===「塩ビと環境のメールマガジン」 第23号 === 2002/2/14

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目 次

☆巻頭コラム
 火災時のダイオキシン発生は大問題か?
  またまた「エコマーク商品認定基準」の怪

☆企業は情報公開を、学者は正しい知識の取得と伝達を、
 そして市民はもっと賢く…第2回「化学物質と環境円卓会議」傍聴記

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☆巻頭コラム
 火災時のダイオキシン発生は大問題か?
  またまた「エコマーク商品類型認定基準」の怪

 財団法人日本環境協会が、環境保全に役立つ商品に対し「エコマーク」
をつけることを推奨し、「エコマーク」をつける要件を、認定基準の形で
取り決めて公表していることはご存知と思います。循環型社会構築の動き
を加速する試みとして私たちも高く評価していますが、時々腑に落ちない
出来事も見られます。

 昨年12月に公開され、現在意見募集中の基準案に、「再生材料を使用
した建築用製品」に関するものがあります。建築用のボード類、屋根材料
、床材、エクステリア材、インテリア材、…などに再生材料を使うことを
推奨し、その際「エコマーク」をつける基準を取り決めているものですが
、その基準の中に、「ハロゲンを含むポリマーを処方構成成分として添加
していないこと」という条件があります。その理由として同協会は、基準
案の解説書の中で、「火災発生時のダイオキシンの発生が問題であるとの
観点から、使用しないこととした」と述べています。

 私たちはこの考え方には到底承服できません。ダイオキシン発生を理由
に使用制限するのであれば、木材や紙、プラスチック全般についても使用
制限が必要になります。火災時にはこれらの素材からもダイオキシンが発
生する可能性があるからです。

 塩ビなど塩素を含有する素材が、不幸にして火災により燃えた時、ダイ
オキシン類が発生する可能性があるのは事実です。しかしその発生量はご
く僅かであり、アメリカの分析例でも、火災時に塩ビから発生するダイオ
キシン量は問題にならない程度であるとされています。もちろん人が死ぬ
ような量ではなく、ある解析によればヒトの致死量に比べ4,000,0
00分の1以下であるとの結果も出ています。火災による死者の死因分析
でも、一酸化炭素中毒や火傷による死者が圧倒的多数を占めており、ダイ
オキシンによる死者は確認されていません。

 塩ビはご承知のとおり、燃え難い性質を持っており、この素材を建築材
として使用することにより、火災の発生を抑えたり、類焼の程度を軽くす
ることが考えられます。非ハロゲン系の素材に代替することで火災の発生
が増えたり、類焼範囲が広がったりするのでは、話になりません。

 この、「エコマーク」認定基準に関する出来事としては、数年前に、同
様な塩ビバッシングが疑われる認定基準案が作られたことがあります。そ
の時私たちは科学的データを基に意見具申し、事実認識に基づき基準案を
修正してもらいました。今回も同様、意見を提出しているところです。

 この種の基準案は、学者や有識者の合議に基づいて作成されるものと聞
いていますが、ぜひ私たちの、科学的データに基づく意見を理解頂き、真
に循環型社会に役立つ「エコマーク」認定基準を作り上げて頂きたいもの
です。

 VECが提出した、本認定基準案に対する意見書はこちらです。ぜひご
一読ください。

 https://www.vec.gr.jp/mail-magazine/news/eco.htm


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☆企業は情報公開を、学者は正しい知見の取得と伝達を、
 そして市民はもっと賢く…第2回「化学物質と環境円卓会議」傍聴記

 2月6日、環境省が主催する、化学物質と環境円卓会議の第2回会合が
開催され、傍聴してきました。この会議は、総理大臣が主宰する「21世
紀『環の国』づくり会議」での提言を受けて、化学物質の環境リスクにつ
いて国民的参加による取組を促進すべく、市民、産業、行政の代表による
化学物質の環境リスクに関する情報の共有および相互理解を促進する場と
して設置されたものです。

 昨年12月に続いて第2回目の今回は、リスクコミュニケーションに関
する専門家および労働組合からのブリーフを聞いて意見交換するというも
のでした。専門家としては、横浜国立大学教授で化学物質に関するリスク
コミュニケーションに詳しい浦野紘平氏、元国立衛生研究所の化学物質情
報部長で、化学物質情報システムの権威の神沼二眞氏、国際純正応用化学
連合上級顧問の宮本純之氏、労働組合から化学リーグ21政策センター長
の山本喜久治氏の4人でした。

 4スピーカーともなかなかの熱弁で、後の質疑応答、意見交換も、主と
して市民側対スピーカーの形で活発に行われ、関心深く聞きました。時間
の制約もあり、議論が昇華して一定の方向が見出されるには至りませんで
したが、それぞれの立場からの考え方が浮き彫りになり、今後の議論の地
固めにはなったのではないかと思います。進行役の安井至東大教授の裁き
ぶりもなかなかのものでした。

 4スピーカーが交々語ったところを私なりに総括すると、産業側には徹
底した情報公開、透明性の確保が要望され、学者・研究者には正しい科学
的知見の取得とその適切な情報発信が、市民側には一部の情報だけに頼る
のではなく、幅広い情報から判断する能力醸成が、そして特にマスメディ
アに対して多面的な報道が、それぞれ要請されていたように思います。
付け加えるならば、山本氏のコメントした、「化学物質安全の確保と国際
競争力維持を両立させ、国内の雇用も守って欲しい」との言葉が印象に残
りました。
 私もそれらの要望はまさに的を得たものだと思いました。

 次回は3月19日に、神奈川県で関東地域フォーラムが開催されるよう
ですが、具体的成果はともかく、意見交換の場ができること事態が立派な
成果と考え、引き続き本質的かつ活発な議論を望みたいものです。


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☆お知らせ

 ■講演会(大阪)

  第2回 環境ビジネス アクセスフォーラム
  アクセスプレゼンテーション
  「循環型社会を実現する先進企業6社」
  として「塩ビ窓枠とリサイクル」について講演

  2/22(金)13:00-15:00
  ATC(アジア太平洋トレードセンター)ITM棟9F
  ニュートラム「トレードセンター前」駅下車 徒歩3分

 ■2002年展示会出展スケジュール(予定)はこちら

  https://www.vec.gr.jp/NEW/Tenji-Kai_nittei_index.htm

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☆編集後記

 メルマガにいただくお便りに対応して、返事を出したり、
 塩ビの情報提供に出向いたり、いろいろ活動しています。
 H2の業務の重要な一面でもあり、楽しみでもあります。
 先日、某所に情報提供にお伺いした時、初対面の方に、
 「あなたがH2さんですか。もっと若い人かと思っていま
 した」と言われました。

 「なんやっちゅうねん」と思いましたが、よく考えてみる
 と、これはH2に対する最大の誉め言葉、プレゼント、に
 思えてきました。
 年はとっても気は若い、これからますます頑張るぞ。
 ナントカの冷水と言われてもいいのだ!
 奇しくも今日はバレンタインデー!!(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp