===「塩ビと環境のメールマガジン」 第40号 === 2002/6/20

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目 次

☆巻頭コラム
 パブリックコメントとは何なのでしょうか?
 「厚労省の玩具規制やエコマーク建材からの
  塩ビ忌避事件へのコメント」

☆主要フタル酸エステル類に、環境ホルモン性なし!
 「環境省の検討会、評価結果を公表」

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 パブリックコメントとは何なのでしょうか?
 「厚労省の玩具規制やエコマーク建材からの
  塩ビ忌避事件へのコメント」

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は11日、一部のフタル酸エス
テル類を含有する塩ビで作った玩具や手袋などの規制案をまとめて厚
生労働大臣に答申しました。私たちからすると納得がいかない内容で
す。

 この件について私たちは、厚労省のパブリックコメントの要請に応
じて、規制の基になった科学的事実にまだ不確実性が大きいこと(人
と実験動物のちがい、など)、想定されるリスクの大きさに比べ規制
が厳しすぎること、国際的コンセンサスを考慮すべきであることなど
を申し述べました。そして、厚労省はその後の審議会などで、これら
各方面から寄せられたパブリックコメントを考慮しながら検討を重ね
た結果として今回の答申案に至った…ということですが、内容は、パ
ブコメ前と殆んど同じ答申でした。

 話は飛びますが、(財)日本環境協会はこの4月に、「再生原料を
使用した建築用製品」に対するエコマークの認定条件の一つとして、
「製品は、ハロゲンを含むポリマを処方構成成分として添加しないこ
と」とする基準を公表しました。これもまた私たちには合点がいかな
い内容であります。

 この件についても私たちは、パブコメの場で意見を申し述べました。
基準案の段階ではこの条件をつけた理由として、解説文に、「火災発
生時のダイオキシンの発生が問題であるとの観点から、使用しないこ
ととした」と明記されていました。そこで私たちは、火災時のダイオ
キシン発生原因は塩ビのみならず紙や木材、塩ビ以外のプラスチック
にもあること、その発生量は人間に重大な影響を与えるレベルよりは
るかに少ないこと、火災時の人間の死亡原因は焼死と一酸化炭素中毒
死が殆んどでありダイオキシンの発生とは無関係であること、塩ビは
基本的に燃え難く、火災時にはむしろ被害の拡大を防ぐ効果もあるこ
となどを説明し、さらにご要望あれば、日本環境協会の委員会の場な
どでもご説明したいと述べました。
 ところが、4月に公表された認定基準は、私たちの主張には一顧も
与えず、原案通り、塩ビを疎外した内容でした。しかも、解説文には、
「火災発生時の難燃性は評価できるが、一方でダイオキシンの発生の
事実、さらに建築物の解体時に分別廃棄が困難な点などから使用しな
いこととした。」という、私たちの主張を真面目に検討したとも思え
ない、論点すり替えのコメントが載っていました。当初の主張が論破
されると全く違った別の論点を持ち出して、問答無用で基準を決定し
てしまう、強引なやり方ではないでしょうか。

 この2例を見て思うことは、パブリックコメントの仕組みとは一体
何なのか?という疑問です。本来パブコメとは、原案に対し広く意見
を求めた上で、できるだけ全体のコンセンサスが得られる、より良い
案に変えていくことが目的なのでしょうが、とにかくパブコメにかけ
てうるさがたから意見をいわせ、あとは知らん顔で原案通り突っ走れ
ばいいのだ、というセンスを感じてなりません。

 これは、いつも虐められている私たちのひがみでしょうか?


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☆主要フタル酸エステル類に、環境ホルモン性なし!
 「環境省の検討会、評価結果を公表」

 環境省の、内分泌撹乱化学物質問題検討会が14日に開催され、い
ろいろな化学物質について健康への影響や生態系への影響を調査した
結果が審議され、公表されました。それによりますと、ヒトへの健康
影響に関しては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシ
ル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フ
タル酸ジエチル、については、いわゆる低用量での明らかな内分泌撹
乱作用は認められなかった、ということです。

 また、生態系への影響(魚類)に関しては、フタル酸ブチルベンジ
ル、フタル酸ジエチルについては健康影響同様、明らかな内分泌撹乱
作用は認められなかったとするものの、フタル酸ジ−n−ブチル、フ
タル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシルについて
は追加試験中であり、評価を続行する、ということでした。

 なお、今回のトピックスとしては、生態系影響(魚類)に関し、前
回公表されたノニルフェノールに次いで、4−オクチルフェノールも、
魚類に対して内分泌撹乱作用があることが確認されたそうです。

 私たちは、フタル酸エステル類、特に塩ビの可塑剤として使われて
いる、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどには内分泌撹乱作用はな
い、そんなデータはない、と主張してきたところですが、その主張が
今回、科学的に裏付けられた評価として正式に認められたことになり
ます。

 生態系影響(魚類)に関する評価が継続中ということで明確になり
ませんでしたが、生態系影響については、評価のエンドポイントをど
こに置くべきかを充分吟味する必要があるという考え方もあり、私た
ちとしては引き続き調査の進捗状況を見守ろうと考えています。

 このニュースは環境省のホームページで見られます。
  http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3408

 また、後日詳細な報告書もHP上で公開されるということです。


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☆お知らせ

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
   実績表」をホームページにて掲載しています。
    https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■セミナー
  「居住者の健康を目指した住まいづくりとは!」
   主 催:住まいづくり研究会
        (福岡大学 建築学科 須貝研究室)
   協 賛:プラスチック・サイディング懇話会
   日時・場所
     1.鹿児島会場 7月1日(月)13:00-17:00
        アイムホール(定員70名)
         鹿児島商工会議所ビル4F
     2.福岡会場  7月2日(火)13:00-17:00
        福岡タワー 多目的ホール(定員100名)
   参加費:3000円
   申込方法:6/25まで下記宛FAXにてお申込み下さい。
         FAX 092-865-3109
   問合先:福岡大学 建築学科 須貝研究室
         TEL 092-871-2409 
         FAX 092-865-3109

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☆編集後記

  日韓挙げて連日、サッカー、サッカー、サッカー。クール
 を自認するH2もうっかりTVの画面を見ただけで、虜にな
 り、我を忘れます。そういえば昔々、釜本(古いなあ!)の
 シュートに感激して観覧席で手を振り回したら、前列のお客
 の頭に思いっきり当たって大恐縮した思い出がありますが・・・。
  がんばれニッポン!と、我を忘れることは、一面まことに
 爽快ですが、そんな自分自身に、なんとなく不気味なものを
 感じないではありません。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp