===「塩ビと環境のメールマガジン」 第33号 === 2002/4/25

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目 次

☆巻頭コラム
  一層の交流と情報交換により、相互繁栄を目指そう。
   「初の塩ビ日中フォーラム、成功裡に終了」

☆特別寄稿:
  意識から現実へ:環境活動進化への期待
   化学リーグ21政策センター代表 山本喜久治

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☆巻頭コラム
  一層の交流と情報交換により、相互繁栄を目指そう。
   「初の塩ビ日中フォーラム、成功裡に終了」

 中国の塩ビ産業関係者35人を迎えて、22日、23日の両日、東京
厚生年金会館で「塩ビ産業日中共同フォーラム」が開かれました。これ
は、日本の化学工業日報社と中国化工報社が共同で主催し、日中両国の
化学・塩ビ関連業界が多く協賛・後援したもので、初めての試みという
ことです。両日とも200人近い参加者で会場は熱気に包まれていまし
た。

 22日の冒頭、挨拶に立ったVECの田代会長は「中国の塩ビ需要が
増大し、中国国内需要が中国国内の生産能力を大きく上回る中、日本企
業も中国への安定的な輸出によって中国加工業の国際競争力確保に協力
している。これは中国国内の塩ビ樹脂メーカー及び中国における塩ビユ
ーザーとともに発展していくとの精神で実施されているものである。現
在中国経済の発展に悪影響を及ぼす恐れのある輸入制限的な動きも出て
いるが、平等互恵の原則にのっとった互譲の途を共に検討していきたい
と切に希望する。
このフォーラムが、相互の立場の真の理解、真のパートナーシップ、更
なる発展に向けた大きな一歩となることを期待する。」と挨拶しました。

 引き続きの講演会では、日中両国での塩ビ産業の現状と需給動向、日
本における塩ビの環境問題やリサイクルの状況、中国WTO加盟に伴う
ビジネスチャンスなどに関し、日中のスピーカーから話題が提供され、
それぞれ来場者からの熱心な質問も受けて、意見交換が続きました。

 終わってからの歓迎パーティでは経済産業省の化学課長からもご挨拶
があり、日中お互いに正確な状況認識を持った上で、両国が共に栄え、
発展に繋がる対応をすべきである、とコメントがありました。パーティ
席上ではあちこちで和やかな会話が弾んでいました。

 明けて23日は、パネル討論が行われました。塩ビと地球環境、塩ビ
の魅力と特長の2つの話題提供に続いて、昨日の講演も踏まえてより具
体的かつ率直な意見交換がされました。

 最終まとめとして立った中国側団長のハオ中国化工報社総編集長は、
「今回のフォーラムでは、礼節を重んじ、冷静かつ科学的に話し合うこ
とができたことに感謝する。お互いの理解をより深め、協調することに
より、相互の繁栄を目指す道が必ず見出せると確信する。」と挨拶され
ました。

 盛り沢山な話題を1日半の日程の中で取り上げた、やや慌しいスケジ
ュールでもありましたが、背後に緊迫した課題を抱えているとはいえ、
会場では終始和やかな雰囲気が流れ、見事な通訳者の働きもあっていろ
いろな意味で成果の多かったフォーラムでした。
共通していたのは出席者全員が塩ビに対する愛着、思い入れが深い様子
だったこと。この有用な塩ビを、日中のみならず世界中で用途を広げた
い、そのことが世界の環境改善にも繋がるという熱意に溢れていたこと。
こういった意見交換をどんどん進めることでお互いの間の無用な軋轢は
なくなり、日中両国の関連産業の相互発展、相互繁栄に繋がることと実
感した次第です。

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☆特別寄稿
  意識から現実へ:環境活動進化への期待
   化学リーグ21政策センター代表 山本喜久治

 いまや環境意識は一個人のハイセンスとして認知されるようになって
きた。衣食足りて環境を知る、ということのようだ。ちなみに住宅や自
動車そして家庭用の消耗品まで、環境グッズはけっして安くはないが、
時代の先端を行く人のライフスタイルとしての評価が定着しているので
はないだろうか。

 また、環境というと連想的に市民団体(NGOでもある)というほど
のイメージが出来てしまっている。政府ではなく、企業でもない、現実
利害に囚われない行動をとれるのはやはり市民しかいないということだ
ろう。

 だが、環境はヨーロッパの一線級ミュージシャンが公演の収益を、全
て環境団体にカンパするほどかっこの良いテーマというだけでよいのだ
ろうか。私には環境問題は三つの層からなっている様に思える。世論と
政策そして産業活動(技術を中核にする)の三層である。現在は世論が
政策へ様々な働きかけを行い、温暖化やリサイクルという大きな課題で
の動きが始まったところではないだろうか。

 そこで最も大きな問題となるのが産業活動のところである。私たちは、
情報化やサービス化といっても、いぜん車と石油と電気を柱にした生活
に浸っている。省エネ、ハイブリッドと環境への対応は個別商品では確
かに進んできた。市場戦略として相当な金と時間を注ぎ込んでいるのだ
ろうが、こういった個別対策のバラ出しがエネルギー消費、環境負荷な
どに効果を現すのかどうか、疑問に思う。

 どうも市場やメディア主導の環境意識は水際作戦という感じが強い。
消費者は環境によい、というだけで商品を選ぶ傾向がある。それは自分
の生活が環境にあまりよろしくない、という原罪のような感じを抱いて
いる反動でもあるのだろう。環境意識をマーケティングに終わらせては
良くない。

 変な表現だが、「環境縦深作戦」というようなものをもっと真剣に検
討すべきである。エネルギーや製造プロセス工程を出発点にして、廃棄
・処分のあり方まで一貫して改善できる方法は夢なのだろうが、ここに
こだわりたい気持ちが強い。グリーンケミストリーという政策も試みら
れているようだが、まだ部分的な域を出てない。ハイセンスで終わらず
ハイライフ(High−Life)をめざす息の長い活動を化学の労働組合とし
て重視していきたい。

 これから業界団体も、市民団体も環境革命の大道をともに進めるはず
である。一方が批判し、一方が批判されるという関係を意識的に脱却し
なければならない。企業も市民も置かれた立場で何ができるのか、立場
や主張をうまくリンケージさせていくべきだ。相互に実のある提案が可
能になるような関係が構築できたらすばらしい。これは他人事ではなく、
当然私たち労働組合もコミュニケーターとして有機的に活動することを
周囲から、つよく期待されることになろう。

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☆お知らせ

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
  https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■次週は休刊致します。
  次週5月2日号は、ゴールデンウイークにつき、休刊とさせて
  いただきます。次号は5月9日にお送りします。

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☆編集後記

  今回寄稿いただいた山本さんは、化学関連の労働組合が集っ
 ている、化学リーグ21のキーマンであり、常日頃私たちに鋭
 い助言をいただいている方です。どうもありがとうございまし
 た。
  さて、最近、年のせいで少し耳が遠くなったためか、いろい
 ろ面白い話が生まれます。この前、山手線に乗っていたら車掌
 のアナウンスで「大騒ぎ、大騒ぎ」といっていました。ン?と
 思ってよく聞くと、五反田の隣り「大崎」でした。
 数日して今度は地下鉄都営三田線に乗っていたら、「ちいさい
 愛ちゃん、ちいさい愛ちゃん」と言います。よく聞くと「内幸
 町」でした。
  極め付きは先日の日中塩ビフォーラムです。塩ビのことを通
 訳はPVCと呼んでいたのですが、うっかりすると「厳しい、
 厳しい」と聞こえました。冗談じゃないゾこれは。
 まあ、でも、「寂しい、寂しい」と聞こえるよりはまだましか。
 (H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp