===「塩ビと環境のメールマガジン」 第41号 === 2002/6/27

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目 次

☆巻頭コラム
 塩ビマテリアルリサイクルのエース(?)登場
  神戸製鋼所、「ビニループプロセス」で塩ビリサイクル
  事業に本格参入

☆雨の京都に渦巻く塩ビリサイクルの熱気
 「リサイクル技術国際フォーラム開催」

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 塩ビマテリアルリサイクルのエース(?)登場
  神戸製鋼所、「ビニループプロセス」で塩ビリサイクル
  事業に本格参入

 先週、神戸製鋼所が、ベルギーのソルベー社と提携して「ビニル
ープ(Vinyloop)プロセス」による、塩ビのマテリアルリサイクル
事業に乗り出す、という記事が新聞各紙で報じられました。私たち
にとってもこの動きは大変喜ばしい、望ましいものと考えます。

 ご承知の様に塩ビ製品については、古くからマテリアルリサイク
ルが盛んに行われており、農業用ビニル、電線被覆材、塩ビパイプ
などの分野を始め、窓枠、雨樋、壁紙、床材、など広い範囲で進め
られています。
 今回のビニループシステムは、回収した使用済み塩ビを、塩ビは
溶かせるがポリエチレンやポリプロピレンなどは溶かせない、
特殊な溶剤で溶解し、溶けないポリエチレンやポリプロピレン
などと塩ビとを分離するというものですから、
塩ビ以外のプラスチック類の混入があってもそれらを分離し、純度
の高い塩ビ樹脂としてリサイクルすることが可能であるようです。
また、使用済み塩ビの中に配合されている、可塑剤や安定剤などに
ついては、溶解時に塩ビ側に入ってきますので、もう一度塩ビの配
合剤として使えるという利点もあります。
 条件をうまく選べば、例えば使用済みの電線被覆材をもう一度電
線被覆材にリサイクルする、使用済み農業用ビニルをもう一度農業
用ビニルとして再利用する、などということも可能になるといいま
す。

 このソルベー社の開発したこの技術は、ヨーロッパでも高い関心
を集めており、イタリアでは既に年間処理量10,000トンのプ
ラントが稼動しているほか、多くのプラントが計画中であると聞き
ます。また、最近のヨーロッパの塩ビ関係者からの情報でも、今後
ヨーロッパの塩ビ業界は、マテリアルリサイクル(ヨーロッパでは
メカニカルリサイクルと呼ぶ)の手段として、このプロセスを最重
点で考えていく方針であるということでした。

 私たちは、以前からこのビニループ技術の有効性に注目し、神戸
製鋼所とも協議を重ねる一方、具体的には関連業界や企業と協力し
て、使用済み農ビや使用済み電線被覆材などの材料を神戸製鋼所や
ソルベー社に提供したり、リサイクル実験の技術面で助言したり、
陰に陽に支援・協力してきました。

 新聞報道では、近い将来、東西2地区にそれぞれ年間20,00
0トン規模のプラントを建設し、リサイクル事業に本格参入すると
いうことです。さまざまな特徴を有するこのプロセスを利用して、
塩ビのマテリアルリサイクルを一段と拡大させたい、私たちは心か
らそう思い、業界としてはもとより、各企業レベルでも、この技術
を積極的に評価したいと考えています。

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☆雨の京都に渦巻く塩ビリサイクルの熱気
 「リサイクル技術国際フォーラム開催」

 20日(木)、京都リサーチパークで、私たちVECが主催し、
塩化ビニル環境対策協議会と鳥取環境大学が共催する、「プラス
チックリサイクル技術 国際フォーラムと懇親の集い」が開催さ
れました。

 この催しは、日米欧の塩ビ業界関係者が定例の情報交換会をた
またま京都で開くことになり、しかもそのテーマが、各国の塩ビ
リサイクルの現状に関するものであったことを契機に、「同じ情
報交換するなら、広く関係の皆様にも実情を知って頂こう」とい
う発想から、実現したものです。

 来日するヨーロッパ、アメリカの関係者から、それぞれの地域
における塩ビのリサイクルの実態と課題を話してもらおう、日本
側からは、リサイクルの全体像と今後の展開についてVECから
話し、今話題の大型リサイクルシステムの動向について、開発企
業側からお話願おう、単なる講演だけに止まらず、終了後は懇親
の場を設けて、突っ込んだ情報交換もできる様にしよう、と話が
広がりました。

 そんなこんなで私たちスタッフ一同、鋭意準備を進めて当日の
20日、京都は雨に煙っていました。果たして聴衆は集まってく
れるだろうか、と不安に駆られもしましたが、定刻が近づくにつ
れて、不安解消。予想以上に多くの入場者が集まり、210席用
意した椅子が、一寸心許ないぐらいの「大入り」。講演者各氏の
熱弁にも煽られてか、会場は熱気むんむんで、外の雨も吹き飛ば
すほどの勢いでした。

 国内講演は、塩ビリサイクルの総論に加え、神戸製鋼所の「ビ
ニループプロセス」の紹介と、ダイセル−新日鉄の「ガス化リサ
イクル」技術の紹介の3本立て。海外からは、欧州の塩ビリサイ
クルの成果と展望と、アメリカの現状紹介。冒頭ご挨拶いただい
た鳥取環境大学の岡崎教授、最後のまとめのスピーチに立たれた
東北大学の奥脇教授のお二人からは、こもごも塩ビのリサイクル
の重要性と、業界に更なる活動を求める激励の言葉を頂戴しまし
た。

 そして、終了後の懇親会では、あちらこちらで、講演の中身に
ついての質疑応答や討論が始まり、各界名士のかたがたからの即
興のスピーチも飛び出して、楽しい、且つ有意義な一時が過ごせ
ました。ただの講演会でなく、後で充分な意見交換ができて良か
った、と参加者の評判も、まずまずだった様です。

 私たちは今後も、いろいろな機会を捉えて、塩ビに関する情報
をお知らせする努力を続けます。至らぬ点も多々あると思います
が、ぜひご協力とご支援をお願いします。

 なお、当日の講演要旨は、近日中にVECのホームページに掲
載する予定です。

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☆お知らせ

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
   https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■セミナー
  「居住者の健康を目指した住まいづくりとは!」
   主 催:住まいづくり研究会
       (福岡大学 建築学科 須貝研究室)
   協 賛:プラスチック・サイディング懇話会
   日時・場所
     1.鹿児島会場 7月1日(月)13:00-17:00
        アイムホール(定員70名)
         鹿児島商工会議所ビル4F
     2.福岡会場 7月2日(火)13:00-17:00
        福岡タワー 多目的ホール(定員100名)
   参加費:3000円
   申込方法:6/25まで下記宛FAXにてお申込み下さい。
          FAX 092-865-3109
   問合先:福岡大学 建築学科 須貝研究室
       TEL 092-871-2409
       FAX 092-865-3109

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☆編集後記

  雨の日が続きます。梅雨時真っ盛り、でしょうか。
 雨の日は、ただでさえ苦痛な通勤ラッシュに、もうひとつ憂
 鬱が付け加わります。身動きできない状態で、他人の濡れ傘
 をズボンに押し付けられて30分。夢も希望もなくなる、と
 はちょっと大袈裟ですが、そんな心境にもなってしまいます。
 「あなたの傘が、私を泣かす。朝からズボンがびっしょびし
 ょ」オソマツ(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp