのか?」

 環境管理システムの国際標準規格であるISO14001のこと
はもう皆さんご存知のことと思います。今や日本中いたるところで
取り入れられ、ISO14001を取得せずんば組織にあらず、と
言った感すらあります。大企業はもとより、中小企業から最近では
各地の自治体までが取得するようになりました。この調子だと、日
本人の環境意識はいやが上にも高まり、環境負荷もどんどん低減さ
れていくことと思われますが、どうでしょうか。

 ここで、ISO14001に基づいて環境負荷低減活動を計画す
るときに、ぜひ考慮しておいて欲しいことがあります。システムの
手順書には、当該事業所の環境負荷を極力低減するために、「全員
参加の運動として」、「手軽に地道にやれる活動」、を計画に組み
込むことが奨励されています。さて、企画担当者としては何か考え
なければならない。ちょっと考えて思い付くのは…、そうです、廃
棄物の削減、過剰包装の廃止、それと…、環境負荷の大きい、有害
な化学物質の取扱いの制限。

 環境負荷の大きい、有害な化学物質…と考えて、よく犯す過ちは、
わが塩ビを、世間でそう言われているから、という理由だけで、安
易にこの制限物質に指定してしまうことです。以前、某コンサルタ
ントが制作販売していたISO14001のPRビデオで、この手
の対策として塩ビの使用を止めるべきだ、という例を示したケース
がありました。流石にその後このくだりは訂正削除されましたが、
まことに不適切、非常識な過ちでした。
 この欄で繰り返し主張していることですが、塩ビは決して環境負
荷の大きい、有害な物質ではありません。ダイオキシンの犯人でな
いことは数多の事実からして明らかになっていますし、一時環境ホ
ルモンとの関係が騒がれた、塩ビの可塑剤についても、環境ホルモ
ン性がないという事実が次々に明らかになってきています。一方で
塩ビは加工性、耐久性、難燃性に勝れているのみならず、長寿命、
省資源・省エネルギー、温暖化防止といった、循環型社会に必要と
される諸性質を併せ持った素材です。さらに、塩ビ業界は、従来に
もまして塩ビのリサイクルを推進し、社会に受け入れられるシステ
ム造りを目指しています。

 ISO14001の計画に際し、こういった塩ビの状況を理解せ
ずに、単なる風評で塩ビの取扱いを決定することだけは、くれぐれ
もお避けいただきたい。判断に必要な情報は私たちが何時でも提供
いたします。ISO14001にことよせて塩ビを制限することは
決して環境側面の改善にはつながらない、ひいては消費者の利益を
損なうことになる、と私たちは確信しています。


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☆あれも塩ビ、これも塩ビのリサイクル品
 「最近の塩ビ・リサイクルの話題から」

 塩ビはリサイクルできない、しにくい、と思われがちですが、
実はプラスチックの中で、マテリアル・リサイクルが最も進ん
でいます。また、さまざまな用途について日々新しいリサイク
ルの取り組みも進められています。
 ここ1ヶ月間でも、塩ビのシートやタイルに関するリサイク
ルの情報が続いて新聞に掲載されましたので二三選んでご紹介
します。

 まずは古河電工が開発した、使用済み電線被覆材を雑草防止
用の「防草シート」にリサイクルする件。同社の工場で発生し
た電線被覆材の端材や、回収した電線被覆材の塩ビをリサイク
ルするものです。塩ビの柔軟性と耐久性に着目し、リサイクル
塩ビのシートにポリエステル不織布を貼り合わせたもので、地
面に敷いた上に砂利を被せるだけで、太陽の光を遮り雑草の育
成を防止できるとしています。変電所や大規模工場敷地などで
実績があるということです。

 続いて三菱バーリントン(三菱レーヨンの子会社)が、裏打
ち材に塩ビを使用した自社のタイルカーペットのリサイクル事
業を開始したというものがあります。同社では8年前から、工
場端材のリサイクルには取り組んでいましたが、今回販売した
自社製品が廃棄される際には有料で引き取り、粉砕して塩ビの
シートに再生し、床下配線用の溝をつけた約50センチ角の床
材「ケーブルタイル」にするものです。タイルカーペットはそ
もそも寿命は10年以上あるものの、廃棄される時には殆んど
埋め立て処分されていましたが、こういった例のようにリサイ
クルされて再度社会に役立つことも可能になりました。

 直近では、筒中プラスチックの関連会社である筒中シート防
水が、同社が製造販売している塩ビ製防水シートの使用済み品
を引き取り、タイル長マットに再加工して歩行材などにリサイ
クルするもの。来年4月から本格スタートする建設廃材リサイ
クル法に関連して、ハウスメーカーなど防水シートユーザーか
らの引き取り要請が強まると予想し、それへの対応もかねて活
動を開始するものだそうです。

 最近の話題から拾ってお伝えしましたが、今までの常識では
なかなかリサイクルし難いと考えられていたものばかりです。
塩ビ関連業界の努力が浮かび上がってきます。これ以外にもさ
まざまな場面で塩ビのリサイクル活動は進んでいます。折に触
れ、ご紹介していこうと思っています。


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☆わが社の環境活動(7)

 新第一塩ビにおける環境への取り組み
 「環境保全、リサイクル、省資源塩ビ製品の開発に注力」
                       新第一塩ビ(株)

●会社の概要
 当社は1995年7月にトクヤマ、日本ゼオン、住友化学工業の
 塩化ビニル樹脂部門を統合して誕生しました。資本金は80億円
 で、出資比率はトクヤマ(71%)、日本ゼオン(14.5%)、
 住友化学工業(14.5%)です。

 汎用塩ビ、ペ−スト塩ビ、特殊塩ビの製造・研究開発・販売にい
 たるまで、塩ビ樹脂の専業メ−カ−として一貫した体制で運営し
 ています。

●全社あげての環境への取り組み
 製造部門は4工場(千葉、徳山、高岡、愛媛)ありますが、全て
 の工場でISO140001を導入しています。大気、水質など
 環境への排出物質については、法規制値以下の、より厳しい自主
 基準に基づき管理してきました。

 またPRTR法対象物のさらなる排出削減に向け努力しています。
 全社的には、従業員一人一人の知識や情報のレベルアップが重要
 と考え、本社をセンターとして環境に関する様々な情報を編集し、
 Eメ−ルによる社内の情報の共有化を図っています。

 さらに、親会社であるトクヤマがレスボンシブル・ケアを実施す
 る方針を打ち出したことに沿い、グル−プの一員として環境への
 取り組みをますます推進していきます。

●トクヤマとの連携でケミカル・リサイクル
 塩ビのマテリアル・リサイクルは、他樹脂との比較では進んでい
 ます。しかしさらに高いリサイクル率を目指し、塩ビを塩ビへ戻
 す「セメント原燃料化」にも取り組んでいます。

 これは塩ビを含む使用済みプラスチックをセメントの原燃料とす
 る一方、回収した塩化水素を塩ビ原料として再利用しようという
 ケミカル・リサイクルです。

 トクヤマや塩ビ業界の関係3団体と連携し、当社も実証試験段階
 から協力しています。今後は塩ビのリサイクル拠点としての役割
 を果たせるよう、実用化を検討していきます。
 また「プラスチック処理促進協会」の一員としても、リサイクル
 技術の調査・開発活動などに参画しています。

●省資源・省エネルギ−に有用な塩ビ新製品の開発
 塩ビ窓枠と塩ビサイディング材は、塩ビの持つ省資源・省エネと
 いう特徴を端的に代表する新製品として注目されています。

 窓枠は関連会社のシャノンで、サイディング材は関連会社のゼオ
 ン化成で、開発・製造・販売を担っています。
 これらの製品は塩ビを原料とすることで石油資源を保全し、住宅
 の断熱性を向上させることで省エネルギーにも寄与します。

 単に有用であるだけでなく、環境にもやさしい塩ビ製品の開発活
 動にこれからも当社は携わっていきます。


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☆お知らせ

 ■出展予定 エコ・プロダクツ2001(東京)
  12月13日(木)〜12月15日(土)
  10:00〜17:00
  東京ビッグサイト 東4ホール ブースNO.248
  (ゆりかもめ 国際展示場正門駅 下車)

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および、「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

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☆編集後記

 メルマガに携わって以来、いろいろな人から貶されたりからかわれ
 たり褒められたり(たまに)するようになりました。
 時々、「もっとふざけろ」と忠告してくれる人がいて、
 もっとふざけたいH2としては心強く思っています。
 本性まじめなH2ですから、ふざけるのはなかなか大変ですが、
 「がんばります」。(何が言いたかったのか、自分でも判りません)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp