===「塩ビと環境のメールマガジン」 第39号 === 2002/6/13

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目 次

☆巻頭コラム
 高断熱・高気密住宅で温暖化目標達成へ
 「21世紀型住宅へのひとつの提案」

☆「光と風の建築」に人気
 VEC主催の建築セミナー、満員の盛況

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 高断熱・高気密住宅で温暖化目標達成へ
 「21世紀型住宅へのひとつの提案」

 政府はつい先日、地球温暖化防止のための、いわゆる京都議定書批
准を決めました。このことは日本として温室効果ガス排出量を、20
08年からの約束期間に、1990年に比べ6%削減します、と世界
に公約することを意味します。

 それでは、現在の温室効果ガス(実際はCO2ガス)の排出状況は
どうなっているのでしょうか。
ご承知の方も多いと思いますが、2001年度のCO2排出量を、1
990年度のそれと比べると、産業分野は微減、輸送分野は微増、民
生分野はかなりの増加、となっています。つまり、日本の公約を達成
するためには、産業分野における引き続きの削減努力と、輸送分野で
の対策推進が必要なことに加え、民生分野での大幅な排出削減対策が
必至であることになります。

 民生分野での対策を実現するため、政府をはじめいろいろな部門で
さまざまな計画が進められています。例えば省エネ型電気機器の採用、
といったものから、小はライフスタイルの転換、「一日一分シャワー
を節約」といったものまで。
 さてそこで、ひとつ面白いアイデアがあります。一口で言えば、
「住宅を高断熱・高気密にして、省エネルギーを図り、もってCO2
排出量を削減する」というものです。
 何だ、そんなことか、とお笑いになるかもしれませんが、なかなか
どうして…。
(財)地球環境戦略機関の試算によれば、もしも、日本全土の新築戸
建住宅をすべていわゆる高断熱・高気密住宅にした場合、そのことに
よるCO2排出削減効果は、京都議定書の公約を果たすべく、民生分
野に要請される削減量の、なんと80%分にも上るのだそうです。

 住宅からの熱の発散は、そのかなりの部分が開口部、特に窓からの
ものである、ということは常識になっています。その窓からの熱発散
は、窓の構造を断熱型にする、つまり、ガラスを単層から複層にし、
窓枠の材質を熱が伝わりやすい金属製のものから、断熱性の高いプラ
スチック製にする、などのアクションにより押さえられます。ある試
算ではこうすることによって家庭の冷暖房費が半減するともいわれて
いる程なのです。

 日本全土の新築住宅を高断熱・高気密型にする、ということは、言
うは易く、実行にはいろいろ困難が伴います。お金がかかります。住
宅を建てる側としては、そんなに高性能でなくてもいい、雨露が凌げ
ればいい、建設費が安いほうがいい、と言うでしょう。我が家には、
夕方そよそよ風が入ってくるのが好いのだ、と主張する向きもあるで
しょう。

 こういった問題をクリアする必要がありますが、高断熱・高気密住
宅には一方、省エネルギーや省CO2以外のメリットもあります。冬
暖かく、夏涼しい、過ごしやすい家、お年寄りにとって身体にやさし
い家、…。このような住宅では、脳卒中になりにくい、という説もあ
るようです。

 世界的課題である、温暖化防止への寄与を目指して、日本全体の住
宅を高断熱・高気密化する。あわせて高齢化社会への適応も図る。そ
ういったことを真面目に考える政治家か、政府はないものでしょうか。


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☆「光と風の建築」に人気
 VEC主催の建築セミナー、満員の盛況

 6月11日午後、東京神田の如水会館で、VEC主催のセミナー
「プラスチック建材と建築」が開催されました。このセミナーは、日
本建築家協会(JIA)の協力を頂き、JIA会員をはじめ広く建築
業界の方々を対象としてVECが企画したものです。

 セミナーの内容については、本誌でもすでに数週間に渡ってご紹介
しました。東京大学大学院教授の坂本雄三先生をメインスピーカーに
お迎えし、これからの建築の着目点として、開口部(窓)の重要性を
語っていただくとともに、VECの二人の部会長から、アメリカにお
けるサイディングの状況についてと、日本における建材リサイクルの
現状と課題について、それぞれ報告する、というものです。

 坂本先生は、「快適で且つ省エネルギーで、季節感に溢れる住宅を
つくる第一歩は、適切な開口部計画(特に窓について)を行うことで
ある」と話され、「それによって、真冬の晴天日には太陽のありがた
みを夜まで感じ、桜の頃には日の高さに季節の早さを知り、新緑の季
節には低湿度の空気がいかに爽やかなものであるかを実感し、梅雨の
後半には除湿の重要性を感じ、真夏には西日の遮蔽が大きな効果を持
つことに気が付き、台風の季節には雨戸の有難さが分かり、日影の長
さに秋の訪れを感じる住まいが可能となる。」と力説されました。
 そして具体的には、これからの住宅の目指すべき機能として、1.
断熱、2.気密、3.夏季日射遮蔽、4.換気システム、5.防露が
必須5項目であるとされ、それらを具備することにより、居住者は
1.快適空間の拡大、2.健康、3.省エネ、4.建物の耐久性、と
いったメリットが得られると述べられました。
 さらに、窓の構造として、複層ガラス・塩ビ製サッシが適している
と話され、こういった、次世代省エネ基準適合住宅の普及によって、
温暖化防止の上でも大きな前進が可能であるとコメントされました。

 VECの建材部会長、石田博さんは、アメリカではサイディング材
としてプラスチック製、とりわけ塩ビ製が大きなシェアを占めており、
耐久性、長寿命、耐衝撃性、防水性、軽量性、施工性、難燃性など数
々の長所がある、関連法規制や生活習慣が異なるものの、日本でも検
討に値するのではないかとと話し、同じくVECの技術・調査部会長
の阪内さんは、日本における建材リサイクルについて、さまざまな関
連法規制との対応と、その中で特にプラスチック建材のリサイクルの
実状について報告しました。とりわけ塩ビ建材はリサイクルが進んで
いる、建材選定に当たっても、リサイクル可能かどうかも判断基準に
入れるべきである、などと述べました。

 セミナーの参加者は160人を超え、会場は超満員でした。事前に
お申し込みいただいた方は200人以上に上り、不本意ながらかなり
の方々にお断りしなければならぬ状態になりました。お断りした方々
にはここで再度お詫び申し上げます。
 今後ご好評に応えて同種のセミナーを再度開催することを考えます。
こういった機会を通じて、建築材料の中での塩ビの位置づけが改めて
再評価され、風と光に溢れた豊かな住まい作りが進むよう願うもので
す。


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☆お知らせ

 ■パンフレット改定致しました。

  「リサイクル製品カタログ」
  「塩ビ建材とリサイクル」
  「知って得する暮らしの科学 −ダイオキシン編−」

  3種類のパンフレットを改定致しました。
  ご希望の方はこちらからお申込み下さい。
   https://www.vec.gr.jp/NEW/Shiryo.htm

 ■セミナー

 「日欧塩ビリサイクルの現状と展望」
  主催:塩ビ工業・環境協会
  共催:塩化ビニル環境対策協議会、鳥取環境大学
  協賛:プラスチック化学リサイクル研究会
  日時:6月20日(木)13:30〜19:00
  会場:京都リサーチパーク 京都市下京区中堂寺南町17
     TEL 075−322−7888
  申込:このメールに下記事項をご記入頂きご返信下さい
     ご氏名、ご所属、TEL、懇親会 参加の有無

 ●国際フォーラム(同時通訳)
   司会:塩ビ工業・環境協会専務理事 佐々木修一

 1.テーマ   「日欧塩ビリサイクルの現状と展望」
 2.場所・時間:京都リサーチパーク 13:30〜17:15
           (西4号館地下1Fバズホール)
 ●プログラム
  ○ごあいさつ (13:30〜13:40)
    鳥取環境大学 環境政策学科 教授 岡崎 誠

 (1)日本の塩ビリサイクルの現状・塩ビ業界の
    リサイクルへの取組み 13:40〜14:40
     塩ビ工業・環境協会 旭 哲也
 (2)新しいリサイクル技術
  ・「ビニループR」による塩ビリサイクル 14:45〜15:15
     神戸製鋼所(株)山本浩司
  ・塩ビ樹脂製品のガス化リサイクル技術 15:15〜15:45
     ダイセル化学工業(株) 喜多雅巳
     新日本製鐵(株)    河村隆文
 (3)欧州の塩ビリサイクルの現状
  ・欧州塩ビ業界のリサイクル -成果と展望-16:00〜17:00
     欧州塩ビ生産者協会
      Rolf Buehl、Arjen Sevenster(ECVM)

  ○まとめ (17:00〜17:15)
    東北大学大学院 工学研究科 教授 奥脇昭嗣
    (プラスチック化学リサイクル研究会 副会長)

 ●懇親会 京都リサーチパーク 17:30〜19:00
      (東1号館1F アトリウム)
    出講者を交えた懇親会に是非ご参加ください

 ●フォーラム、懇親会とも無料です
  (会場の都合により、勝手ながら先着200名様を
   定員とさせて頂きます)

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☆編集後記

  テレビを見てたら不気味なニュース。富士山で微動性地震
 多発の傾向。災害予測マップによれば、一朝事あらば東京都
 下に10センチの火山灰が降り積もるとか。
  地震には神戸でこりごりの家人は、ペットボトル(残念な
 がら塩ビ製でない!)入りのミネラルウオーター半ダースの
 箱詰めを、未だに納戸の片隅にしまいこんで、頑として捨て
 ません。ま、永遠に、笑い事であり続けて欲しいものです。
 (H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp