===「塩ビと環境のメールマガジン」 第42号 === 2002/7/4

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目 次

☆巻頭コラム
 1年間で渋谷に8,000平方メートルの緑地が増えた
 「渋谷区の屋上緑化条例施行1年の成果を聞く」

☆塩ビ床材リサイクル、具体的に開始
 「東京の御美商、独自技術で参入」

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 1年間で渋谷に8,000平方メートルの緑地が増えた
 「渋谷区の屋上緑化条例施行1年の成果を聞く」

 このあいだ、ある席で、東京都渋谷区の緑化推進主査の方から、
渋谷区が始めた、屋上緑化推進のための条例施行後の状況につい
て話を聞く機会がありました。
 渋谷区の屋上緑化の試みについては、その実験・検討段階から、
VECも高い関心を持ち、特に塩ビのリサイクル製品を部材とし
て検討いただいた経緯からも、その成り行きに注目していたもの
です。

 屋上緑化は、最近あちこちで一種のブームになっている感があ
り、東京都や墨田区はじめ、各自治体で進められているようです。
渋谷区ではいろいろな実験や検討に基づいて、平成13年には条
例を施行し、1年たった今、一応成功との評価をしておられるよ
うでした。

 施行以来の1年間で渋谷区では、数10件の屋上緑化の申請が
あり、合計で緑化面積は約8,000平方メートル、一寸したサ
ッカー場一つ分にもなったということです。渋谷区全体の緑地面
積318万平方メートルから見ると僅かなものですが、屋上緑化
なくして今後緑化可能な、いわゆる裸地面積は26.6万平方メ
ートルであり、この1年間の状況が今後長期に続くとすると緑化
可能面積を大幅に増加できることになるとのことです。

 注目すべきは屋上緑化のもたらす効果の話でした。夏涼しく、
冬暖かいということだけでなく、清涼な空気を呼吸できる、スト
レスを解消する癒し効果がある、隣近所とのコミュニケーション
がよくなる、建築物を保護し長持ちさせる、雨水を蓄える都会の
ダムになる、などさまざまな効果が立証されたようでした。
 とりわけ、癒しの効果という点では、屋上を緑化した渋谷区神
南分庁舎が、渋谷区役所員の安らぎの場所にもなったほか、自閉
症の症状が軽減されるといった具体例も出てきたそうです。お話
を聞くにつれ、まさに「目からウロコが落ちる」思いの事実がた
くさんありました。

 私たちにとって喜ばしかったことは、リサイクル塩ビ壁紙で作
ったレンガが好評であったこと。屋上という、重量制限の場であ
るだけに、軽量でカラフルなこのレンガは重宝されているそうで
す。
 「ニーズのあるところにシーズは生まれる。屋上緑化というニ
ーズに対して、新しいシーズが続々生まれ、新しいビジネスチャ
ンスに結びついていくのです。」と主査は話されました。

 私たちもまったく同感です。塩ビという素材が、生活のいろい
ろな場面で社会に役立ったあと、リサイクルの段階でもこうやっ
てお役に立っていく。このような話を伺うと、塩ビという良質な
素材を社会に供給する一員として、充実感を覚えます。今後とも、
ニーズにフィットしたシーズを、リサイクル品の活用も含めて作
り出していこう、と気持ちを引き締めた一時でした。

 なお、この計画の詳細についてお知りになりたい方は、下記を
ご一読ください。
「渋谷の屋上菜園都市化計画」小嶋和好著 2002年7月
 築地書館発行


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☆塩ビ床材リサイクル、具体的に開始
 「東京の御美商、独自技術で参入」

 7月1日の日経新聞は、産業廃棄物処理・運搬の御美商(東京
加賀祐司社長、03−3694−9953)が、塩ビ製床材をリ
サイクルする独自技術を開発し、産廃のリサイクル事業に参入す
る、という記事を載せました。これは、オフィスなどで使われる
塩ビ製床材を、微小な刃をつけた回転式の切削機で削り取って粉
末にすると同時に繊維質など塩ビ以外の物質を分離して、いずれ
も再資源化品として販売する、というものです。また、この方法
は従来の粉砕分別方式と比べて大幅な省エネプロセスだと聞きま
す。

 塩ビ製床材は、もともとリサイクル塩ビを使用しているケース
が多く、その意味で本来的に循環型商品といえるものですが、最
近特に、使用済み床材のリサイクル要求が高まってきていました。
しかし、もともとからリサイクル品を使用している上に、特にタ
イルカーペットなどではその構成成分に占める塩ビの割合は比較
的少なく、大半が繊維質であり、リサイクルしても塩ビの収率は
低いということもあって、関連業界としても試行錯誤の段階です。

 そんななかでも、関連業界でもトップレベルの企業では、使用
済み塩ビのリサイクルに進む第一歩として、工事現場で発生する
タイルカーペットの端材の回収・リサイクルに乗り出し、システ
ムの構築に向けて進んでいる所も出てきています。

 また、関連業界としても、使用済み塩ビ床材の業界全体として
の回収システムを構築すべく、使用済み塩ビ床材の広域運搬を可
能にする行政措置を申請している段階にも来ていました。
 なかなか厳しい状況ながら、床材業界としては、資源循環型社
会に適合すべく、精一杯の努力を続けているわけです。

 このような流れの中で、今回の御美商の試みは、時代にフィッ
トした、歓迎すべき試みだと考えます。新聞記事によれば、再資
源化された塩ビは元の原料より製造コストが30〜50%安く、
粉末の価格は1トン当たり2万から2万5千円であるといいます。
御美商は、従来の埋立費用、プラス再資源化品の販売価格で、処
理費用を賄うことができるのではと考えておられるようです。

 床材のリサイクルにおいて、経済面も重要なことは間違いあり
ませんが、再資源化品の品質や処理可能量、回収・処理システム
の安定性など、まだまだ解決すべき課題は残っていると思われま
す。しかし、御美商のような斬新な試みを契機に、関係者が叡智
を絞って、リサイクルを更に進展させることが重要なのではない
でしょうか。

 そう言った意味で、今回の御美商の構想に拍手を送るとともに、
私たちとしても何とか叡智を絞るお手伝いをしたい、私たちだけ
でなく、床材業界はじめ関連の企業でも、ぜひこの構想を前向き
に検討して欲しい、と切に思うものです。


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☆お知らせ

 ■展示会出展予定
  ハウジングフェスタ2002
   8月2日(金)〜8月4日(日)
    東京ビッグサイト 東3ホール
    (ゆりかもめ 国際展示場正門駅 下車)

 ■お詫び
  前号の巻頭コラムのビニループの記事で、
   「回収した使用済み塩ビを、塩ビは溶かせるがポリエチレン
   やポリプロピレン、ポリスチレンなどは溶かせない、特殊
   な溶剤で溶解し、溶けないポリエチレンやポリプロピレン、
   ポリスチレンなどと塩ビとを分離するというものですから」

  とありましたが、「ポリスチレン」は削除して下さい。
  お詫び致します。

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☆編集後記

  リデュース・リユース・リサイクル。この3Rはご存知
 資源循環型社会の合言葉ですが、ここしばらくは別の3R
 が幅を利かせましたね。そうです、ロナウド・リバウド・
 ロナウジーニョ、です。説明するまでもない、あのブラジ
 ルの3伊達男。特にロナウドは、やってくれました、7ゲ
 ームで8得点。ま、見事の一語に尽きます。H2もおかげ
 でミニトトカルチョでブラジルに賭けて、ほんのちょっぴ
 りふところが潤いましたゾ。
  塩ビのリサイクルも、少しあやかって、頑張りたいもの
 です。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp