===「塩ビと環境のメールマガジン」 第24号 === 2002/2/21

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目 次

☆巻頭コラム
 瓶ビールがいいか、缶ビールがいいか?
  循環型社会は難しい、誰か教えてくれませんか

☆ご存知でしたか?農業用ビニルの有用性
 NAC(農ビリサイクル促進協会)がホームページ開設

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☆巻頭コラム
 瓶ビールがいいか、缶ビールがいいか?
  循環型社会は難しい、誰か教えてくれませんか

 先日、市民の立場から環境問題、特に廃棄物問題について活発に活躍
しておられる、ある女性の講演を聞く機会がありました。廃棄物問題の
解決策として、ごみの量を減らそう、とまったく理に適った主張をされ
るその方は、瓶ビールと缶ビールの例を持ち出され、次のように述べら
れました。
 「缶ビールはリサイクルに際し自治体が税金から巨額のコストを負担
している。瓶ビールは何回もリユース可能で循環型社会に適している。
缶ビールや缶ジュース、PETボトルなど使い捨て容器の使用は見直す
べきだ。ヨーロッパでは缶類、プラ類の使い捨て容器を冷蔵庫に入れて
いるホテルは三流ホテルと相場が決まっている。皆さんも缶ビールを止
めて瓶ビールにしたらどうですか」
 そして更に、「缶ビールの小は定価で220円だが、小の瓶ビールは、
量はやや少ないものの195円で瓶の方が25円安い。大瓶は一本32
0円で、缶ビール2本(440円)より120円安い。量は少々差があ
るが、量の少ない分、肥らずにすんだ、肝臓を労わったと思って、瓶ビ
ールにすれば、何年か経てば節約した分で海外旅行にも行けますよ」と
も。

 リユース、リデュース、リサイクルを重視する、循環型社会に対する
考え方として、うなづけるストーリーだと感じたのでしたが、「ちょっ
と待てよ、」といろいろ疑問も湧いてきました。
 LCA(ライフサイクルアセスメント)の考えからすると、製造工程
まででは瓶の方がかなり缶より有利(消費エネルギーが少ない)、リユ
ース・リサイクル工程まで入れると、リユースの回数やリサイクル率に
よって優劣が変ってくる、輸送時の環境負荷は、重量が重い分だけ、瓶
が不利でしょう。などなど考えるとそう簡単に結論はでてこないような
感じもします。

 価格的には、現実には定価で買わないケースも多く、一方で最近は発
泡酒という代物もあり(発泡酒の瓶入りはまだ聞いたことがない)、微
妙な問題もありますが、少なくとも、瓶が劣勢に立たされることはなさ
そうです。
 瓶は重たくて、購入時は不便である、空瓶の回収システムも現実には
破綻しかかっている(らしい)、酒屋さんまで空瓶を運ばねばならない、
さらにリユースで洗浄するときの環境負荷問題もある、などがあり、こ
の面では缶有利。

 ウーン…と思い余って、家人に相談したら、「現実には小瓶は殆どあ
りません。大瓶に変えたら酒量が増えるからダメ」と一蹴されてしまい
ました。困ってしまって思考をここでストップし、缶ビールを開けてリ
ラックスすることにします。

 しかし、何かと現代は難しい。循環型社会に生きる術、賢兄賢姉のお
知恵を拝借したいものです。


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☆ご存知でしたか?農業用ビニルの有用性
 NAC(農ビリサイクル促進協会)がホームページ開設

 「日本の農業には、施設園芸栽培が重要な事業となっています。
その施設園芸の被覆材の大半を占めているのが農ビです。
 農ビは昭和26年の秋に日本で始めて発売され、50年の歴史が
あります。
 保温性、防曇性、透明性など優れた特性を持った農ビはハウス、
トンネルなどに利用されています。
 こうした農ビの普及によって、季節を問わず野菜・花などが市場
に出回るようになりました。また、果樹・養殖漁業と日本の農水産
業のあらゆる分野に利用されています。」

 こういった文章で始まる、ホームページが最近、開設されました。
農業用ビニルの主力メーカーや全国農業協同組合連合会が組織して
いる、農ビのリサイクル事業を推進する協会「農ビリサイクル促進
協会」が発信しているものです。内容は、「農ビの新しいリサイク
ルの時代へ」と称する表紙の下、「農ビとは」、「農ビリサイクル
の現状」、「農ビリサイクルの商品」、「農ビのリサイクル」、
「農ビリサイクル促進協会」、「関連団体の紹介」と6部に分かれ、
それぞれ詳細にわたって現状と計画が説明されています。

 農ビの有用性については、保温性、防曇性、初期透明性、復元性、
こすれ強さについて長所が示されています。リサイクルについては、
1999年(平成11年)の全国リサイクル率が51%に達してい
ること、ただし地域差があって、九州地区では91%、関東地区で
は51%に対し東北地区では2%、北海道地区では18%であるこ
となどが記されています。

 一方、リサイクル商品については、床材、弾性歩径路、車止め、
組立てレンガなどの建築土木資材や、スソ張りシート、止水シート
などの農業資材、サンダル、消しゴム、デスクマット、マウスパッ
ドなどの日用雑貨品などに使用されていることが写真入で示され、
関心をそそっています。

 産業界から社会への情報発信の手段の一つとして、今後こういっ
たインターネット利用の手段はますます重要さを増してくることで
しょう。私たちVECと志を同じくするこのNACの試みに、私た
ちも拍手を送ります。
 なお、NACのホームページはこちらから
     http://www.noubi-rc.jp


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☆お知らせ

 ■講演会(大阪)

  第2回 環境ビジネス アクセスフォーラム
  アクセスプレゼンテーション
  「循環型社会を実現する先進企業6社」
  として「塩ビ窓枠とリサイクル」について講演

  2/22(金)13:00—15:00
  ATC(アジア太平洋トレードセンター)ITM棟9F
  ニュートラム 「トレードセンター前」駅下車 徒歩3分

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☆編集後記

 今回の「瓶・缶」論議、如何でしたか?
 H2の不勉強もあってデータ的にも不明なところが多
 く、恐縮ですが、いずれにせよ、何を重視して選択す
 るか、という価値観の問題になる、ということでしょ
 うか。価値観多様化の時代、ですかね、なんて誤魔化
 してけりをつけましょう。
 とにかく、あまり「ビンカン」になりすぎるのも考え
 ものです。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp