===「塩ビと環境のメールマガジン」 第17号 === 2001/12/27

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目 次

☆巻頭コラム
 ニュースに載らないニュース
 「内分泌撹乱化学物質国際会議に想う」

☆使用済塩ビ電線被覆材のリサイクルに朗報
 「床用シートなどに再生可能」

☆お知らせ
 PVCニュース39号が発行されました

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☆巻頭コラム
 ニュースに載らないニュース
 「内分泌撹乱化学物質国際会議に想う」

 第4回内分泌撹乱化学物質問題に関する国際シンポジウムが、12月
15日から17日にかけて、つくば国際会議場で開催されました。

 この国際会議は、1998年以来現在の環境省の主催で毎年開かれ、
会場も京都、神戸、横浜、つくばと変っていますが、正直言って私たち
は、毎年この会議の顛末を、はらはらしながら見守ってきました。

 なぜならこの会議で毎年、内分泌撹乱化学物質、いわゆる環境ホルモ
ン物質について、世界の新しい研究成果が報告され、その中で塩ビの可
塑剤として使用されている、フタル酸エステル類の一部などの内分泌撹
乱性についても話題になったりしていたからです。特に昨年まではこの
会議で、極微量の暴露量でも影響が出るという、いわゆる低用量問題が、
ビスフェノールAを対象として議論され、マスコミにも大きく取り上げ
られて報道されていました。私たちの目から見れば、キチンとした科学
的事実が明確でないにも関わらず、「不安を煽る」報道がなされる、例
のパターンが懸念され、気が気でなかったわけです。

 今年の会議に出席したメンバーから会議の感想を聞いて、ほっとしま
した。今年は低用量問題騒ぎはまるでなく、真剣な、学術的議論に終始
したそうです。低用量問題については、「先ずスクリーニング手法や判
断基準をきちんと決める段階であり、現時点で生半可な判断をすべきで
はない」というのが大方の見解。マスコミ報道も殆ど影を潜め、やっと
まともな意見交換ができる雰囲気になったとのことでした。

 やっとまともな意見交換ができた、というのは、残念ながらニュース
にはなりにくいようです。しかし、これこそが今回の会議での、ある意
味での一番の収穫、成果ではなかったのでしょうか。
 大切なことは、一日でも早く、科学的真実を見つけることであり、そ
のためには世界各国の専門家による、真摯なディスカッションが必要で
ある。その下地がやっとできた、ということは、少なくとも私たちにと
っては、ニュースに載らない、大事なニュースでした。


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☆使用済塩ビ電線被覆材のリサイクルに朗報
 「床用シートなどに再生可能」

 塩ビはその絶縁性、難燃性、耐久性などから、電線の被覆材として広く
採用されており、塩ビの用途の1割強が使われています。電線には銅線が
用いられているため、回収・リサイクルは従前より積極的に進められ、全
国の回収拠点は100ヶ所を超えています。銅線を被覆している塩ビのリ
サイクルも、銅のリサイクルと同様、従来から広く行われ、現在年間約5
万トン、使用済塩ビ電線被覆材のうち約40%がリサイクルされています。

 リサイクルされたものの一部はもう一度電線としても利用されていまし
たが、銅線や異種プラスチックの混入を厳しく制限する必要があり、商品
開発に限界がありました。

 大阪ヒューズ(本社  大阪市)では2年前、使用済塩ビを使った床用シ
ートの開発に成功し、商品名「ハイキレスシート」として工場の製造ライ
ンや展示場、通路など向けに販売を開始していました。こうしたなかで、
このたび使用済塩ビとしてこの電線被覆材の塩ビを使うことを考え、VE
Cと共同研究を始めたところ、多少の異物混入があっても製品としては良
好な結果が得られることが判りました。現在電線工場や自治体、建設会社、
ゴルフ場などでの敷設テストが成功裡に進んでいます。近い将来、皆様の
身近なところにも、使用済電線被覆材のリサイクル商品がお目見えするも
のと思われます。

 なお、使用済塩ビ電線被覆材のリサイクルに関しては、全国各地にリサ
イクル拠点があるほか、地方毎に関連業界の連絡窓口があり、使用済塩ビ
電線被覆材の引き取りやリサイクルに関する相談に応じています。窓口の
詳細については下記ホームページへどうぞ。

https://www.vec.gr.jp/recycle-catalog/kyoten_densen.htm

また、本件に関する詳細は下記塩化ビニル対策協議会(JPEC)
http://www.pvc.or.jp のホームページへどうぞ。

    http://www.pvc.or.jp/pvc/data/39-01.html
    http://www.pvc.or.jp/pvc/pdf/pvc39.pdf (PDF版)


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☆お知らせ

 ■PVCニュース39号が発行されました。
  ホームページにも掲載しています。
  http://www.pvc.or.jp/pvc/index39.html

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■次回の配信は1/10となります。
  来年もよろしくお願いします。

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☆編集後記

 あっという間に4ヶ月過ぎて、わがメルマガも17号を数えるに
 いたりました。最初は張り切って船出したものの、波風強く、意
 志弱く、そろそろ終着港へ着くべきか、と考えなくもありません。
 ただ、推進の大きなエネルギーはメルマガに寄せられる皆様から
 のお便り。まさに乗りかかった船、こうなりゃ次の目標をH2の
 歳の数に置いて、がんばりましょう。(まだまだ先が長いゾ)
 (H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp