===「塩ビと環境のメールマガジン」 第29号 === 2002/3/28

===================================================================

目 次

☆巻頭コラム
 氾濫する不当表示に騙されないように
  「身の回りにもいろいろありますよ」

☆高齢化時代の住宅は、「省エネ・断熱・健康」で
 「仙台の健康住宅セミナーを聞いて」

===================================================================

☆巻頭コラム
 氾濫する不当表示に騙されないように
  「身の回りにもいろいろありますよ」

 最近、マスコミを賑わしているものの一つに、いわゆる不当表示
の問題があります。輸入牛肉を国産品と偽って表示した事件、偽の
産地を表示した鶏肉の事件、添加剤不使用と嘘の表示をした鶏肉の
事件、賞味期限を書き換えた業務用カレー事件、…。まさに、ブル
ータス、おまえもか、ではありませんが、市民の感覚でいえば、
「もう、私たち、何を信用すればいいの」と絶叫したくもなります
よね。

 最近こそあまりマスコミには出てこなくなりましたが、こんな不
当表示もあります。いわく、「この商品は、燃やしてもダイオキシ
ンは発生しません」というもの。非塩ビ製のラップフィルムや手袋、
お菓子の包み紙や化粧品の容器、手帳、プラスチック傘、玩具や自
転車、電線や壁紙、……いろんな製品の謳い文句になっているもの
です。
 これが実は立派な不当表示です。なぜなら、私たちが主張し続け
ているように、燃やす条件が不適当であれば、これら諸製品はもと
より、食べ物でも木材でも紙でも、塩ビ以外のプラスチックでも、
もちろん塩ビでも、およそありとあらゆるものからダイオキシンは
発生するからです。こういった科学的事実を知らずに(もしくは知
っていても故意に無視して)謳い文句を作り上げ、結果として消費
者を騙す手口は、もういい加減止めて欲しい、と私たちは思ってい
ます。

 もう一つ気になる謳い文句に次のようなものがあります。「この
製品は燃やしても有害物質を発生しません」というものです。これ
についても学用品や包装材料、日用雑貨など、例を挙げればきりが
ありません。
 これまた完全な不当表示です。殆どすべてのものは、燃焼時にさ
まざまな化学物質を生成し、環境に排出します。ダイオキシンだけ
が有害な物質ではありません。そして殆どすべての化学物質が、あ
る意味では有害であることも確かな事実です。無害に燃やせるもの
は何もない(特に不適切な燃焼条件では)ことをキチンと認識しな
ければなりません。

 特に、塩ビ以外のプラスチックについてこの謳い文句を掲げるこ
とは、一層深刻な嘘を表示していることになります。プラスチック
の場合、不適切な燃焼条件下では、ダイオキシンのみならず、ベン
ツピレンやナフタレン、ビフェニールなどの多環芳香族系物質を中
心に、多くの有害物質を、ダイオキシンに比べ桁違いに大量に生成
することが判っています。どの化学物質がより重大な影響を環境に
対してもたらすのか、良く考えてみる必要があるのではないでしょ
うか。

 誤解のないように付け加えますが、ダイオキシンにしてもその他
の化学物質にしても、適切な燃焼設備で適切な条件で焼却すれば、
環境への影響はありません。その適切な燃焼設備と燃焼条件につい
ては環境省の法規制で定められ、2002年12月にはその規制が
完全に実施され始めます。もはや、「燃やしたらダイオキシン」、
「燃やしたら有害物質」という謳い文句は、その点からも何らの意
味も持たなくなっているのです。

ただし、野焼きは不適切な燃焼の最たるものです。間違っても、
「有害物質が出ないから野焼きしても安全」などと勘違いしないよ
うに。


===================================================================

☆高齢化時代の住宅は、「省エネ・断熱・健康」で
 「仙台の健康住宅セミナーを聞いて」

 3月22日(金)仙台市のイズミティ21にて、NHK文化センタ
ーが主催する、「高齢化時代に向けた健康住宅セミナーin東北」と
いう講演会が行われました。
 「世界一の長寿国・日本。高齢化が加速している今、安心して老い
を迎えるために必要な家づくりとは——。」とのキャッチフレーズの
下、学会、産業界の専門家5人がこもごも立って、これからの住宅の
あり方、そのためのアプローチの方法、適切な工法や材料の選定など
について話されました。聴講者は約150人、この地方の建材店、工
務店の関係者が多かったようです。

 基調講演の東北大学吉野博教授は、「東北における長寿命・健康住
宅の実現」と題して話され、地球環境問題、省エネルギー問題、シッ
クハウス問題などについて解説されました。なかでも、住宅における
エネルギー消費に関しては、日本はアメリカの数分の一のレベルであ
り、今後もこのレベルを維持し更なる削減を図るべきだと述べられた
のが印象的でした。
(有)安井設計工房の安井妙子副社長は、築100年を優に越える古
民家を、高断熱・高気密に改修して保存する試みについて話され、住
まいと環境東北フォーラムの斎藤彰彦さんは、縮小が続く住宅関連マ
ーケットの中で、住宅改修による資産価値アップを目指して新しい需
要を開拓すべしと意気軒昂な話をされました。また、新木造住宅技術
研究協議会の会沢健二さんからは、住宅リフォーム時の断熱工法につ
いての詳細な実例が披露されました。いずれも関係の深い聴衆の関心
を集めていました。

 最後に技術コンサルタントの中村扶さんから、「東北地方における
外装改修の新提案」と題する講演がありました。北米で急速に伸びて
いるプラスチックサイディングを日本でももっと採用すべきだとの提
案で、軽量で耐久性もよく、施工も簡単でメンテフリー、カラフルで
デザイン性もよいこの素材は、近い将来日本でも必ず大きな需要を生
み出すと力説されました。
 確かに、プラスチックサイディングは、数々の特長を持った素材で
あり、懸案の課題であった防火性についても、関係者の努力で防火認
定取得の動きが着々と進んでいるようです。将来性豊かな建築素材と
して、その動向には今後も目は離せないと思いました。

 いずれにせよ、老・壮年者が安心して住める住宅を実現させること
は、これからの日本にとって大切な課題であることは間違いありませ
ん。そのためのキーワードとして、この講演会では、「省エネ・断熱
・健康」をあげていました。国家的課題である省エネルギーを戸建住
宅レベルでも実現し、そのための手段として断熱性向上に留意し、さ
らにシックハウス問題など健康への悪影響をもたらす課題をクリアす
る、この三拍子揃うことが条件だ、と痛感した次第です。

 なお、このセミナーは会場を盛岡に移して来る4月19日(金)に
再度開催の予定だそうです。ご興味のある方はセミナー事務局
 (TEL 03-3506-5487、E-mail:t_naganawa@vec.gr.jp
までお申し込みください。


===================================================================

☆お知らせ

 ■塩化ビニル産業 日中共同フォーラム開催

  化学工業日報社と中国の化学産業専門紙、中国化工報社の共催で
  (協賛—塩ビ工業・環境協会、中国クロロアルカリ工業協会、
   後援—経済産業省、中国大使館、関係団体)
  4月22日−23日の両日、東京・新宿の厚生年金会館で「塩化
  ビニル産業 日中共同フォーラム」を開催致します。奮ってご参
  加下さい。

  「開催要領」
    日 時 4月22日(月)終日、4月23日(火)午後1時終了
    会 場 東京厚生年金会館 新宿区新宿5−3−1
    参加料 1名 ¥34,000円(一般)
        同一法人・団体から複数のご参加の場合は2名様より
        ¥29,000円。
        また塩化ビニル環境対策協議会協賛企業の方は1名様
        ¥29,000円。
        前記料金には資料代、初日昼食代、お茶代、晩餐交流
        会費、消費税などを含みます。

  【お問合せ先】化学工業日報社 企画事業局事業グループ
         〒103-8485 東京都中央区日本橋浜町3−16−8
         電話 03-3663-7931 FAX 03-3663-2330

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■PVCニュース40号が発行されました。
  ホームページにも掲載しています。
  http://www.pvc.or.jp/pvc/index40.html

===================================================================

☆編集後記

  3月下旬だというのに、今年の東京の桜はすでに散りかけて
 います。4月第1週の週末に、H2の中学同期の悪ガキどもと
 恒例の花見の宴を計画して、会場も押さえたのですが、この状
 況。「どうする?」と相談したら、「花はなくとも花より団子」
 とのこと。しかし、考えてみたら、この年になって団子でもあ
 るまい、まあ言ってみれば、花よりお酒?違う、花よりだべり?
 とにかくやろう、となりました。景気回復の一助にでも・・・
 なりませんね。(H2記)

===================================================================

[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp