===「塩ビと環境のメールマガジン」 第34号 === 2002/5/9

===================================================================

目 次

☆巻頭コラム
 リサイクル塩ビ管は省エネ率77%、リサイクル農ビは67%
  「塩ビリサイクルのLCA結果公表される」

☆東北地方で初の大型農ビリサイクル拠点構想浮上
 「増田岩手県知事からも賛成と激励を頂戴」

☆お知らせ

===================================================================

☆巻頭コラム
 リサイクル塩ビ管は省エネ率77%、リサイクル農ビは67%
  「塩ビリサイクルのLCA結果公表される」

 塩ビはプラスチックの中でも、製品製造までに消費するエネルギーが
少なくてすむ、いわゆる省エネ型素材であることはよく知られています。
例えばポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどと比べると、
樹脂製造段階までの単位重量当たりのエネルギー消費量は、低密度ポリ
エチレンのエネルギー消費量を100とすると高密度ポリエチレンは9
5、ポリプロピレンは98、ポリスチレンは99と殆んど差がないのに
対して、塩ビのそれは66と極めて優れた値になっています。

 この塩ビを使用済み段階でさらにリサイクルするとどうなるか。当然
さらに省エネルギー効果が大きくなることは予想されます。しかし、そ
の具体例はなかなか検証されていませんでした。
 連休前の4月26日、(社)産業環境管理協会の主催する、「LCA
調査結果のインタープリテーションPart2セミナー」で、塩ビ工業
・環境協会の柳部長が、こういったリサイクル塩ビのLCAの検討結果
について、興味ある事例報告をしました。リサイクル塩ビで作ったパイ
プおよびリサイクル農ビから作った床材について、製造からリサイクル
に至るLCIを試算し、リサイクルによる環境負荷低減効果の解析を試
みたものです。

 解析結果は劇的なものでした。使用済み塩ビ管を100%使って作っ
たリサイクル塩ビ管と、新品の塩ビ樹脂から作った塩ビ管を比べると、
前者の製造にかかる消費エネルギーは、後者に比べ23%でしかない、
つまり77%の省エネルギー率になるというのです。
 同様に、使用済み農ビをリサイクルして床材原料に利用した場合、新
品原料から作った床材と比べて製造にかかる消費エネルギーは僅か34
%で済み、省エネ率67%に上ることも判りました。

 さらに環境負荷低減効果はエネルギー関連のみならず、SOx、NOx
CO2といった負荷項目についても大きいことが検証されました。上記
のリサイクル塩ビ管のケースでは、新品原料の場合に比べてSOx、
NOxは約1/5程度、CO2は1/3以下になるということですし、
リサイクル農ビ使用の床材のケースでも新品原料使用に比べSOxは
1/3、NOxは1/5、CO2は1/2程度にそれぞれ低減されると
のことです。

 このように、塩ビは本質的に省エネルギー型素材であるのみならず、
リサイクル使用することによって、さらに消費エネルギーや環境負荷の
低減が図れる、これからの資源循環型社会にとって有用な素材であるこ
とが明らかになったわけです。当日のセミナー会場では、神戸山手大学
のフォイヤヘアト教授から広い視野に立った貴重なコメントを頂戴した
のを始め、その他の聴講者からも驚きと共感を持って迎えられ、建設的
な質問や意見が相次ぎました。

 このような検証作業は今後も条件を変えて続けることが必要ですが、
基本的にリサイクル品はエネルギー消費や環境負荷の点では優位である
ことは間違いないようです。リサイクル容易な塩ビ製品を、こういった
面からも是非、再認識していただきたいと考える次第です。


===================================================================

☆東北地方で初の大型農ビリサイクル拠点構想浮上
 「増田岩手県知事からも賛成と激励を頂戴」

 メロンやトマトなどの果物・野菜の栽培や、季節を問わずにシクラメン
などが鑑賞できるためなどに、塩ビのフィルムを使った温室が活用されて
いることはご存知のとおりです。また、この温室などに使われた塩ビフィ
ルム、いわゆる農ビは全国各地でリサイクル使用され、そのリサイクル率
は51%となっています。

 千葉県や茨城県などの関東近県では、農家で選り分けられた使用済み農
ビを、集荷し、洗浄、粉砕した後に、オフィスビルなどの床材の基盤とし
て再度生活に役立てる道筋が確立しています。こういった例は、関東に限
らず、九州、四国など、温室農業規模の大きい地方では以前から続けられ
ています。

 しかし、東北地方では、県単位での温室農業規模が小さいためもあって
なかなかシステムが根付きませんでした。年間5,000トンをリサイク
ルできる体制を整えることが、東北の関係者の願望でありました。

 そこへ今回、リサイクル事業のトータルシステムを計画し、地方自治体
のニーズなどに応えてきた(株)三和フロンティアが、東北地域で農ビ年
間6,000トンをリサイクルする、中間加工工場を建設する構想を打ち
出しました。もし実現すれば関東以北では始めて、東北6県にまたがる広
域なリサイクル事業になる可能性があります。
 この構想によれば、東北6県でそれぞれ集荷された使用済み塩ビは、福
島県のリサイクル工場へ集められて再生された後、例えば宮城県の東北ゴ
ム(株)に運ばれ、ゴムと混ぜられて産業機械パーツになって再度東北各
地で活用されることになります。

 この構想に対し、県ぐるみでゼロエミッション政策を進めている岩手県
では、県内で集められた使用済み農ビがリサイクル可能になり、ゼロエミ
ッション政策の中身が著しく充実するとして増田県知事自ら賛成の意を表
され、関係者を激励されました。同時に、再生塩ビ製品を使用した機材な
どを優先的に県などの公共機関で購入使用することに関しては、今後研究
してみたいとの意向が示されました。

 私たち塩ビを生産販売し、そのリサイクルをも手がけている関係者とし
て、この岩手県の対応は大変勇気付けられるものであります。

 なお、中国地方などにおいても東北同様、県と連携して同趣旨の検討を
重ねているところです。遠からず、全国各地方で同様な大型農ビリサイク
ル拠点が整備され、農ビのリサイクル率が一層向上することを願って止み
ません。


===================================================================

☆お知らせ

 ■展示会出展予定
  1.2002NEW環境展(東京)
    5月28日(火)〜5月31日(金)
      10:00〜17:00
    東京ビッグサイト 東1ホール ブースNO.1101−A06
    (ゆりかもめ 国際展示場正門駅 下車)

  2.MIE・みんなで創る 環境フェア(三重県四日市)
    6月1日(土)〜2日(日)
      10:00〜16:00
    四日市ドーム
    (近鉄・JR 四日市駅からシャトルバス)

==================================================================

☆編集後記

  ゴールデンウイーク、皆様は如何お過ごしでしたか?本誌も
 一週間お休みをいただき、リフレッシュ致しました。本号から
 心機一転、気分新たにあい努めますので、旧倍のご愛顧のほど
 よろしくお願いします。
  とは言うものの、ホントのところはこの10日間、遊び疲れ
 てくたびれて、仕事に復帰したら、例によって固有名詞健忘症
 で困りました。この疲労回復に約10日間ぐらいかかりますの
 で、元気になるまでもう暫くお待ち下さい。(H2記)

===================================================================

[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp