===「塩ビと環境のメールマガジン」 第20号 === 2002/1/24

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目 次

☆巻頭コラム
 ごみを減らしてダイオキシン削減を
 「埼玉県が広報紙で県民にアピール」

☆都市ごみ焼却施設からのダイオキシン80%削減
 「2000年環境省調査まとまる。」

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☆巻頭コラム
 ごみを減らしてダイオキシン削減を
 「埼玉県が広報紙で県民にアピール」

 塩ビがダイオキシン問題の根源で、塩ビさえなければダイオキシン
問題は解決する、といった間違った説が一時、世の中にはびこってい
ましたが、種々の科学的データによってその説が間違いであることが
証明され、今や塩ビに対しこういった考え方を持っている向きは殆ど
なくなりました。

 この件については、環境省をはじめとする中央官庁も、「都市ごみ
焼却施設などでのダイオキシンの発生要因としては、燃焼物の要因よ
りも燃焼設備や燃焼条件の要因の方が圧倒的に大きく、燃焼設備の適
切な対策や管理によってダイオキシン排出濃度を抑えることができる」
との統一見解を出しています。

 都道府県でもそれぞれダイオキシン対策に乗り出していますが、埼
玉県では、県の広報紙「彩の国だより」の昨年12月号で、ダイオキ
シンを削減するためのキャンペーンを始めました。その中でも、ダイ
オキシンを減らすための県民への協力お願いとして、『ごみを減らす
こと』、および『ごみの不適切な焼却(野焼きなど)をしないこと』、
を呼びかけています。まさに、科学的データに基づいた、的を得た対
応であると思います。

 ご存知のとおり、埼玉県はかって、一部の心ない産業廃棄物処理業
者による排ガス被害や、野菜汚染の風評被害などの問題が、大きく取
り上げられたところです。

 それだけにダイオキシン問題への取り組みには力を入れたようです。
 県のダイオキシン問題対策委員会などで検討した結果、2000年
9月には「埼玉県ダイオキシン類削減推進行動計画」を策定し、さら
に最近「彩の国埼玉ダイオキシン類削減推進委員会」を設置して、県
民・事業者・行政が一帯となって取り組んできています。

 ごみを減らすためには、ムダなものは買わない、長持ちするものを
大事に使うなど、市民一人一人の努力が必要であると同時に、私たち
業界側でも使用済み製品のリサイクルを進めることが大切な事はいう
までもありません。埼玉県の適切な対応に拍手する一方で、「われわ
れはもっとリサイクルを進めるぞ!」とシュプレヒコールしたくなり
ました。

「彩の国だより」12月号の「ダイオキシン類を削減するために」の
掲載記事はこちら
 https://www.vec.gr.jp/mail-magazine/news/sainokuni.htm

埼玉県のホームページ
 http://www.pref.saitama.jp/


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☆都市ごみ焼却施設からのダイオキシン80%削減
 「2000年環境省調査まとまる。」

 環境省が昨年12月18日に発表した、ダイオキシン類の排出量の
目録(排出インベントリー)によれば、2000年に日本全国から排
出されたダイオキシン類の量は2,198〜2,218g−TEQで
あったということです。そのうち、一般廃棄物焼却施設、いわゆる都
市ごみ焼却炉からの量は1,019g−TEQでした。

 同じ調査によると、ダイオキシン類についてこのような全国調査が
始まった1997年には、全国排出量は7,343〜7,597g−
TEQであり、そのうち5,000g−TEQが都市ごみ焼却炉から
のものでした。従ってこの3年間に、全国レベルでは約70%が削減
された、都市ごみ焼却炉でみると実に80%の削減になった、という
ことになります。

 これだけ短期間にこれだけの削減に成功した理由は、何といっても
政府の方針に従い、全国の自治体が、焼却条件の適正化と焼却設備の
改善に鋭意努力された賜物であり、その真摯な努力に深い敬意を表し
ます。

 諸外国のダイオキシン類排出の実態は、1998年のダイオキシン
国際会議の発表資料によれば、米国で1995年で3,000g−T
EQ、うち都市ごみ焼却施設から1,100g−TEQ。ヨーロッパ
で1998年で5,535g−TEQ、うち都市ごみ焼却から1,4
67g−TEQ。

 その後、欧米でも引き続きダイオキシンの排出削減には取組んでい
るでしょうから、直接の比較はこのデータからだけでは困難ですが、
少なくとも、全国レベルおよび都市ごみ焼却レベルとも、日本は欧米
と肩を並べる状態にはなってきたのではないでしょうか。
 さらにいえば日本では、ダイオキシン排出に関する法規制の完全施
行が今年の12月に迫っています。今後1〜2年間で引き続きの大幅
排出削減が確実です。
 排出量は少なければ少ない程良いに決まっていますが、世界的に見
ても、日本のこの種ダイオキシン問題はやっと目処がついてきたと考
えられます。喜ばしいことです。

 この種のダイオキシン問題は、焼却条件と焼却設備が決定的な影響
をもつことが判っています。
 実際に焼却炉からのダイオキシン排出量が1/4、1/5と大幅に
減ったのは、燃やすものから塩ビなどの塩素化合物をなくしたからで
はなく、国が示した焼却条件や設備条件が守られたからです。
 くれぐれも誤解のないようお願いします

 環境省プレスリリースの案内
    http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3046

 ダイオキシン国際会議1998の資料
    18th Symposium on Halogenated Environmental
    Organic Compounds Stockholm,Sweden (1998)


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☆お知らせ

 ■2002年展示会出展スケジュール(予定)はこちら

  https://www.vec.gr.jp/NEW/Tenji-Kai_nittei_index.htm
     
 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

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☆編集後記

  正月に読んだ本の中で面白かったのは、「声に出して読みたい
 日本語」という本でした。日本書紀や枕草子や源氏物語といった、
 私にとっての「受験物」から、寿限無寿限無やガマの油売り、果
 ては般若心経まで入っていて、退屈しませんでした。
  日本から「朗読文化」が消えつつある、と作者の斎藤孝先生は
 憂えておられて、最近の若者たちの「チョー・マジ」言葉に辟易
 している私としては、我が意を得たりでもありました。ご一読を
 お勧めします。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp