===「塩ビと環境のメールマガジン」 第22号 === 2002/2/7

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目 次

☆巻頭コラム
 「いちご」畑に環境アセス?
 「…いや、いや、安心していちごをお召し上がりください。」

☆世界を相手の川口新外務大臣、環境重視の大木新環境大臣
 「新旧環境大臣へのエール」

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☆巻頭コラム
 「いちご」畑に環境アセス?
 「…いや、いや、安心していちごをお召し上がりください。」

 アセトン、アクロレイン、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、
エチルカプロレイト、ヘキシルアセテート、メタノール、メチルブチ
レート、…。
 こういった化学物質の名前が並ぶと、皆様はどうお感じになります
か?アセトンは引火性が強く、爆発の危険性もある物質です。アクロ
レインは可燃性である上、LD50(マウス・経口)が40mg/
kgと極めて有毒であり、アセトアルデヒドに至っては引火性、爆発
性、急性毒性に加え、発ガン性も疑われています(IARCのランク
2B)。その他の物質も健康と環境に有害であることは疑いもありま
せん。
 「危険な物質が並んでいるな」と思われることでしょう。もしもこ
ういった化学物質が発生する場所が近所にできる、ということになれ
ば、住民挙げて反対運動を起こそうか、と衆議一決するかもしれませ
ん。少なくとも、行政当局に掛け合って、然るべき環境アセスメント
を、それも住民監視のもとに、公平に実施すべし、と言いたくなりま
すよね。

 実はこの化学物質のリストは、アメリカのある科学者が日本で講演
した中に出てきたものです。何とこのリストは、「いちご」、あの甘
酸っぱくて美味しいいちごの中に含まれている成分の一部なのだそう
です。驚くではありませんか。私もびっくりしました。
 その科学者は、天然の植物でも、多種類の化学物質を含んでいたり、
自ら作り出したりしている、但し、生成量がごく微量なので何ら健康
に影響はない、と講演し、リスクマネジメントというのは、単に対象
の化学物質が本来持っている毒性(ハザードという)だけで判断する
のではなく、その発生量がどの程度か、発生する場所やスピードや、
周りへの影響度はどうか、といった危険度合い(リスクという)を勘
案して進めるものだ、と話されました。

 この例に見られるとおりで、どんな有害物質でも、環境や健康に影
響のない程度であれば存在しても問題はない、逆に安全と思われてい
る物質でも、例えば砂糖や塩などでも、高濃度で大量に摂取すれば、
健康を害するだけでなく、死につながる、というのが常識です。化学
物質の名前にいたずらに脅えることなく、ハザードだけに注目するの
ではなくリスクに注目して、判断すべきなのです。さもないと、近所
にできるいちご畑に反対の市民運動を起こすことにもなりかねません。

 もちろん、この例は分かりやすいケースで、現実にはハザードのデ
ータがよく判らない、暴露量についても不明瞭である、などなど、問
題は皆無とはいえません。この例のとおりに判断できるためには、す
べての関係者が、持っている情報を開示して、真剣に意見交換するこ
とが必要でしょう。私たち化学物質を製造するものも、より一層の情
報公開に努力する所存です。


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☆世界を相手の川口新外務大臣、環境重視の大木新環境大臣
 「新旧環境大臣へのエール」

 初代の環境大臣としてご活躍だった川口順子さんは、私たちVECが
出展している展示会にもしばしば顔をだされ、塩ビに関する展示物を興
味深く見て、説明員にも気さくに話しかけられました。
 つい最近も、12月中旬に東京ビッグサイトで開かれた「エコ・プロ
ダクツ2001」の展示会場で、山本良一東大教授と連れ立ってVEC
のブースに立ち寄られ、「塩ビが現在、社会的に厳しい状況に置かれて
いることは承知しています。一方、業界ではここ数年、リサイクルの推
進に随分努力しているとも聞いています。今後塩ビについてはリサイク
ル・システムを社会的に整備することが必要なのではないでしょうか。
塩ビ業界の努力に期待しています。頑張ってください。」というコメン
トを残されました。一見穏やかな感じの中にも、幅広い知識と正確な判
断力を窺わせる、素敵な女性、との印象を強く持ちました。
 つい先日、突然の外務大臣指名を受けられ、今後は日本を背負って世
界を相手にされることとなりましたが、日本の国益を守ることはもとよ
り、世界のため、人類のために有益な仕事を進められることと信じてい
ます。欲を言えば、諸外国でもさまざまな場面で有効活用されている塩
ビをごらんいただき、日本に向けて情報発信していただければ幸いです
が・・・。

 後任の環境大臣となられる大木浩さんは、1997年京都で開催され
た気候変動枠組み条約の、いわゆるCOP3で、当時の環境庁長官とし
て議長役を立派に果たされ、その後の世界の温暖化防止に関する姿勢の
大枠を決めた方として記憶に残っています。国内外の幅広い人脈を生か
され、特に当時から、良識ある市民運動家、いわゆるNGOとの協力を
心がけてこられたと聞いています。
 私たち塩ビ業界も、建設的な消費者団体、市民団体との協働を進めて
きました。新環境大臣にも私たちの状況をご説明し、ご理解とご支援を
得たいと願っています。塩ビは炭酸ガス発生の少ない素材のひとつです。
今後ともよろしくお願いいたします。


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☆お知らせ

 ■2002年展示会出展スケジュール(予定)はこちら

  https://www.vec.gr.jp/NEW/Tenji-Kai_nittei_index.htm

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

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☆編集後記

 先週はお騒がせしました。大チョンボでした。休日にとにかく
 文脈を打ち込んでおいて、出勤後にデータをチェックするつも
 りだったのですが、チェック漏れしてしまいました。
 実は、訂正内容以外にも、若干不適切な表現もあったので、
 VEC(塩ビ工業・環境協会)のホームページに収録される、
 バックナンバー分には、その部分も変更して載せてあります。
 今後は充分気をつけます。・・・が、またいつかやるかもし
 れませんね。その節は平にご容赦を。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp